16 新たな自分に気づいてしまった!
時というものはあっという間に過ぎ去るもので、とうとう勝負の週末がやってしてしまった。なんとか早起きに成功した百合は、そのままの勢いで用意を済ませ、集合場所に向かった。
(…う、早く着きすぎたかも…)
スマホで時間を確認してみると、集合予定の時間から三十分も早く着いてしまっていた。流石にこれがバレたら張り切ってると思われてしまうからできるなら時間ギリギリに来てほしいところだ。
(そんなに張り切ってるつもりないんだけどな…。まあ昨日全然寝られなかったけど)
それが答えな気もするけど。
(とりあえず暇だからデートプランの復習でもしよっか)
昨日調べに調べまくって考えたらデートプランのメモをじっと眺め始める。
しかしその時、周りから驚きの声が上がってしまうほどの絶世の美少女が目の前に現れてしまう。
「お、お待たせしました…っ!!」
「え?七瀬さん!?」
まだ予定時刻よりかなり早いはずなのに、葵は平然と現れてしまった。
これには流石の百合も驚き、思わず身体が一歩後ろに下がってしまう。
「は、早いですね…」
「はい…。楽しみにしていたので…♡」
「くっ…!」
あまりにも可愛すぎる、この絶対的な容姿。
その上今日の葵はとんでもなくオシャレな服を着ていて、その可愛さに拍車がかかってしまっている。百合も言葉を忘れ、その美貌に見惚れてしまう。
「あの…どうかしましたか…?そんなに見られると恥ずかしいんですけど…」
「ああいや!!七瀬さんが可愛すぎて見惚れてしまっていただけなのでお気になさらず!!」
つい焦って心の声が出てしまった。
それに対し、彼女は顔を真っ赤にしつつも嬉しそうに訊き返してくる。
「そ、それはつまり…私に魅力を感じてくださったということですか…?」
こんな可愛い顔でこんな言葉をかけられて平常心でいられる人間など存在しない。ましてや女友達すらろくにいなかった百合なんて、この美少女を前に慌てふためくことしかできない。
「もちろんです!!今日の七瀬さん魅力的すぎて他のこと全部忘れちゃうぐらいです!!」
「そうですか…。ありがとうございます…♡」
口元を隠しながら小さく喜ぶ葵を見て、また可愛いと思ってしまう。
この高鳴る心臓が葵に対する恋愛感情を表しているかはわからないが、少なくとも彼女に魅力を感じているのは事実だ。例えばそんな可愛い人に服を選んでもらったりすると自分も今以上に変われるかもしれない。
まあでも、今の百合にそんな冷静な考えを持つ余裕はないのでとりあえず足を進めることにしておく。
「じゃ、じゃあとりあえず電車に乗って__」
「あの!!」
「はい…っ!?」
「こ、恋塚さんもその…魅力的でとても可愛いです…よ…?」
「つ__!!??」
急な上目遣い!これは流石にドキッとせずにはいられない!
(何それ反則じゃん…!!そんなこと言われたら私…私ぃ…!!!)
自分でも顔が真っ赤になっているのがわかる。まさか自分にもこんな普通の女の子らしい感情が存在したなんて。
新たな自分の可能性を感じると同時に、こんな恥ずかしい顔を見られていることに羞恥心を覚える。
(もうダメだ…!!今日のデートは中止にした方が…!!)
しかし葵はそんな甘い人間ではなくて、さりげなく手を握られてそのまま引っ張られる。
「じゃあその…言いたいことも言えましたし…行きましょうか…?」
「はい…」
まだ脳が理解を拒んでいるので彼女の言うがままに足を進めていく。
そして数十分後に辿り着いたのは、百合がデートプランに組み込んでいた大型ショッピングモールだった。




