122 親友に告白されてしまった!
「百合。君のことが好きだ。友人としてではなく、一人の女として」
突然の菫からの告白。
少し察してはいたが、やはり驚きは隠しきれない。
「そっか…。やっぱりそういう意味なんだね…」
何度告白されようとも、やはり同性に迫られるというのはやや変な気分になる。
もちろん嬉しくはあるのだが。
「すまない。こんなこと言っても困らせるだけだよな」
ようやく目が慣れてきて少しだけ菫の表情が見えるようになってきて、彼女が申し訳なさそうに下を向いているのがわかった。
やはり彼女は優しすぎるが故に積極的になれないタイプみたいで、今回もかなり苦しい思いをしながら気持ちを打ち明けたんだろう。
そう考えると彼女の今の表情を見ているのは百合にとっても苦しくて、つい口調を強くしてしまう。
「別に困ったりなんかしないよ。むしろすっごく嬉しい。ちゃんと伝えてくれてありがとう」
彼女が負い目を感じないよう、百合は優しい言葉をかけ続ける。
「そんなに申し訳なさそうな顔しなくていいのに」
「だって百合には恋人がいるし…」
「それはそうだけど。好きになっちゃうものは仕方なくない?」
「そういうものなのか…?なにぶん初めての感情だからよくわからなくてな」
意外とウブで可愛いところがある。まあこっちもこの前までこんな感じだったから先輩ヅラはキモいか。
こういうときは寄り添ってあげるのが効果的だろうから、とりあえず手を握り返しながら優しい言葉をかけておく。
「わからないのは仕方ないよ。初めてだもんね。私も今だってわからないことだらけだし」
「そうなのか…?」
「うん。葵と心花には驚かされてばっかりで、どうするのが正解かわからないことの方が多いよ」
今はそれを必死になってわかろうとしている段階だから、正直菫に言えることは少ない。
でも一つだけ、確かに守るべき感情は存在していて、菫にそれを知ってもらいたくて言葉を紡いでいく。
「でもね、自分の気持ちに正直になるのは、絶対に良いことだよ。相手に気持ちを伝えて、ぶつかって、そしてどうなるかはわからないけど。でも正直になれないと何も始まらないよ」
葵や心花の姿を見てきて、彼女たちの凄さがよくわかった。
二人は恥や玉砕を恐れず、自分の気持ちを貫いた。その結果として幸せな未来がついてきているだけであって、最初は自分の気持ちに正直になるところから始まっている。
だから百合もそうなれるよう必死に頑張っているし、菫にもそうなってほしいと思っている。
「確かに、百合の言う通りだな。私は何を迷っているんだか」
「そうそう。他人のことよりまずは自分と向き合わないとね」
「まさか百合にこんなことを言われる日が来るとはな。意外と格好いい一面もあるんだな」
「まあねぇ〜♪」
そんなに褒められると気分が良くなってきてしまうが、調子には乗らないよう気を付けておく。
「やはり、私は百合のことが好きみたいだ。百合の言動の全てが愛おしく感じてしまう」
「あれ、菫って結構重い?」
「嫌か?」
「ううん全然。もうあの二人で慣れたから」
葵も心花も、普段からかなり重そうな雰囲気を醸し出している。今更重い人が一人増えたぐらいで特に困惑したりはしない。
まあかなり大変なことにはなりそうだが。
「そうか。なら私が入る隙は無さそうだな」
「え??なんで??」
「二人とも百合のことが大好きなら、きっとわたしが新たにってなると嫌がるだろう?」
「そんなことないと思うけどなぁ」
恋愛どうこう以前に、四人はかけがえのない親友だ。みんなこれから先もずっと一緒に居たいと思っているし、その関係性が少し変わったぐらいで文句を言う人はいないはずだ。
だから菫が心配する必要はなくて、百合もそれをちゃんと彼女に伝えた。
「二人のことだからきっと菫も大歓迎だよ。なんせ私たちは親友だからね!」
「…そうか。それなら良かったよ」
安心したのか、菫は久々に笑顔になった。
そしてそれを見た百合も一安心して息を吐き、一度心を落ち着けて睡眠の準備を__
「それで、肝心の百合の方はどうなんだ?」
「へ??」
「私のことどう思ってるんだ?」
「そ、それは…」
菫相手に恋愛とかは考えたことがなかったから、今でも気持ちの整理はついていない。
でもここで断ると絶対に後悔すると思い、一旦保留にしておくことにした。
「内緒…」
「はあ??私にはこんなにも心の内を打ち明けさせておいてか??」
「ごめん!!もうちょい気持ちの整理してからにさせて!!」
「はぁ…。百合は変わらないな」
「それはちょっと傷つくよ…」
ちゃんと貶されているけど、それも仕方ない。
下手をすればこれから三股をかけることになるわけだから、最低と言われても何も文句は言えない。
でもこれは全員を幸せにするためには必要な行為だと思うから、どうか許していただきたいところである。




