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第99章:世界崩壊

空間の亀裂が走る轟音が、鼓膜を裂くほどのすさまじさで響き渡った。ステシアとベアトリクスの間で圧縮された破壊エネルギーは、この空間の耐えうる限界をとうとう超えて爆発四散する。足元の地面が剥がれ落ち、蜘蛛の巣のようにあらゆる方向へと果てしなく深淵な亀裂が走った!


「しつこい女だ……っ!」


ベアトリクスは歯を食いしばり、急襲してきたエネルギーの刃を身を捻って辛うじて回避した。その口元から荒々しい息が漏れる。


ステシアは一言も発しない。彼女の身体はまるで超新星爆発を起こす太陽のように眩く光り輝き、その怒りのオーラは周囲の闇を恐怖に満ちた白銀の光へと変えていく。


エネルギーの周波数が狂い、天候までもが異変をきたした。頭上には黒雲が渦巻いて巨大な竜巻を形成し、真紅と銀色の稲妻が大地へと叩きつける。ピカッ! ゴロゴロッ! まさしく世界の終焉を告げるかのように天が泣き叫び、暴風がすべてをなぎ倒して木々や岩の破片を空中へと舞い上がらせた!


大地の崩壊。


ドォォォン――ッ!!


二人は空中で激突した。拳と拳がぶつかり合い、閃光と刃が交錯する! 発生した凄まじい衝撃波によって足元の地面が陥没し、巨大なクレーターが出現する。宙を舞う岩石や土砂は、エネルギーの奔流に呑み込まれて一瞬にして微塵の粉へと変り果てた!


「こんな風に泥仕合を続けていたら……この世界の空間ごと消し飛ぶぞ、合成物のゴミが!」


ベアトリクスは背後から迫る爆心地から逃れるため、渾身の力で跳躍した。


「裏切ったとき、その頭で少しは結果を考えなかったわけ!! ラオを裏切って無事で済むと本気で思っていたの……ッ! そんな攻撃、らおに当たるはずがないじゃないの!」


衝撃波は想像を絶する規模の災害となって周囲を飲み込んでいく。数キロ先の本物の森林がドミノ倒しのように薙ぎ倒され、何百年もの間そびえ立っていた巨岩は一瞬で砂と化して崩れ落ちた。野生の獣たちは悲鳴を上げて逃げ惑うが、押し寄せる気圧の壁の前には手遅れだった。


峡谷は完全に押し潰されて平らな荒野へと変わり、古代の川はその流路を地下の亀裂へと変えられてしまった。この大地は、血と破滅によって新たに描き直されたのだ!


「お前の力は……ますます煮え滾っているぞ、ステシア!」


ベアトリクスは血走った目を剥き、ステシアの身体からとめどなく溢れ出る血管とオーラを見据えた。


「だってアンタが、ラーオの中で復讐の火を燃え上がらせたんだからね……!! ラオは光と闇、両方の魔法を使えるのよ、舐めないでよね!」


ステシアは空中で足を蹴り、まるで一筋の白い流星のごとく突進する。雷鳴と闇を纏い、ベアトリクスへと狂乱の怒りを叩きつけた!


「(ラーオ、思った以上に力を解放しすぎちゃったわね……でも、もう止まらないわ!)」


ラオ〜!ラオ〜!ラオ ラオ ラオ ラオ ラオ ラオ〜〜〜ッ!!


ドォォォン――ッ!!


数百キロ先まで大地が揺れ動き、遠く離れた村々ですでに大災害級の揺れを感じ取っていた。嵐の雲は血の雨とエネルギーの微塵を混ぜ合わせた紅蓮の雨へと変わり、光の失われた空から降り注ぐ。


二人の肉体は限界を迎えつつあった。ベアトリクスは荒い息を吐き、四肢の皮膚からは亀裂が走って鮮血が滲み出している。ステシアの顔色も青白く、限界を超えて魔力を絞り出したせいでエネルギーの制御が揺らいでいた。


「その苦痛に……いつまで耐えられるのよ、ベアトリクス!」


ステシアは荒い息を整えながらも、なおも彼を叩き斬らんとする執念の目を向ける。


「そんなゴミみたいな問いは……地獄に落ちてから自分で考えろ!!」


ベアトリクスは残虐な笑みを浮かべた。


かつて美しかった森林は今や見る影もなく、クレーター、黒煙、そして燃え盛る灰だけが広がる荒涼とした地獄と化していた。絶え間ない爆音が大地を揺らし続ける。


地獄の煙霧と瓦礫の只中で、ステシアとベアトリクスは互いに深手を負いながら立ち尽くしていた。ベアトリクスは残忍な笑みを浮かべたまま、両手をゆっくりと掲げる。彼の腰元に吊るされていた二本の巨大な剣がふわりと宙に浮き、不気味な死の鐘の音のように激しく震え始めた。


「そろそろ地獄へ送ってやる時間だ……合成物のゴミめが!」


冷酷非情な声が響く。


二本の剣から莫大な殺気が放たれ、目を眩ませるほどの光が周囲を焼き尽くすと、瞬く間にその姿を異形へと変貌させた!


グォォォォォ――ッ!!


一本の剣は、両翼を広げれば山々をも覆い尽くすほど巨大な金色の竜へと姿を変えた。その両翼はまるで天を押し潰す巨大な連峰の如く広がり、太陽の光を完全に遮って周囲に絶望的な影を落とす。武器のように輝く鱗と血走った赤い瞳が、ステシアを強烈な飢餓感で睨みつけた。その圧倒的な殺気は周囲の空気すら押し潰した。


もう一本の剣は二つの影に分裂した。一方は灼熱の炎を纏う不死鳥(フェニックス)。周囲の空間を溶かすほどのオレンジ色の炎を纏い、耳障りな悲鳴を上げて翼を広げる。もう一方は純白の悪魔のペガサス。その銀の翼は刃のように鋭く研ぎ澄まされていた!


「なっ……何よ、これ……!」


ステシアは驚愕に目を見張り、本能的な恐怖から思わず一歩後ろへと退いた。


「俺の大罪の僕どもだ……」


ベアトリクスは冷たく嘲笑う。


「竜、フェニックス、ペガサス……この三つが合わさったとき、たとえ神であっても血を流すことになる!」


ドォッ!!


山のごとき巨翼を羽ばたかせた竜が大きく口を開け、金色の地獄の炎を周囲の広大な森へと吐き出した! ステシアは間一髪で跳躍して回避したが、すかさずフェニックスの炎が人知を超えたスピードで急襲してきた!


シュッ! ゴォォッ!


オレンジ色の炎が彼女の背中と肉体を容赦なく焼き焦がし、沸騰した血が飛び散る。ステシアは苦痛に満ちた絶叫を上げた。「アァァァァッ……!」


だが休む間もなく、悪魔のペガサスが背後から大気を切り裂いて突進し、翼の先端の光の刃が彼女の腹部を深く突き刺した!!


「ぐあっ……! くっ……!」


ステシアはその場に膝をつき、口や全身の傷口から大量の血を噴き出した。目の前が急速に白んでいき、頭の中に無数の声がよぎる。


「無慈悲……戦う術もない……無能、無価値、無意味……」


三体の魔獣は連携して容赦なく彼女を追い詰める。正面からは竜が巨大な爪で踏み潰そうと迫り、左からはフェニックスの爪が裂き、右からはペガサスの光の刃が襲いかかる。広大な翼の影に覆われ、逃げ場などどこにもなかった!


ステシアは歯を食いしばり、歯茎から血を流しながら、残された最後の魔力をかき集めて白いオーラの障壁を展開した。


ドォォォン――ッ!!


だが三体の合体攻撃はその障壁をガラスのように粉々に打ち砕いた。ステシアは爆風に吹き飛ばされ、近くの巨大な岩盤へと激突して粉微塵に砕かせた。


「はぁ……はぁ……っ、らおが……こんなところで……っ」


彼女はか細い声で呟いた。肉体は溶解し、原型をとどめぬほどボロボロになり、生命力は風前の灯火だった。


ベアトリクスは、その惨めな姿を冷淡な目で一瞥した。


「ゲームオーバーだ……地獄で消え失せろ」


竜、フェニックス、ペガサスが円を描くように飛び回り、その一点へとエネルギーを極限まで集約させる。そして、ステシアが無残に横たわる場所へと、破滅の光線が一斉に放たれた!


ドォォォン――ッ!!


すべてを飲み込む閃光の爆発が収まると、ステシアは巨大なクレーターの中心にぐったりと倒れ伏していた。全身はボロボロに傷つき、皮膚は焼け焦げ、血の海に沈んでいる。


息も絶え絶えになりながら、彼女はかろうじて腕を持ち上げようとするが、もはや一寸の力も残っていなかった。視界は霞み、ただベアトリクスの冷たい足元だけがぼんやりと見えている。


ベアトリクスは血の海に沈む彼女の傍らに歩み寄り、冷酷に言った。


「お前はただのゴミだ……俺の目的を理解できるわけがない。そして今や、もう何も理解する必要すらない」


三体の魔獣は元の二本の剣へと姿を変え、彼の腰元の鞘へと静かに戻っていった。彼は振り返ることもなくその場を歩き去り、世界が崩壊した瓦礫の只中に彼女を放置していく。


戦場には圧倒的な静寂が戻り、ただ風が吹き抜ける音と、消え入りそうなステシアの荒い息づかいだけが、やがて訪れる死の訪れを告げていた……。

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