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新章・第二部『ルミナス令嬢の刻印と、崩壊する多元世界の輪舞曲』。第55話。黎明のネオンと、右腕に宿る異界の刻印。

いつも読んでいただきありがとうございます。

新章・第二部『ルミナス令嬢の刻印と、崩壊する多元世界の輪舞曲』が、前作のラストで、母ユウコが地球時代に仕込んでいた「もう一つの未回収の伏線」が発動し、謎の紫き時空の裂け目(ゲート)へと呑み込まれたアサヒたち…、辿り着いたのは、元の世界とも、前世の地球とも異なる、未知の輝きに満ちた多元世界でした。


そこでアサヒの身体に、新たな「刻印」が浮かび上がります――。


もし、良ければ暇な時間に読んでもらえると嬉しいです...。

新章・第二部『ルミナス令嬢の刻印と、崩壊する多元世界の輪舞曲』。


第55話。黎明のネオンと、右腕に宿る異界の刻印。


「――ここは……一体……?」


時空の裂け目が放つ、強烈な紫の閃光に呑み込まれた私たちが辿り着いたのは、息をのむような未知の光景だった。


夜。

けれど、夜とは思えないほどに眩い。


見上げる空には、見たこともない巨大な電子の歯車(ホログラム)が幾重にも重なり合い、不気味に回転している。


周囲に立ち並ぶのは、雲を突くようなガラスと鉄の巨塔。


それらの表面を、赤や青の眩いネオンの光が、生き物のように蠢いていた。


前世の地球の高層ビル群に似ている。


けれど、そこにあるのは科學(かがく)ではなく、明らかに異常な濃度の「魔力」だった。


「おっと。どうやら、随分と面白い場所へ飛ばされてしまったようだね」


すぐに私の腰を引き寄せ、常夜の闇の障壁を展開したのはアレンだった。


慣れない異世界の時空圧から私を護るため、彼の魔力はさらに鋭く、過保護に研ぎ澄まされている。


「アサヒ、どこも痛むところはないかい? 安心して、どんな世界だろうと俺が君の絶対の盾だ」


蕩けるような甘い声で私に囁きつつも、アレンの琥珀色の瞳は、周囲の警戒を一切怠っていない。


「アレン、また先にアサヒに抱きついてる! ずるい!」


黄金の髪をネオンの光に反射させながら、ソルが私の右手をギュッと握りしめた。


「でも、この世界の空気……なんか懐かしい気がする。地球の匂いに似てる、かな……?」


太陽の瞳を細めるソル。地球での幼馴染「朝日くん」だった彼の魂が、この世界に何かを感じ取っているようだった。


その握る手は、私を二度と離さないと言わんばかりに力強い。


「ふふ、新しい世界……。アサヒちゃんと夕日を引き裂くものは、ビルごと全部、細切れにしてあげる……」


夕闇の髪を揺らし、夕日が完全に光の消えたヤンデレの瞳で漆黒の双剣を抜く。


いつでも周囲を鏖(みなごろし)にできる構えだ。


「おいおい、お前ら少しは警戒しろ。ここは『単一の世界』じゃないぞ」


漆黒のコートを翻し、クロノが冷や汗を拭いながら私の胸元の銀の懐中時計を指差した。


「ッ……!?」


見ると、私の銀の懐中時計が、カチカチと狂ったような速度で逆回転していた。


それだけではない。


突如、私の右腕に焼き付くような激痛が走った。


「う、あぐっ……!」


「アサヒ!?」


3人とクロノが一斉に色めき立つ。


私が左手で右腕の袖を捲り上げると、そこには、不気味に明滅する


『|紫色の歯車の刻印《・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 》』


が、皮膚の下から浮かび上がっていた。


「何だこれ……!? 呪詛の類じゃない。これは、時空そのものを固定するための『楔(くさび)』だ……!」


天才魔導士であるアレンの顔が、かつてないほどに歪む。


『――その通りだ。時空の迷子たちよ』


突如、ネオンのストリートに、空間を歪ませて巨大な「機械の幻影」が現れた。


それは無数のコードとホログラムで構成された、神々しくも無機質な巨人の姿をしていた。


『その刻印は、多元世界の崩壊を止めるための生贄(いけにえ)の証。母ユウコが世界の時間を繋ぎ止めるため、その娘たるアサヒの魂に刻み込んだ、最終因果のマスターキーだ』


「お母さまが、私を生贄に……?」


私の頭に、再び大きな謎が突きつけられる。お母さまが遺した、もう一つの伏線。


それは、私を救うためのものではなかったの……?


『さあ、マスターキーを渡してもらおう。さもなくば、この並行世界『|ネオ・アルカディア《・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・》』のすべての防衛兵器が、お前たちを塵に換える』


巨人の言葉と同時に、周囲の高層ビルから、数千、数万という赤色レーザーの照準が、一斉に私へと向けられた。


「……ハッ、笑わせるな」


最初に動いたのはアレンだった。


彼の背後に、世界を呑み込むほどの巨大な深淵の門が開く。


「アサヒを生贄にするだと? 世界が滅びようが知ったことか。君を傷つけるシステムなら、この次元ごと消し去ってあげるよ」


「お母さんの伏線がどうとか関係ない! アサヒを泣かせる奴は、神様だって僕がぶっ殺す!」


ソルの全身から、ネオンの光を完全に掻き消すほどの爆発的な黄金の闘気が噴出する。


「アサヒちゃんを縛る鎖は、夕日が全部切り刻んであげる。……あ、でも、夕日専用の鎖なら、アサヒちゃんにつけてもいい、かな……?」


夕日の狂気と純愛が混ざり合った魔力が、漆黒の刃となって空間を裂いた。


「チッ、また調律の仕事が増えそうだ。アサヒ、お前のその刻印の謎、俺が絶対に解き明かしてやる!」


クロノもまた、黒い歯車を構えて戦闘態勢に入る。


私を巡る、最強にして最狂の4人の男たち。


彼らの愛の熱量が、異世界の冷たいネオンを焼き尽くしていく。


「みんな……ありがとう。私、負けないわ!」私は右腕の紫の刻印を強く握りしめ、新たな多元世界の敵を見据えた。


お母さまの真意を確かめるため、そして彼らと共に生き残るため、私たちの「第二の神話」が今、ここから始まる――!


(第56話へ続く)

第二部、ついに開幕いたしました。


近未来風の並行世界『ネオ・アルカディア』に飛ばされたアサヒたち。母ユウコが遺した、アサヒの右腕に宿る「紫の刻印」と、それを狙う多元世界の支配者。アサヒが生贄に指名された瞬間、男性陣のキレっぷりと溺愛っぷりがさらに限界突破しております(笑)。


新章もAiと一緒に、ドキドキするような熱いお話を紡いでいければと思います…、


一緒に楽しんでもらえると嬉しいです…。









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