エピソード7:昔からの癖、新しい筋肉
ドランは、言葉よりも痛みのほうが優れた教師だと信じているタイプの師匠だった。
それを知ったのは、俺たちが初めて本格的な稽古を始めてから、わずか四秒後のことだった。
何の前触れもなく、ドランが俺の足を払ったからだ。
「一つ目のルールだ」
ドランは、俺を見下ろしながら言った。
その身長差は、どう考えても不公平だと思う。
「誰も、お前の準備ができるまで待ってはくれない」
最高だな。
素晴らしい。
俺の人生にとって、実にありがたい話だ。
俺は宿屋の裏の土の上から立ち上がった。
町に来て二日目の朝、ドランはこの小さな空き地を勝手に訓練場所にした。
正確には、誰にも文句を言われないよう、そこに立ち続けていたというだけだ。
俺は前日に教えられた構えをもう一度取り直した。
「もう一度」
ドランが言った。
俺たちは、もう一度やった。
そして、その後もまた繰り返した。
四回目になって、俺はようやく倒れずに立っていることができた。
たぶん、実際にはそれほど大したことじゃない。
でも俺にとっては、かなり大きな進歩に感じられた。
正直に言っておきたいことが一つある。
ドランとの剣の稽古は、父さんとの訓練とはまったく違っていた。
父さんは、厳しさの中に温かさを隠して教える人だった。
俺が何かをなかなか理解できなくても、成功してほしいという気持ちが伝わるような指導をしてくれた。
それに対してドランは、自分が知っているすべてを苦労して身につけてきた男だった。
だから、俺にも同じように苦労して覚えればいいと思っているらしい。
「構えが高すぎる」
ドランが言いながら、必要以上に力を込めて俺の腕を動かした。
「顔を守ることに意識が行きすぎて、脇腹ががら空きだ。俺じゃない、本物の相手と戦ったら、半秒もしないうちにそこを狙われるぞ」
「了解」
俺は言われた通り、教えられた分だけ腕を下げた。
ドランは小さく鼻を鳴らしただけだった。
どうやらドランにとって、鼻を鳴らすことはほとんど褒め言葉らしい。
ドランは、決して優しくないわけじゃない。
ただ、効率的なんだ。
その二つには違いがある。
たとえ、その違いがその時にはあまり感じられなくても。
それから数日間、俺たちは一つのリズムを作っていった。
そして、少し恥ずかしいことに、俺はいつの間にかそれを楽しみにするようになっていた。
朝はドランとの剣の稽古。
基礎訓練、修正、そして時々できる痣。
その怪我を、実際の価値以上に誇らしく感じながら過ごした。
午後は俺の時間だった。
母さんに教えてもらった、静かな反魔力制御の訓練をする。
町の端で一人きりになり、誰にも質問されないようにしていた。
静かに一本の草へ火を灯し、それを見て妙に嬉しそうな顔をしている少年について、誰にも余計なことを聞かれないようにするためだ。
正直に言えば、一番良かったのは夜だった。
宿屋での夕食。
宿屋の女将が、ドランに見つからないように俺へ余分なパンを一つこっそり渡してくれる。
まるで、俺をもっと太らせる必要があると思っているみたいに。
そしてドランは、一杯の酒をゆっくり飲みながら、習慣的に扉を見張っている。
本人は見ていないつもりらしいが。
「それ、よくやるよな」
ある夜、俺はそう言いながら扉を指差した。
「何をだ」
「扉を見るやつ。誰かが来るのを待ってるみたいに」
ドランはすぐには答えなかった。
それはつまり、その質問がちゃんとどこかに届いたということだった。
「昔からの癖だ」
やがて、ドランは言った。
「昔は今より重要だった。それだけだ」
「昔は?」
「長い話だ。今夜する話じゃない」
なるほど。
俺にも、そういう話はいくつかある。
俺はそれ以上追及しなかった。
無理に聞いても、答えが返ってくるとは思えなかったからだ。
それに、俺にはその答えの形が分かっていた。
山のこと。
そして、まだ俺が話す気になれない家族のこと。
誰かにしつこく聞かれたら、俺もきっと同じような答えを返すだろう。
ただ、一つだけ。
結局、どうしても聞かずにはいられなかったものがあった。
その傷跡だ。
顎から鎖骨へと伸びる古い傷。
ずっと昔にできたものなのだろう。
今では、長い間痛みを感じていないものだけが持つ、白くくすんだ色になっている。
それでも、決して消えることなく残っている。
俺が見ていることに気づいたある日の稽古中、俺はついに聞いた。
「これも昔からの癖だって言うつもりか?」
その言葉を聞いて、ドランは短く笑った。
ドランが笑うのは珍しかった。
だから俺は、その笑い声を大切なもののように心の中へしまっておいた。
「いや」
ドランが答えた。
「これはちゃんとした話がある。ただし、無料で教えるつもりはない」
「じゃあ、いくらだ?」
「お前が生き残って、それを聞く資格を得ることだ」
そう言うと、ドランは俺が気の利いた返事を考えるより先に、また俺の足を払った。
……正直、悪くない。
むしろ、ほとんどの人間がする答えよりずっといい。
一週間が終わる頃には、俺は三十秒以上、正しい構えを維持できるようになっていた。
ドランも、それを本当の進歩として認めているようだった。
そして、反魔力制御の訓練で自分自身を燃やしてしまうことも、完全になくなっていた。
それは、山を出てから初めて得られた、疑いようのない勝利だった。
小さなことだ。
どれも劇的な出来事じゃない。
けれど、その最後の夜。
焚き火のそばに座りながら、俺はドランがその日すでに二度も手入れした剣を、習慣のようにもう一度磨いている姿を眺めていた。
そして、自分でもこんなに早くそう思うとは予想していなかったことを考えていた。
これは、俺が持っていた家族とは違う。
それになろうとしているわけでもない。
でも――
これだって、何もないわけじゃない。




