第77章 : 報告
アイリスはリーゼロッテの私室に、まるでその部屋の深い闇から歩み出たかのように、音もなく静かに姿を現した。
書き物机に向かっていたリーゼロッテは、すぐに顔を上げて視線を向けた。アイリスの人間離れした現れ方にはもうすっかり慣れていたため、特に驚き慌てる様子は見せない。
「どうだった……」リーゼロッテは手にしていた羽ペンを置きながら尋ねた。
「セラフィナ様について、調査するよう命じられていた件ですが……」アイリスは感情の起伏が一切ない、平坦な声で言った。「彼女を発見いたしました」
リーゼロッテは一瞬にして背筋を伸ばし、その瞳に隠しきれない強い興味の光を宿した。「それで……?」
「戦闘になりました」アイリスは答える。「彼女の力の状態をテストしたところ、非常に興味深いことが分かりました……戦闘中、謎の赤いオーラの力が溢れ出したのです」
「以前の検査の儀式で噴出したのと同じ種類の力ということか……?」リーゼロッテは即座に問い返した。かつて自分の目で直接目撃した、あの恐ろしい出来事を思い返しながら。
「その通りです」アイリスは頷いた。「ですが、その力の塊がこれ以上制御不能なほど激しくなる前に、私が制圧し、打ち負かしました」
リーゼロッテはしばらくの間、黙って考え込んだ。「それで今……彼女はどこにいる?」
アイリスは少し沈黙してから答えた。「何者かが彼女を助け、逃走しました。彼女が私の操る使い魔の認識範囲から出てしまったため、現時点では正確な位置を特定することは不可能です」
「それはつまり……任務に失敗したということか?」リーゼロッテの声が、冷たさを帯び始めた。
「最初から彼女を殺すつもりはありませんでした」アイリスは冷静な態度のまま答える。「ただ、その潜在能力と強さをテストしたかっただけです。そして、望み通りのデータはすでに得られましたので」
リーゼロッテは立ち上がり、窓辺へと歩を進め、静まり返った王宮の夜の景色を眺めた。
「もし彼女が本当にそんな力を隠し持っているのだとしたら……」リーゼロッテは一人で思案するように呟いた。「長期的に見て、私たちの計画にとって危険な障害になるかもしれないわね……」
「このまま追跡を続けますか?」アイリスが尋ねた。
リーゼロッテは長く考え込んだ。「今はまだいい……。しばらくは姿を消したままにさせておきなさい。もし再び現れて波風を立てることがなければ、現時点ではわざわざ気にかけるほど危険な要素ではないということよ」
「もう一つ、ご報告があります……」姿を消す準備をしながら、アイリスが付け加えた。「戦闘中、ある出来事がありました……彼女が住んでいた村の男の子を一人、私がすでに始末いたしました」
リーゼロッテは勢いよく振り返った。その顔は引きつったまま、明確な感情を表してはいない。「なぜそこまでする必要があった?」
「彼女の反応を観察するためです」アイリスは冷酷に、人間らしい感情の欠片もなく答えた。「そして、その結果は非常に興味深いものでした……その直後、彼女の力は膨大に膨れ上がり、狂ったように激しく暴走したのです」
リーゼロッテはそれを聞き、沈黙に陥った。目的を達成するためなら手段を選ばない彼女自身でさえ、アイリスの底知れぬ冷酷で血も涙もない態度には、どこか異質で身の毛がよだつようなものを感じていた。
(この女……想像していた以上に、底知れず危険な存在だわ……)
彼女は心の中でそう思ったが、直接口に出して意見することはしなかった。「分かったわ……さすがは私の専属の召使いね。もう下がって休んでいいわ」
一人残されると、リーゼロッテは椅子に深く腰を下ろした。両手を膝の上で組み、今得たばかりの新たな情報を慎重に反芻し、分析し始めた。
「謎の赤い力……そして、喪失に直面した時に激しさを増す狂乱の暴走……」
彼女は、今も大切に保管されているセラエルの手記を思い返した。そして、自分が命を落とし、再び蘇ったあの夜に、レナが暗唱させたあの謎めいた詩を……。
「黄金の空が燦然と輝く時、民こそがこの大地の主となる……」
「これらは……一体どう結びついているというの……?」
皇帝アマラトスは、薄暗い部屋の中でただ一人、じっと静まり返っていた。その手には、今も丁寧に保管されているセラエルの古い肖像画がしっかりと握られている。
離宮が業火に包まれたあの夜から、まる一年が過ぎ去っていた。瓦礫の中にセラフィナの痕跡や遺体はなく、この王国の誰一人として、彼女の姿を見た者はいない……。
「セラフィナ……お前はまだ、どこかで生きているのだろうか……」
彼は心の中でそう問いかけた。この一年間、決して消えることのなかった重い罪悪感が、来る日も来る日も彼の心を蝕み続けていた。
侍従長が部屋に入り、いつものように日々の報告を行った。「陛下……エゼキエル殿下とリーゼロッテ姫の婚姻の儀について、ご裁可いただきたい公務がございます」
「何事だ……」皇帝は尋ねた。その視線はまだ、手に持つ肖像画に注がれたままだった。
「王国の吉兆として、来年の初めに儀式を取り行いたいと、リーゼロッテ姫からの申し出がございました」
皇帝は気乗りしない様子で頷き、了承した。その心は未だに、行方知れずの娘の記憶の中を彷徨い続けていた。
王宮のもう一方の場所では、セネスティアがメイスターの指導のもと、高位魔法の過酷な訓練を続けていた。メイスターは、その背後に隠された真実を未だ何も知らずにいる。
「お前の成長ぶりは実に驚異的だ……」メイスターは誇らしげな声で言った。「この一年で、私が予想していたよりも遥かに先へと進んだな」
セネスティアは柔らかく微笑んでその称賛を受け入れた。しかし、その心の中では、王宮の誰も彼女の正体を疑うことなく静かに進行している、秘密の計画について思いを巡らせていた。
夜の闇が忍び寄る頃、皇帝はまだ同じ部屋でじっとしたまま、暗闇の中でセラエルの肖像画を見つめ続けていた。
「もしセラフィナが、この世界のどこかで生きているのだとしたら……せめてここにいた頃よりも、幸せであってほしいと……そう願うことしかできない……」




