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第34章 : 歓迎の宴

ヴェレンコート家の令嬢、リセロットを正式に王宮へ迎えるにあたり、エンデリアン皇帝の勅命によって、皇族とごく一部の側近のみを集めたささやかな内々の歓迎宴が催されることとなった。


セネスティア王女の強い希望により、今回の宴にはセラフィナ王女も招かれることになった。


「絶対に受けてちょうだいね」セネスティアは熱っぽく、興奮を隠せない様子でセラフィナに語りかけた。「リセロット様と再びお会いできる良い機会になりますし、今回はもっとゆっくりお話しできる時間もありますもの」


セラフィナはその招待を承諾した。だが、その心の奥底には、どこか割り切れない躊躇いがかすかに燻っていた。


宴の雰囲気は、セラフィナが当初予想していたよりもずっと温かく、親しみやすいものだった。出席しているのは皇族とごく僅かな高位貴族のみ。小ぶりな円卓が整然と配置され、会話も空気感も終始なごやかに、心地よく流れていく。


リセロットはエゼキエル王子のすぐ近くに座っていた。彼女が身に纏う薄緑色のドレスは、気品ある華やかさと可憐さを引き立てつつも、決して度が過ぎることのない絶妙な仕立てとなっていた。


「セラフィナ王女殿下……」会場へ足を踏み入れた姿と視線が交わった瞬間、リセロットはすぐに声をかけた。「またお目にかかれて、心より嬉しく思いますわ」


「私もです、リセロット様」セラフィナもまた、礼儀に従って小さく頭を下げて応えた。


食事のひとときを通じて、リセロットはその類まれなる魅力的な立ち振る舞いで、自然と会話の中心となっていた。王宮へと向かう道中の深い感銘を語り、見事な庭園の美しさを讃え、同席する者たちの身の上に細やかに心を配るその様子には、深い思いやりと真摯さが溢れていた。


「セラフィナ殿下は、剣の鍛錬を始められてからもう長いのですか?」食事の途中で、リセロットは賞賛の光を瞳に宿しながら尋ねた。


「ええ……もう何年にもなりますわ」セラフィナは淡々と答えた。


「まあ、なんと素晴らしく、気高きことでございましょう。私など、そのような力強い武芸を修める機会など一度もございませんでしたから」


「ですがリセロット様は、芸術や詩歌の嗜みにおいて非常に秀でていらっしゃいますわ」セネスティア王女が、弾んだ笑みを浮かべてすぐさま割って入った。「人それぞれ、極める道が異なるというだけのことですわ」


食卓を囲む誰もが同意の笑みを浮かべて頷いた。宴の会話は、何一つ滞ることなく柔らかに、円滑に進んでいく。


セラフィナは周囲の会話に静かに耳を傾け、自然な態度で言葉を返していた。しかし、初めて出会った時に覚えたあの得体の知れない異物感は……今なお胸の深層で揺らめき続けていた。


言葉にして指摘できるほどの明確な異常ではない。ただ、リセロットと視線が交わったほんの刹那、その瞳の奥に冷ややかで、深く、かすかな光が宿るのをセラフィナは感じ取ったのだ。それは、彼女の薄い唇が描く甘い笑みとはあまりにも対極にあるものだった。


(このような完璧な佇まいを持つ女性に、まだ私が慣れていないだけなのかもしれぬ……)


自分自身にそう言い聞かせ、疑念の影を振り払おうとした。過度な不安の奴隷にならぬようにと。


食事が終わりを迎えると、出席者たちはそれぞれ腹ごなしを兼ねて、夕暮れ時の広大な王宮庭園へと散策に繰り出した。セラフィナは人込みから少し離れ、季節の花々が咲き誇る様を静かに見つめながら歩を進めていた。


だが、その時——リセロットが一人で彼女のもとへと歩み寄ってきた。


「セラフィナ殿下……こちらの庭園は、本当に美しく清々しい場所でございますね」


「ええ、本当に素晴らしい場所です」


「噂に伺いましたけれど、離宮の方にも小ぶりな庭園がございますとか。そちらはいかがな雰囲気なのですか?」


セラフィナはリセロットの気品ある立ち姿を見つめながら、再び説明のつかない奇妙な感覚に包まれた。相手の言葉や問いかけが、どこまでも優しく、友好的なものに聞こえるにもかかわらず。


「あちらはこちらよりもずっと質素な場所です」言葉を選びながら、慎重に答える。「ですが、静けさと、それ独自の風情がございますわ」


「羨ましい限りですこと……」リセロットは可憐な笑みを浮かべながら呟いた。「そのような穏やかな場所を占有できること自体、ひとつの恩寵のようなものでございますもの」


二人は並んで歩きながら、しばらく会話を交わし続けた。リセロットは終始礼儀正しく、柔らかで、セラフィナの返答の一つひとつに熱心に耳を傾けていた。


その声のトーンにも、仕草にも、策謀や不審な痕跡など微塵も見出せない。捉えることなど不可能なほどに、全てが流麗で完璧だった。


しかし、胸の内にくすぶるかすかな違和感だけは……少しも消え去ってはくれなかった。


(あるいは……本当に私の思い過ごしに過ぎぬのだろうか)


心の中でそう呟きながら、セラフィナはリセロットの後ろにつき、庭園の先を歩く王子たちや他の者たちと合流すべく歩みを進めた。静寂に包まれた、王宮の夕暮れ時の中を。

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