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第5章。時計仕掛けの神域と、始まりの部屋。第41話。神々の猛攻と、開かれた過去の扉。

『ルミナス令嬢の失われた記憶 〜二つの世界を繋ぐ時計仕掛けの神話〜』


第5章。時計仕掛けの神域と、始まりの部屋


第41話。神々の猛攻と、開かれた過去の扉


ズガガガガガガガガァァァン!!!


天空の割れ目から突き降ろされた、世界の理を司る神々の巨大な『光の秒針の槍』。


その凄まじい風圧が、中央の時計仕掛けの神殿全体に冷たい暴風となって吹き荒れ、白金とクリスタルでできた床の大理石をバリバリと容赦なく砕き散らしていく。


「アサヒ、僕の後ろへ!!」


黄金色の髪を激しくなびかせながら、ソルが私の前に全力で飛び出し、魔導剣を天空へと突き上げた。


彼の身体から放たれた『未来(明日)』の黄金の魔力が、神殿の冷たい突風を熱い『黄金の烈風』へと一瞬で塗り替えていく。


ソルは音速のスピードで空中を縦横無尽に駆け巡り、魔導剣から何千という光の矢(ホーミングレーザー)を放って神の槍の風圧を真っ向から撃ち破っていくが、最高位の神々のプレッシャーはあまりにも圧倒的だった。


「くっ……! 数が多すぎる……っ! 空間の重さが、さっきまでの魔獣とは全然違うんだ……!」


空中でソルの細い身体が激しく揺れ、魔導剣の輝きが冷たい風に掻き消されそうになる。


「ソル、意地を張るな! 僕の結界の合間を抜けろ! 時空反転――『刻の最果て(クロノ・エンド)』!!」


アレン様が血を吐きながらも杖を床に強く突きたて、ソルの背中を支えるための巨大な黄金色の時空魔法陣を何重にも展開した。


アレン様が時空を操るたびに、神殿の空気がぐにゃりと反転し、神の槍の軌道がわずかにねじ曲げられていく。


お互いに私を巡って静かに意地を張り合う二人なのに、戦いの中では一言交わすだけで完璧に呼吸を合わせ、無言の信頼で背中を預け合っている。


その最高にかっこいい男たちの友情の絆が、飛び散る光の粒子となって風の中にキラキラと美しく舞い散っていた。


しかし、過去の神クロノスと未来の神カイロスが、さらに冷酷に手を下した。


二本目、三本目の神の槍が、容赦なく私たちを押しつぶすために天から猛スピードで振り下ろされる。


「いやだ……! 誰も死なせない! 過去を呪って立ち止まるのは、もう終わりなんだ!」


私は恐怖を完全にかなぐり捨て、胸のポケットの懐中時計を強く握りしめながら、天の神々に向かって両手を真っ直ぐに突き出した。


私の魂の奥底からあふれ出したのは、あの生まれたての未来の熱――


『朝焼けのオレンジ色』


の魔力のすべてだった。


その瞬間、私の手の中から放たれたオレンジ色の光の波動が、ソルの黄金の剣、そしてアレン様の時空魔法と完全に一つに融合した。


キィィィィィン――――!!


神殿の歯車が擦れ合うオルゴールのような高い金属音に混ざって、私の頭の中に、これまでにないほど鮮烈な『過去の神話の記憶』が、圧倒的な臨場感と共にフラッシュバックした。


それは、数百年前のこの神殿の景色。


そこには、若き日のお母様――初代聖女ユウコが、今目の前にいるソルとアレン様に驚くほどよく似た瞳を持つ二人の男の子――【ソルの先祖(初代朝日)】と【アレンの先祖(初代時間の番人)】と手を繋ぎ、まったく同じように神々の槍に立ち向かっている姿が、アニメのスクリーンが広がるようにありありと映し出されたのだ。


(お母様たちも……数百年前の過去で、いまの私たちと同じように、3人で支え合って世界を守ろうとしていたんだ……!)


その瞬間、16歳の私の胸の奥で、お母様たちの遺した『運命の絆』がガチリと音を立てて覚醒した。


相手を「助けたい」と強く願う私の気持ちに呼応して、私の朝焼けのオレンジ色の魔力がこれまでにない形へと進化を始める。


「ソル、アレン様、私の『いま』を受け取って!!」


魂の底から叫んだ瞬間、私の放ったオレンジ色の光が、空中を駆けるソルの身体とアレン様の杖を優しく包み込み、二人の魔法の威力を何倍にも跳ね上げる新しい強化魔法――『刻限の抱擁(クロノ・オーラ)』へと姿を変えて発動したのだ!


「な、んだこの温かくて、凄まじい魔力は……!? 身体の底から、力が湧き上がってくる……!」


ソルが黄金色の目を輝かせ、オレンジの炎の衣をまとって再び天空へと高く舞い上がった。


「誰も諦めないわ! 私も一緒に戦う!」


その時、神殿の入り口から、茜色のまばゆい光の粒子を激しく撒き散らしながら、一人の少女が猛スピードで空中を飛んできた。


アサヒのオレンジ色の光に導かれ、完全に傷を癒やした【夕日の国】の精霊――クレピュスク(夕日ちゃん)だった!


「ソル、アレン、遅れてごめんね! アサヒの『いま』のぬくもりは、私が絶対に守り抜くわよ! 過去の記憶よ、私たちの光になれ――!!」


クレピュスクが茜色のドレスを翻し、両手からアメジスト色の強力な精霊魔法の矢を何千と一斉に放ち、神々の魔獣たちの足を次々と止めていく。


「行くよ、みんな! 僕たちの『いま』を見せてあげる!」


ソルの黄金のホーミングレーザー、


アレン様の時空を操る結界、


クレピュスクのアメジスト色の矢、


そして私の朝焼けのオレンジ色の炎。


4人の心が美しく重なり合い、まるで光の円舞曲(ワルツ)のように連動した最高のコンビネーション空中魔法戦が、神殿全体を包み込むほどの圧倒的なスケールで吹き荒れた。


ドコォォォォォン!!!


私たちの放った合体魔法が、神々の放った三本の巨大な槍を真っ向から撃ち破り、凄まじい光の爆発と共に、神殿の冷たい運命の暴風を一瞬にして跡形もなく掻き消し、浄化していった。


割れていた空の黒い亀裂がゆっくりと修復され、世界に静かな夕暮れの茜色が戻ってくる。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


すべての敵を退け、ソルとアレン様、そしてクレピュスクが私の元へと着地した。


ソルは剣を消し、私の右手をその細い手でぎゅっと包み込むように握りしめる。


アレン様も私の左隣に静かに寄り添い、黄金色の瞳で私の顔を優しく見つめていた。


お母様ユウコと先祖たちが遺した神話の謎、そして極限のバトルの中で目覚めた新しい魔法の力。


16歳のアサヒが、仲間たちと共に一歩一歩ゆっくりと成長しながら、じれったい恋と友情を胸に秘めて立ち向かう、二つの世界の運命をかけた壮絶なる時計仕掛けのファンタジー。


私たちは、お母様たちの過去の記憶の続きを解き明かすため、この中央の神殿の奥に隠された、さらなる未知の深淵(しんえん)へと、激しくその運命のネジを巻き直していこうとしていた。


(第41話・おわり)

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