41 母にバレてしまった!
「じゃ、その…また学校で…」
「はい…」
あの後は気まずくてほとんどまともにデートが出来なかったため、百合は予定より早く帰ることにした。
「あの…!告白の返事…今度こそ聞かせてくださいね…?」
「…うん。気持ちが決まったらまた屋上に呼ぶね」
「はい…!期待しています…!」
まあどうせ葵も答えはわかっているだろうが。さっきほぼ言ったし。
しかしこういうのはちゃんと返事をしたいので、百合は日を改めることを選択した。
「ばいばい」
「さようなら」
軽く手を振り合った後、百合は帰路についた。
そして放心状態のまま家に帰り、いつも通りリビングに入った。
「ただいまー」
「「「「…………」」」」
「???」
いつもなら誰かが返事をしてくれるのに、なぜかみんな机を囲んで黙り込んでいる。何かを考え込むような顔をして。
「え…どしたの?」
「百合、そこに座りなさい」
「なんで?」
「座りなさい」
「う、うん…」
いつもよりトーンの低い母の声に怯えつつ、明らかにこちらのために用意されている席に座った。
(え、何この状況…??私またなんかやっちゃいました…??)
どこぞやの主人公系発言は置いておいて、とりあえず誰か喋ってほしいところだ。このまま黙られるとドキドキで変な汗をかいてしまうんだけど。
と、そんなことを考えていた時、ようやく母が口を開いた。
「何か、私に隠していることはないかしら?」
「え…??お母さんに隠してることなんてないと思うけど…」
「…そう。ならいいわ」
華恋の表情がより深刻になる。しかし百合の疑問は深まるばかりだ。
「本当に何なの??みんなも黙っちゃってさ」
「「「………」」」
姉も妹も親友も、みんな口を慎んで深刻そうな表情をしている。いや本当に何があったんだ?言ってくれないと何もわからないんですけど。
そんな期待に応えるように、華恋がゆっくりと口を開く。
「あなた、最近仲良くしている子がいるそうね?」
「え??最近??」
何のことだろう?仲良くする人なんてかなり限定されると思うけど。
例えばそう、葵とか………
「あ」
「私、何も聞いてないんだけど???」
「そ、それはぁ…」
マズイマズイマズイっ…!!
華恋にだけ葵とのことを隠していたのがバレてしまった!いや一応誰にも話すつもりはなかったんだけどね!?たまたま心花たちには話すことになったってだけで、別に華恋を除け者にしようなんて考えてはなかったんだけどね!?
しかし彼女から見ればどうだろうか?恋雪や莉々恋、心花までもが知っている重要事項を親である自分にだけ話してくれていないなんて、多分相当ショックが大きいだろう。
一応それも理解してそのうち話そうとは思っていたんだけど、まさかこんなにも早くバレてしまうとは。リークしたやつ誰だ。出てこい。
「ほんっと、あたしが言わなかったらママだけの除け者にされてたんだからね??」
「莉々恋…!」
あんたかよ…!!後で覚えとけよ…!!
「そうよ。百合が意図的に私にだけ言わなかったからね??お母さんとっても悲しいわ〜??」
とても悲しんでいる人の威圧感じゃないよね?普通の人だったら怖くて逃げ出してるレベルだよこれ。
まあ私は慣れっこだから逃げたりしないけどね!!
怒られるのに慣れっこなのは胸を張って語ることなのか…?
まあそれはとりあえず良いとして、さっさと謝ってこの場から逃げ出したい。だって怖いもん!!??
「あの…ごめんなさい!!」
「謝れば済む問題だと思う?」
「思いません…」
「だわかってるじゃない。じゃあ早速だけど、本人から事情を説明してもらおうかしら??」
「…はい…」
結局母親には勝てず、百合は洗いざらい吐かされてしまうのだった。




