17 運命を感じてしまった!
葵とのデートがいよいよ幕を開け、二人はまず大型ショッピングモールにやって来た。そして彼女の言われるがままについて来た百合は、衝撃のあまりポカンと口を開けてしまっていた。
「どうしました…?あ、もしかして他の所の方が良かったですか…!?」
不安そうに声をかけてくる。
「や、やっぱりそうですよね…!普通女子高生ならもっとオシャレなお店とかに行きますよね…!」
なんか勝手に不安を大きくしている。
流石の百合もこれは流れが悪いことを察知し、即座に自身の考えを述べ始める。
「そ、そんなことないですよ…!!カップルのあり方は人それぞれですから…!!」
「でも恋塚さんはこんなところに連れてこられて驚いてましたよね…」
「そ、それはその…」
確かに驚いたのは事実。しかしそれは相性が良すぎるあまりの衝撃にすぎない。
かなり恥ずかしくはあるが、恋人の暗い顔は見たくないので全てを説明することにした。
「じ、実は私もここに来るデートプランを立ててまして…だからその、考えることが同じすぎて驚いたっていうか…」
「………」
なぜか固まる葵。しかし直後、頬を赤くしながら嬉しそうに笑った。
「そ、それってつまり…私たちは相性抜群ってことですよね…!?」
「え…!?ん〜…まぁ…そうなるんですかね…?」
「やったっ。じゃあその、もし最初に行く予定だった場所も同じだった場合、もっともっとお似合いってことになりますよね!?」
「それはそう…なのか…??」
恋愛未経験すぎてよく分からないけど、多分葵の言っていることは間違ってない。
「ではせーので言いましょう…!私たちの運命の分かれ道です…!」
「こんなので決まっていいんですか…?まあ私はいいけど…」
相変わらずよく分からない子だ。でも彼女なりに頑張っているのは伝わって来て、百合もそれに応えるべくいつも以上に声を張る。
「ではいきますよ…せーのっ!!」
「「映画館!!」」
あれ。聞き間違いじゃなかければ同じことを言ったような…。
「…え?もしかして映画館って言いましたか…?」
「あ、はい…言いましたけど…」
「「………」」
なんか私たち相性抜群すぎない…!!??流石の私でも運命感じちゃうんですけど!?
(いやいや落ち着け百合…!まだただの偶然だった可能性もある…!!この段階で判断するのは早計…!それに私たち女の子同士だし!!)
普通運命というのは男女間で成立するものだと考えている百合にこの偶然は理解し難かった。しかし向こうは違うようで、目をキラキラ輝かせながら両手を握ってくる。
「私たちは産まれる前から結ばれる運命だったんですね!!やはり私の目に狂いはありませんでした!!」
「なんかめっちゃ飛躍してる!?とりあえず一旦落ち着いてください!!」
彼女は相変わらず進み始めるとブレーキの概念が無くなってしまう。そんなところもお茶目で可愛らしいが、あまり見惚れている暇はない。なぜなら葵が運命を感じすぎるあまり、大声で百合であることを晒してしまったから。
「はぁぁ〜〜っ…!!!」
沸騰したかのように全身を真っ赤にし、両手で顔を覆ったまま小さくなる。
しかしそのままでいられるといつまで経っても周りからの視線から逃れることができないため、百合は仕方なく彼女の手を取ることにした。
「は、早く行くよ七瀬さんっ!!」
「しゅぅぅ……」
しかし彼女は全く動かない。
こうやって恥ずかしがるあたり、やはり百合と同族でほぼ間違いないのだろう。いやそれは流石に不名誉すぎるか。
まあ同族とはいえ、一つだけ違う部分がある。それは、追い込まれた状況での咄嗟の判断力だ。
「…ああもう!!葵!!私について来て!!」
「!!??」
しびれを切らした百合は、気付かぬ間にその名を呼んでいた。




