124 勘違いしていた!
とりあえず家族に相談してちゃんとお許しをいただき、百合は次に恋人二人に報告することを選んだ。
「なに〜?♪わざわざ彼女二人をカフェに呼び出すなんて♪」
「たまには三人でデートもいいですね♪」
しかし二人はかなり楽しそうにしていて、こんな大切な話を言い出すのは憚られる。
まあどうせ遅かれ早かれ報告しなければならないことだろうし、ここで勇気を出して早いとこ話しておく方が後々楽なのでとりあえず話してみることにする。
「ごめん。今日はデートしたくて呼んだわけじゃないんだ」
「ん?なら何か用事?」
「うん。大事な話があるの」
「__!!??大事な話…!!??」
「まさかプロポーズ!!??さ、流石にまだ早くない…??♡」
「いや違うから!!」
何勝手に勘違いして盛り上がってるんだか。この調子だと話が始まらないんだが…。
一旦冷静になって真剣な空気にしよう。そうすればきっと二人も落ち着いてくれるはず。
「今回の話は私たちの将来に関わる重要な問題だから、真剣に聞いてほしい」
「将来__!!??」
「子供はまだ早いですよぉ…♡」
(ん??なんか会話が成立しない)
日本語も通じない人たちを恋人にしてしまったらしく、かなり絶望してしまう。
「ちなみにあたしは百合の子なら何人でも大丈夫だよ…♡」
「わ、私も準備はできてます…!!」
「いやできてたらダメでしょ。てかそもそも私たち女同士だし。子供なんてできるわけないでしょ」
さっきから会話がアホすぎて呆れが出てしまう。
てかもういい加減この流れ終わらせたいんだけど。
「え、子供作るのに男とか女とか関係無いでしょ」
「そうですよ!!私たちの愛に性別なんて関係ありません!!」
「……」
まず間違いなく全てを理解したているのが心花。この子普通に下ネタとかエグい発言ぶっ込んでくるし、子供がチューでできるなんていう勘違いをしていることはあり得ない。
そしてどっちかわからないのが、葵の反応だ。彼女は純粋無垢な箱入り娘で、心花が下ネタを放った時もいつも理解していない様子だった。
そういう点を考慮すると葵が何も理解していない可能性はあるわけで、将来本当のことを知ってショックを受けないようここで教えてあげておくことにした。
「ちなみになんだけど、葵はどうやったら子供ができるか知ってる??」
「そ、そんなこと言わせないでくださいよ…」
「あごめん。流石に知ってるか」
顔を真っ赤にして恥ずかしがるなんて、やっぱりちゃんと乙女だ。
この感じならちゃんと理解はしているみたいだし、わざわざ教える必要もないだろう。
「ち、チューしたら…ですよね…?」
「「ん??」」
(聞き間違いかな??まさか高校生にもなってそんな勘違いしている人なんているはずがないよね)
心花と目を見合わせ、何かの間違いだろうという結論に至る。
「ははは!!あおたそそんな冗談言えたんだね!!ムズすぎて困惑してしまったわ!!」
「葵は冗談もなんか上品だよね。私たち庶民には難しいよ」
「へ??冗談??」
「「あれ??」」
なんだこの反応は。まるで本当にキスで子供ができるって思ってるみたいな…。
「もしかして本当にキスでできると思ってる…??」
「違うんですか…?」
「「………」」
この反応、マジなやつだ。
じゃないとこんなに顔真っ赤にして目を逸らすわけがない。
(いや純粋すぎでしょ。これでよく告白してきたなこの子…)
出会ってすぐに告白する勇気はあるくせに、恋愛の先についての知識はゼロ。どれだけ勢い任せなのかがよくわかった。
まあそういうところも可愛らしくてちょっとキュンとしたけど、ここは大人として正しいことを教えておかないと結婚してから「女の子同士だと子供できないんですか…!?」とか言われるかもしれないし、そんな手遅れになる前にちゃんと知識を入れ込んでおかねば。
その意思を目線で心花にも伝え、ちゃんと二人で説明しておくことを選んだ。
「あのね葵、恋愛がなぜ男女間で行われると思う?」
「え?う〜ん…なぜでしょう?」
まあわからないか。なんせわざわざ女に告白してくるような子だし。
でもその知識でよく告白できたなとは思う。よく今までボロが出なかったな。というかなんで私も気づけなかったんだ。こんなにも長い時間一緒にいたのに。
こんなこと考え始めたらキリが無い。彼女はの疑問は深まるばかりだし、とりあえずは認識を改めさせてからにしよう。
「実はね、子供は__」
これ以上は乙女の内緒話。
周りから見れば夏休みのお昼前に仲良く女子会しているJK三人だが、内容は至って女子会とは呼べないようなものだった。




