07. いきどまり
「竜を召喚したのは、リリリカ古魔術の使い手だったんです。ウーニャさん」
「……はぁ?」
召喚って。つまり、竜を呼び寄せた人間がいた、ってことなのだろうか? そんなことってできるのだろうか、あんな大怪獣を?
「自然災害と違ったん? 竜って」
「いえ。れっきとした、人災だったのです」
全然知らなかった。いやたぶんわたしだけじゃない、皆知らない歴史の秘密とかなんじゃないのか。博識を誇る伯母だって知らないはずだ。それじゃ祖父ユーリは……ん? わたしの頭は混乱してくる。
再びエアナで前進を始めたけど、わたしは≪召喚≫という言葉に気をとられまくっていたのだと思う。
「ウーニャさん、前」
「え……あ、うわっ」
わたしは慌ててハンドブレーキを引いた。がくんっ。
「ぶ、ひぃぃぃッ」
いきなり現れた行き止まり、岩盤すれすれでエアナを急停止させたけど、内心では胸をぶん殴られた級の衝撃を感じていた。
「うそ! 何でっ……」
巨大な岩石に阻まれて、細い抜け道は完全に塞がれていた。前に来ていた時は、こんなものはなかったはず。わたしは洞窟の天井部分を見上げる。
崩落があった、という感じではないのに。こんな大きな一枚岩、一体どこから来たのだろう? いや、岩の由来はどうでもいい。それより何より、わたし達が退路を失くしてしまったことの方が深刻だ。
「……こちらの道の外に、裏口というのはないのでしょうか?」
「ないねん」
あんまり悲観的にならないように努力しながら、わたしは言った。
「……まあ、出口が全くないのと違うし。正面突破で行こか」
「はい? それはつまり?」
「ベイトリーシュは、ものすごしっかりエアナにつかまってなあかん。と言うことやね、いい?」
「は、はあ…… ……ぎぃやぁああああーっ!?」
エアナの良い所は、小回りが利く点だ。本当に回る。機体ぎりぎりの幅しかない場所でも、宙返りと上下回転をすることで、素早く方向転換ができる。だから蓋のついていない飲み物は持ってちゃだめなのだ、ドライブのお供には魔法瓶が推奨される!
「ウーニャさぁぁん! お願いですから、前もって仰ってくださぁい、こういうのぉぉぉ」
「言ったつもりなんやけどなぁ」
「いえ、もっと危機的な感じで~!」
後ろを振り返ると、ふかふか大容量金髪のおさげを少々乱して、ベイトリーシュが目をむいている。丸顔の輪郭がちょっと揺れて、波線描写みたいになっているのは気のせいだろうか。
「怖すぎですからー!」
年頃女子のきんきん大絶叫。困ったな。
「うーん。実はこの後、たぶんもっと怖くなりそうやねんか……」
「ぶひぃぃぃぃ!?」




