108 マイクロすぎた!!
「さて諸君、準備は良いか?」
「はい…!!」
「おお…!!」
「ではこれより、ドキドキ海デート大作戦を開始する」
「「おーーーーー!!!!」」
ショッピングモールで拳を掲げる女の子二人。一人は少し控えめに、もう一人は堂々と天高く。
「いや何このノリ」
心花の冷静なツッコミに、二人も正気に戻る。
「てか作戦名ダサすぎでしょ」
「そうか?意外と良い感じだと思ったんだが」
「あまり良さそうな響きではない気が…」
「葵もそう思うのか…。ならこのプロジェクトは解散するしかないな…」
「いやどんなところにこだわり見出してんの!?」
まだ何も始まっていないというのに勝手に終わらされるのは困るため、心花はしっかりとツッコミを入れた。そして話の流れを変えるべく、少し口調を強めに語り始めた。
「ったくもぉ、ちゃんとしてくれない?あたしは真剣なの」
「そうなのか?」
「当ったり前よ。海なんて水着を見て楽しむのが本命なんだから」
「真剣な人の意見とは思えないが…」
でもあながち間違いでもない気がするから強めにツッコむことは出来ず、菫は仕方なく認めることにした。
「まあそういうことにしておこうか。きっと彼女持ちの君らにしかわからないことがあるんだろう」
「そーゆーこと」
「彼女…水着…」
会話の傍らで少し顔を赤くしている人物が一人。咄嗟に心花がニヤニヤし始め、彼女の頬を突きだした。
「なになに?百合の水着姿想像してんのかぁ〜??」
「__っ!!??ち、違います__!!」
葵は必死に弁明を謀るが、心花は容赦なく言葉責めにする。
「嘘つかなくていいんだよぉ??本人もいないわけだから彼女同士語り合おうよ??」
「そんなこと言われてもぉ…」
顔を真っ赤に染める美女は、小悪魔的な人間の悪戯心をくすぐるだけで。さらに心花はニヤニヤして葵の耳元で吐息をかけるように語りかけた。
「(百合の水着、どんなえっちなやつだと思う?♡)」
「__っ!!??」
あくまで菫には聞こえないように語りかけた。
すると葵は顔を真っ赤に染め上げ、まるで想像したかのように悶え始めた。
「もしかして想像しちゃった?♡葵って意外とむっつり?」
「そ、そんなことありません…!!想像なんて全然してません…!!」
「何の話だ…?」
「すみっちは知らなくていーの」
「何だか仲間外れにされている気分だが…何となく知らない方が良さそうだから追求はしないでおく」
葵が顔を真っ赤にしているのを見て何かを察した菫は腕を組みながら顔を逸らし、葵と心花の仲良し空間を邪魔しないようにしている。
しかし葵からすらば助けてくれるのは彼女だけで、目をうるうるさせながら助けを求め始めた。
「菫さん助けてくださいよぉ…」
「そう言われてもな…」
「はいあおたそ逃げたらダメだよ〜?大事なことだからちゃんと話し合おうね〜?♡」
「だとさ」
「そんなぁ…」
葵は希望を失ったような落胆する。そしてそのまま心花に手を引かれ、水着売り場に駆り出される。
「さてさて、葵はどんな水着で百合を誘惑する?♡」
「ゆ、誘惑なんてしません…っ!!」
「でもどうせ葵ぐらい可愛い子が水着着るのって誘惑してるのと変わらないと思うんだよね」
「どういう意味ですか!?」
「さーね〜」
葵の水着姿なんて想像しただけでも可愛すぎて見惚れてしまいそうだ。あくまで同性の友達として。
もし恋愛対象なら見惚れるなんて次元じゃ済まないだろうし、あの百合なら尚更大変なことを想像し始めるだろう。
だから葵が水着を着ることは百合を誘惑しているに等しくて、心花はそれに負けないようちゃんと百合を誘惑できる水着を選ぶつもりである。
「ちなみにあたしは百合を誘惑できそうな水着を選ぶからね」
「!!??そ、それってどういう…?」
「例えば…あ!こんなのとかどう!?」
子供のように目を輝かせながら心花が取った水着は、いわゆるマイクロビキニというやつだった。
「なななななんですかこの水着!!!???ほぼ紐じゃないですか!!??」
「まー大事な部分は隠せるからギリセーフ?」
「アウトですよアウト!!こんなの着て人前に出るなんて…。わ、私は認めませんからね…!!」
「ここにきて彼氏ヅラ?あおたそもしかしてあたしのこと好きなん?」
「違いますから…!!友達として心配なだけです!!」
「そんな否定されるとちょっと悲しいけど…まあ流石にこれを人前で着るのはあたしも無理」
どうやら心花にもちゃんとした価値観があるみたいで、そのマイクロなビキニは一旦元の場所に戻した。
そしてそろそろちゃんと決め始めようと、三人は真剣に水着を見始めた。




