30 友人が出てきてしまった!
『あの!今日の放課後時間ありますか?』
初デートから一週間ほど経った日の昼休み、葵から連絡がやってきた。それを確認した百合は、特に何も考えず正直に返信した。
『うん。暇だから大丈夫』
『少し話したい事があるので放課後屋上に来てください』
『了解』
そこで連絡は終わった。
(一体何の話だろう?)
かなり予想外の行動をする彼女の思考なんて読めるはずもなく、結局何も思いつかないまま放課後がやってきた。
(わざわざ屋上に呼び出すなんて、あの時みたいだな〜)
葵に告白されたあの日のことを思い出しながら、先に教室を出た葵の後ろを追う。
そして屋上に辿り着き、扉を開いた時だった。
「あ、百合さん!」
「葵。どうしたの屋上になんて呼び出して。まるであの日みたいだけ…ど…」
何となく冗談混じりに話していた時、視界に見覚えのある人物が入ってきた。
「あの日とは、もしかして葵が君に告白した日のことかい?」
「!!??」
見るものを魅了する黄金の髪。同性さえも惚れてしまいそうな長身。
彼女のことはクラスで何度も目にしている。
花園菫。気高く美しく、そしてクラスを支える人物。
そんなキラキラ輝く星のような彼女が、今百合の目の前にいる。葵という美少女と並ぶことにより、彼女の眩しさはより一層大きくなっている。
「ど、どうして花園さんがここに…?」
「菫で構わないよ。君とは腹を割って話がしたいから」
「腹…!?」
「ついでに私も百合と呼んでいいだろうか?」
「は、はい…」
「ありがとう」
なんか一瞬で距離縮められたんだけど!?この人本当に腹を割って話をするつもりだ…!!
(てか私と話って何…??別に私たち何の接点も無いと思うんだけど…)
百合はそのような疑問を抱えるが、それは直後の菫の発言によって払拭されることになる。
「では本題に入ろう。私が訊きたいのは、百合と葵の関係についてだ」
「__!!??」
(何でバレてるの!?学校ではそういう素振り見せないようにしてたのに…!?)
そんなことを考えながら葵に視線を送ると、彼女がようやく小さく口を開いた。
「ご、ごめんなさい…!!実は私たちのことを菫さんに相談して…」
「え…?」
「そういうわけだ。百合、話を聞かせてくれるな?」
「…はい…」
葵は菫にとって大切な友達で、だからこそ葵が変な女に絡まれていないか心配しているんだろう。
もう関係もバレてるみたいだし、もう誤魔化す必要もない。彼女に訊かれたことに正直に答えよう。
「まず初めに、一番大切なことを訊いておきたい。どうやら二人は今お試しで付き合っているみたいだけど、それは百合にとって遊びだったりしないか?ちゃんと真剣に葵との関係について考えているのか?」
彼女の質問は、親友を心配する優しい心から来たものだった。それぐらいは友達がいない百合でも理解できて、悩まずすぐに言葉を返す事ができた。
「はい」
「本当か?」
「嘘なんてつきませんよ。こんな私のことを好きになってくれた葵のために、私は毎日葵のことを考えてますよ」
「__!!??」
「…そうか。その言葉が聞けてよかったよ」
少し怖かった菫の表情が緩まり、小さな笑みを葵に向け始めた。
「よかったな〜。ちゃんと葵のことを考えてくれてるらしいぞ?」
「っ…!!わざわざ言わなくていいですから…!!」
「まさか二人の関係がそこまで進んでいるとはな。もうお試しなんか辞めて普通に付き合ったらどうだ?」
「そ、れは…私もそうしたいんですけど…」
急にこちらに視線を向けられる。しかしそんな期待の眼差しを向けたって無駄だ。こっちにだって心の準備というものがある。
「まだ色々気持ちの整理が出来てないから無理…!!せめてお試しが終わるまで待って…!!」
「手厳しいな。もういっそ既成事実でも作った方がいいんじゃないか?」
「きせ__!!??」
「ちょっと!?葵に何吹き込んでるんですか!?」
「はは、冗談だ」
「勘弁してくださいよもぉ…」
この人もしかして結構性格悪い…?
いやただ単に葵を弄ってるだけの可能性も…。結局どのみち超優しい人って感じではなさそう。
でも葵の性格的にこういう人の方が一緒にいて楽しいんだろう。菫といるとドキドキハラハラしそうだし。
ならこちらから口出しをする理由はない。なんせ友達いたことないし。
なんか悲しくなってきた。その辺でちょっと泣いてくるね…。




