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第96章:広大な世界地図

国境平原の上空に、新たな一日の清々しい朝が訪れた。朝の光が夜の冷気をすっかり追い払い、四人は協力して小川のほとりの野営地を片付けると、目の前にそびえ立つ険しい山々――最後の自然の要塞である「第三の谷」を目指し、広大な草原をまっすぐに歩き出した。


一定のペースで歩みを進めながら、周囲の景色を眺めていたシオリは、ふと小さな疑問を覚え、隣で通信機や魔法の地図を手にしていたアイリンへと視線を向けた。


「あの、アイリンさん……」シオリは尋ねた。「地図で見ると、私たちが向かっている目的地って、どれくらい遠いところなんですか? それと、私たちが今いるこの場所の名前はなんと言うんですか?」


アイリンはパッと華やかな笑みを浮かべ、手にしていた地図をくるくると巻きながら、物知りな専門家のようにシオリの隣へと歩み寄った。


「いい質問ね、シオリちゃん! 私たちの世界の地理って、思っている以上に長くて複雑な歴史があるのよ」アイリンはハキハキとした口調で説明を始めた。


「私たちが今いるこの場所――出発する前に休んでいた場所も、この広大な平原も、すべては『ソエディア』という王国の一帯で、私たちはその上層エリアにいるの」アイリンは南の方角を指し示した。「そしてさらに南へ下ると、そこは『エデリアン』の領域。昔はね、このソエディアもエデリアンも合わせて、全部で五十四もの国々が一つにまとまった巨大な帝国――『アサリア』っていう一つの世界だったのよ!」


シオリは驚きで目を大きく見開いた。「五十四の国々って……そんなに広大なところだったんですか」


「そうよ」アイリンは力強く頷いた。「そして、私たちが第三の谷を越えた先に向かおうとしている場所……実は数百年前の昔なら、そこへ行くためには広大な海を船で渡らなければならなかったのよ」


「えっ? じゃあ、どうして今は歩いて渡れるんですか?」シオリは不思議そうに小首を傾げた。


「昔、世界を揺るがす大きな異変があったからよ」もう片方の側を歩いていたレナが、優しい笑顔を浮かべて説明に加わった。「大陸プレートの大きな移動が起きて、二つの陸地がぐっと押し合ってくっついちゃったの。そのおかげで海だった場所が深い谷や高い山になって、今では船を使わなくても歩いて渡れるようになったってわけ」


「その通り!」アイリンはパチンと小気味よい音を立てて指を鳴らした。「そして、私たちが西の果てにたどり着く場所こそが、『アタナシアス』――古代の要塞が眠る、私たち『影なき月』の本拠地よ!」


アイリンは一度言葉を切ると、目の前の空のずっと北の方角を指さして、さらに話を続けた。


「それだけじゃないわよ……アタナシアスからさらに北へ行くと、そこは『アセシア』の統治領域。次世代の第五の大帝国候補ね。そして、その北へ北へと進んだ、この世界の最も高い頂にある場所――」アイリンの声がふっと真面目になり、深い畏敬の念を帯びた。「そこは『サエラ』。歴史のどこを紐解いても、いまだかつて一人の人間も、誰一人として踏破したことのない謎に満ちた禁断の地よ」


シオリはその説明を聞きながら、圧倒される思いだった。彼女が想像していたよりも、この世界ははるかに広大で、数々の深い伝説に包まれていたのだ。


先頭を歩いていたミライが振り返り、まっすぐな瞳でシオリを見据えた。「今の私たちの目標は、第三の谷を安全に越えてアタナシアスに入り、七つの大罪評議会への備えを固めることだ。だが、さらにその先にある土地についても……いつか必要になれば、私たちはそこへ足を踏み入れることになるかもしれない」


「わかりました!」シオリは決意を込めてうなずいた。この広大な世界の新しい知識が、少女の胸の内に勇気の炎をしっかりと灯していた。


四人の旅の一行は、ソエディアの広大な草原をしっかりと踏みしめながら進んでいく。その眼の前には、第三の谷のそびえ立つ険しい山並みが着実に迫りつつあった。

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