125 あっさりすぎた!
とりあえず葵に子供はどうすればできるかを教えたところで、そろそろ本題に入りたいところだ。
百合は空気を変えるために一度咳払いをし、最初の話に戻していく。
「で!めっちゃ話脱線しちゃったけど、二人に大事な話があるの」
「あそれガチなんだ」
「ガチもガチだよ。二人がふざけるから話しにくくなっちゃったじゃん…」
「ごめんごめん。今回はちゃんと聞くから」
心花も雰囲気を察して話しやすい空気を作ってくれた。
そうなってくるとあとは葵がどう反応するかだけなんだけど…。
「(お、女の子同士じゃダメなんて…。というかあんな恥ずかしいことをみんなしているってこと…!?)」
「「………」」
もうその話をしてから数十分経つ。いい加減顔を真っ赤にしてボソボソ何か言うのはやめてほしいところだけど、今までの常識が覆されてしまったのだから仕方ない部分もあるかもしれない。
というかこの子意外とむっつりだ。さっきから何か妄想しているみたいだし、きっとそういうことを想像して興奮しているんだろう。
なんだろう。とても先が思いやられる。いつかこっちにツケが回ってくると考えるとかなり将来が不安だ。
まあ今そんなこと考えても無駄だからとりあえずこの子を正気に戻すところから始めようか。
「葵…??今から話したいんだけどいいかな?」
「ふぇ__!?あ、はい!!大丈夫です…!!」
そんなに身体をビクッと震えさせて驚かなくても。なんか今のコンディションでそんなことされたら変な勘違いしちゃうじゃん。
いやそれは流石にスケベすぎるか。
「本当にダイジョブ…?まだ顔赤いよ?」
「は、はい…!!準備万端です!!」
「今そんなこと言われても誘ってるようにしか聞こえないんだけど…」
心花も同じようなことを考えてるみたいで安心した。
いや絶対安心するべき場面じゃないなこれ。
「と、とにかく!!今から大事な話するからちゃんと聞いてください!!」
「へーい」
「はい…!」
一旦深呼吸をして心を落ち着け、緊張を忘れる。
そして二人の目を見て、その言葉を告げる。
「実はね…菫に告白されたの」
「「!!」」
二人は一瞬目を見開いた後、視線を交わらせて何かを察したように息を吐いた。
「菫さんもそうだったんですね…」
「やっぱそうなっちゃうかぁ…」
しかし二人の反応が想定外のもので、百合も驚きを隠しきれない。
「え、何その反応。もしかして二人は知ってたの__!?」
「んや別に知ってたわけじゃないけど」
「なんとなくわかっていた、みたいな感じでしょうか…?」
「マジ…?」
そんなにわかりやすかったということだろうか?
ならなぜ私は気づけなかったんだ。当事者だからかな?
この辺を考察するのはなんとなく無駄な気がするし、とりあえず二人にどうするかを聞いておかないと。
「じゃあ二人はこうなることも予想してたの…?」
「まあなんとなくね」
「本当にこうなるとは思いませんでしたけど…」
こうなった場合のことをすでに話し合ってくれていたのなら話は早かったが、流石に具体的には決まっていないみたいなので今日ちゃんと話し合いをしておくことにする。
「…ちなみにだけど、二人はどうするべきだと思う?」
心臓をバクバク跳ねさせつつ、恋人二人に問う。
すると数秒の間を置いた後、葵が胸に手を当てながら言葉を返してきた。
「いいんじゃないでしょうか?」
「え…」
「もちろん、百合さんも菫さんのことを好きならばの話ですが」
案外あっさり認められてしまって完全に拍子抜けだ。
「もし私が菫のこと好きになったら、恋人にしてもいいってこと…?」
「はい。私はそれで問題ありません。心花さんはどうですか?」
「あたしも全然良いと思う。百合がちゃんと考えて選んでくれるなら、特に言うことはない」
心花も同じ意見のようで、簡単に菫との恋愛が認められてしまった。
これには流石の百合も理解が追いつかず、頭の中が?で埋め尽くされてしまう。
「え、本当にそれでいいの?」
「うん」
「はい」
「あそうなんだ…」
こんな簡単に認められてしまうのは逆にどうなんだとも思うけど、二人とも優しいというだけなのかもしれない。
いずれにせよ穏便に事を運ぶことができて良かったが、やはり拍子抜けすぎて感情がうまく掴めない。
「まあ、百合が好きになったらの話だけどね」
「そうですね。好きでもない人と無理に付き合う必要はないと思います」
「それはそうするつもり…」
まあとりあえず、浮気とか言われなくて良かったと、一旦胸を撫で下ろした。




