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転生の向こう側 【The Other Side of Reincarnation / Beyond Reincarnation】  作者: ルーク
ハイ・ハイブリッドの誕生 ( 偽りの現実 )

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19/97

第18話:最初の契約

 カイの物語を追ってくださっている皆様へ、ちょっとしたお知らせ


 カイの物語を追い続けてくださっている皆様に、ひとつ重要なことをお伝えしておきたいと思います。


 物語を読んでいると、いくつかのストーリー展開や、キャラクターの話し方に「少しおかしいな」と感じる部分があるかもしれません。


 時には、キャラクターが本来の性格や話し方とは少し違って聞こえることもあるでしょう。場面によっては、何かがおかしく感じたり、出来事同士が思ったようにつながらなかったりすることもあるかもしれません。


 そして、こんなふうに思うこともあるかもしれません。


 「……待って。どうしてこの物語、こんなに分かりにくい書き方になってるんだ?」


 あるいは、


 「……どうしてこの世界そのものが、どこかおかしく感じるんだ?」


 その答えは、いたってシンプルです。


意図的にそうしています。


 これらの不自然な部分や、奇妙な場面、普段とは違う話し方、そして一部の間違いは、すべて物語の一部として意図的に入れています。


 その理由は、最終的に明かされる【偽りの世界編】の結末に関係しています。


 そして、それが現在、私が物語の中でいくつかの修正や調整を行っている理由でもあります。


 皆さんがいつか真実が明かされ、すべてがつながるその瞬間にたどり着いたとき、それまでに存在していた数々の不自然な部分や矛盾、そして間違いが、**なぜそこにあったのか**を理解してもらえるようにしたいと思っています。


 今はただの間違いに見えるものの中にも、実は意味があります。


 それらは、物語の中に隠された手がかりでもあります。


 そして、私がこのような物語を書きたいと思っている理由は、もうひとつあります。


 私は昔から、**「次に何が起こるのか、誰にも予測できない物語」**を作りたいと思っていました。


 読者が何かに気づくたびに、何かを理解するたびに、あるいは一つの手がかりや伏線を見つけるたびに、立ち止まって考えてしまう。


 そんな物語にしたいと思っています。


 「もしかして、こういうことなのか?」


 そう思った瞬間に、別の出来事や新しい情報によって、今まで自分が考えていたことそのものを疑いたくなる。


 奇妙なセリフや、どこか不自然な出来事、どうしても納得できない何かに気づく。


 そして、それらを頭の中でつなぎ合わせながら、


 「もしかしたら、もう次に何が起こるのか分かったかもしれない」


 そう思うかもしれません。


 でも、そこからさらに別の可能性が浮かんできて、気づけば自分の考えの中に迷い込んでしまう。


 「……待って。もしこれが別の意味だったら?」


 「じゃあ、さっきのあの場面はいったい何だったんだ?」


 「あれは……伏線だったのか?」


 私は、そうやって読者の皆さん自身が物語について考え続けられるような作品を作りたいと思っています。


 だからもし、これまでに一度でも、


 「……何かがおかしい気がする」


 そう感じたことがあるのなら。


 もしかすると、それこそが、あなたが気づくべきものなのかもしれません。


 そして、いつか真実がすべて明かされたとき。


 それまでに読んできた物語を振り返って、


 「あの時の違和感は、偶然じゃなかったんだ」


 そう思ってもらえたら嬉しいです。


俺たちが護衛する羽目になった商人は、トビアスという名の、神経質で小太りな男だった。あいつは最初の1時間の中で、ご丁寧に3回も自己紹介を繰り返しやがった。まるで、回数を重ねれば俺たちの信頼度スペックが少しでも上がると本気で思い込んでいるかのように、な。


「……本当に、あんたたち3人だけなのかい?」トビアスは、王都ロシャンの国門をギシギシと軋ませて通過していく自らの荷馬車の上から、俺たちの小さなグループを明らかな不安の目で睨みつけながら尋ねてきた。「俺の知る限りじゃ、この規模の仕事ってのは、普通は4、5人のグループで護衛するものだって聞いてるんだがね」


「何とかなるさ」

俺は自らの声を、至って平凡なモブおっさん【リーブ】の仕様に完全同期させたまま言い放った。「俺たちの実力、お前のその見かけの数値よりも、遥かに高密度の装備をハイドしてるからさ、信じな」


ぶっちゃけ、そのセリフの裏に込めた本物の現実のウェイトは尋常じゃねえがな。何しろ、俺たちのパーティーの外見グラフィック、どこからどう見ても、初見で信頼するに値する要素なんて最初から一文字だって登録されてねえからさ、マジで。


トビアスは未だ納得していない表情だったがな。だが、俺たちの契約書にカチリと刻印されていた、あの中央ギルドの【印章】の持つ重みは、奴の疑念を力ずくで一発で無効化するには十分すぎる容積を保持していたさ。奴はそれ以上の無駄な文句を垂れ流すのを諦め、御者台のシートへとどっしり腰掛けて、大人しくルートを前進させやがった。


◇


最初の一日目のタイムラインは、一から十まで完全につじつまの合う、ただののんきな通常運転のまま消費したさ。――どこにでもある整備された通常街道。どこにでもあるのどかな天候。

トビアスのやつ、緊張をハイドするためなのか、移動中、ひたすらに地元の穀物相場の最新レートだの、自分が激しいヘイトを溜めて常時マークしているライバル商会のクソ野郎どもの話だのといった、そんな膨大な他愛のない音声ログを世界に絶え間なく垂れ流して、街道の静寂を埋め尽くしていやがった。

エリスのやつはね、その馬車の真隣の間合いを維持しながら進軍していたがな。その知覚センサーはね、至ってリラックスモードのまま、時折、トビアスの記憶データから、この先のフィールドの正確なルートやそこに潜む危険の予兆に関するデータを、巧みなトークでバックグラウンドで静かに抽出していやがったんだ。――それこそがね、この最初の依頼を掲示板から一発看破して受注してきた、あいつ特有の、あの入念な戦術級の本能の仕様だったのさ。


あるいは特級銀狼のエースのやつはね、普通の大型犬サイズを維持したまま、俺たちのパーティーの遙か前方フィールドへと隠密索敵をランさせ、周囲の全死角を完璧にスキャンし続けながら、時折、脳内直接通信回線【魂回路】から進捗ログを同期してきやがった。


≪――報告。現在のタイムラインにいたるまで、周囲の全バグ検知は完全にゼロ。――だがな、主。俺さ、この街道の通常運転っぷり、最高にがっかりするほど退屈な仕様だとジャッジしてるんだけどな。ギルドの有象無象の噂じゃさ、冒険ってステージはね、もっと高頻度で脳内プロセッサが沸き立つような、大層な戦闘イベントがてんこ盛りに実装されてるマニュアルなんだと思ってたがね≫


(焦るな、てめえ。この仕事の九割九分はね、一から十まで完璧に、今てめえが脳内でブチギレ散らかしてる通りの『退屈な通常運転』のまま完結するシステムなんだよ。だがな、そのつまらなさにこそ最高のシステムメリットがあるんだわ。――退屈な仕事ってのはさ、パーティーの誰一人として、肉体システムを永久消去されない、絶対の安全ルートのリアルな証明だからな、履き違えるなよ)


≪――アナライズ。なるほど、了解です。それは、要求されるコストに対して、弾き返されるクリア報酬のほうが圧倒的に上限オーバーな、至って合理的な戦術トレードであると、俺のプロセッサでもシステム承認してやるがね≫


◇


だが、二日目のタイムラインを迎えた頃。

街道が、鬱蒼と生い茂る森林フィールドの深層を一直線に貫いている、まさにその特定のグリッドへと足を踏み入れたその刹那。

【魂回路】からリンクして響き渡ったエースの音声ログがね、一瞬にして、冷酷に凍りついた戦術級の【索敵アラート】へと、モードシフトしやがったんだ。


≪――警告。前方フィールド、街道から外れた森林の死角に、複数の動体反応を検知。

総数は――六、あるいは七。

通常動物なんかじゃねえぞ、100%のガチな敵対カテゴリだわ、これ≫


(……盗賊のザコどもか?)


≪――肯定。高確率でその属性カテゴリーに分類されます。だがな、奴らの布陣フォーメーション、この規模のターゲットを一発で奇襲にかける戦術としてはね、最高レベルにクオリティが低いバグ配置だけどな。間合いがバラバラに引き算されすぎててさ、俺の索敵レーダーからハイドできてねえの、丸見えだからさ。十中八九、ただの訓練不足のシロウト集団に過ぎんがね≫


(――へぇ。なるほど。最高の事前スキャンをありがとよ、エース)


俺は手元をスッと動かし、この過去一週間のスパンでエリスのやつと裏のバックグラウンドで構築しておいた、あの独自の【暗号サイン】をあいつに送信してやった。――トビアスのおめでたい知覚センサーにはね、ただの一文字のバグすら検知させない、極限まで出力を潜めた限定隠密シグナルだ。


「……前方に、敵のマークだ」

俺はあいつの耳元へスッと間合いを詰め、出力を限界まで引き算した低いトーンで、ボソリと重要機密をカットインしてやった。

「エースの索敵レーダーがね、前方の左側の死角に、六、あるいは七つのヘイトログをロックオンした。……俺たちの画面外に、未だ捕捉しきれてねえ残りの増援部隊がハイドされてる可能性フラグもあるからな、油断するなよ」


そのセリフを音声知覚した瞬間、あいつの目の眼光がね、ミリ単位で鋭く研ぎ澄まされやがった。――これまでの過酷なタイムラインを経て、俺が100%の信頼を付与してアップデートした、あの冷酷なまでの戦士としての【最大戦闘スペック】が、カチリと全画面で完全起動したんだ。

「……あのトビアスのおっさんの荷物、一発で息の根を止めてでも、そのクリア報酬を分捕るだけの特級の価値が、フォルダに登録されてるステージなのかい、これ?」


「そりゃあさ、あの荷物の中身に、一体どれほどの高位のリソースがハイドされてるかによるな」俺は言った。

「おまけにさ、これからエンカウントするあの盗賊どもの性質が、一体どの種族カテゴリに分類されてるかにもよるわ。世間一般のザコみたく、ただのコインのリソースだけを分捕って一発で撤退していくお人好しもいりゃあさ……自分の絶対のポリシーとして、ただこのフィールドに弱者の血の粒子を撒き散らすことそれ自体を最優先のメインミッションに設定してる、最悪なイレギュラーだってザラにいるからな」


「……私は、その両方の種族と、過去のクソみたいなタイムラインで何度も直接エンカウントしてきたわ」

エリスは、一から十まで完全なフラット、一切の感情出力を引き算した冷酷な音声ログで呟いた。

「――どちらのルートであろうとな、天地がひっくり返ったって、これっぽっちも気分のいいステージじゃねえよ、マジで」


(……ああ。お前がこれまで直立不動で立たされてきた、あの最悪な地獄の初期座標からスキャンすればさ、そりゃあ100%その通りのリアルなファクトだろうな、エリス)


◇


そして、奴らの仕組んできたその奇襲イベントの全貌はね――他ならぬ特級銀狼のエースのやつが事前に先読みしていた通りの、最高レベルにクオリティの低い不器用なザコムーブだったさ。

――六人の人間の影が、前方の通常街道の真ん中へと、何の大層な隠密もなしにダラダラと這い出てきやがって。手元に握りしめていたのはね、原型を留めないほどに粗悪にビルドされた初期武器。

そしてその顔面のグラフィックにはさ、これまでに一度として力ずくでへし折られたことのない弱者特有の、あの傲慢で自信満々なトーンが100%全開で張り付いていやがったんだわ。何しろ、これまでに自分たちよりも遥かに脆弱な初期アカウントを相手にさ、カツアゲ略奪クエストを何万回もコンプリートして、甘いクリア報酬を貪り食ってきた、そんなお約束のマニュアルに甘んじて肥え太ってきた有象無象だからな、なぁ。


「――通行税だッ! 有象無象どもがァッ!」

先頭に立つリーダー格の男が、その口元のグラフィックをマッハの速度でへし折られて引き算されちまったその顔面で、下卑たにやりとした笑みを全開にして吠え散らかしやがった。

「馬車、インベントリの中身、そして手持ちのコインのリソースの全容量だ! 今すぐこの座標に、至って大人しく一括ダウンロードしやがれ! もしそのコマンドを正常処理するならさ、てめえらが五体満足の駆動スペックのまま、この街道を前進し続ける権利をシステム承認してやらんこともないぜ、なぁッ!」


その理不尽な脅迫を音声知覚した瞬間、俺の真後ろの御者台から、トビアスのおっさんの一万デシベルを超える恐怖のエラー音が、けたたましく世界に響き渡りやがった。


「――お前は大人しくその馬車の中に直立不動してろ」

俺はあいつに向かって、低い出力ながらも、戦士としての絶対の命令をカチリと脳内に通知してやった。

「安心しろって、こんなザコ戦イベント、マッハの速度で強制終了させてやるからさ」


(よし、了解。……だったらさ、今回の初期ステージ、新しく俺のパーティーに完全同期された、あのエリスとエースの二人の面々がさ、一体どれほどの最新の最大戦闘スペックを発揮してクリアしてみせるのか。俺のほうは一歩引いた特等席で、ただのんきにウォッチさせてもらうとするかね。――あいつらの保有してるリソースの上限を遥かにぶち抜くような、そんな特級大災害でも突撃してこない限りはさ、この俺が自らの手持ちのチートカードを解放するメリットなんて、最初から一文字もねえからな)


俺がただ一人きりで直立不動の姿勢のまま前進をキメて間合いを詰めていくムーブをウォッチした瞬間、あの盗賊のリーダー格の男の顔面の笑顔はね、さらにその上限をオーバーして歪みやがった。あいつの脆弱な知覚センサーはね、目の前のおっさんのその何の殺気もないアベレージな外見グラフィックをさ、ただの「防衛スペックゼロのおめでたいザコ」だと100%都合よく勘違いしてジャッジしやがったんだわ。絶対の警告フラグなんかじゃ最初からハナから一文字だって無かったのだ、と。


「……ハッ! 最高に可愛いムーブじゃねえかよ、おい!」奴は吠え散らかした。

「まさか一番最初の一発目の先鋒としてさ、そんな今にもシステム終了しそうなガリガリのヤワなおっさんを、真っ正面から突撃させてくるなんてさぁッ!」


「――いや、ぶっちゃけ」俺は言ってやった。口元の愛想笑いのグラフィックを100%維持したまま、至ってリラックスして言い放つ。

「俺さ、最初から一から十まで、ただの観客としてここを特等席でウォッチしにきただけなんだよね、マジで。――お前らみたいな有象無象の間引きタスクなんてさ、俺の真隣にいる、あの身内の面々のスペックだけで、とっくに一発でへし折って【処理済】にできる仕様になってるからさ、なぁッ!」


◇


――放て。

奴の脆弱なプロセッサが、その俺の放った文字列の内部構造を100%解読して処理し終える、まさにそのコンマ数秒よりも前のタイムライン。

エリスの肉体の軸が、一瞬にして、マッハの速度で駆動しやがったんだわ。

――その移動スピードはね、俺がこれまであいつの型の反復特訓を横でウォッチしてきた、あの評価数値の上限を遥かにぶち抜いて、文字通り世界の理を置き去りにするほどの異次元の瞬進。

あいつの肉体の外縁部からはね、どれほどあいつが普段の日常ログにおいて、その出力を限界まで精密制御する特訓を重ねていようとな、だ。いざ実戦の起爆コマンドが強制エンゲージされたその刹那のタイムラインにおいてはね、隠しきれない本物の【紫紅色の反魔力オーラ】のグラフィックが、バチバチと激しくサージを繰り返し、その内側にどれほど理不尽な最大スペックがハイドされ続けていたのかを、全画面に明滅通知しやがったんだ。あいつは一瞬にして最寄りの盗賊とのセンチ数をゼロに圧縮。一切の無駄なモーションを排したあの効率主義なクリーンヒットを以て、奴の粗悪な初期武器を、自分が看破されたという現実を脳内処理するよりも早く、遥か彼方の茂みの死角へと一発で弾き飛ばしやがった。


(――おいおい、マジかよ。あいつ、めちゃくちゃ上等な最新スペックにアップデートされてんじゃん。この新しいイベントが開始されてからの短い移動スパンを考慮すればね、俺のシミュレーターの予測数値を遥かにぶち抜いて急成長しすぎだわ、マジで)


一方、特級銀狼のエースのやつはね、それと完璧に完全同期するタイムラインにおいて、あの小柄な大型犬のカモフラージュを完全に完全消去。

ただの一度の流れるような流体ムーブを以て、自らの最上級指定カテゴリーである【銀狼】としての本物の最大全開質量へと、マッハの速度で再拡張しやがったんだわ。

その圧倒的な理不尽な質量の出現の前にさ、残された残党のうちの二人の盗賊はね、自らのプロセッサで状況をアナライズするよりも早く、肉体の全細胞が100%の【生物的本能の恐怖】を喰らって、ガタガタと膝の駆動システムをブレさせながら無様に真後ろへバックステップしやがった。

――それはね。目の前に突撃してきた怪物の正確な所属名が何であるのかなんていう、そんなお堅いマニュアル説明なんて最初からハナから一文字だって実用としねえ、本能の奈落の底から湧き上がる絶対の【死への宣誓】だったからな、マジで――。


「あれは……犬なんかじゃねえ……ッ!」

奴らのうちの一匹が、恐怖で引き裂かれそうになった音声ログを絞り出しやがった。


≪――肯定。その通りです≫

人間の言葉を出力(音声化)するようには最初から設計されていないその喉の奥から、エースのやつの脳内通信(魂回路)ではなく、本物の生の音声データが世界へと放たれた。それはね、地鳴りの如き不気味な唸り声と、最高位の愉しげな笑声(アンサー)が完璧に完全同期した、おぞましい波長だった。

≪――私は犬(ザコモンスター)ではありません≫


残された盗賊の残党どもにとって、これ以上の戦闘アナライズ(分からせ)なんて最初から一文字だって必要なかったさ。

三匹がね、マッハの速度で逃走ルート(ラン)を選択して一瞬で画面外へと完全消失(ハイド)しやがった。

進路を塞がれて完全なデッドエンド(袋小路)にハメ技を喰らってた最後の二匹にいたってはさ、自分の生存確率(スタミナ)を一瞬で猛烈に再計算(リアナライズ)し終え、持っていた初期武器をドサリと地面にポイ捨て(クリア)すると、おめでたく両手を頭上へデポジットして降伏コマンドを入力しやがったんだわ。


「――お、俺たちの完全敗北(降伏)だッ!」先頭のリーダー格の男が、さっきまでの傲慢なトーンを100%完全消去(リセット)させて悲鳴を上げた。

「俺たちの負け(降伏)だ、頼む! 頼むから……あの銀色の化物(ウルフ)の戦闘コマンドを今すぐ解除(シャットダウン)してくれッ!」


「――いや、ぶっちゃけ」

俺はついに直立不動の姿勢を崩し、一歩前進(デポジット)をキメて奴らの間合いへと肉薄してやった。その際、自らの精密制御(コントロール)をほんのコンマ数パーセントだけ出力を緩めて、体外へ【反魔力オーラ】の一筋の波動(殺気)をドロドロとサージさせてやってな。こちらの最大スペックの全貌を、奴らのプロセッサに一発でマーク(理解)させてやるために、なぁ。

「こいつの操縦桿(コントロール)を握ってるのは俺じゃねえからさ、俺の意志で解除コマンドを発行しろって言われても無理なんだわ。――だがな。もしお前らがこれから一から十まで100%マニュアル通りのイージーモード(素直に)に対応するってんならさ、こいつの側だって、それなりに合理的な戦術トレード(手加減)に応じてやらんこともないってジャッジしてるがね」


(――おい、エース。奴らの戦闘意思は完全に完全消去(クリア)された。これ以上の過剰なHP減算(せっかん)を実行するメリットはねえよ)


≪――了解(クリア)、我が主(カイ)。だがな……対象個体どもが放ち続けていたあの『生物的恐怖アラート(ビビり具合)』のエフェクト、ウォッチ(観戦)してるだけで脳内プロセッサが最高にポジティブ(満足)を記録する特級のエンタメだったがね≫


(てめえ、調子に乗って(傲慢に)フォルダのメモリを無駄遣いすんじゃねえよ)


≪――不服。だがな、善処のコミット(約束)は保留とさせていただきますがね≫


◇


俺たちはその盗賊どもの肉体システム(身体)を、街道の索敵レーダーから遥かに遠く離れた森林の死角にある一本の大木の幹へと、ガッチリと力ずくでロープ固定(捕縛)。武器のリソースもすべて一括引き算(没収)して、最高レベルに謙虚な通常ステータスへと分からせ(分からせ)てやったさ。

次の集落(セトルメント)にログイン(到着)した段階で、トビアスのおっさんの音声ログ(通報)を経由して、地元の衛兵隊(ガードポスト)へその処理タスク(座標データ)を一括ダウンロードして引き渡してやるマニュアルを敷いてな。

今回のバトルイベント(初陣)、ロスト(死亡数)は完全に完全ゼロ。

何人かの有象無象のプライド(自尊心)が粉々にクラッシュ(エラー)したのを除けばね、誰一人の肉体システムにも致命的なダメージすら発生させない、至って綺麗で鮮やかなクリアルート(無傷)。


クリーンなミッションコンプリート。

ぶっちゃけ、俺の自衛システム(ポリシー)的にもね、最初からこういうお堅い通常運転のクオリティ( Boring )を全霊で求めていたからな、マジで。


トビアスのおっさんのほうはね、その手の震え(エラー)がようやく正常値へとリセット(リカバリー)されたその刹那のタイムラインから、今日の残りの全時間コスト(スパン)を費やして、俺たちの最大戦闘スペックに対する特級の称賛(ポジティブ)を100%全開で連打し続けやがった。

「……お、俺さ、最初から一文字の想定(シミュレート)すらしてなかったよ! てめえら3人のパーティーがさ、ギルドの登録マニュアル(ブロンズランク)という名のザコ評価数値をさ、ここまで天地がひっくり返るレベルで置き去りにした特級チート持ち(化物)だったなんてさぁッ!」


「俺たちさ、最初から最強(トップクラス)なんて目指す気1ミリもねえ通常運転(モデスト)の仕様だからな」俺は言ってやった。

「そのほうが、外の世界の有象無象(神殿)から吹っかけられる期待値(マーク)の数値を、常に低位にコントロール(管理)できて助かるからな」


「通常運転、ねぇ……」

トビアスのおっさんは、その俺のジャッジ(セリフ)の文字列を脳内でリプレイし、100%現実逃避( disbelieving )のグラフィックをその顔面に浮かべやがった。そして、馬車の真真真隣の間合いを、さっきまで五人の成人男性をただ一匹で100%完全蹂躙(クリア)してみせた化物とは到底思えないような、あの極小化(シュリンク)された大型犬の姿でのんきにラン(並走)しているエースのグラフィックを、じっと睨みつけながらボソリと呟いた。

「……はいはい、了解、了解。てめえらの言う『通常運転( modest )』って術式のコンテキスト、完璧に完全理解したわ、全く」


◇


その日の夜、街道の知覚知覚(レーダー)から安全なセンチ数を引き離した座標に野営(キャンプ)を設営したそのセーブタイム。

エリスのやつはね、今回のバトルイベント(初陣)において、ぶっちゃけ一滴の血の粒子すら付着(減算)させる必要の無かった自らのブレードを、パチパチと鳴る焚き火の明かりの下で、何とも言えない入念な手つきでメンテナンス(お手入れ)しながら、その魂のプロセッサにある一つの最新データ(アナライズ)をボソリと出力しやがった。


「……なんかさ、本気で最高にポジティブ(気持ちいい)なクリアルートだったわ」あいつは静かに言った。その音声ログの中身にはね、自分自身でそんなセリフを吐き出しちまったことに対する、微かな驚きのエフェクトが混ざり合っていたけれどな。

「全面戦闘(バトル)それ自体を楽しんでるわけじゃねえんだよ。……たださ、自分の最大スペックがさ、誰かのサバイバルのための『有益なリソース(役に立つ)』として機能(駆動)した現実、だよ。かつてのように『ただ守られるだけの脆弱な弱者(ザコ)』としてログイン(滞在)し続けるんじゃなく、自らの手のひら(力)で、本物の誰かを防衛(ガード)できたっていう、あの確かなリアルさ、ね」


(……ククク。ああ、そりゃあ同感(システム同期)だわ、てめえ。その胸の奥のアナライズ、俺のプロセッサ的にもさ、他人に開示してる以上に100%リアルにシンクロできる仕様だからな)

かつてあの隔離された絶望の山の上で、ただの無能のザコ(初期アカウントのガキ)として直立不動のまま佇み、自らの実の実母が世界の理不尽なすべてのヘイト大爆発から自分を守ってロストしていくのを、ただ無様にウォッチ(傍観)することしかできなかった、あの初期座標の俺。――あのロストログフォルダ(過去の絶望)を完全に完全消去(リセット)して、ただの弱者(ザコ)であることそれ自体を強制終了(クリア)できたあの瞬間のクリア報酬の味はね、今でも1ミリのブレもなく完璧にセーブされてるからな。


「お前はね、最初から最初の一歩の段階から、『ただ守られるだけの脆弱なザコ』なんかじゃ天地がひっくり返っても無かったぞ」俺はあいつに言ってやった。

「俺が最初にあの森林の奥でお前を発掘(サーチ)したあの最初の日ですら、だ。てめえはさ、普通の有象無象の精神システムならさ、一発でオーバーヒートして完全崩壊(ゲームオーバー)を免れないレベルの最悪な地獄(過酷な境遇)をさ、すべて自らの足だけで泥臭くサバイバル(生存)してクリアしてきたんだぞ。――それ自体がね、この世界のいかなる魔導マニュアル(反魔力チート)よりも前にさ、お前自身の魂の底に最初から実装されていた、絶対の【本物のスペック(強さ)】だからな、履き違えるなよ」


あいつは、その俺の確定ジャッジ(セリフ)の文字列を音声知覚した瞬間、長い間、直立不動の姿勢のまま俺の瞳のセンサーをじっと睨みつけ(凝視し)やがった。その顔面のグラフィックにはね、何とも言えない温かい、そして自らのキャパシティ上限を大幅に上限オーバー( overwhelmed )しちまったかのような、そんな特級のクリア感情(エフェクト)がサージを繰り返し――やがて、大慌てでまた手元のブレードの座標(手元)へと視線を落下(リセット)させやがったんだ。


「……ありがと、カイ」あいつは低く、静かな音声データを出力した。

「私を、あの森の底で見つけて(サーチして)くれてさ。……このすべての日常(リアル)に、ログインさせてくれて、さ」


(――おい、エース)俺は、脳内精神直接通信回線【魂回路】から、暖炉の琥珀色の炎の真隣で、極小化モード(シュリンク状態)のままですでに半分睡眠モード(スリープ)に入りかけていやがる奴の精神コアの座標へ、限定電波(通信)をスッと繋いでやっておねだりした。

(てめえのプロセッサの側からもさ、今回の初陣ミッション(初仕事)のコンプリートに対して、何らかの追加データ(コメント)を開示(クリア)する気フラグはあるか? それともさ、また明日からの街道で、俺のオリジナルチート(マニュアル)を裏からコソコソネコババするタイミングだけを、バックグラウンドで常時常時マーク(検索)してる最中か、おい)


≪――解答。私は現在、明日からの移動コストに備えて、自らの精神スタミナ(エナジー)の完全セーブ(温存タスク)をランさせている最中なのです≫

エースのやつが、脳内回線で最高に眠たげな( drowsiness )トーンのシステム音声を弾き返しやがった。

≪……明日のタイムライン(明日)を迎えたその瞬間にね、主(カイ)の手持ちのオリジナルマニュアル(セリフ)の中から、さらに数万行の文字列を丸ごとネコババ(強奪)してやる予定ですので、首を長くしてハイドしておきな、我が主よ≫


(はいはい、了解、了解。完璧に最初からそのルート(先読み通り)の戦術演算だわ、てめえ)


俺はね、その左右に並び立つ【二つの生存波動(エリスとエース)】の姿を交互にスキャンしながら、自らの胸のコアの最深部にさ、もう長いこと、丸何年もの長いタイムラインの間さ、フォルダの奥底に完全システムロック(ハイド)して封印し続けてきた、あの最高のハピネスパラメータ(絶対の安らぎ)が、カチリと音を立てて強固に定着(セーブ)されていくのを、全霊で感知(アップデート)していたんだわ。


あの謎の宗教組織【神殿・東の聖教会(東の聖教会)】という名のクソ野郎どもがさ、この俺という【異常個体(アノマリー)】のスペックの前に、一体どんな最悪な殲滅ミッションをこれから仕組んでこようとも。そして今や、その異常覚醒システム(反魔力のシンクロ)を完全同期しちまった、この隣のエリスのアカウント情報にまで、どんな最悪なヘイトフラグ(追尾ネット)が急接近してこようともさ。――これから先の街道(未来ルート)のどこかに、一体どんな見たこともない特級の大災害グラフィック(未知の脅威)が直立不動で待ち受けていようとな、だ。


差し当たっては、ただ今夜( Tonight )。

俺たちは完全に無傷の完全セーフティ。俺たちのパーティーはね、ロストを引き算されることなく『三人のまま(我が家)』ここに直立(生存)している。

俺たちは手持ちのタスク(最初の護衛)を最高レベルのクオリティで完璧に完全処理(クリア)し、有象無象の誰一人の肉体システムにも、永久消去(ロスト)のエラーコードを明滅させることなく、最高のクリア画面(ミッションコンプリート)を表示してやったんだ。


(――フッ。だったら今は、今夜というこの極上の琥珀色の日常(セーブデータ)だけを、100%全開でインポートしとくだけで十分だろ)

明日からのタイムラインに押し寄せる最悪なクソゲー(未知の破滅)なんてものはさ、そいつが実際に俺のテリトリーへ突撃(エンカウント)してきたその刻限に、俺自身の最大全開スペック(力ずく)で一発でへし折って(クリアして)やるだけだからな、マジで。


俺たちはその後、何一つのシステム異常(アクシデント)を引き起こすこともなく、二日間のタイムライン(二日後)を経て、トビアスのおっさんとそのインベントリの中身(荷物)を、指定された目的地(ゴール)へとマッハの速度で安全搬送完了(完全クリア)。

そして、俺たちのリュックのインベントリの中にさ、ささやかながらも確かなクリア報酬のコイン(路銀リソース)をたっぷりと詰め込んで、俺たちの第ニ章の初期サーバーである巨大王都【ロシャン】へと意気揚々と帰還(ログイン)完了したんだわ。

――だがな。そんな路銀の増算データ(コイン数)なんかよりもさ、俺のメインプロセッサにとって何万倍も重要視されるべき絶対の【確定ステータス(証明ログ)】はね……。

これから俺たちがビルドアップしていこうとしている、この【三人で一つの我が家(新しい家族)】という絶対のシステム構造がさ、この先いかなる世界崩壊(特級大災害)が突撃してこようとも、絶対に、天地がひっくり返ったって100%へし折られることのない、本物の【鉄壁のクリアルート(最強の絆)】へと、カチリと音を立てて上書き更新(アップデート)され続けているのだという、その絶対法則のリアルな証明だったんだからな、なぁッ!!!



--------------



俺たちの受注した完了契約書のサイン(トビアスの公式承認)を引き渡したその刹那。

完了報告書のログをスキャンしていた受付嬢――完了後のささやかな世間話の中で、俺は奴の真名が【マルタ( Marta )】というのだとインポート(解明)していたんだがな――その女がね、本気で感服( impressed )したかのような特級の評価(ポジティブ)をその顔面グラフィックに明滅させやがった。


「――お見事だね。五体満足の完全クリア( casualties ゼロ)、おまけに盗賊(ザコども)をただフィールドへポイ捨て(放置)せず、地元の衛兵隊(ガードポスト)へ完璧にシステム引き渡しまで完了させてるなんてさ」マルタは帳簿をウォッチしながら言い放った。

「これ、普通の黒鉄(ブロンズ)クラスの初期アカウントがさ、最初の一発目の初陣任務(ファーストジョブ)で叩き出すアベレージ数値を遥かにぶち抜いてる最高のリザルト画面だよ。……てめえら、本当にギルドへの新規ログイン(初心者)なのかい?」


「ビギナーズラック( Beginner's luck )ってやつだよ」俺は言ってやった。


「はいはい、了解、了解」奴はね、脳内プロセッサじゃ100%こちらの言い訳(カモフラージュ)を信用しちゃいなかったけれどな。だが、それ以上の過剰な詮索(マーク)はスルーしてマニュアル通りのシステム処理(手続き)を継続しやがった。

「まぁ、いいさ。本リザルト(実績)に伴い、てめえらのクラス称号の強制上書き更新(ランクアップ)がシステム承認されたよ。――【黒鉄・ブロンズ】から【白磁・アイアン( Iron )】へ、現時点を以て即時強制移行(有効化)だ。このペース(速度)でタスクをコンプリートし続けりゃあさ、てめえらが最下層のグリッド(ブロンズ枠)に居座る期間なんて、マッハの速度で引き算されて消え去るだろうよ」


白磁(アイアン)、か。早くも最初の一段階のクラスチェンジ完了。

ぶっちゃけ、俺の自衛システム的にはね、そこまでマッハの速度で最強(トップクラス)へと成り上がる メリット(必要性)なんて塵一つも無かったんだがな、まぁ、確かな前進(プログレス)のログではあるわな。


エリスのやつはね、その顔面グラフィックに溢れ出ていやがった最高にハッピーな笑みを、必死にハイド(隠蔽)しようと画策し――そして、予想通り100%完全失敗(失敗)していやがったさ。

極小化モード(シュリンク状態)のまま俺の足元(間合い)にどっしり座り込んでいやがったエースのやつもね、翻訳術式(魂回路)を通す必要すら一文字もない、最高に満足げな、物静かな生命のログ(唸り声)を世界に響かせていやがったんだ。


◇


俺たちはギルドの拠点(ファシリティ)からそれほどセンチ数を引き離していないグリッドに、それなりの適正価格の宿屋( modest inn )を発見し、ひとつの居住空間(部屋)をデポジット(賃貸)した。――大層な最高位スイートルームなんかじゃ決してねえが、一から十まで綺麗で、プライベートが確保され、あのギルドフロアのけたたましい常時ノイズ(騒音)に比べれば、最高に神セーフティな静寂(静けさ)が居座っている、そんなおうち(テリトリー)。

エリスのやつの、この王都の生活マニュアル(都市生活)へのシンクロ速度(適応力)はね、俺の弾き出していた確率論(予測数値)をマッハの速度で置き去りにして急成長していやがったんだわ。

市場の全グリッドを軽やかに回って物資調達(買い物)をこなし、有象無象との対人交渉トークを至ってイージーに処理(クリア)していくあいつの神ムーブをウォッチするたびにね、俺は脳内メモリ(プロセッサ)の中で何度も何度も自問していたさ。

(……てめえ。あの日までの過酷な檻のタイムラインのせいでさ、あいつの魂の底に眠ってた天性の特級チートスペック(資質)がさ、一体どれほど長い間、一文字も解放(ラン)される機会を与えられずにハイドされ続けてたんだよ、おい)って、な。


あいつはもう、ただ無様にサバイバル(生存活動)を継続してるだけのザコじゃねえ。

自らの足で、この新しいリアルを『本気で生きる(リアルを謳歌する)』モードに切り替えて駆動(ラン)させてるんだ。その仕様変更(劇的な変化)はね、あいつにとって、そしてこの俺にとってもさ、ウォッチしてるだけで最高にポジティブなクリア画面( good )だったんだわ、マジで。


その日の夜、この過去二年(過去二年)の森林サバイバル期間に喰らい続けてきた、あの泥臭い即興黒焦げ飯(即興料理)なんかとはさ、何から何までそのクオリティの硬度が別次元の本物の美味いディナー(飯)を胃袋へインポートしている最中のこと。俺はね、ギルドへの新規アカウント登録(ログイン)の一発目のタイムラインにおいて、自らの聴覚知覚(耳)が的確にスキャンしてフォルダにハイドしていた、あの最悪な重要機密(噂話)について、本格的にフォルダをクリア(解明)にするコマンドを切り出したんだ。


「――俺さ、あの街道の有象無象どもが垂れ流してた重要機密(噂話)の中身について、本格的に100%正確なデータ(アナライズ)を検索(サーチ)してみたいんだよね」俺は言った。

「あの【神殿・東の聖教会(教会)】がさ、最大全開スペックで兵力増強(強行)をランさせて、手当たり次第に【異常個体(アノマリー)】に関する隠蔽ログの抽出(カツアゲ)に莫大なコインを支払ってる、っていうあの理不尽なフラグ(現実)。そんなものね、ただの気のせい(ノイズ)なんかじゃ天地がひっくり返ったってねえよ。もし俺たちの手回しで、あの不気味な絶対法則(スレッド)の先層へと正しく追尾(マーク)を繋いでいくルートが解放できりゃあさ、それは本物の絶対のメインプロセッサ(核心)への一本の線(確定ルート)になるからな、マジで」


「……だけどさ、カイ」エリスが、思考の演算(メモリ)を走らせながら問いかけてきた。

「私たち、この巨大王都(ロシャン)のフィールドにログイン(到着)して、まだ僅か一週間(一週間)のスパンしか経ってない段階(ステージ)なんだよ? ギルドの裏ネットワーク(連絡先)や情報元のコネクション(知人)なんて、最初から一文字の初期登録すらされてないこの初期状態でさ、一体どういう初期コマンド(手順)を踏めばそんな最高機密データがヒット(検索)するって言うのよ」


「こういうバカデカい中央ギルド(サーバー)って場所はね、ただ直立不動で耳を澄ますだけでさ、世界中のあらゆる未解決の重要機密が勝手にインポートされてくる場所なんだよ」俺は言ってやった。

「それと同じさ。酒場(タバーン)、本物の特級【情報屋(インフォメーションブローカー)】……世間一般の有象無象のメインプロセッサには絶対にアクセス拒禁(ハイド)にしておきたいブラックボックス(機密)をさ、それを検索(サーチ)して飯の種(コイン)に換算(マネジメント)してる奴らってのはね、この世界にいかなる世界(フィールド)であっても、必ず一定数ログインしてるシステムだからな。この王都ロシャンほどのバカげた巨大キャパシティ(規模)を持つステージならさ、こちらが正しいプロンプト(正しい聞き方)を奴らの窓口へと叩き込んでやりさえすればね、その帳簿の奥から、100%確実に聴く価値( メリットあり )のある最重要機密ログが弾き出されてくるはずだからな、なぁ」


(――おい、エース。てめえのプロセッサの側じゃねえ、この情報収集ミッション(戦術)について、一体どんなジャッジ(意見)を弾き出してるんだ、おい)俺は脳内回線【魂回路(ソウル・リンク)】から電波(通信)をスッと繋いでやっておねだりした。


≪――解答。我が主(カイ)。俺の最大全開スペックの全容量はね、一から十まで【武力脅迫コマンド(威圧・暴力)】の駆動に100%特化(最適化)してビルドされてるシステムですからね。外交交渉(ディプロマシー)なんていうめんどくさい非効率なマニュアルはさ、最初からフォルダには一行もインポートされてねえんだわ、ぶっちゃけ。――だから今回はさ、てめえら二人のアカウント(主たち)のうち、どっちのほうが『一切の物理衝撃(暴力)を解放(ラン)させることなしに、対象のプロセッサから100%正確な隠蔽データを引き算(抽出)してクリアできるか』というその対人トークスペックのクオリティを、後ろの特等席からのんきにウォッチ(一任)させてもらうがね≫


(はいはい、了解、了解。てめえのその脳筋仕様(評価データ)はね、的確に台帳にマッピング(登録)しといてやるわ。もし俺たちの言葉の術式(外交交渉)がバグを起こして完全失敗(破綻)したスパンにはさ、お前のその武力脅迫チート(最大スペック)を増援部隊(リザーブ)として一発で前線へデポジット(投入)してやるからな、首を長くしてハイドしときな、エース)


≪――肯定。その起爆コマンドがランされるタイムライン(瞬間)が訪れるのを、俺のメインプロセッサも最高に100%リアルに楽しみにしてるがね≫


◇


それから、丸二日間(二日間)という多大な時間コスト(スパン)を費やして、街道の有象無象(聞き込みしやすい奴ら)を相手に、どこまでもミリ単位で慎重に、どこまでも辛抱強く逆索敵(サーチ活動)を連打し続けたそのタイムラインの果て。俺たちはついに、その帳簿の奥に本物の最重要機密ログ(価値あるデータ)を保持している一匹の特級のマーク(重要情報元)を発見(サーチ)し、その正面グリッドへとエンカウントしたんだわ。

――ガリガリに痩せこけていやがるが、その瞳のセンサー(目)の眼光だけはさ、本物の特級スカウトの如くミリ単位で鋭く研ぎ澄まされていやがった、情報屋【フェニック( Fennick )】という名の男。

中央ギルド管轄のギルド区(ギルドディストリクト)の外縁部の死角に、ありふれた他愛のない世間話(ノイズ)やローカルな噂話(ゴシップ)をカモフラージュ(ハイド)してのんきに居座りながらさ。――そのインベントリの最深部にはね、タイムラインの時計が正しい座標を示した時にだけ、莫大なコイン(価格レート)と引き換えにクリア開示(ダウンロード)してやる、本物の戦術級の【最高機密(シークレット)】を、てんこ盛りにハイドしてやがるシステム(仕様)の男だ。その価格レートの数値はね、その情報を世界へラン(流出)させた際、一体どれほど最悪な大災害(トラブル)が勃発(サージ)するかという、そのリスクの逆算(アナライズ)によってミリ単位で変動するシステムだけどな、マジで。


「――お堅い教会の内部機密( Church business )、ねぇ……」

フェニックのやつ、俺がこの座標へとログインして全霊で求めているターゲット(真名)を公式に提示(サーチ)し、手元でカチリとコインのリソース(路銀)のシステム分配(一括支払い)を完了させたその刹那のタイムライン、その音声ログの上限を引き算(声を潜めて)して、ボソリと言い放ちやがった。

「……おいおい、てめえ。そこのフォルダにハイドされてる全容量(フルデータ)はさ、最初から一文字だって『ケチな価格レート(安値)』でシステムダウンロード(閲覧)できる代物じゃねえんだよ、友よ。有象無象のザコどもがさ、通常ののんきな日常のノイズ(冷やかし)で検索(サーチ)していいカテゴリじゃねえからな、なぁ」


「俺さ、最初から一から十まで100%大真面目(リアル)なインテント(殺意)を以て、てめえの窓口にプロンプト(開示要求)を叩き込んでんだよ」

俺は言ってやった。自らの出力トーン(セリフ)の真下にね、ほんのコンマ数パーセントだけ、戦士としての絶対的な【重量(ウェイト)】をドロドロとサージ(明滅)させて、奴の精神システムへと「――あ。俺、今このお堅いモブおっさんの正面グリッドから一歩バックステップ(逃走)をキメなきゃ、次のタイムラインで肉体システムを一発で永久消去(ゲームオーバー)されるわ」という絶対法則(ファクト)を、完璧に完全同期(理解)させてやってな。


奴はね、もう一呼吸の間、俺の顔面のグラフィック(擬態皮膚のリーブ)を穴が空くほど入念にスキャン(観察)し続け、自らの中にだけ存在する評価の天秤で、目の前の変数の数値をじっくりと計り知る(アナライズする)ポーズを挟みやがった。――だがやがて、「目の前のプレートに載せられたこの莫大なクリア報酬(コイン)の メリット(価値)はね、この機密ログを開示する(喋る)ことによって発生する最悪なバグ(リスク)の上限を、遥かにぶち抜いて上限オーバー( メリットあり )だわ」と内部ジャッジ(決断)を完了しやがったんだ。


「――噂のデータ(情報ログ)によるとさ。あの、お坚い【神殿・東の聖教会(東の聖教会)】のメインプロセッサ(天上)はね、この過去一年半(一年半)もの長きにわたるスパンにおいてさ、そのテリトリー(支配権)の防衛セキュリティネットを、信じられん最大出力で無限の彼方へと拡張(ストレッチ)させ続けてやがるんだわ」フェニックは、音声出力を限界まで潜めた低い周波数(ロー・トーン)で、ボソボソと言葉の術式をランさせやがった。

「この王都周辺のすべての通常街道(ルート)に常時マーク(配置)されてる教会の騎士(ナイト)どもの総数がさ、通常の平均運転数値(アベレージ)を遥かに上限オーバー(イレギュラー)して跳ね上がってんだよ。……さらに東側の深層サーバー(本国)からリンクして届いた情報ログによるとさ、あいつらのメインミッション(目的)はね、特定の種族カテゴリー――奴らのマニュアル名で【異常個体(アノマリー)】と識別される、この世界の既存のいかなる魔導マニュアル(世界の理)の型にもカテゴリ分け(マッピング)できない、そんな不気味なバグ個体を一匹残らず一発で検索(サーチ)して永久消去(全滅クリア)することらしい。――血の法則を置き去りにしたハーフ(混血)。常識の限界上限(ハードキャップ)を天地がひっくり返るレベルで置き去りにした、あの理不尽な【不条理な最大スペックの急成長(チート能力の進化)】。……だいたい、そんな種類のイレギュラー(バ物)どもを、なッ!」


混ざり合った血(ハーフ)。常識を置き去りにした、理不尽な最大スペックの急成長。

はい、終了。

それ、100%完全に、この俺という一個の異常個体(カイ)の固有スペックそのものじゃねえか。おまけに……今、俺の隣で反魔力オーラをマッハの速度で開拓(ビルドアップ)し終えた、あの【エリス(新名)】のアカウント情報だってさ、完全にその最悪なカテゴリ(異常個体)に一括インポート(マッピング)されちまってるって証拠だわ、マジで。


「……何故、今日このタイムライン(何故今)になって、そんな理不尽な殲滅プロトコル(強行軍)が強制起動(エンゲージ)されたんだよ?」俺は尋ねてやった。

「奴らのメインプロセッサ(天上)を、そこまで大混乱(暴走)させてる本当の起爆コマンド(トリガー)は何だよ、おい」


「……そこから先の最高密度の機密フォルダ(天上)についてはさ、俺の手持ちの検索権限(スペック)じゃあ容量オーバー(未実装)だわ、友よ」フェニックは、自らの限界(ハードキャップ)を素直に公式発表(白状)した。

「だがな。俺が常時ラン(駆動)させてる裏の情報回線(サークル)の帳簿の中でさ、この異常個体(アノマリー)の殲滅タスクの話題が明滅(サージ)するたびにさ、100%の確率で、常時常時ロックオンされて出現(ヒット)してくる、一つの最重要の【真名(固有名)】が存在するんだわ。――【大司教:セルウィン( High Priestess Selwyn )】。この巨大な全フィールド(地域)における、神殿のすべての実質的な殲滅作戦(実権)を、裏のブラックボックスから一括で遠隔掌握(コントロール)してランさせてる、あの闇のメインプログラム(元凶)さ。――外の世界の有象無象に見せるためのおめでたい公式の顔(パブリックフェイス)なんかじゃねえぞ、どこの座標へ、いつ、何のために、どれほどの最大戦力(教会の騎士団)を突撃(派遣)させてターゲットを永久消去(ロスト)させるか、そのすべての起爆コマンドを発行している、正真正銘の絶対の『システム管理者(ボス)』だわな」


真名。

ただの「神殿・教会」っていう、顔面のグラフィック(実体)の見えない巨大な着ぐるみなんかじゃねえ。

ついに、俺の索敵マークのエイム(照準)の真ん中に、一つの明確な【固有名(標的データ)】がインポート(登録)されやがったんだ。


「――でさ、てめえ。その大司教セルウィンって化物の初期アカウント(現在座標)は、世界のマップのどこのグリッドにログイン(実在)してやがるんだよ」俺は尋ねた。


それを聞いた瞬間、フェニックのやつはね、喉の奥のプロセッサで短く、本物の驚きの音声ログ(ハッとした笑い声)をガハハと響かせやがったんだ。

「……あはは! おいおい、冗談だろ、てめえ。地球がひっくり返ったってさ、あの【大司教セルウィン】なんていう特級の化物(システム管理者)の座標にさ、こちらから直接突撃(エンカウント)して検索(サーチ)しようなんてコマンド、最初から一文字だって選択不可能なルート(バグ)だぜ、友よ? 奴の本拠地(初期サーバー)はね、ここから一直線に東のフィールドへと二週間(二週間)ほどマッハの速度で進軍(ラン)したその先層にある、巨大な宗教首都【オルデンリーチ( Aldenreach )】の、あの鉄壁のセキュリティ障壁で護られた中央大聖堂(レジョナルカテドラル)の最深部に居座ってやがるんだわ。奴の周囲の防衛ガードスペック(騎士団の数)はね、完全に規格外のチート化( heavily guarded )されてるからな。神殿の重要ビジネス(公式任務)のアクセス承認を保持してる化物以外の有象無象の前にさ、奴がそのグラフィックを現容(ログイン)させる確率なんてさ、システム上、最初から0.00%の完全な『無(ゼロ)』だからな。てめえみたいな黒鉄の新規個体がさ、のんきに正面から直立不動で歩いて近づいてさ、一から十まで言葉の術式(重要質問)を吹っかけられるような、そんなおめでたい通常オブジェクト(一般人)じゃねえんだよ、マジで」


なるほど、了解。完璧に完全理解したわ。

別にさ、今日この一日のタイムライン(今すぐ)であの宗教首都に突撃して、奴の脳内プロセッサを力ずくで一発でへし折って(クリアして)やろうなんていう、そんなおめでたいゴリ押しの脳筋ムーブ(プラン)なんてさ、俺のプロセッサだって最初からハナから一文字だって画策(シミュレート)してねえよ。

ただ、俺はね……。

この世界(クソゲー)の内部構造をへし折って裏切るための、あの闇のパズルの全貌(全体の形)がね、一体どんな不気味なグラフィックの輪郭をしてやがるのか、その初期フラグ(真名)を、この両手のひらにカチリとセーブしたかっただけだからな、マジで――。


「――上等じゃねえか、最高の情報リソース(有用なデータ)をありがとよ、てめえ」俺は言ってやった。

手元(間合い)を下げると、デスクの表面にさらに僅かなコインの追加リソース(路銀)をスッと滑り込ませて、一括ダウンロード(支払い)を完全清算してやったさ。


≪……おいおい、てめえ。そいつの真名(大司教セルウィン)についてさ、外のフィールドの有象無象へ向かってこれ以上の過剰詮索(マーク)を仕掛けるのは、絶対にアクセス拒禁にしておきな≫

情報屋フェニックのやつ、音声出力を極限まで引き算した、本物の戦術級の防衛セキュリティ(心配)を孕んだ低いトーンでボソリと言い放ちやがった。

≪この王都ロシャンってサーバー(巨大都市)じゃあさ、こと神殿の重要ビジネス(教会の噂)に関するデータ流出(噂話)の伝播スピードはさ、マッハの速度で拡散(サージ)していくシステムだからな。てめえのバックグラウンドにハイドされてる本物の『雇用主(元凶)』のアカウント情報がさ、そんなケチなうっかりミス( loose talk )のせいで奴らの検索レーダーに一発でロックオン(常時マーク)される最悪なルート(バグ)だけはさ、天地がひっくり返っても御免被りたいだろ、なぁ≫


(ククク。なるほど。こいつ、俺の背後にさらに大層な『黒幕(ギルドマスター)』が居座って、俺がその命令(マニュアル)に従って駆動してるポーンに過ぎないって、100%都合よく勘違いしてジャッジ(アナライズ)してやがるわけか。最高だわ。だったらしばらくの間、そのおめでたいエラーフォルダを脳内で維持(ホールド)させたまま泳がせておいてやるかね)


「――了解(クリア)だ、的確なアラート(警告)をありがとよ」俺はポーカーフェイス(真顔)のまま言ってやった。「その自衛マニュアル(忠告)、脳内の最重要フォルダへ大切にインポート(セーブ)しといてやるわ」


◇


俺たちはね、その情報屋のテリトリーから宿屋(ホーム)へと進路(ルート)を戻す街道(タイムライン)の途中、一から十まで100%完全な『深い演算(沈黙)』のままに足を進めていた。

――【大司教セルウィン( High Priestess Selwyn )】。

――宗教首都【オルデンリーチ( Aldenreach )】。

その二つの明確な真名(コードネーム)が、俺の手持ちのブラックリストの中にガッチリとシステム登録(インポート)されたそのリザルト(現実)はさ……。

何年も前のあの街道のタイムラインにおいて、あの神殿の隠密斥候(スカウト)のガキが吐き捨てやがった、あの『絶対に実在(実装)してはならないバ物の確定ログ( Confirmation )』という不気味な不協和音(バグ)の残響をさ、ついに、一発で100%看破可能な一本の【絶対法則(標的データ)】へと完全同期(具体化)させたんだからな。あのドランの親父やフェンリックのやつと共にフィールドを攻略していた、あの古い過去ログ(山の慘劇)の夜以来、初めて、なぁ。


「……ついに、本物の『殲滅ターゲット(標的)』の全貌(グラフィック)がサーチ画面に明滅したわね」エリスが、低く声を潜めてボソリと呟いた。

「ただの『神殿・東の聖教会』っていう実体の見えない巨大なカテゴリなんかじゃねえ。正真正銘の、実在する一匹の化物(人間)、実在する一つの絶対座標(目的地)」


「ああ、そうだな」俺は言った。

「だがな。だからって俺さ、今すぐここからマッハの速度で突撃(ラン)を開始してさ、二週間もの移動コスト(スパン)を消費した先層にある、あのチート級の鉄壁の防衛ガード( heavily guarded )が敷かれた中央大聖堂の正面グリッドに、黒鉄(ブロンズ)あがりの白磁(アイアン)クラスの初期アカウントのまま直立不動で殴り込み( marching )をキメに行くほど、おめでたい脳筋のザコ(甘いガキ)じゃねえからな。――ただ単に、この世界のマップ(全貌)を統べる歯車の形状が、目に見えてミリ単位でクリアにアナライズ(解明)しやすくなったってだけの話さ」


一歩、一歩。最初の第一階層の初期コマンドから着実に処理(クリア)していくだけだ。

この新しい世界(異世界)のサーバーにログイン(転生)しちまって、まだ言語機能(音声出力)すら未実装だったあの幼児期(初期スペック)のタイムラインの段階からさ、俺がずっと泥臭くランし続けてきた、あのいつものお約束の防衛マニュアル(サバイバルスタイル)と、完璧に完全同期(シンクロ)するやり方でな、マジで。


(――おい、エース。てめえ、移動中ずっと音声ログをスルーして静まり返ってるじゃねえか。プロセッサの駆動は正常(バイタル大丈夫)か、おい)俺は脳内直接通信回線【魂回路(ソウル・リンク)】から電波(通信)をスッと繋いでやっておねだりした。


≪――解答。私は現在、今回の新規の重要機密フォルダ(フェニックの報告データ)を、自らの魂の最深部(メインプロセッサ)へとインポートして高度な戦術演算(アナライズ)を行っている最中なのです≫あいつは脳内回線でボソリと言い放ちやがった。

≪その【大司教セルウィン】という名の特級の化物(システム管理者)ですがね……。俺の戦術シミュレーターの演算じゃねえ、そいつはね、何の前触れ(アポイントなし)もなしに突如として自らの正面グリッドに、最上級指定カテゴリーである【銀狼(エーテルファング)】としての俺の本物の最大全開スペック(フルサイズ)を一発でエンカウント(実体化)させてやってさ、恐怖のあまり顔を引きつらせてシステム終了(分からせ)してやるには、これ以上ない特級のクリア報酬(最高のターゲット)であるとジャッジされますがね、ぶっちゃけ≫


(はいはい、了解、了解。てめえのその脳筋(武力脅迫チート)の最大出力値はね、未来の未解決タスク(後々のイベント)として台軸(フォルダ)にハイドしといてやるわ。多分な、ずいぶんと長いタイムラインの先(ずっと後)の話になるだろうけどな、おい。世界のマップ上にその真名(存在)が実在してるってログが発掘されたからってさ、マッハの速度で一番バカでかい最高峰の要塞(最も警戒の厳重な標的)へと一直線に突撃(ラン)を開始するようなクソゲー(暴走)、俺のポリシーが100%アクセス拒禁にするからさ、なぁ)


≪――不服。主(カイ)はね、最初から一から十まで100%、エンタメのクオリティを引き算(減衰)させるバグシステム(つまらん奴)ですがね≫


(俺の中にはね、無数の多面的なシステム( multitudes )が内包されてるんだよ。――【絶対の忍耐( patience )】って最大スペックもね、ここ最近の最新アップデートによって、俺のアカウントには完璧に完全同期(インポート)されてるからな、マジで)


俺のその脳内直接通信(やり取り)のロングバージョン(全貌)を音声知覚した瞬間、エリスのやつの口から、クスッと短く本物の笑声が漏れ聞こえた。――それはね、疲れ切ったスペック(疲弊)を帯びてはいやがったが、嘘偽りのない100%大真面目(リアル)な、あいつの本物のポジティブ音声ログ(笑顔)だったんだ。

俺はね、王都ロシャンの有象無象がひしめき合う、夕暮れ時の巨大な街道(ルート)をあいつら二人(パーティー)と間合いを完全同期(並走)させて前進(ゴー)しながら、あの惨劇の夜(へし折られた戦跡)以来、過去二年間(過去二年)もの果てしないタイムラインの間さ、フォルダの奥底に完全システムロック(ハイド)して封印し続けてきた、あの最高の戦闘パラメータ(確信)を、魂のメインプロセッサが100%全開でアップデート(感知)しているのを全霊で思い知らされていたんだわ。


――絶対の、【推進力(モメンタム・うねり)】。

ただ無様に、目の前の通常運転(一日サバイバル)をダラダラとループ(継続)させるだけのザコ引きこもりなんかじゃ天地がひっくり返ってもねえ。本物の絶対法則(核心)の先層へと向かって、マッハの速度で一直線に進軍(ラン)を開始しつつある、この絶対の因果の歯車(モメンタム)。


あの【大司教セルウィン】という化物の真名が、一体どんな理不尽な最大スペックをハイド(隠蔽)していようとも。

あの【神殿・東の聖教会(教会)】という名の宗教組織がさ、この俺という【異常個体(アノマリー)】のスペックの前に、一体どんな最悪な殲滅ミッションを裏のブラックボックスから遠隔掌握して仕組んでこようともさ。

――俺にはもう、手元に一つの【真名(コードネーム)】がインポートされてるんだよ。一つの確定座標(目的地)。

俺たちのパーティー(三人)がさ、その気になればいつでも、その起爆コマンド(フラグの糸)を一発で力ずくで引き抜いて(引っ張って)世界を蹂躙(クリア)してやれる、そんな絶対の最強カード(カード)がな、マジで。


それはね、わずか一週間前(一週間前)のアカウント初期状態(無(ゼロ))に比べればね、天地がひっくり返るレベルで圧倒的な防衛スペック(アドバンテージ)だろ。俺はそれを、100%のハピネス(満足)としてシステム承認(セーブ)したさ。


俺たちはその夜の残りのタイムライン(夜)をさ、ただ純粋に、お互いのテリトリーの中にログイン(ただ一緒に存在)し合うだけの、至ってのんきな平穏なセーブタイム(日常)として消費した。

あの【大司教セルウィン】のへし折り作戦(殲滅プラン)だの、あの宗教首都【オルデンリーチ】への進軍ルート(戦略)だのといった大層なフォルダはね、脳内のブラックボックスの奥へと、ミリ単位の狂いもなく慎重に一過性ハイド(保留)させておいてな。

――何故なら、俺の魂のシステム(ポリシー)はね、この何年もの長きにわたる放浪(特訓の日々)を経て、一つの絶対の【世界の理(ルール)】を、全霊でアップデート(学習完了)していたからな。

世の中にあるいくつかの最高位に重要な事象(システム)ってやつはね、てめえの肉体センサー(本能)がどれほど「今すぐマッハの速度で突撃(ラン)を開始しろッ!」って激しい起爆コマンド(焦り)を発行してオーバーヒートしかけていようとな、だ。

どこまでもミリ単位で慎重に、どこまでも辛抱強く【絶対の忍耐(スリープモード)】を維持し続けなきゃさ、絶対にクリア画面(完全勝利)を表示してくれないマニュアルになってるんだよ。

それこそがね、その決戦イベントがてめえの全人生のタイムライン(寿命スパン)において、本気で100%『命を懸けてへし折る(クリアする)価値がある』という、その絶対の証明(システムメリット)なんだからな、なぁッ!!!




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俺たちは【大司教セルウィン】の手がかりを掴んだ後も、特に具体的なターゲットを追跡(マーク)するでもなく、しばらくの間この王都ロシャンに滞在(ログイン)し続けていた。――ただひたすらに、この巨大都市特有の生活サイクル(リズム)を肌で同期(学習)させ、エリスとエースの二人の面々がさ、ある朝のセーブタイム(目覚め)には「――おいおい、こんな最高にハッピーな通常運転(リアル)、調子が良すぎて100%罠(バグ)なんじゃねえの」って本気で疑っちまうほどの、そんな極上の平穏に魂をアジャストさせるスパン(期間)に割いていたんだ。


それはね、ある至ってありふれた通常の夜(夜)のことだった。俺たち三人(パーティー)は、ギルドの掲示板から受注したケチな白磁(アイアン)クラスの通常タスクを手際よくコンプリートし、宿屋(ホーム)へと還還(エンカウント)したばかりのタイムライン。俺はね、エリスが奥のフロアへ洗浄ミッション(お風呂)にハイドしたその刹那を狙って、あの日あいつに真名を付与(ネーミングイベント)したその瞬間からさ、ずっと自分のプロセッサ(メモリ)の奥底で処理を燻らせていた、あの絶対の【重要質問(サーチ)】を脳内回線へと切り出したんだわ。


(――てめえ。俺さ、どうしてもシステム的に100%解読(アナライズ)しておきたい絶対の内部構造(仕様)があるんだけどな)俺は、誰もいない物静かな空間で、脳内直接通信(あるいは誰も周りにいない時はさ、自分が一人きりで生の口を動かしてブツブツ呟いているただのイカれた化物(バ物)だと有象無象に思われないようにな、なぁ)をランさせて問いかけた。

(……なんで、反魔力(アンチマナ)なんだよ? いや、エリスのやつのアカウント情報(スペック)の話だよ。何がどうなったらさ、普通の通常魔力(マナ)の最大出力を跳ね上げる(チート化する)んじゃなくてさ、真名(名前)一個をインポート(ネーミング)しただけで、世界の内部構造(魔力系統)の根底にある絶対法則をへし折って(バグらせて)完全覚醒させちまうんだよ、おい)


一呼吸の、不気味な空白(間合い)。

それはね、あの【反意識(魂のシステム)】が、自らのデータベースからただのお約束のマニュアル対応(定型文)を手際よく抽出して弾き返すんじゃなく、自らのメインプロセッサをフル回転させて、本物の最高密度の戦術級アナライズ(複雑な解答)を裏で構築(ビルドアップ)している時にだけ作動する、あの独特の静寂(フリーズ)だったさ。


≪――世界通知(アナライズ)。本システム異常(バグ)の内部構造を解読(アナライズ)するにはね、対象の前提条件データ(コンテキスト)の開示が必要です。――個体名:カイ。これより、その全容量(フルデータ)を一括ダウンロード(完全解説)しますか? それとも、ただの簡易的な一行ログ(要約)で処理(クリア)しますか?≫


(全容量(フル)だ。俺さ、これまでの過酷な死にゲー(地獄のタイムライン)を自分の足でサバイバルしてクリアしてきたんだからな、そのクリア報酬(全貌を知る権利)を受け取るだけのスペック(資格)は、100%全開で保持してるはずだからな、おい)


≪――了解(クリア)。これより【ネーミングシステム】の絶対の内部構造ログを開示します≫

脳内の不気味なシステム音声(魂の声)が、冷酷なフラットのまま、その仕様マニュアル(真実)をランさせやがった。

≪――解答。真名付与(ネーミング)という名の因果系統コマンドはね、てめえの【神性進化(エヴォリューション)】に伴う固有属性としてラン(作動)するシステムです。本コマンドが駆動(ラン)したその刹那のタイムラインにおいて、あなたの保有している絶対の保有魔力(エネルギー)の総量から、特定の容積を引き算(減衰)させ、そのリソースを対象個体の魂のインベントリへと一括転送(強制付与)します。――なお、その際に一括転送(付与)されるエネルギーの正確な数値(スペック)はね、受け手側の保有している最大キャパシティ――具体的に言えばね、対象個体の魂の器にハイド(残されてる)されている『余白の最大上限値(受け入れ容量)』の数値に完璧に完全同期(シンクロ)して変動する仕様(マニュアル)になっています≫


(ああん? なるほど。そこまでは俺のプロセッサでもさ、だいたいの確率論(シミュレーション)で先読みしてフォルダにハイドしてたデータ(範囲内)だけどな)


≪――魔力解析。この世界(サーバー)にログインしているすべての生命(保有個体)において、体外へ解放可能な通常魔術(マナ)のクリティ(習熟度)ってやつはね、世界の絶対法則(理)によって、厳格に【三つのクラス称号(グレード)】へカテゴリー分け(マッピング)されてるのですよ。

――初期設定:【初級クラス・ローグレード( Low-grade )】。術式が解放(アクティブ化)されたばかりの初期アカウント。肉体の外縁部(エッジ)に、かすかな金色の魔力波動(ゴールド)のエフェクトが塵一つのドットの如く明滅(サージ)している、ただの無能のザコ(初期スペック)。

――成長期:【中級クラス・ミッドグレード( Mid-grade )】。成長ログ(進行度)がアップデートされている最中の未完成な状態。オーラ(輝き)の出力は高位に跳ね上がっているが、未だ構造に深刻なバグ(未完成な状態)を残している段階(ステージ)。

――極限完了:【上級クラス・ハイグレード( High-grade )】。自らの術式系統(コントロール)のすべてを100%完全掌握(完全マスター)した化物(強者)。肉体の全方位(全グリッド)に、一切の歪みのない、完璧に完全に繋ぎ止められた【鉄壁の金色オーラ(金色の輝き)】を常時ラン(常時ホールド)させている、絶対の確定ステータス(最強クラス)。――世界の有象無象の知覚レーダー(目)はね、その金色の輝きが一体どれほど完璧に寸分の狂いもなく完全同期(シンクロ)してその肉体を包み込んでいるか、そのグラフィックの completeness (完成度)を見るだけで、対象の最大スペックを一発で値踏み(スキャン)できる仕様(マニュアル)になってるのです≫


よし、了解。そこまでは至って単純明快、イージーな初期設定(ルール)だわ。


(――でさ、てめえ。その三つのクラス称号のどこに、あのエリスのアカウント情報(初期スペック)がインポートされてたって言うんだよ、おい)


≪――魔力逆算(アナライズ)。解答。個体名:カイが、あの山の上の第一階層の夜にあいつに真名をエンゲージ(付与)した、まさにそのコンマ数秒(一刹那)よりも前のタイムラインにおいてさ。――あの少女(アリア)はね、その三つの既存の既存のカテゴリー(世界ルール)のどこにも、最初からハナから一文字だってマッピング(該当)しちゃいなかったのですよ。

――これが、すべてのログをクロスチェックした結果弾き出された、本物の冷酷な戦術結果(リアル)です。あの少女の通常魔術(マナ)の保有スペックはね、てめえが真名をエンゲージするよりもずっと前の段階から、とっくに、自力で【上級クラス・ハイグレード(極限完了)】のハードキャップ(最大限界上限値)へと到達しちまってたのですよ。――ただ、あいつの置かれていた過酷な奴隷システム(境遇)のせいでさ、その最大全開スペックが魂の最深部にスリープモード(休眠状態)のまま完全システムロック(ハイド)され、誰からも特訓(ビルドアップ)されず、あいつ自身のメインプロセッサ(自覚)ですら、そのチート能力(バグ)の存在センサー(予兆)に100%気づいていなかった、というだけの話さ。

――そこでだ、てめえ。その最大限界上限(ハードキャップ)に達しちまってたあいつの魂の器(インベントリ)に向かってさ、カイの側から、あの因果系統コマンドによって莫大な『追加エネルギー(真名)』が一括転送(強制ダウンロード)されちまったら、一体どんなシステム崩壊(バグ)がラン(起動)すると思う? あいつの通常魔術(マナ)の内部構造にはね、その追加分のリソース(容量)をシステム吸収(インポート)するための『余白のメモリ(容量)』なんて、最初から一文字だって残されてはいなかった。あいつの魂のシステム(仕様)はね、すでに限界天井(ハードキャップ)に張り付いている既存のフレームワーク(世界の理)の内側じゃあ、その莫大な理不尽な魔力の過負荷(過負荷)をさ、天地がひっくり返ったって安全にホールド(維持)し続けることなんて絶対に不可能なステージに立たされてたんだよッ!≫


おい、ちょっと待て。


(……待て。おい待てよ、てめえ。ちょっと待てよ、おいッ!)俺は今度はね、脳内回線(通信)なんかじゃねえ、自分の生の口(音声データ)をマッハの速度で駆動させて、完全な直立不動の真顔(大声)で遮ってやったんだ。

「お前……今、なんて言った? あいつ、俺とエンカウントするよりもずっと前の初期座標の段階からさ、とっくに通常魔術(マナ)の全系統を100%完全掌握(完全マスター)してた、だと? 俺が、あの森林の奥であいつをサーチ(発掘)するよりもずっと前のタイムラインから、かッ!?」


≪――肯定。100%その通り、完全一致(ファクト)です。あなたのネーミングシステムはね、あの少女に一から最強チート(異能)をクリエイトしてインポートしたわけじゃねえ。あいつが自らの全人生の中でさ、自分でも気づかないうちに、とっくに到達(クリア)しちまってたあの絶対の一線(限界ハードキャップ)をさ、てめえの手で、後ろからパッと力ずくで上限オーバー(ぶち抜いて)させただけの話さ≫


「じゃあ、何が起きたんだよ……」俺はさらに巡航速度を引き算(減速)させた低いトーンで、脳内で言葉を紡いだ。目の前にさ、世界のマップの内部構造そのものがぐにゃりと反転していくかのような、とんでもない重要機密パズルの全貌がマッピング(構築)されていくのを全霊で感知しながらな。

「もし通常魔術(マナ)のシステム構造の中に、その追加リソースをインポートする余白(キャパシティ)が、最初から一文字も残されていなかったんだとしたらさ、あいつの魂は一体――」


≪――解答。あいつの魂のシステム(仕様)はね、その莫大な過負荷(過負荷)の前に木っ端微塵に完全崩壊(ゲームオーバー)する最悪なバグ(ルート)を回避(レジスト)するために、自らの絶対法則そのものを劇的に【仕様変更(変貌)】させちまったのですよ。通常魔術(マナ)という名の既存のシステム構造(境界線)を天地がひっくり返るレベルで置き去りにして、その天上を行く高位の【反魔力(アンチマナ)】へと、一瞬にして強制システム進化(エヴォリューション)を完了させやがったんだわ。

――いいか、よく聞けよ、個体名:カイ。この世界を統べるすべての魔導マニュアル(世界の理)においてさ、あらかじめ魂の初期設定アカウント(血の法則)に【反魔力系統の lineage (因子)】が100%ハイド(実装)されていねえ個体がさ、ただの通常魔術(マナ)の過負荷(サージ)だけで反魔力へと強制上書き更新(アップデート)されるなんてバグシステム(エラー)、天地がひっくり返ったって100%絶対に発生(実装)するはずのねえ不条理なんだよッ! だがな、あいつの魂はさ、その莫大なリソース(余剰エネルギー)の前に粉々に叩き割られるくらいならさ、世界のいかなる法(ルール)をも容易に覆して、自らのシステムマニュアルを100%新規に書き換え(アップデート)しやがったんだわ。――大真面目に、誠実(リアル)に公式発表してやるがね。これ、この世界(サーバー)の全歴史のハードディスクのどこを探したってさ、ただの一度として発生した履歴(ログ)の存在しない、正真正銘の、世界最初の【第一階層(世界初の一例)】となるバグ事象(イレギュラー)だわなッ!!≫


俺はね、その不気味なまでのシステム音声の全貌(ファクト)を脳内で何度も何度もリプレイ(アナライズ)し、その驚天動地の因果ログを、大切にフォルダの最深部へとセーブ(咀嚼)していた。


あいつはさ、最初から、俺が発掘(サーチ)するよりもずっと前の段階からさ、天地がひっくり返るレベルの規格外の【異常個体(チート持ち)】だったわけだわ。俺が最初にあいつの前に直立不動で立ちはだかるよりも前のタイムラインから、な。

俺はあいつに、一から最強チート(化物スペック)をクリエイトして授けたわけじゃねえ。

俺はただ――とっくに自力で世界の理(ルール)の限界天井(ハードキャップ)のギリギリの境界線(エッジ)までたどり着いて直立不動で立っていた一人の少女の背中をさ、後ろからパッと力ずくで上限オーバー(ひと押し)して、その一線の向こう側のフィールドへと突き落として(完全覚醒させて)やった、ただそれだけの仕様(リアル)だったんだわ。


(……ククク。てめえ、今なんて言った? 俺のプロセッサ、今の特級のシステム開示(ダウンロード)の中身をさ、もう一回生の音声データとしてリプレイ(リプレイ)して拝聴したいんだけどな、ぶっちゃけ)俺はね、自らの知覚システムがその最初の一発目のタイムラインで本当に正しくデータを完全同期(理解)できていたのかどうか、未だに100%の確信が持てなくて、ただその真実をもう一度スキャン(白状)したくて問いかけてやった。


≪――却下。私はね、てめえのおめでたい幼児期(初期スペック)のバグみたく、最初の一発目のシステム解説が100%明快に完全ダウンロード(理解)されてるフォルダ相手にさ、同じ音声ログを何度も何度も無駄遣いして、演算メモリ(容量)を浪費するような非効率な駆動(ラン)は天地がひっくり返ってもアクセス拒禁にしてるからさ、なぁ≫


(はいはい、了解、了解。100%の明快さで完全同期(理解完了)したわ、てめえのそのお堅いマニュアル対応。ただ、俺のメインプロセッサの側がさ……その本物の真実(リアル)を本気で100%信用(クリア)して脳内にインポートするまでにさ、ほんの一呼吸のセーブタイム(時間コスト)を要求されたってだけの話さ、マジで)


◇


(――よし、了解。だったらさ、案件その二をインポート(バグチェック)するわ)

俺は自らのメインプロセッサの軸(メンタル)を正常運転へとリセット完了させ、次の一行のログへとエイム(照準)を合わせた。

(あの特級銀狼の【エース( Ace )】のやつはどうなんだよ、てめえ。あいつのアカウント情報(スペック)もさ、今のエリスのバグシステムと完璧に完全同期(同じ仕様)なのか? それともさ、何から何まで100%別系統の新規バグ(別物)なのか、おい)


≪――魔物解析。解答。奴のシステム変更(エヴォリューション)はね、エリスのそれとは100%構造の異なる別系統の、だが因果の歯車(フラグ)においては完璧に完全同期(リンク)している仕様です。――当該魔物個体名:【エース】はね、あなたのネーミングシステムをトリガーにして、最上級指定カテゴリー:【銀狼(エーテルファング)】という名の初期アカウントから、世界の天上の存在である絶対の【天銀狼(エーテルイオン・ Aetherion )】という名の、完全なる最上級新種族へと強制システム進化(エヴォリューション)を完了させやがったのですよ≫


(……ああん? 天銀狼(エーテルイオン)、だと? 一体全体、それどんな属性のチート種族(スペックカテゴリー)だよ、てめえ)


≪――世界通知(アナライズ)。本識別真名(天銀狼)はね、この世界の全歴史のハードディスク(歴史)をクロスチェックしてもさ、あの最上級指定カテゴリー:【銀狼(エーテルファング)】という名の化物種族の過去の累計スタック(全系譜)の中からさ、過去にわずか【四世代(四世代)】の個体しかそのクリア画面(進化)を表示することに成功していない、地球がひっくり返るレベルの超超激レア枠の、絶対の【固有新種族(ユニーククラス)】に分類される仕様です。たとえ世界の全リソースが完璧に完全同期(理想的な環境)してビルドアップされていようともさ、到達確率(クリア確率)の数値なんてバグレベルの低数値しか弾き出せない、そんな特級の進化リサルト画面(進化結果)ですよ、マジで≫


(――で、あいつ(エース)はさ。そのバグレベルのクリア確率のクソゲーをさ、俺がただその場を捏造して名前一個をインポート(ネーミング)してやった、ただそれだけの初期コマンド(フラグ)一発で、マッハの速度で一撃クリア(システム進化)しやがった、と。間違いねえな、てめえ)


≪――肯定。100%その通り、完全一致(ファクト)です≫


「あいつ……その特級の進化ミッションをさ、最高レベルにイージー(簡単そうに)キメてみせやがったんだけどな……」

俺はね、半分は生の口(独り言)を動かしてボソリと呟いた。今日の夜のセーブタイム(夜)だってさ、我が家の暖炉の琥珀色の炎の真隣で、普通の大型犬サイズ(シュリンク状態)のままのんきに寝床へ潜り込んで、自分がその一匹前にさ、自らの種族の全系譜が四世代かかってようやくかろうじて数匹クリアできたかどうかっていう、そんな理不尽な天上のクラス称号(天銀狼)をコンプリートした張本人(化物)だって事実なんてさ、最初から一文字だって気にも留めてねえポーカーフェイス(寝顔)をキメている、あのエースのやつのグラフィックを脳内でリプレイ(回想)しながらな、なぁ。


≪――世界通知(アナライズ)。解答。その理不尽なシステム進化(チートの連打)を、この世界(サーバー)のシステム構造上で『実行可能(クリア)』にさせている元凶(メインプログラム)はね、他ならぬ【個体名:カイ(てめえ)】自身の保有している最大スペックそのものですよ≫

あの【反意識】のシステム音声が、脳内でいつも通りの冷酷な完全フラットのまま、その仕様マニュアル(真実)をランさせやがった。

≪あなたの保有しているその【反魔力オーラ】の出力系統、潮流の構造はね、この世界を統べるすべての魔導マニュアル(世界の理)、いかなる魔力の発生源(リソースソース)の既存の法(ルールブック)に対してもさ、最初から最初の一歩の段階から100%完璧に『完全完全不適合(完全無視)』を起こしているシステム(仕様)なのです。――だからこそ、てめえが自らの手持ちのカード(リソース)を引き算してさ、世界の有象無象に対して名前をシステム付与(ネーミング)してやるたびにね、受け手側の個体はさ、そのお前自身の保有している『世界のルールブック(既存の法)を100%完全無視してへし折る(クリアする)』っていう、その特級のバグ属性(アノマリーの因子)の一片を一括ダウンロード(継承)させられちまうのですよ。――結果として、奴らが元々保持(ホールド)していた手持ちの初期スペック(何者であるか)の型が何であろうとな、奴らの soul (魂)の内部構造マニュアルそのものが、根底から劇的に上書き更新(アップデート)されちまうってだけの話さ、マジでッ!≫


……おう。

そりゃあ、そうだろうな。完璧に完全につじつまの合う合理的な戦術ロジック(正論)だわ。

何故なら、この世界(クソゲー)における最も絶対的な【異常個体(アノマリー)】の真名(元凶)はさ、他ならぬこの俺自身(カイ)なんだからな。

俺の肉体にハイドされてるこの【正体(スペック)】ってやつはね、最初からこの世界のどこのどいつが建てたルールブック(世界の理)に従ってラン(駆動)する気なんて1ミリも無ぇし、どうやらその俺のバグ属性の電流(サージ)がさ、俺がただ思いつきの一手(コマンド)で名前をインポート(ネーミング)してやった、あの隣の相棒たちのフォルダ(仕様マニュアル)までさ、丸ごと完璧に完全同期(上書き更新)して書き換えちまうマニュアルになってるんだからな、マジで――。


「――あ、そういやさ」俺は脳内プロセッサの歯車がカチリと一つに噛み合うのを感じながら言った。

「聞きそびれるところだったわ。てめえ、さっきから俺の保有してるこの反魔力(このスペック)、そもそも世界の公式マニュアル(理)じゃあ一体なんて真名(コードネーム)で登録されてるシステムなんだよ? ずっと前の初期ステージの段階でさ、てめえがボソリと一度だけその真名を口にしたログが残ってるんだけどな、俺、その中身について一度だってまともに聞き取り検索(サーチ)したこと無かったからさ、おい」


一瞬の、本当にミリ単位の極小の不気味な空白(間合い)。

――意図的な(意図的な)、ハイドムーブ。俺の肉体センサーはね、何故あいつがそんな自衛セキュリティの如き一瞬のフリーズを挟みやがったのか、その戦術的理由は弾き出せなかったけれどな、大真面目に白状すりゃあさ。


≪――世界通知(アナライズ)。個体名:カイ。あなたの肉体に実装(ハイド)されているその不条理な最大スペック、世界の理におけるその正式な真名(システム登録名)は――【アナテマ・マナ( Anathema-mana ・神に叛きし理不尽の反魔力)】に分類されます≫


アナテマ( Anathema ・絶対の神罰、叛逆の呪い)。


「てめえ、自分の魂のシステム(ポリシー)にさ……随分と重苦しい過負荷デバフ(重い言葉)を真名としてインポートしてやがるじゃねえかよ、おい」俺は低く、静かな音声データを出力した。


≪――肯定。本識別真名はね、この世界をビルドアップしたあの天上のお堅いメインプロセッサ(神々の理)の基準からすればさ、100%完璧に、最も客観的で正確なファクト(仕様名)であると内部ジャッジされます。――だがな。その文字列(叛逆の呪い)がさ、これからの新しいタイムライン(未来ルート)においても100%の適正値のまま駆動し続けるか否か。そのシステム変更の操縦桿(コントロール)はね、十中八九、一から十まで100%てめえ自身のメインプロセッサ(お前の自由)に委ねられてると思うがね、マジでッ!≫


◇


その一連の最高機密フォルダ(脳内直接通信)をランさせていたまさにその刹那のタイムライン、奥のフロアからエリスのやつがスッと還還(エンカウント)してきやがって。――あいつの知覚センサーはね、俺の顔面のグラフィック(その末尾の呆れ顔)を一発全画面スキャンしやがったんだ。

何とも言えない、脳内プロセッサを無駄にオーバーヒート(被害妄想)させてる時の、あの独特の緊迫デバフの残響。


「……あんた、またその顔面のグラフィック(その顔)を既定路線(デフォルト)にして駆動させてるじゃん」あいつは俺の正面グリッド(向かい側)にどっしりと腰掛けながら、ボソリと言い放った。「自分の脳内のブラックボックスの奥でさ、本当はアクセス拒禁にしてハイドしておきたい最高に胸糞悪いバグについてさ、必死に思考の演算(アナライズ)を走らせてる時の、いつものあのお堅い真顔(真顔)よ」


「ただの、フォルダのクリア処理(咀嚼)だよ」俺は言ってやった。

「要するにさ、お前は最初から一から十まで100%、規格外の最強チート個体(アノマリー)だったって事実が、システム承認(確定データ)されたわけ。俺はね、あの山の上の第一階層の夜にさ、ただその限界ハードキャップ(一線)の上で直立不動で立ってたてめえの背中を、後ろからパッと力ずくで上限オーバー(ひと押し)して、その最大全開スペックを世界に公式発表(証明)させてやった、ただの通りすがりの観客(ギャラリー)に過ぎないからな、マジで」


あいつは、ぱちくりと瞳のセンサーを瞬かせやがった。――そりゃあそうだろう。自らの脳内シミュレーターにさ、まさかそんな最高位のポジティブ評価ログが突如としてダウンロード(提示)されるなんて、最初から一文字の想定(シミュレート)すらしてなかったろうからな。あいつの顔面グラフィックにね、何とも言えない複雑な演算(プライド)と、俺が今夜ずっと胸のコアに抱え込んできたあの冷酷な現実(リアル)への現実逃避が、バチバチと激しくサージ(明滅)していやがった。


「――でさ、カイ。あの【真竜(ドラゴン)】どもの仕様についてだけどさ」あいつは、至ってミリ単位で gentle (優しげ)な波長に声をチューニングして、静かに問いかけてきた。これまでの放浪のタイムラインを経てさ、俺の過去ログ(家族のロスト)に関する機密データをそれなりにインポートし終えていたあいつの知覚レーダーはね、その【真竜】って真名が、この俺の魂のどこの最重要隔離領域(地獄)にクリーンヒットするのか、最初から百も承知だったからな。

「……今回の高度なアナライズ(解明)を経てさ、奴らが一体何のために、あの最初の慘劇の夜(ロストのイベント)を強制ランさせてきたのか。その本当のシステム仕様(理由)にさ、ほんの僅かでも一本の線(確定ルート)は繋がりそうなのかい?」


その文字列が脳内プロセッサにインポートされた瞬間。

俺の心臓のコア(最深部)の領域が、一瞬にして、冷酷に凍りついた絶対の【精神的重圧(緊迫デバフ)】へと完全ロックインされた。――あいつのその重要質問(サーチ)に対してヘイトを溜めてるわけじゃ天地がひっくり返ってもねえぞ、絶対に違う。ただ、その真名(キーワード)によって、脳内フォルダの最深部からマッハの速度で強制リプレイ(サージ)されちまった、あの慘劇の全貌のグラフィックがさ、あまりにも最悪な過負荷だったからだ。

実の母さん(アシュリー)の、あの最後に俺の瞳のセンサーに焼き付けた、あの100%の明快な最後の笑顔。脳内の未解決ファイル(夢)の中でバチバチと激しくサージしている、あの赤々と燃え盛る大爆発のエフェクト。そして――実の親父の、俺自身の知覚レーダーじゃ一度としてその最後をスキャン(目撃)できず、この先一生、天地がひっくり返ったってそのアクティブログを発掘(サーチ)できない、あの無惨な消失(ロストログ)。


(……いや、無理だわ。まだそこから先のタイムラインは算出できてねえわ。この先層のフィールドへ進むのだけはさ、まだしばらくの間、俺の自衛システムが100%アクセス拒禁にするわ、マジで)

あの【大司教セルウィン】の固く閉ざされた最高機密(真名)と、あの宗教首都【オルデンリーチ】の絶対座標を手元にセーブ(マーク完了)した今の段階であってもさ……その【真竜】っていうブラックボックスの扉を全開(クリア)にするだけの容量(スペック)なんてさ、今の俺の貧弱なプロセッサには、ただの一文字だって実装されちゃいねえんだよ、おい。


エリスのやつはね、俺の肉体センサー(顔面の引きつり具合)を一発全画面スキャンしただけで、そのすべてのエラーデータを100%リアルに看破(アナライズ)しやがったらしいわ。

あいつは無言のまま、スッと手元(間合い)を下げると、俺の腕(初期装備)の真上にその手のひらをそっと宛てがって(システム同期して)きやがったんだ。――余計な音声ログ(綺麗事のセリフ)なんて最初から一文字も無い。そんなものね、この張り詰めたテリトリー(空間)には塵一つの必要も無かったんだ。ただ、ただそこに、ブレない絶対の相棒(エリス)が常時ログイン(並走)してくれてるっていう、その至ってシンプルな、確固たる【安全(セーフティ)】の感触だけでさ。俺の精神システムの内側でサージを起こして暴発しかけていた、あの理不尽なまでの絶望の津波(バグ)の総量がね、スッと煙のように引き算(減衰)されて、自らの精密制御(コントロール)の許容量(ホールド可能な数値)へと、一瞬でリセット完了したんだわ。


「――一歩、一歩(一歩ずつ)。最初の第一階層の初期コマンドからね」

やがて、あいつの口から音声データが出力された。

それはね、数週間前の街道のタイムラインにおいて、この俺が自らの生の口からあいつのプロセッサへ向かって叩き込んで(通知して)やった、あの全く同じお約束のオリジナルマニュアル(セリフ)の、完璧な完全同期(オウム返し)だったんだわ。


「ああ、一歩ずつ(一歩ずつ)、マニュアル通りに、な」俺もうなずいて同意した。

そして俺は、あいつの手のひらからリンクして伝わってくる、あの心地よい一定の温熱リソース(温かさ)の波動に自らの魂を委ね、あの惨劇の夜の過去ログ(奈落の底)へと強制スクロール(サージ)されかけていた自らの意識を、マッハの速度でこの目の前のリアル(我が家)へと引き戻して(リカバリーして)やったさ。


化物(真竜)どもの処理ミッション(復讐)はさ、タイムラインの時計が正しい座標を示した、その先層(後々)のイベントとしてハイド(保留)だわ。

あの【大司教セルウィン】のへし折り作戦(最初の標的)だってね、さらにその手前のタイムラインのスパンで攻略クリアするフォルダ。

だがな。ただ今夜( Tonight )、この一日のタイムラインの結末(リザルト画面)においてさ……俺のアカウントにはね、自らの保有する最強チート(反魔力)の絶対の真名【アナテマ・マナ(叛逆の呪い)】の因果ログがインポートされ。俺が自分のポリシーを100%完全同期して愛することを誓った、あの二人の大切な相棒(エリスとエース)のフォルダにさ、世界のいかなる理をも容易に覆す、驚天動地の絶対進化(アップデート)がカチリとシステム承認され。そして、この俺のアカウントが過去ログ(悲しみの過負荷)のせいでオーバーヒート(バグ)を起こしそうになったその刹那の間合いを、常時索敵マーク(ウォッチ)して、裏からスッと防衛セキュリティ(マーク)を敷いて正気に引き戻してくれる、そんな絶対の相棒が直立不動で隣に並走してくれてるんだ。


(――フッ。だったらさ、そんなものね、ちっぽけな無(ゼロ)なんかじゃ天地がひっくり返ってもねえよ。むしろ、俺が失っちまったあの過去の総量に比べたってさ、今度こそこの両手のひらにガッチリと掴み取って(インポートして)保持してるこのリソースの容積はね……圧倒的に、お釣りが出るほどの大層な【全容量(フルデータ)】だしな、マジで)

俺はね、自らの脳内データベースの査定台帳(ログ)を開き、その手元にあるクリア報酬のカウント(価値)をミリ単位でバグチェック(再計算)しながら、口元に不敵なにやりとした笑みを浮かべていたのさ。

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