26 白状してしまった!
「で?ちゃんと説明してくれるんだよね?」
「……」
楽しかった葵とのデートが終わって清々しい気持ちで帰路に着いた途端、百合の自由は完全に奪われてしまった。今は全員で百合の部屋に集まり、そして百合がとことん詰められている状況だ。
「黙っても無駄よ?もうあなた達の関係は割れているのだから」
「あんなに見せつけておいて今更だよね〜」
「……っ!」
完全に追い詰められた百合は、心臓をバクバクにしながら脳をフル回転させていた。
(どうしようどうしようどうしよう!!??一体どうするのが正解なの!!??教えて葵先生!!)
脳内の恋人に問いかける。
しかしそこに現れたのは、完全にポンコツな葵だった。
【諦めましょう】
(もうちょっと考えてよ!!??一応あんたにも関係ある事なんだよ!!??あ、ちょっと!!??)
しかしそこに葵先生はもういない。
とうとう葵にも見捨てられてしまった百合であるが、彼女はこの程度で諦めるような人間ではない。
(もう…!!こうなったら最終手段を使うしかない…!!)
とうとう逃げられないほど追い詰められた時のために考えておいた最終手段。
百合は三人を前にそれを行使した。
「ねぇ、私から話があるの」
「なになに?ようやく話す気になった?」
「今までずっと隠してたんだけど…実は私、女の子のことが好きなの…!!」
「それはわかってるって」
「今更ね」
「相変わらず百合姉ってバカだよね」
「へ?」
あれ、おっかしいなぁ…。中学生の時に思いついた最強の逃げ手段だったんだけどなぁ。
(…ん?ちょっと待て。これってただ私が今の状況を軽く説明しただけじゃない…!?)
そう、この最終手段は中学生の頃に考えたものだ。当然当時は女の子と恋愛するなんて思ってもいなくて、これを言えば全員驚くと思っていた。
でも今中学の頃に思いついた最終手段を何も考えずに行使した結果、誰も驚かすことの出来ない事実を話しているだけになってしまった。
(あぁぁ失敗したぁぁ!!!どうして私はいつもこうなのぉ…っ!!)
結局逃げようとするのがダメなんだろう。この三対一の状況で逃げるなんて考えるだけ無駄だというのに。
ようやくそれに気づいてしまった百合は、もう諦めて全てを三人に話すことにした。
「もうこのままだと進まなそうだかあたしから質問するね。まず、二人は付き合ってるの?」
「…まぁ、一応付き合ってる…」
「一応っていうのは?」
「お、お試し期間で…」
「へぇ。あの美人相手にお試し…百合姉って女たらしの才能あるんだね」
「女たらしじゃないわ!!」
「説得力ないわよ」
「うっ…」
確かに言われてみればたらしかもしれない。それは反省だ。
「次の質問。どっちから告白したの?」
「それは…向こうから…」
「向こうから!!??」
「嘘でしょ…!?」
「あなた…どんなネタを使って脅しているの…?」
「脅してないし!!??普通に葵が私のこと好きになってくれたの!!」
本当に失礼極まりない姉だ。葵は純粋な気持ちで好きになってくれたというのに。絶対今度謝らせよう。
「でもあんたたち出会ってまだ一週間ぐらいしか経ってないじゃん?そんな短い期間で百合のどこが好きになったっていうの?」
「知らないよ…!…でもその、一目惚れって言ってたけど…」
「ってことは百合姉の見た目を好きになったってこと?」
「一目惚れだからそうなるのか…。こんなだらしなボッチのどこがいいの…?」
「言い過ぎじゃない!!??私だって頑張って普通の女の子になろうとしてるのに!!」
それはあくまで気持ちの問題で、実際の現実とはかけ離れている。
「なろうとしてるのとなれるかどうかは別の話でしょ?実際百合が普通の女の子になるなんて千年後の話だろうし」
「めっちゃおばあちゃんになってる!!??てか千年も生きてる時点で全然普通じゃないし!!??」
「まあそれぐらい不可能ということよ。あなたは生まれながらの異常者だから」
「酷い言われよう!!??一応私たち姉妹と親友だよね!!??」
「「「さあ」」」
「めっちゃ悲しいんですけど!!??」
イジリにしては強烈すぎるし、悪口にしては針が鋭すぎる。つまりこれはある種の人格否定だ。
その言葉の一つ一つは百合の心に突き刺さっていて、この後マジで泣きそうになったらしい。




