捕われて聞いたのは(1)
●今までのざっくりあらすじ●
ラノベの悪役貴族に転生したオネエは死亡フラグを叩き折るために日夜奮闘していた。
そして、もう一つの死亡フラグを防ぐべく、パーティー中に侵入しようとした襲撃者から、マリアンネを助けようとするが、背後から殴られて気を失ってしまった。
オネエとマリアンネは……。
お久しぶりでございます。
急に忙しくなり、なかなか投稿することが出来ませんでしたが、皆様の評価とブクマをやる気に変え、なんとか投稿まで漕ぎ着けました。
投稿が止まっている間もブクマや評価を入れてくれた方々や長々と連載が止まっているのに続きを待っていてくれた皆さま方、誠にありがとうございます。
今書いてある分を再度推敲をしつつ上げて行きますのでよろしくお願いいたします。
手首が痛い。
ギリギリと締めつけるような痛みを感じて、アタシは目が覚めた。
「うう……」
アタシは痛みを我慢しながら、ゆっくりとまぶたを上げる。
「……するんだ。こんなことになって!」
「どうするって……」
誰かが争っている声が聞こえてきて、アタシは周りをろくに確認する暇もなく、慌てて目を閉じた。
「お前も同罪だろ!」
「こうするしかなかったじゃないか!」
言い争いに夢中で、アタシが起きたのに気付いていないようね。
アタシは目をつぶったまま、分かる範囲で状況を探る。
手首や腕に感じる上に引っ張られるような感覚と、足が地面に付いていない浮遊感。
どこかに吊るされているのかしら?
吊るされている場所は、声の主たちと少し距離があるようだった。
声の位置が遠い。
「まさか二人も誘拐してくるなんて……」
「逃げるのに人質が必要だったんだよ!」
誘拐……?
アタシは……。
そうだ。
魔族と戦っている時に取り乱して、殴られたんだわ。
それで気を失ってこんなことに……。
マリアンネは大丈夫なのかしら?
二人も誘拐ってことは、マリアンネも連れて来られたってことよね。
「で、でも、屋敷に帰せば大丈夫じゃないかな」
「悪魔族が俺たち魔族にそんな甘いわけないだろうが!」
帰せばってことは、どんな状態かは分からないけれど、マリアンネは生きているってことね。
アタシは安堵した。
マリアンネが無事ならば、あとはここを脱出するだけね。
アタシは脱出の算段を始める。
身体の調子は……。
争っている魔族にはバレない程度で、微かに身体を揺すってみた。
痛いのは吊るされている手首と肩。殴られた後頭部。
他は……。
特になさそうね。
魔族はアタシを乱暴には扱わなかったらしい。
それに、肌にあたる服の感触や重さから、特に取り上げられたものはなかったのが分かった。
身体検査もしないなんて、舐められたものね。
でも、そのおかげで、脱出の成功率も上がるわ。
あとは隙を狙うだけ。
「何でこんなことになったんだ……。あの屋敷には、捕らわれた魔族はいなかったんだろう?」
捕らわれた魔族?
魔族たちが気になることを話し出した。
「うん。いなかった。招待客のメイドのフリをして潜り込んだけど、隠し部屋の類もなかったし、魔族はどこにもいなかった。それに、あの屋敷の使用人は、全員悪魔族だったよ」
「使用人まで?」
「徹底していたよ。招待客のメイドに話を聞いたら、屋敷の主人は魔族を毛嫌いしていて、屋敷から排除しているって話だった。そんな悪魔族が魔族を屋敷に捕えるかな?」
捕らえるわけがないわ。
両親の魔族嫌いは根が深くて、魔族を視界に入れることさえ不快感を表すのよ。
貴族派に属しているのも、魔族を国から一掃するためなんだから。
確かに貴族派の中には、魔族を奴隷のように扱ったり、特殊な嗜好のためにむごい目に合わせたりする者もいるけれど、魔族嫌いの両親がそんなことをするはずがない。
「おかしいな……。話と違う……」
「俺たちが聞いたのは、あの屋敷に魔族が捕らわれていて、屋敷の主人の趣味で、残虐に殺されているということだったのだが」
ちょっと何よそれ!




