エピソード1: 新たな一日
カイの物語の始まりへ、ようこそ。
ここからすべてが始まります――新しい人生、新しい世界。そして、自分の前にどんな未来が待っているのかも知らない、一人の少年の物語です。
カイの旅は、何もかもを簡単に手に入れられる物語ではありません。
彼は学び、苦しみ、間違いを犯し、それでも少しずつ成長していくことになります。
笑える瞬間もあれば、失う瞬間もあるでしょう。
そして、この世界にはまだ多くの謎が残されています。
でも今は――
まずは、シンプルなところから始めましょう。
まったく新しい一日から。
この物語を楽しんでいただけたら嬉しいです。
待て。落ち着け。俺、まだ生きてるのか?
二度と何かを思考することなんてないと思っていたのに、俺は確かにここで考えている。自分のものとは思えない肉体と、動かし方を教えた覚えのない方法で機能している肺を伴って。
よし。まずは、目を開けてみよう。
光。そして、ぼやけた輪郭。そのどれもが日本には見えなかったし――もっと言えば――病院でも、遺体安置所でも、死人が居座っていいような場所でもなかった。
俺は何か言葉を発しようとした。何でもいいから。
「ルルルゥゥゥゥ――」
……何だ。今の音は。俺の声か?
半分は現実逃避のつもりで、もう一度試してみた。
「ルルルゥゥゥゥ――」
嘘だろ。おい、待て。俺は――転生したのか?
そんなことを信じるなんて馬鹿げている。だが、自分がそんな声を出すのを何度も聞きながら、それを信じないでいる方がもっと馬鹿げていた。
「あなた――この子、起きたみたいよ」
近くのどこかから、声が聞こえた。人間のものとは完全に異質な、何かが何重にも重なったような響き。
「本当か? 見せてくれ」
あの人たちは――俺の両親なのか? 待て、なんで俺はもうあいつらのことをそう呼んでるんだ。
一人の顔が、上から俺を覗き込んできた。鱗に覆われ、鋭い眼光を放ち、残された俺の神経のすべてを一瞬にして総毛立たせるほどの圧倒的な存在感を放っている。
「やあ、坊主。気分はどうだ?」
……ああ。もういい。これをそのまま受け入れるしかない。
俺は転生したんだ。異世界に。頼む、頼むから、今度の世界にはケンジみたいな奴が少しでも少なくてありますように。
……って、誰にそんな都合のいいおねだりをしてるんだか。
◇
なんとか状況を繋ぎ合わせて理解した限りでは、俺の母親は『竜』だった。父親については、母親の説明を聞いてもいまいち納得がいかなかったが、とにかく『亜人』――正確には獣人――と呼ばれる種族らしく、結果として俺はその二つの混血ということになる。その事実を受け入れるまでにひどく恥ずかしいほどの時間を要したが、現に目の前の母親には鱗がついているんだから、俺に拒否権なんてなかった。
俺がまともに歩き、話せるようになったのは五歳の時で、これまでのすべての経緯を考えれば、上出来な部類の回復力だと密かに自負していた。
母親は、毎晩俺が眠りにつく前に、この世界のことを教えてくれた。この世界には七つの種族が共存しているという。竜、エルフ、人間、悪魔、亜人、精霊、そして獣人。そして、そのすべての頂点に君臨するのが『神々』なのだと。
「ここには神様が何人もいるの?」
ある時、俺は尋ねた。
「ええ、そうよ。何柱もいらっしゃるわ」
「なんで一人じゃないの?」
「それぞれが、異なるものを司っているからよ」
「何を司ってるの?」
「――『力』よ」
その言葉を聞いた瞬間、俺の背筋を冷たいものが駆け抜けた。
「どんな力?」
「創造の神、破壊の神、混沌の神、戦争の神、生命の神、時間の神、そして加護の神よ」
なるほど。この世界も、俺が恐れていた通りに完全にイカれてやがる。
父親は滅多に家にいなかった――母親も全貌を教えてくれない『何か』で忙しいらしく、俺を育て、鍛え、戦いの基本や魔術の基礎を叩き込んでくれたのは、主に母親だった。俺自身が、そのどちらの準備もまだ整っていないと思うよりもずっと前の段階から。
この世界には『魔力』があり、そしてその先には『反魔力』と呼ばれるものが存在した。魔力はすべての根底を流れる一般的な潮流であり、あらゆる呪文や些細な術式に宿る。誰が扱おうともその輝きは金色であり、その到達点には厳格な限界が存在する。だが、反魔力は違った。より稀少で、より強力。そして母親の言葉を借りれば、俺が彼女の血筋から受け継いだ資質のおかげで、悪魔やいくつかの高位の存在と並び、竜族にとっては実質的な「生得の権利」のようなものだった。
反魔力にも色が存在した。青は初心者。紫は本物の技術を持つ者。そして赤は、それを完全に掌握した者だけに許される色――魔王、竜族、原初の悪魔、精霊、そして俺がまだ名前も知らない数少ない強者たちの色だ。
そして、そのすべてのさらに天上に存在するのが『純粋魔力』――銀白色の輝きであり、それを持つのは厳格に一種類の存在だけだった。
「それを持てるのは神々だけよ」母親は俺に言った。「それからカイ、これは秘密よ――あの七柱の神々はね、全員が元々は竜だったの」
カイ。それが、今の俺の名前だった。自分がそれを気に入っているかどうかは、まだ決めていない。
「竜が神様になったの?」俺は言った。「どうやって?」
「簡単なことではないわ。一万五千年の歳月を生き延びて、初めて『進化の種』と呼ばれるものを得る資格が与えられるの。それがあって初めて、昇神できるのよ」
「……母さん。この世界って、始まってから何年経ってるの?」
彼女はただ笑うだけだった。それが俺には、「あなたの小さな頭じゃまだ処理しきれないくらいよ、坊や」という意味に思えた。
(完全なるクソルールじゃねえか。一体どこのどいつがそんなルールを思いついたんだよ)
一万五千年。そりゃあ神様が七柱しかいないわけだ。もしそれより簡単だったら、この惑星の半数が昼飯時までにはマルチバースを牛耳っちまってるだろう。
俺たちは他の誰からも隔離された、『水平線』と呼ばれる場所の頂上で暮らしていた。俺たち三人以外には何もない場所。父親がどういうわけか己の手だけで建てた木造の家と、その日一日の他のすべてが色褪せようとも、決して見飽きることのない絶景。母親の名前はアシュリー。父親の名前はダニエル。
六歳になる頃には、父親が俺に剣の訓練をつけ始めていたが、あの親父、実はめちゃくちゃ戦える男だった。「カイ、お昼ご飯ができたわよ。ダニエル、あなたも。今日の特訓はそこまで!」という母親の声がかかると、俺たちは二人して、まだ汗をだらだらと流しながら家の中へと戻るのが常だった。
訓練を始めて二週間で、俺は空を飛べるようになった。もっとも、「飛ぶ」という言葉をかなり寛大に解釈して、地面からおよそ七フィートほどの高さ、それ以上は上がれないというレベルだったが、それでも飛ぶことには変わりなかった。四ヶ月が経つ頃には、自分自身の反魔力の形状を測れるようになっていた。父親が言うには、それは『オーラ』として現れ、その色が現在の段階を示すのだという。俺には、一般的な魔力と反魔力の間に存在するはずの「ボトルネック」を心配する必要はなかった。竜の血を引いているということは、生まれながらにしてすでにその壁の向こう側にいるということを意味していたからだ。あとはただ、それを強くしていくだけだった。
そんな風に、二年の歳月が流れた。そしてある朝、母親は本格的に俺に『制御』を教えるため、俺を座らせた。
「まずは心を落ち着かせるのよ、カイ」
「分かったよ、母さん」
「息を吸って。空っぽにするの。周囲のものじゃなくて、あなた自身のエネルギーを感じるのよ」
「分かった、母さん」今度は大真面目に答えた。
「私が街から戻るまで、ここを動いちゃダメよ。少し用事があるから」
「待って――ずっとここに座ってなきゃいけないの?」
「ええ、そうよ。あなたならできるでしょ?」
「……分かったよ」
彼女は出かけていった。俺は座った。そして、この世界で目を開けて以来初めて、自分が本当にこの世界で一体何になるべきなのかを、静かに自問する時間を手に入れた。
そして、ここからカイの新しい人生が始まります。
この時点で、カイは自分がこれから何者になるのかも知りません。
ホリゾンタル・ラインの外側に、どんな危険が待ち受けているのかも。
そして、この新しい世界が、やがて自分自身をどれほど大きく変えていくことになるのかも。
彼が知っているのは、ただ一つ。
もう一度、生きるチャンスを与えられたということ。
生きるチャンス。
成長するチャンス。
そして願わくば――
前の人生で犯した過ちを、今度こそ繰り返さないチャンス。
エピソード1を最後まで読んでくださり、そしてこの物語に興味を持ってくださって、本当にありがとうございます。
これはまだ始まったばかりです。
これからカイの旅がどこへ向かうのか――ぜひ最後まで見届けていただけたら嬉しいです。
それでは、次のエピソードでお会いしましょう。




