第70話:神話を穿つ五重絆シンフォニアと、最終審判の針
第70話:神話を穿つ五重絆と、最終審判の針
呪いの霧を完全に晴らし、私たちが『|逆十字の形をした時計仕掛けの墓標』の最深部の核へと到達したその瞬間、深淵の空間がガラスのようにひび割れ、まばゆい血の色の光が溢れ出した。
墓標の中心から浮かび上がったのは、巨大な光の歯車を背負った、顔のない神の姿――すべての世界の時間を歪め、バグらせてきた元凶たる遺物の意志、世界線統括神『|クロノス・オメガ《・ ・ ・ ・ ・ ・ ・》』だった。
『――因果の不純物どもよ。絶対の運命に逆らう者に、最終審判を下す』
神が冷酷な意志を放った瞬間、全空間のタイムラインが逆流し、世界そのものが崩壊するほどの凄まじい時空圧が私たちに押し寄せる。
「ハハッ、これがすべての並行世界の元凶か。アサヒの未来を縛り付けていた呪いの神なら――俺の闇で、その存在の根底から完全に虚無へ還してあげるよ」
最高魔導宰相であるアレンが、私の腰を片手で力強く抱き寄せ、不敵に微笑んだ。
彼の琥珀色の瞳は、私を絶対に手放さないという狂おしいほどの独占欲で燃え盛っている。
「アサヒ、俺から離れてはいけないよ。……限界突破、深淵・因果終焉葬列!」
アレンの放った至高の闇が、神の放つ時空圧を侵食し、世界の血流である時間を強制的に闇へと染め上げていく。
「アサヒの命をおもちゃにした神様なんて、僕のソウルの光で跡形もなく消し飛ばしてあげるッ!!」
最高騎士団長のソルが黄金の髪を激しく逆立て、太陽の瞳を爛々と輝かせた。
彼の全身から解き放たれた純度一〇〇%の黄金の神聖闘気が、アレンの闇と交差するように爆発する。
「極星太陽神威絶覇!」の一撃が、神の巨大な歯車を次々と爆砕していった。
「ふふ……アサヒちゃん。お母さんの伏線を完成させて、夕日たちだけの最高の帝国を邪魔する悪い神様は……夕日がいっぱい切り刻んで、綺麗にバラバラのチリにしてあげるね……?」
最高暗殺部隊長の夕地が、完全にハイライトの消えた瞳に底なしの純愛を滾らせ、漆黒の双剣を光速を超えた速度で振るう。
彼女の『断絶・神界線断裂』が、神の肉体を無慈悲に千切りに切り刻んでいく。
「調律の時間を稼いだぜ! クロノ、シオン、アサヒの槍にすべての魔力を同期させろ!」
時空調律官のクロノが黒い歯車を空間に叩きつけ、神の時間を完全にフリーズさせる。
電脳情報長官のシオンが空中キーボードを限界を超えた速度でタイピングし、神の持つ絶対防御コードを完全にリセット(剥ぎ取り)した。
5人の、私を愛する最強の男たちのすべての因果。
それが、絶対女王となった私の背中に羽ばたく、漆黒と黄金、そして紫電に煌めく『|巨大な時計仕掛けの十翼《・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・》』へと一斉に収束していく。
「みんなの愛を、お母さまが遺してくれたこの命をなめないで……! これが、私たちの本当の反逆よ!!」
私の右腕の七色の刻印が烈光を放ち、5人の最強の魔力を乗せた『|神殺しの七色因果の槍《・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・》』が、私の手の中に具現化した。
十翼を力強く羽ばたかせ、私は止まった時間の中で、神の核心めがけてその槍を真っ直ぐに、全力で突き刺した。
「はああああああああああああッ!!!」
ドガァァァァァァァァァァォンッ!!!!!
全時空、全宇宙がひっくり返るほどの、凄まじい光輝の電脳大爆発が深淵の空間を埋め尽くした。
すべての並行世界の呪いの元凶だった『オリジン・クロック』の本体は、私たちの五重の絆と十翼の力の前に、悲鳴を上げる暇すらなく、プログラムの根底からド派手に完全粉砕されて消滅していった。
「はぁ……はぁ……。やった、のね……」
神の遺物が消え去り、十翼が光となって消えていく。
力が抜けて倒れそうになった私の身体を、5人の男たちが物凄い勢いで一斉に、過保護すぎるほどに抱きとめてきた。
「アサヒ……! 見事だよ。これで本当に、君を縛る呪いはすべて消え去った。これからは俺の腕の中で、永遠の平穏と愛に溺れておくれ」
アレンが私の身体をきつく抱き締め、愛おしそうに私の頬を撫でる。
「アサヒ、本当に本当にすごかった! 大好きだよ! 新しい帝国で、これから毎日僕がアサヒをハグしてあげるからね!」
ソルが私の手を握り、太陽の瞳を輝かせる。
「ふふ……アサヒちゃん。お城に帰ったら、誰も入ってこられない夕日だけの特等席で、ずーっとぎゅーってしてあげるね……?」
夕日のヤンデレな呟きが耳元で弾け、クロノとシオンも満足そうに微笑んだ。
ゴッドアイに続き、ついにすべての元凶である神の遺物を打ち破った。
これからは融合した新帝国で、5人の重すぎる愛に囲まれた、最高に甘々で幸せな女王様としての日常が始まる――。
誰もが、そう信じていた。
その幸福な余韻に浸っていた、まさにその刹那。
パリィィィィィィィンッ!!!
神の遺物が粉砕された、まさにその『座標(空間の穴)』から、ガラスが割れるような不気味な音が響き渡った。
そこから噴出したのは、これまでの魔王やゴッドアイ、いや、今倒したオリジン・クロックすら比較にならないほどに圧倒的で、傲慢な『|本物の神々の気配《・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・》』。
空間の裂け目の向こうに、眩い黄金の光に満ちた、お母さまユウコすら知らなかった未知なる最上位の世界――『時空の神界』の扉が姿を現したのだ。
その扉の向こうから、無数の神々を従えた、光り輝く上位神の音声が、私たちの頭上へと無慈悲に見下ろすように響き渡る。
『――判定を。人間の分際で世界の時間を統合し、絶対女王として君臨した大罪人アサヒ。その魂を回収し、神界の生贄として永久に幽閉する』
「なっ……何だと……!?」
突如として放たれた神界の捕獲光線が、私を神界へと連れ去ろうと、私の身体を包み込もうとする。
「アサヒを……神界へ連れ去るだと……?」
その瞬間、私を抱きしめていた5人の男たちの顔から、一切の感情が消え失せた。
王宮の地下の超深淵全体が、一瞬で世界の終わりを告げるほどの、凶悪な殺気とブチギレた嫉妬の魔力でゴゴゴと激しく震え始める。
「面白いね。人間の分際、か。アサヒを奪おうとするなら――その神界とやらごと、そこにいる本物の神々とやらを、俺の闇で一人残らず皆殺しにして書き換えてあげるよ」
アレンの琥珀色の瞳が完全に狂気の色に染まり、彼の背後に世界を数千回滅ぼせる規模のブラックホールが展開される。
「アサヒを連れ去るなんて、神様だろうと絶対に許さないッ! 全員、僕の光で一粒の灰に変わるまで焼き尽くしてやる!」
ソルの黄金の髪が逆立ち、新世界の闘気が限界突破して噴出する。
「ふふ……アサヒちゃんを閉じ込めようとする悪い神様たちは……夕日がいっぱい切り刻んで、生ゴミにして、神界ごと消滅させてあげるね……?」
夕日の漆黒の双剣がキィィンと鳴り響き、彼女のハイライトのない瞳が、神々への絶対的な殺意で爛々と輝く。
「クロノ、シオン、神界の門のタイムラインを固定しろ! 逃がさねえぞ!」
「おうよ! 神々の防衛システム、全ハッキング開始だ! 女王陛下を怒らせた(俺たちの愛の邪魔をした)ことを、神の座の最果てまで後悔させてやる!」
クロノが黒い歯車を強く握りしめ、シオンが空中キーボードを猛烈に叩いて不敵に吠えた。
「みんな、待って! 敵は本物の神様たちよ……!? でも――」
迫り来る神界の脅威。
けれど、私の前には、私への愛の執着を限界突破させて「神界ごと神々を皆殺しにする」とキレ散らかす5人の最強の男たちが立ち並んでいる。
母ユウコすら予期しなかった、世界のその先。
「ええ……! 行きましょう、みんな! 神様が私たちの邪魔をするなら、その運命のシステムごと、完璧にへし折ってあげるわ!」
私は右腕の七色の刻印を強く握りしめ、愛する5人の男たちと共に、神々を相手にした前代未聞の新たなる反逆の新章――第四部『時空の神界編』へと、力強く飛び込んでいった――!
(第三部『逆ハーレム帝国編』・完。第四部『ルミナス令嬢の神界反逆と、絶対女王の輪舞曲』へ続く)
大記念回・第70話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
すべての元凶である神の遺物『オリジン・クロック』を見事にド派手に完全粉砕いたしました!……が、スカッと大団円を迎えた直後、お母さまも知らなかった本物の神々の世界『時空の神界』の扉が開き、アサヒちゃんが生贄に指名されてしまいました。アサヒちゃんを連れ去ろうとする神々に対し、愛の重すぎる5人が「だったら神界ごと神々を皆殺しにしてやる」と限界突破でブチギレる、最高熱くてワクワクする『第四部(新章)』への壮大な引きとなりました!(笑)。物語はここからさらにスケールアップして、ずっとずっと続いていきます!
面白いと思ってくだされば嬉しいです。




