23 嘘をついてしまった!
なんとか洋服屋に入り込んだ二人。しかし百合にとっての問題はここからだった。
(どうしよう…こんなオシャレなところ初めてくるからどうしたら良いのかわからない…!!)
今までファッションなど考えたこともなかった彼女にとって普通の洋服屋でもキラキラして輝いている場所に見え、根暗な自分には分不相応だと考えている。
その上今回はこの世の美を全て掻き集めたような美少女と訪れているため、百合の劣等感はより大きくなっていく。
(うぅ…やっぱり私なんかが背伸びしたらダメなんだぁ…!!きっとこのままドン引きされて破局しちゃうんだぁぁぁ!!!)
圧倒的被害妄想。
もちろん葵がそんなことをするわけがなくて、むしろ彼女も少し困惑している様子だった。
「き、緊張しますね…私こういうところはあまり来たことがないので…」
「え??来たことないの??」
「恥ずかしながら服にはあまり興味がなくて…。あ、でも今日の服は百合さんに可愛いって思ってもらえるように頑張って選んだんです…!!ですからその、引いたりしないでほしいんですけど…」
「……!」
こんなに可愛いのにファッションに興味がない!?それは下手すると全女子から恨まれちゃうよ!?
というかこんなにオシャレな服を着ておいて興味がないってどういうことなの!?このままだと私のファッションセンスが皆無ってことになっちゃうじゃん!?
そんな風に圧倒的な戦力差に苛まれた百合であるが、向こうにファッションの知識はないのでとりあえず先輩風を吹かせておく。
「引いたりしないよ。誰にだって興味ないこととかはあると思うし!だから私に教えれることだったらなんでも教えるよ!!」
「!!ありがとうございます…っ!!」
自分からここに行こうと言った手前、全く知識がないとは言えなかった。
しかしそれは自身の退路を塞ぐことになっていて、いよいよ引くに引けない状況になってしまった。
(あぁ私のバカ…!!教えれることなんて何一つないのにぃ…!!)
とりあえずそれっぽいことを言って誤魔化すしかない。
そう判断しつつ、百合は少しずつ足を進めて行く。
「葵は着てみたい服とかある?」
「着てみたい服、ですか…?ごめんなさい。正直全然わからなくって…」
「例えば清楚系とか大人っぽい系とかあとは可愛らしい系かな?こんな感じで自分はどういう系の服を着てみたいとか、考えたことない?」
とりあえず少女漫画で出てきたセリフをパクってみる。すると思いの外上手くいき、葵は真剣に頭を悩ませ始めた。
「考えた事はあるんですけど…私に似合うかどうか…」
「大丈夫!!葵ならどんな服でも似合うと思うから!!」
「そ、そうですかね…??まあ百合さんがそう言うなら…」
葵は素材がいいからどんな服でも似合ってしまうだろうなぁ。これが生まれ持ったモノの違いか。ちょっと悲しくなってくる。
でも今はそんなことを考えている場合ではない。葵が考えた答えを受け止めて、知識がないなりに色々考えないと。
「私はその…清楚な感じの服を着てみたいです…」
「いいね。絶対似合うと思う!!」
「そうですかね…??」
「うん!!」
超美形の容姿に清楚な洋服。そんな神配合が似合わないわけないじゃん。これはかなりの化学反応が期待できる。
まあでもそれは百合がちゃんと清楚系の服を選べたらの話だが。
「じゃあ清楚系の服、探してみよっか」
「はい…!楽しみです…!!」
期待に満ちた表情を向けられ、百合の心臓はバクバクになる。
(どうしよう…ロクに自分の服も選んだ事ないのにぃ…っ!!しかも相手は超美人だし…素材を無駄にしちゃったら私のファッションセンスがバレちゃうじゃん…!?)
我ながらバカなことをしたと思う。
でももう引き返せないので、諦めて祈ることを選択した。




