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第53章 : 暗獄の影

夜の帳が下りた地下牢の暗闇は、湿った石畳の通路を歩いてくる複数の重苦しい足音によって切り裂かれた。


ガシャリ……と鍵の回る音が響き、非情にもセラフィナの独房の鉄格子が押し開けられた。制服姿の警備兵をはじめとする十数人の屈強な男たちが、ずかずかと足を踏み入れてくる。その者たちの眼差しは一様に一点を捉えていた——それは部屋の隅で膝を抱えて座る少女の姿だった。


「この化け物め……よくも王家を滅ぼそうなどと企てたな!」


「外道め、死んで当然だ!」


狭い牢獄の中に、卑劣な罵詈雑言と底知れぬ憎悪に満ちた声が轟く。だが、その怒号の嵐とは裏腹に、男たちの瞳には光の欠片すら宿っていなかった。まるで魂を抜き取られたかのように虚ろであり、ただ命じられた命令と、演出された役割通りの憎悪を駆動させるだけの抜け殻にすぎなかった。


セラフィナが言葉を発する間も、身じろぎする暇すらなかった。男たちが一斉に襲いかかり、容赦なく取り囲む。


重い拳がセラフィナの腹部へと容赦なく叩き込まれ、彼女は衝撃で息を呑み、口を開けたまま硬直した。凄まじい衝撃によって小柄な身体は石の壁へと激しく打ち付けられ、男たちの足や膝がその胴体や肩、背中を無慈悲に踏みにじると、絞り出すような嗚咽が漏れた。


蹴り、踏みつけ、肘打ちが幾度となく彼女の肉体へと浴びせられる。全身の神経を突き刺すような激痛のあまり、口腔内には生臭い血の味が充満した。涙と血が混ざり合い、急所を守ろうと小さく丸まった少女の顔と身体を赤く染め上げていく。


「痛い……痛いよ……」


肉体が崩壊寸前まで痛めつけられていようとも、その粉々に砕け散りゆく精神の深い底では、昼間の出来事からくすぶり続けていた怒りと復讐の炎は、暴力の嵐によってかえって消し去られるどころか、より深く融合し、彼女の心を真っ黒に染め上げていった。


男たちが怒りを十分に発散させると、脳内に響いた何らかの合図に従うかのように、一斉に動きを止めた。そして無言のまま整列して牢獄から去っていく。後に残されたのは、冷たい石の床の上で血と涙の海に沈むセラフィナ一人だけだった。


牢獄には再び静寂が戻る……だが、かつて心優しかったセラフィナという少女の自我は、この夜とともに完全に死に絶えたのだった。


初夜の凄惨なリンチによる激しい苦痛のなか、容赦なく肉体を打ち据えられた衝撃は、セラフィナの意識を容赦なく暗黒の底へと引きずり込んだ。小柄な身体は冷え切った石の床に崩れ落ち、ろうそくの消えかけの炎のように、か細い呼吸が微かに漏れるだけだった。


だが、生と死の狭間を漂う朧げな意識のなかで、彼女の視界の隅に、牢獄の暗がりにじっと佇む一つの人影が捉えられた。


薄闇の中、怪しげなローブを身に纏った女性が、冷徹な眼差しで一部始終を見つめていた。その顔は、薄明かりに鈍く反射する銀狼の仮面の下に隠されている——もっとも、その仮面の下の人物が、かつて同じ盤上で駒を進めていたリゼロットであることなど、今のセラフィナに知る由もなかった。


途切れ途切れの荒い息づかいと、消えかけの意識のなか、甘美でありながらも不可思議な魔力を帯びた鈴を転がすような声が、彼女の脳裏に直接響き渡った。


「復讐のための力が欲しいのなら……この一ヶ月の試練を乗り越えなさい。生き延びたのなら、私があなたに力を授けましょう」


その言葉は暗闇の中を幾重にもこだました。しかしその時の彼女は、意識が朦朧として情報の処理すらままならず、押し寄せる激痛で身体の感覚が麻痺しきっていたため、その謎の声が何を告げているのかを理解することすらかなわなかった。肉体と精神が認識していたのは、ただ果てしない暗闇と長すぎる苦しみだけだった。そして、地獄の釜のような初夜の闇とともに、彼女の意識は完全に途絶えた。


それからというもの、夜毎、地下牢に暗い帳が下りるたびに、あの冷酷な死の足音が決まって響き渡った。


ガシャリ……と鍵が開き、魂の抜けた虚ろな目を宿した警備兵と男たちが再び姿を現す。


毎夜のように行われる暴力は、システム化され、慈悲の欠片もないまま繰り返された。


重い拳がセラフィナの腹部や肋骨に何度も叩き込まれ、鮮血を吐き出させる。凄まじい衝撃で石壁に叩きつけられ、ろくに癒えていない痛む身体に、容赦のない蹴りと肘が容赦なく同じ場所へと重ねられた。初めの頃に漏れていた命乞いの声はやがて枯れ果て、代わりに聞こえるのは、微かな喘ぎ声と、肉体が暴力に打ち据えられる鈍い音だけになっていた。


男たちは夜な夜なそれを繰り返した。幾晩もの間、彼女が虐げられなかった夜など一日たりともなかった。肉体も精神も、すでに原形をとどめないほどに引き裂かれていた。


毎夜繰り返された拷問の果てに、今のセラフィナの姿には、かつての高貴な王女の面影など微塵も残されていなかった。かつて美しく輝いていた双眸は腫れ上がり、ほとんどふさがりかけている。目の周りは内出血によって血と膿にまみれ、何度も流された涙によって赤黒く紫色に変色し、もはや涙を流す水分すら彼女の身体には残されていなかった。


人間の耐えられる限界を優に超えた苦痛が毎夜のように叩き込まれ、その結果、彼女の神経系と精神は内部から少しずつ、すり潰されるように麻痺し、崩壊していった。


そして、迎えた今宵——。


男たちが野蛮な暴力を終えて立ち去ったあと、セラフィナは冷たい石の床の上で、自分の流した血と涙のなかに小さく丸まっていた。


だが、本来なら悲鳴を上げるはずの肉体の痛みは、すでに完全な「無」へと塗りつぶされていた。


彼女はボロボロになった身体をゆっくりと起こした。四肢の至る所にあざが広がり、固まった血の塊がこびりついている。牢の壁に背中をもたせかけ、激しく泣き腫らして腫れ上がった目を、ゆっくりと見開いた……だが、そこにはもはや何の光も宿っていなかった。


腫れ上がり、濁ったその瞳孔は完全に虚ろであり、北極の氷のように冷たく静まり返っていた。それは、文字通り**「生ける屍」**と化した者の眼差しだった。怯えることもなければ、不条理を呪う涙も、恐怖に震える気力すらも、もうどこにも残されていない。


セラフィナの心は完全にすり減り、固く閉ざされていた。彼女は暗闇の中で石像のようにじっと座り込み、明日どんな苦痛が待ち受けていようとも気にかけず、誰が自分を憎もうとも、誰が踏みにじろうとも、もう何も感じなくなっていた。

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