114 戦いになってしまった!
「ん〜!!おいひぃ!!」
「これは絶品だな」
「ほっぺが落ちちゃいそ〜♪」
「それは少し子供すぎる気がするが。事実だから何も言えないな」
百合の家の近くの公園で菫と話していた時、たまたま近くにクレープのキッチンカーが来ているのを発見し、二人は欲望のままに即購入した。
今はまた公園のベンチに戻ってクレープを頬張り、百合は懐かしいあの頃のことを思い出す。
「懐かしい味だなぁ」
「ここのクレープを食べたことがあるのか?」
「うん。ずっと昔からたまにこの辺に来てたから。発見するたびに心花に腕を引っ張られて少ないお小遣いで買って一緒に食べてたっけ」
「思い出の味なんだな」
「うん」
懐かしの味を味わっていく。
すると意外に一瞬で食べ終わってしまい、急な喪失感に襲われる。
「も、もう食べちゃった…っ!?」
「凄い勢いだったな。私まだ半分しか食べ終わってないぞ」
「そんなぁ…」
これが理不尽というやつか(?)。
でも優しい優しい菫は手を差し伸べてくれる。
「仕方ない。私の食べかけでよければ半分いるか?」
「え!?いいの!?」
「ああ」
「やったー!!」
感情がジェットコースターのように変化する百合。これが遊ばれているということに本人は気づかず、喜んでクレープを受け取った。
「ありがとう!!」
「いやいや、こちらこそありがとうな。クレープは意外に高カロリーだから助かるよ」
「ん!?」
菫の言葉を待たずしてクレープにかぶりついた百合は、咄嗟に口を動かすのをやめた。
「にしても羨ましいな百合は。こんなに食べても全然太ってないし」
「べ、別にそんなことないんだけどね…」
最近ダイエットしてるし。服の上からはわかりにくいだけで普通にお腹大変なことになってるし。
でも菫はかなり羨ましそうにしていて、なんとなく百合の自己肯定感が上がってしまう。
「食べた分が全部胸や尻に行っているからなのか…?いやそうでないと絶対におかしい」
「何言ってるの…?」
「私が食べたものだけはお腹に行って…百合が食べたものは都合よく脂肪がついて…。これは結構許せないな」
「えなんかキレられてる?」
さっきとは変わって恨みを向けられる。
でもそんな悪いことはしていないはずだから百合も困惑してしまう。
「私何もしてないですよね…?」
「そういう何気ない言葉が私を傷つけるんだぞ。いくら友達でもライン超えだ」
「えぇ…」
なんか勝手に怒っちゃってるんだけど。これどうすればいいの?
(もう何言っても無駄じゃんこれ…)
ああ言えばこう言う。ならもう話題を変えるしかないと考え、百合は静かに立ち上がった。
「あ〜そろそろ散歩したい気分になってキタナ〜」
「散歩?もしかして私に痩せろと言っているのか?」
「………。そろそろお昼ご飯出来てるかも!一旦家帰ろ!」
「昼ご飯を食べさせてさらに太らせると」
「………。私の部屋で映画見よう!」
「家に篭らせて痩せる機会を奪おうとしているのか」
「いやもうそんなこと言われたら全部無理じゃん!?」
かなり面倒臭いなこの子。話してるだけでカロリー消費が激しすぎる。
いや今カロリーの話はセンシティブか。
「すまない。ついこの世の理不尽に文句を言いたくなってな」
「理不尽って…。菫スタイル良いんだからどちらかと言えば羨まれる側でしょ」
「はは…君にそんなこと言われても挑発にしか聞こえないな…」
なぜ落胆しているのか本当にわからない。
確かに心花みたいにプロポーションが抜群とかそういうタイプではないけど、間違いなく全女子が羨むようなモデル体型だ。
脚はとんでもなく長いし、腰は細いし、くびれも美しい。
女子高生からすれば同世代にこんな人がいるのを知っただけで絶望してしまうぐらい綺麗なのに、今更何を言っているのか理解できない。
「本当に菫は何を言ってるの…?私だって菫の体型羨ましいのに」
「もう戦争だなこれは。その発言は宣戦布告なんだよな!?」
「いやちょっと待っ__!?」
菫が勢いよく攻撃を仕掛けてきた!
そして無防備だった百合は攻撃をまともに受けてしまい、胸の感触を堪能されてしまうのだった。




