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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第九章 不通? 疎通?
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洗脳道具の具現化

 茜ちゃんの呼びかけに、皆が視線を向けて、委員長が代表して「何、あーちゃん?」と声を掛けた。

 対して、茜ちゃんは五円玉を取り出して「これはぁ、どぉ~?」と首を傾げる。

 五円玉を目にして、茜ちゃんの意図に気付いた加代ちゃんが「あー」と声を上げると、自分の荷物から糸を取り出して穴に通した。

 五円玉を結びつけたのと反対の端を持って、加代ちゃんはぶらぶらと五円玉を揺らす。

「ああ、催眠術のヤツですね」

 史ちゃんが揺れる五円玉を見ながら軽く頷いた。

「目の前で揺らして暗示を掛けるのよね」

 五円玉を見ながら言う委員長は、更に「でも、これって本当に効果があるのかしら?」と疑問を口にする。

「五円玉を目の前で振り子のように揺らすこと自体で催眠にかかる訳では二様です。さっきも話しましたが、暗さやお香のような舞台装置の一つだと思います」

 オカルリちゃんは底で一拍間を置いてから「ただ」と口にしつつ私を見た。

「え?」

 思わず声を漏らした私を見ながら、オカルリちゃんは「ただ、凛花様が出来ると思えば、出来るとは思います」と続ける。

「えっと……それって、私次第ってこと?」

 そう尋ねた私に、オカルリちゃんは「はい」と大きく頷いた。


「とりあえず、試してみるね」

 そう宣言して具現化の準備に入った。

 はっきりとしたイメージが湧かずに具現化に入れなかったこれまでと違い、糸の付いた五円玉という具体的なものが提示されたことで、もの凄くエネルギーの動きがスムーズになる。

 これなら出来そうという感覚が、エネルギーを掌の間に送り込むほどに明確になってきた。

「なんだか、いけそう」

 私が報告も兼ねて、そう口にすると、皆からは応援の声が返ってくる。

 背中を押して貰ったと思うことで、エネルギーの流れはよりスームズになった。


「あっ」

 具現化の途中で、重大なこと危機が突いた私は、気が付けば声を発してしまっていた。

「リッちゃん、どうしたの?」

 史ちゃんが真っ先に声を掛けてくれる。

 続いて他の皆も心配の声を上げてくれた。

 あまりの真剣のアミンあの声に、私は嬉しさと申し訳なさを感じながら引っかかったことを口にする。

「五円玉、具現化したら、硬貨密造だよね?」

 直後、ピタリと周囲から気配と音が消えた。


「え、ええと……」

 一旦具現化を中断して集中を解いて目を開けた。

 複雑な表情を浮かべてこちらを見ている皆と目が合う。

 そのまま、沈黙が続いて、時間経過と共に、私の中に妙な焦りが生まれだした。

「あ、あの、えっと……」

 どうにか声を発さねばと思ってく口を動かそうとするも、肝心な言葉が上手く組み立てられない。

 そんな風にアワアワしていると、茜ちゃんがもの凄い真顔で「五円玉じゃ無くてぇ、鉄の輪っかとかにぃ、すればぁ、良いんじゃ無い~~?」と言ってきた。

 何度かの瞬きを経て、茜ちゃんの言ってることを飲み込んだ私は、とんでもなく馬鹿なことに躓いていたと気付かされる。

 と、同時に、顔が火を噴き出しそうなほど一気に熱を帯びた。


「リンリンは真面目だからなぁ」

 ユミリンの言葉に、千夏ちゃんが「ちょっと、追い打ちはやめなさいよ」と軽く肘打ちを入れた。

「ま、まあ、真面目なのも姫乃長所ではあるし……」

 フォローしてくれたまどか先輩の言葉に、お姉ちゃんは唸りながら「思い込みは、あるものね」と言って頷く。

 皆の言葉や態度の端々から感じる配慮が居たたまれなかった。

 居心地の悪さに逃げ出したいと思ったところで、オカルリちゃんが「ところで凛花様、他に気になったところはありますか?」と目を片手に質問をしてきてくれる。

「あ、えーと……」

 オカルリちゃんが声を掛けてくれたことで、私の意識が明確に切り替わった。

「まず、具現化は出来そうって実感があったかな」

 途中で止めてしまったものの、確かに具現化が出来そうな感覚はしっかりと感じ取っている。

 その……き、気になった部分も、茜ちゃんのお陰で、解決したので、今度は具現化まで進める筈だ。

「今度は一気に具現化まで行けると思う」

 私はそう伝えてから「ただ、具現化したものに、洗脳効果があるかどうかは作り出さないとわからない……かな」と言い足す。

 オカルリちゃんは「そこは試してみれば良いだけですから、凛花様が挑めそうなら、具現化をお願いしても良いですか?」と言うので、私は「やってみる」と言って頷いた。


 改めて目を閉じて精神統一のために深呼吸をした。

 目標のイメージを五円玉から鉄の輪っかに変更して、両掌の間にエネルギーを溜めていく。

 淀みなく腕の中を流れて、掌から飛び出して、で光の球として回転しながら、徐々に大きさを増していくエネルギーの塊に、ここだという直感に従って、具現化を開始するように念じた。

 元々が五円玉なので、穴の開いた円形の鉄の板を思い浮かべていたのだけど、なんとなく球体の方が効果を発揮しそうに思えたので、その直感に合わせて最終形を改める。

 更に、糸よりも、輪の細かい鎖の方が向いているような気がしたので、こちらも素材を変更して具現化を進めていった。

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