120 打ち明けられてしまった!
「なあ。百合は私のこと、どう思ってる?」
夜も更け、同じベッドに入った瞬間だった。
菫が少し不安そうな顔をしながら質問を投げてきた。ちょうど明かりを消して顔が見えづらくなった瞬間に、彼女は心の不安を打ち明けた。
「どういうこと?」
「百合は私のこと、邪魔だと思ってるんじゃないかと思って」
「???」
彼女が何を言っているのか理解できない。百合の中で疑問符が渦を巻いた。
「なんで私が菫を邪魔だと思うの?」
「だって普通いついかなる時でも恋人と行動を共にしたいものだろう?できるだけ長い時間恋人と一緒にいたいと思うことは人間として自然な感情だ」
彼女なりの理論を交えつつ、事情を説明してくれる。
「でもそうやって三人が仲良くしている間には、いつも私がいるだろう?」
「そうだね」
学校とかでは基本菫を交えた四人で行動しているし、最近ではみんなで遊びにいく機会も増えた。
しかしそのせいで百合が恋人とデートする時間が減っている事を心配してくれているみたいで、彼女は少し声のトーンを落としながら自分の感情を溢していく。
「そのせいで百合たちは恋人同士での時間を過ごすこともできないし、イチャイチャすることもできないだろう?」
「………」
彼女の言い分は間違いではない。
しかしだからといって肯定はできない。
「きっと葵だって百合と恋人の時間を過ごしたいだろうさ、イチャイチャだってしたいはずだ。でもそれが私のせいで出来なくなるのは、耐えられないんだ」
菫らしくない。
彼女はもっと堂々としていて、気高い存在だった。
いや逆に言えば、こっちが菫の本来の姿で、いつも見ている姿は仮初なのかもしれない。
百合の中で様々な考察が巡る中、菫は自身を傷つけるような発言を繰り返す。
「私は葵に幸せになってほしい。もちろん、百合にも心花にも。でもその輪の中に、私はいらないんだ…!」
部屋が暗くて彼女の表情はわからない。
でもその声色で彼女の心苦しさは痛いほど伝わってきて、百合も胸が締め付けられるような感情に至る。
「私がいるとみんなの邪魔になる…私が友達だから葵は幸せになれないんだ…!こんなみんなの幸せを邪魔する私なんて、ただの邪魔者だろう?百合もそう思うだろう…!?」
正直、何をそんなに不安になっているのかわからない。
恋の邪魔をして私に嫌われるのがイヤだから?それは自惚れすぎか。
葵に邪魔者扱いされて縁を切られる前に先に距離を置きたいとか?そんなの絶対に許さない。
どんな理由があったとしても、菫は友達だ。恋愛とか恋人とか、そんな話以前の問題だ。
どうやら私の気持ちが伝わっていないみたいで少し悲しくなってきた。そして同時に、ちょっとした怒りが込み上げてくる。
「いや全然。逆になんでそんなこと気にしてるの?」
「だって__!!」
「私たちは友達でしょ?一緒にいる理由なんてそれだけで十分じゃん」
「で、でも…!」
自分で自分を追い込んでいる。
まさか彼女がそんな事をする人間だとは思わなかった。
だからこそ百合の中での彼女はのイメージのズレが大きく、普段から全く抱かないような感情を彼女に向けた。
「葵も心花も、邪魔だなんて思ってないよ。確かに私たちは恋人だけど、それ以前に友達でしょ?その中に友達の菫がいて何がおかしいの?」
葵も心花も、菫のことはかけがえのない友達だと思っている。もちろん百合もだ。
確かにデートの時間は少なくなるかもしれないが、それでも菫と一緒にいたいと思っている。
でもそれは一方的な思いで、どうやら向こうはそう思ってくれていなかったらしい。どうにも悲しいことだ。
「わかってないみたいだからハッキリ言っとくけど、私は菫のこと大好きだから。これから先もずっとずっと一緒にいてほしいって思ってるぐらい大好きだから」
「…!!」
言いたいことは言った。あとは彼女の反応を待つだけだ。
「…そうか。ありがとう。少し心が楽になったよ」
「それはよかった」
「私も、百合のことが大好きだ。普段から君のことしか考えられなくなってしまうぐらいにな」
「ん??」
友達にしては重すぎる気がする。私のことしか考えられなくなるって、そんなの恋愛対象として見てるとしか…。
「え??」




