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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第九章 不通? 疎通?
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第二の課題

 ビュッ、ビュッと風切り音を立てて、千夏ちゃんの手にしたはえたたきが宙を舞った。

 鋭い一撃が、全てビー玉から出現した三つの光の作る面によって弾かれていく。

 数度繰り返したところで、急に、注視していた茜ちゃんが「あ~~~~っ」と声を上げた。

 直後、千夏ちゃんのはえたたきがピタリと軌道の途中で動きを止める。

 はえたたきの急停止は、これまでの光の盾による防御では無く、千夏ちゃんの意思によるものだった。

 それを示すように、千夏ちゃんの手首が自分の方へと反り返った状態で止まっている。

 千夏ちゃんがはえたたきを途中で止めたという状況はわかったけど、経緯がわからなかった私は、周囲の状況を確認した。

 すると、幾度も護りの盾を出現させていた光の球が消えてしまっていることに気付く。

 頭の中で目の前の出来事がつながり、茜ちゃんが声を上げたのが、恐らく光の球の力の喪失に気付いてのことだと予想が立った。


「よく止められたな」

 ユミリンの言葉に、千夏ちゃんは「一応、いつでも止められる速度で振ってたからね」と返した。

 千夏ちゃんは間を開けずに、オカルリちゃんに顔を向けると「ところで、何回ぐらい受け止められてた、はえたたき」と手にしたはえたたきをフラフラと振りながら尋ねる。

 オカルリちゃんはメモ帳に目を向けながら「合計八発ですね。二人の思いの光、二回分と考えると、妥当な数でした」と史ちゃんと加代ちゃんに視線を向けながら答えた。

「ビー玉を介すと、複数回の思いを込められるって感じね」

 委員長が腕組みをしながら言う。

 それを受けて、まどか先輩が「じゃあ、そろそろこっちもやろうか?」とお姉ちゃんに話を振った。

「そうね。溜めて置けたかどうか、確かめましょう」

 頷きつつ、お姉ちゃんが布団叩きを振るう。

 風切り音は千夏ちゃんの操るはえたたきに近いが、素材が硬いせいか、音には重さが加わって感じられた。


「じゃあ、ルリちゃん、行くわよ」

 お姉ちゃんの宣言に、オカルリちゃんは「了解です」と答えた。

 直後、ひゅっと音を立てて、お姉ちゃんの右腕が振るわれる。

 素振りの時とは違い音が軽いので、怖さは感じなかった。

 お姉ちゃんの一撃は、まどか先輩に触れる前に空中で止まる。

 千夏ちゃんと違って連撃はしなかったので、私たちは状況を確認することが出来た。

 しっかりと、三つに分かれた光の点が生み出した盾に、布団叩きが押しとどめられている。

「念を溜められることは、これで確定ですね」

 私の横から、そう言って微笑むオカルリちゃんに、私は大きく頷いた。


「ビー玉を凛花様キーホルダーに背負わせたり、抱っこさせることで、思いを溜められることが確認できました。ですので、実験を次の段階に進めようと思います」

 オカルリちゃんの宣言に、当然ながら異議の声は上がらなかった。

「次の段階と言うことは、洗脳の道具を作るのよね?」

 お姉ちゃんの発言に、まどか先輩が「精神を操る類いの術やら呪いやらに対抗するために、その手段を作って実験し寄って事だね。正直、凄い発想だと思うよ」と苦笑する。

「とはいえ、有効な手段だと思います」

 委員長の言葉に、皆が静かに頷いた。

 一拍置いたところで、史ちゃんが「……その、洗脳のための道具を作るのは良いのですが、どんなものを作るんですか?」と首を傾げる。

 改めて言われると、これだというものが思い浮かばなかった。


『洗脳道具はどんな形?』

 史ちゃんの提示してくれた問いは、かなりの難問だった。

 洗脳のイメージとして、薄暗い部屋でお香を立てて、言葉で暗示を掛けるようなイメージはある。

 けど、道具として具現化するとなると『何を』がまとまらなかった。

 お香や暗室など、アイデア自体がまったく出ないわけでは無いけど、どれもこれだと言えるものではない。

 結果、私の中に『いける』という確信は生まれず、試作品の製作の前で躓くことになってしまった。


「あくまで、フィクションの話だけど、頭にヘルメットを被せて、電気を流すって感じの洗脳方法を見た覚えがあるわ」

 腕組みをしながらお姉ちゃんが、どうにか例を一つ絞り出してくれた。

 それを聞いて千夏ちゃんが「あ、私も何かで見た記憶があります……機械を使われる前は嫌だと言ってた人が、機械に掛けられた後は大人しくなってて……テレビだったかな……少なくとも映像作品だったと思います」と言う。

 そんな中、まどか先輩がポツリと「ロボトミー」と呟いた。

 すぐに視線を集めたまどか先輩は「あ、いや、連想しただけだよ……あれは手術だったと思うし」と慌てて首を振る。

「あれは、五月病とかの治療に使われた手術だったと思います……人格が変わると言われているので、連想してしまったのでしょうが、洗脳とは違うと思います」

 オカルリちゃんが言うと、まどか先輩は「そうだよね」と言って力強く頷いた。

「すみません、否定的なことしか言えなくて」

「いや、別に採用して貰おうって思ったわけじゃ無いから……」

 オカルリちゃんの謝罪に、苦笑でまどか先輩が答える。

 そんなやりとりの後で、茜ちゃんが「ねぇ」と皆に向けて声を掛けた。

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