第17話:静かにすることを学ぶ
エリスはその日の夜、その外縁部から明らかに【オーラ】の粒子をドロドロと漏らしながら我が家へと帰還しやがった。――微弱で、完全に制御不能な出力。これまで誰からもその保有エネルギーのホールド能力(維持マニュアル)を叩き込まれてこなかった者特有の、あの剥き出しの初期スペックだ。
ぶっちゃけ、あいつがこれほどのマッハの速度でこの異能(反魔力)を開拓しちまった現実、未だに俺のメインプロセッサじゃ100%は信用しきれてねえんだわ。ただ真名を付与しただけでさ、そんなシステム上書き(覚醒)が勃発するなんてルール、この世界の全歴史のハードディスクのどこを探したって一文字も登録されてねえからな。
「……てめえ、オーラ(魔力)の流出デバフが寻常じゃねえぞ」
俺たちはディナーのタスク(食事)を終わらせた後、俺はあいつに向かって、至ってミリ単位で gentle なトーンに声をチューニングして言ってやった。
「その存在感(気配)を今すぐ精密制御してハイド(隠蔽)しねえとな、外の世界の有象無象の索敵レーダー(マーク)を一発で引き寄せちまう最悪なバグ(フラグ)になるぞ」
「あ……」アリア――いいや、エリスは自らの両手のひらをじっと見つめ、まるで肉眼のセンサーでそのオーラのエフェクトが視認できるかのように目を丸くした。「私、自分の肉体センサー(意識)じゃ、これっぽっちも気づいてなかったわ」
「初期ステージの段階じゃ、それが至って通常運転だよ。ほら、おいで。今すぐそのエラーを上書き修正してやるわ」
◇
俺の戦術シミュレーターの予測じゃねえ、あいつがその制御マニュアルを習得するまでには、最低でも数ヶ月単位の移動コスト(スパン)を要求されるとジャッジしていたんだ。――何しろこの俺の側はさ、あの精密な制御のビルドアップに丸何年もの歳月を費やしてきたし、俺の隣にはね、数千年も耳を澄ます練習をしてきたあの実の母さん(アシュリー)という特級のマスターが、一歩一歩戦術ナビゲーション(指導)してくれてたからな。対するエリスの案内人(師匠)はといえばね、実母に比べてキャリア(経験値)が数年も引き算(減衰)されたこの俺だし、ぶっちゃけ俺、あいつほどのんきに付き合ってやる忍耐上限なんて持ち合わせてねえからな、大真面目に白状すりゃあさ。
だがな。あいつはね、基礎的な【隠蔽・隠密コマンド(オーラ消去)】の術式を、わずか一週間(一週間)のスパンで完璧に完全マスターしやがったんだわ。
たったの、七日間(一週間)だぞ?
俺が過去のタイムラインで、今あいつがわずか七日で成し遂げたのと同じステージ(クリア画面)にたどり着くまでにさ、一体どれほど丸一年近くの果てしない時間コスト(スパン)を消費させられたと思ってんだよ、おい。
「……てめえ、それ絶対にシステム仕様(普通)じゃねえぞ」
俺は、過去何十年もその隠密モード(ハイド)を継続してきたベテランの如く、完璧にオーラを完全消去して直立不動のポーズをキメているあいつの最新スペックをウォッチしながら、何度も何度も脳内で呆れ返って(突っ込んで)やったさ。
「……それってさ、私の個体スペック的に最悪なバグ(悪いこと)なの?」あいつの瞳のセンサーに、微かなクリアへの不安のエフェクトが明滅しやがった。
「いや」俺は本物の真実として、そのオファーを100%肯定してやった。
「悪意なんかじゃ決してないぞ。たださ……【前代未聞】なんだよ。あの日、俺がてめえに真名をエンゲージした瞬間に、俺の魂のシステム音声(魂の声)が弾き出したあの文字列と完璧に完全同期するバグ。俺のプロセッサのジャッジ(推測)によるとさ……お前、この世界というシステム(仕様)が、未だにどの種族カテゴリー(属性)にマッピングして分類すればいいのか処理しきれてない、そんな未知の【異常個体】だわ、マジで」
「……あはは、お互い様(歓迎)でしょ、そのバグサークル(クラブ)へ」
あいつは至ってデッドパン(乾いたトーン)にそう言ってのけやがって、俺のほうはね、そのクオリティの低い身内ジョークに対して、実際の面白さの上限を遥かにぶち抜いて、ガハハと猛烈に大爆笑しちまったんだ。
あいつの仕様(居心地)も、我が家に馴染んできた。エースのやつの初期設定も完全に完全同期完了。
この新しくビルドアップされ始めた【我が家】という名の絶対のシステムがさ……ぶっちゃけ、ここにきてようやく、カチリと一つの明確なグラフィック(形)を成し始めていたんだわ。
◇
それからの数週間のタイムライン、俺たち三人は心地よい一定の生活サイクル(リズム)へと収束していった。――エリスのやつはね、日を追うごとにその最大スペック(能力)をマッハの速度でアップデート(成長)させていき、エースのやつの知能スペックにいたってはさ、街道に湧くそこらの通常動物(ザコ狼)の仕様上限を天地がひっくり返るレベルで置き去りにして、本物のインテリジェント個体としてのログを刻み続け、この城の空間もね、単なる突貫工事の建築現場から、完全に「人がログインして生活している本物の我が家(セーフティ領域)」としてのクオリティを保持するようになっていた。
だがな。その平和な通常運転の中に潜んでいた、最も致命的な絶対のシステムエラー(現実的な問題)をパッと指し示して(指摘して)きたのは、他ならぬエリスの側の知覚レーダーだったんだわ。
「……ねえ、カイ。俺たちの手持ちの路銀(資金リソース)、完全に限界上限を迎えて底を突きかけてるんだけどな」
ある夜の食事の席で、あいつは俺がドランの親父やフェンリックのやつと共にフィールドを攻略していたあの古いタイムラインから、インベントリの中にずっとハイド(保管)し続けてきた、あの残りのコイン(残高)をパチパチとバグチェック(計算)しながら言い放った。
「この残量スペック(残高)じゃさ、これからのタイムラインをこれ以上長くラン(継続)させるのは、システム的に100%絶対不可能だわ」
あー、はいはい。完璧な正論。 More than fair (ぐうの音も出ねえわ)。
城を新規ビルドするのだってさ、タダで資材が湧いてくるチートシステムなんかじゃねえし、あのドランの親父の遺してくれたコインの総量がさ、永遠に無限に拡張し続けるわけがねえからな。
「……ある巨大な王都がある」俺は思考の演算領域をフル回転させて思案し、ルートを提示した。
「【ロシャン( Roshan )】だ。過去何年もの放浪のスパンの中でさ、街道の有象無象の音声ログ(噂話)に何度かその真名(地名)がヒットした形跡(記憶)があるんだわ。噂のデータが正しいならさ、そこには本物の【冒険者ギルド(ギルドマスター)】の巨大なサーバー(拠点)が居座ってるらしい。仕事、コイン(報酬)、重要機密(情報)……そのすべての最重要リソースがさ、一つの座標(同じ場所)に一括インポートされてる、そんな特級の攻略ステージだわな」
「あんた……本気で、この【水平線】の絶対結界を一歩外へ飛び出して、外の世界へ移動する気フラグを立ててんの?」エリスが、その重要質問の出力系統を、微かにミリ単位で慎重な波長に潜めて問いかけてきた。
「俺さ、今度の新しい人生(新しいライフ)をさ、もう一度真っ正面から『本気で生きる(リアルを謳歌する)』モードに切り替えたいんだわ」俺は本物の真実を、ただそのまま生の口(音声データ)から出力してやった。
「絶望の残渣の中から我が家を再構築してさ、その絶対結界の真下にコソコソとハイド(隠蔽)して一生を終える、そんなおめでたい防衛マニュアル(引きこもり)なんかじゃねえんだよ。その二つの生存戦略の間にはね、天地がひっくり返っても埋まらない絶対の一線の違いがあるし、俺さ、自分が一体どちらのクリアルートを全霊で求めていたのか、そのジャッジ(決断)を脳内のブラックボックスの中にずっと放り込んで言い訳(保留)し続けてきたからさ、今すぐそのフォルダをクリアにするわ、マジで」
◇
おまけにだ。あの銀狼に【エース】という真名をシステム付与したそのリザルト(結果)として、俺のアカウントにはね、またしても新しいバグ固有能力がシステム強制インストールされてやがったんだわ。――今の今まで、脳内のメモリの最深部で物静かに駆動していた、あの高位の【因果系統スキル】。
≪――通知。個体名:カイ。新規固有スキル――【魂回路】の完全獲得を確認。――本システムをランさせることで、自らの真名をエンゲージ(付与)したすべての配下個体との間に、障壁や सेंटीमीटर (センチ数)の限界を天地がひっくり返るレベルで置き去りにした、絶対の【脳内精神直接通信回線】を常時ランすることが可能です≫
エリスのやつが、明日からの長旅のインベントリ(旅支度)を調えに奥のフロアへとハイドしたその刹那のタイムライン、あの【反意識】が脳内通知しやがったんだ。
俺はその日の夜、早速その新規スキルの発動コマンド(イグニッション)をランさせ、あのエースの精神コアの座標に向かって、術式(通信)の電波をスッと伸ばしてテスト(検証)してやったさ。
(――おい、エース。てめえ、俺のこの脳内通信の音声ログ(無線)、100%の明快さでシステム受信できてるか?)
≪――肯定。クリア(受信完了)です、我が主≫
次の瞬間、俺の脳内プロセッサへと直接弾き返されてきた(返信されてきた)そのアンサー(セリフ)の文字列はね――最高に明晰で、洗練されていて、そこらの知性無き通常動物(ザコ狼)の脆弱な脳みそじゃ天地がひっくり返ったって出力不可能な、最高位の知性スペックを保持してやがったんだわ。
≪……自分自身の魂のシステム(本能)にさ、こんな高度な言語機能のスペックが実装されてるなんてこと、今この瞬間に、主からのアクセス承認(通信リンク)が発行されるその刹那まで、俺のプロセッサだって最初からハナから一文字のデータすら登録されてなかったんだけどな、ぶっちゃけ≫
(……ククク。そりゃあ同感(システム同期)だわ、てめえ。俺だってさ、自分の保有するチートカードの総量(全容量)に、こんな想定外のバグ(サプライズ)がてんこ盛りにハイドされてるなんて、最初から一文字の仕様だって知る由もなかったからな、マジで。お互いに、サプライズ満載(バグ持ち)の最高に不気味なパーティーじゃねえかよ、おい)
◇
それから数日後のタイムライン(朝一の出発時間)。
俺たちはついに、あの長年俺たちの身を守り続けてくれた、隔離された絶対のセーフティゲート――【水平線】の絶対結界のテリトリーを一歩外へと踏み出し、前進を開始したんだわ。
――俺。エリス。そして、特級銀狼のエース。
三人の足跡データ(足跡)はね、未だ世界のいかなるマップの索敵レーダー(視界)にも登録されていない、まだ見ぬ未知の巨大王都の座標へと向かって、一直線に進路を切り開いていったのさ。
クリア報酬の路銀と、世界の理を覆すための重要機密(情報)の全容量を、完全に等しい容積でガッチリと検索して、この手でへし折って(クリアして)やるために、なぁ!
新しい有象無象の顔。
未開の新規マップ(ステージ)。
そしてこれから先の街道においてね、またしてもこちらの精密制御を誤って、最悪なハメ技をやらかしちまうかもしれない、そんな新しいシステムエラー(フラグ)の数々。
――だけどな。
俺の魂のシステム(本能)はね、ただ同じ座標(水平線)に直立不動のまま永遠に完全停止し続けるクソゲー(引きこもり)なんかよりも、遥かに、何万倍もその未知のハードモード(新世界)を100%大真面目に歓迎してたんだわ。
俺はね、ついに、全霊のメインプロセッサを完全駆動させて、この今度の世界(異世界)の未開のフィールドにおいて――『もう一度真っ正面から本気で生きる(リアルを謳歌する)』という絶対のクリアルートのグラフィックが、一体どんな全貌の姿をしてやがるのか、そいつを直接この瞳のセンサー(画面)でスキャンしてやるための、絶対の起動コマンド(一歩)を、高らかにイグニッション(発動)させたんだからな、マジで――。
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【絶対結界】の境界線を一歩外へ踏み出すという行為はね、脳内プロセッサでどれほど事前にシミュレートしていようとも、何とも言えない奇妙な感覚を肉体センサーに走らせやがったんだわ。――最悪なバグなんかじゃ決してねえぞ。ただ、ただ不気味に、自分の両手(初期スペック)と、脳内で24時間常時ランされ続けているあの眠らぬシステム音声(魂の声)だけを頼りに、丸二年間もの歳月を費やしてビルドアップしてきたあの防衛セキュリティ障壁の外側へログインする(出る)という、その特有の目眩の如き感覚。
おかしな話だな。
俺はね、外の世界の有象無象を自らのテリトリーから完璧にシャットダウン(排斥)するために、あの鉄壁の障壁をクリエイトしたんだ。
なのにさ。いざ自らの意志でその内側からセキュリティゲートを潜り抜け、俺という個体の実在を未だ一文字も認知しちゃいない外の世界へと逆エンカウントしに行く時、一体どんな精神的な過負荷(感覚)がプロセッサを襲うのかなんて、今の今までただの一度だってアナライズ(思考)してこなかったからな、マジで。
エリスのやつはね、俺のわずか半歩後ろのセンチ数(間合い)を維持しながら歩いてやがった。俺よりも、どちらかと言えばエースの巨体のグリッドのほうに近く身を寄せ、その片手を狼の銀白色の毛皮の表面へと、何気なくカモフラージュ(ハイド)するように宛てがってやがったんだ。まるで、足元の見えない未知の濁流の中で、唯一100%の硬度を持った本物のオブジェクト(支え)に必死にしがみついているかのように、な。
あいつさ、あの絶対結界の境界線(しきい値)を跨いだその刹那のタイムラインから、目に見えて音声ログ(言葉)を潜めて静まり返っていたんだわ。――悲しみのエラーなんかじゃねえぞ、あれは徹底した最大警戒の静寂だ。これまでに見たこともない未知の樹木グラフィック、聞いたこともない未知の鳥類の環境音(エラー音)のすべてを、その瞳のセンサー(目)を丸くして、猛烈なマッハの速度で自らの脳内データベースへインポート(記憶)しようと割いていやがったんだ。何しろあいつのこれまでの短い人生(過去ログ)はさ、自分の意志じゃ天地がひっくり返っても選択できないような、隔離された狭苦しい檻の中にずっとハイド(監禁)され続けてきたからな。
「……てめえ、大丈夫(バイタル正常)か?」俺は尋ねてやった。
「問題ない、クリアよ」あいつはマッハの速度でそう吐き捨て(即答し)やがった。
だがな、そのコンマ数秒(一刹那)の後、より誠実な本心のログを出力し直しやがったんだ。
「……なんかさ、情報量が多すぎるのよ。自らの絶対のテリトリー(所有権)が1ミリも及ばない、そんな未知のフィールドに直立不動で立ってるって現実が、さ。まだ、ここの世界ルール(マニュアル)が何一つ解読できてないからさ、俺」
まぁね、一理あるわ。 More than fair (ぐうの音も出ねえわ)。
俺自身ね、時折思考の演算を誤ってさ、今このフィールドで俺が保持しているこの絶対的な落ち着き(セーフティ)がね、あいつにはまだビルドアップするチャンスすら与えられていなかった、あの何年もの過酷な型の反反復特訓から丸ごとインポート(借用)してきた特級のスペックなんだって事実を、都合よく見落としちまう時があるからな。
「てめえなら、そんな世界のクソルール(理)、マッハの速度で一発解読できるって」俺はあいつに言ってやった。
「何しろお前、ここ最近の他のすべての難題タスク(反魔力の習得)においてさ、驚異的な急成長を連打してクリアしてきただろ。俺のシミュレーターの演算じゃねえ、そこまでログが重なりゃあさ、それはもう立派な一連の確定パターン(お前の仕様)だわ」
あいつはその俺のジャッジ(セリフ)を聞いた瞬間、口元に微かな、本物の笑顔のグラフィックを浮かべてみせやがった。――もっとも、そのエフェクトの出力値はね、あいつの精神コアの奥の緊迫デバフを100%完全消去するまでには、一歩及ばなかったけれどな。
◇
(――おい、エース。てめえ、移動を開始してからずっと音声ログ(通信)がスリープモード(無言)のままだぞ)
≪――解答。私は現在、この【言語】という名の新規システムプログラムを、自らの魂のコックピット(精神構造)へと最適化させている最中なのです≫
脳内精神直接通信回線【魂回路】から返信されてきた(弾き返されてきた)そのアンサーはね、相変わらずミリ単位で正確で、ブレがない洗練されたクオリティを保持してやがって、俺のプロセッサを毎回ほんの少しだけ想定外のバグ(違和感)で驚かせやがった。
≪自らの精神コアの領域(内面)に存在するあらゆる初期衝動(本能)をさ、ただそのまま直立不動でラン(駆動)させるんじゃなく、わざわざ『言葉(文字列)』という名の不自由なマニュアル(仕様)に並び替えて出力(公式発表)しなきゃいけないこのシステム、最高に奇妙なバグだわ。……ぶっちゃけ、俺個人のジャッジとしてはね、この仕様(言語機能)が本当にポジティブなチートなのかどうか、未だに脳内で判定しきれてねえんだわ≫
(ククク。焦るな、ゆっくりラン(稼働)させていきゃあいいんだよ。俺だってさ、前世からこの新しい世界(今世の肉体)にログインした初期ステージの段階じゃさ、思い通りに駆動しない赤ん坊の脆弱な初期スペック(肉体)をどう動かすか、一から脳内マニュアルをアップデート(再学習)させられたからな。てめえの今のアジャスト作業もさ、そのシステム構造的には大した違いはねえよ)
≪――アナライズ。主は現在、私のこの高度な言語アジャスト任務(現状)を、てめえの言うあの脆弱な『幼児期(初期スペック)』のバグ履歴と同等のカテゴリにマッピング(比較)して処理しましたね?≫エースのやつが、脳内回線でボソリと言い放ちやがった。
≪……フン。だが何故だろうか、その算出ロジック、俺のプロセッサ的には妙に安心できるリソース(アンサー)としてシステム承認されちまったがね≫
ぶっちゃけね、一匹の魔物がさ、これほどのマッハの速度で高度な「ブラックジョーク(ユーモアのセンス)」のスペックまで開拓してくるなんてさ、俺の脳内シミュレーターでも完全に100%想定外のバグ(サプライズ)だったわ、大真面目に白状すりゃあさ。
≪――不服。私はただの狼ではありません。最上級指定カテゴリー:【銀狼】です。その存在属性スペック(真名)の間にはね、天地がひっくり返っても埋まらない絶対の一線の違いがあります。――もっとも、主のあの理不尽な最大スペック(規格外の頭脳)の前にはさ、そんな種族カテゴリの選別なんて、最初から一文字のメリット(意味)も成さない些細なディテールに過ぎないことは、100%リアルに同感(承認)してやるがね≫
(はいはい、了解、了解。俺の全容量のエラー(ミス)だわ、悪かったな)
俺はね、その脳内直接通信(やり取り)のエンタメっぷりに、口元のニヤニヤ(笑み)を抑えきれなくなっちまってさ、ハッと気づいた時にはね、隣を歩いていたエリスのやつの知覚センサー(視線)が、こちらの顔面のグラフィック(奇妙な笑み)を不審そうにウォッチ(マーク)してやがったんだわ。
「……あんた、またあいつ(エース)と裏の限定回線(脳内通信)で喋って(通信して)るでしょ」あいつはティルト(小首を傾げて)しながら尋ねてきた。
「あいつさ、もう自分の中に独自のジャッジ(頑固なプライド)を山ほどビルドアップしちまってるぞ」俺は言ってやった。
「自分が『ただの狼』って種族カテゴリーで一括処理されることに対してさ、プロセッサが最高レベルのヘイト(激しい拒絶)を叩き出してアップデート(抗議)してやがるわ」
「あいつの側としてはね、そのシステム抗議(主張)をランさせる権利は100%リアルに正当だわ」エリスはそう言ってのけやがって、スッと手元(間合い)を下げると、エースの巨大な銀色の耳の真裏のグリッドを、ミリ単位で心地よい力加減(防衛ケア)でカサカサと掻きむしって(マッサージして)やりやがったんだ。
対するエースのやつもね、自らの特級魔物としての絶対のプライド(威厳)を保持したまま、直立不動のポーズを崩さないようにしながらもさ、あいつの放つその防衛ケア(愛撫)のクオリティを考慮すればね、「――まぁ、この程度の不敬ならさ、それに伴うクリア報酬(最高に気持ちいい)のリソースのほうが圧倒的に上限オーバー( メリットあり )だから、100%許容(システム許す)してやるわ」と言わんばかりの、最高に満足げなポーカーフェイスをキメていやがったさ。
◇
移動を開始してから最初の二日間(二日間)のタイムラインはね、すべてのイベントを潜り抜けてきた俺たちのパーティーにとってはさ、逆に「最高に不気味で、100%何らかのハメ技(罠)がハイド(隠蔽)されてんじゃねえか」と索敵レーダーが過剰警戒を起こすレベルで、一から十まで完全につじつまの合う、ただののんきな通常運転だったんだわ。――どこにでもあるありふれた街道。どこにでもあるありふれた天候。
かつて、あのドランの親父が一個師団のリーダーとして、街道の生い茂る木々の境界線(死角)を鋭く睨みつけ、最悪のバグ(敵の奇襲)の予兆をスキャンしていたあの過酷なタイムライン。あの日、俺の精神システムを激しく明滅させていたあの戦士の最大警戒をさ、今や、この俺自身が、自らの完全固有の【サバイバル本能】として100%常時ラン(常時マーク)させて、世界の全グリッドを網羅スキャンし続けているんだからな。
(……フッ。あの親父が見たらさ、今頃『てめえ、なかなか上等な最大スペック(マーク能力)をビルドアップしやがったな』って、最高の評価をログに記録してくれただろうな。あるいはさ、いつものあの冷酷なジト目で『てめえ、何のフラグも湧いてねえ通常のグリッド相手にさ、脳内プロセッサを無駄にオーバーヒート(被害妄想)させてんじゃねえよ、ザコが』って、一発で却下されてたか。――ぶっちゃけ、そのどちらのルート(会話ログ)であれ、あいつと交わしてたあの不毛な攻防の全貌がさ、無性に激しく恋しくて仕方がねえんだけどな、マジで)
俺たちはその街道のタイムラインの途中、いくつかの小さな集落を通過したけれどな。――大層な規模の都市なんかじゃ最初から無かったからさ、あの固有スキル【擬態皮膚】の発動コスト(路銀)をわざわざ消費してログイン(擬態)する メリット(価値)なんて、最初からフォルダには100%登録されてなかったんだわ。俺はただ自らの【反魔力オーラ】の出力を限界まで完全消去し、衣服のフードのグラフィックを最大まで引き下げて(ハイドして)進軍を続けた。世界の有象無象の知覚センサーはね、俺の姿を二度見する価値すら一文字も検知できずに完全スルー(通過)していったさ。
それこそがね、俺の自衛システム(ポリシー)にとって、最高のささやかな【完全勝利(クリア画面)】のログだったんだ。
そして、それらの集落のグリッド内におけるすべてのアイテム取引(対人交渉)――旅の物資( supplies )のデポジット(購入)、次に向かうべき新規マップの座標マニュアル(道聞き)――という名の細々とした日常タスク(ミッション)のすべてはね、他ならぬエリスの側のプロセッサが一括で引き受けて(処理して)いやがったんだわ。
何故なら、俺自身の精神システムはね、過去何年もの放浪のタイムラインにおいて、外の世界の有象無象(見知らぬ奴ら)が俺の瞳のセンサーに向けてきた、あの「すべてを百も承知で知っている既知の視線」を喰らいすぎてさ、ただ見知らぬ他人の正面グリッドに立つ(エンカウントする)って行為自体に、微かなシステムエラー(精神的な緊迫デバフ)がバチバチと明滅しちまう仕様になってたからな。
だが、あいつの対人交渉スペック(トーク)はね、最高に見事だったさ。
わずか一ヶ月前(一ヶ月前)の段階まで、外の世界のサーバーから完全に隔離された檻の中にハイド(監禁)されていたはずのガキの初期スペック(経験値)を考慮すればね、俺の脳内戦術シミュレーターの予測数値を天地がひっくり返るレベルでぶち抜いて、遥かに洗練された神ムーブだったんだ。
どこまでもミリ単位で polite (礼儀正しく)、マッハの速度でタスクをこなし、店主どもの初期ヘイト(警戒マーク)を一発で100%完全無効化して、奴らの精神システム(マニュアル)をのんきなリラックスモードへと一瞬で完全同期させちまうんだわ。店主の側としてはね、自分が何故この獣人の少女の前で防衛ガードをスッと解除しちまったのか、その本当の理由すら脳内でアナライズできないままな、マジで。
「――てめえ、その手の対人交渉、マジで天性の特級チートスペック(才能)持ってるな」
俺はね、連続して三つ目の集落の攻略を完了し、あいつがその場に居合わせた最高に胡散臭い宿の親父(頑固な店主)を相手に、一切の額の汗すら流すことなく、至って適正なハピネス価格(適正な部屋代)をもぎ取ってクリア画面を明滅させたその直後、口元のニヤニヤ(称賛)を抑えきれずに言い放ってやったんだ――。
「……そうせざるを得なかっただけだよ」エリスは、ただ至ってシンプルに( simply )そう言い放った。
「あの過去の檻の中じゃさ、普通の人間どもから差し出されるほんの僅かな愛想(小さな親切)だけがさ、俺が唯一手元に保持できる絶対の通貨だったからな、大半の日々においてさ。だから、そいつをどれほど効率よく消費すべきか、身を以て叩き込まれたのさ」
それはね、あいつほどの脆弱な初期アカウント(ガキ)の段階で、わざわざ開拓させられていいような、そんな可愛いレベルの通常スキルじゃ端から無かったんだわ。
だからって、今の俺たちのパーティーにとって、あいつのその交渉スペックが最高に有益な最強チート(有用)として機能し始めてる現実に、俺が塵ほどの感謝すら抱いてねえなんて意味じゃあ、天地がひっくり返ったってねえけどな、マジで。
◇
移動を開始してから三日目(三日目)の夜のことだ。メイン街道の索敵レーダー(視界)からほんの少しだけ離れた死角のグリッドにキャンプを設営したそのセーブタイム。
エリスのやつが、俺があいつをあの森林の奥で発掘したあの最初の日から、いつか必ず脳内回線(質問)を繋げてくると静かに先読み(先読み)していた、あの絶対の【重要質問(核心)】を、ついに生の口から出力しやがったんだ。
「……ねえ、カイ。ちょっと、あんたに尋ねたい重要機密があるんだけどさ」あいつは小さな木切れ一本で、パチパチと鳴る焚き火の灰の表面をツンツンと弄びながら、こちらの瞳のセンサー(目)を真っ直ぐ見るのを避けながらボソリと言い放った。
「おう、いいぞ。全容量で吐き出してやるわ」
「あんたの身の上に、一体どんな最悪なバグ(過去)が起きたの? ……俺がインポートされる前のタイムライン。あんた、今までさ、いくつかの断片的なカード(一部の話)しか俺に開示してくれなかっただろ。ドラン。フェンリック。神殿(教会)。だけどさ、そのすべてのパズルのピースをカチリと一つに繋ぎ合わせた、あの本当の『全貌(全体の形)』についてはさ、一度だって公式発表(説明)してくれなかったじゃない」
俺は、長い間、冷酷に静まり返った。自らの脳内ハードディスクの中身を、一体どれほどの容積(センチ数)まであいつのプロセッサへ開示してやるべきか、慎重に戦術演算を走らせていたんだ。
だがな。あいつはもう、ただの差し障りのない一部のカード(断片)なんかじゃなく、俺の全容量を受け取るだけの絶対のクリア報酬(信頼)を、己の手で勝ち取ってたからな。
自らの手持ちの全リソース(過去)を100%俺に信頼コミットしてくれたあいつに対してさ、こちらの最高機密フォルダだけを永遠にシステムロック(隠蔽)したまま街道を歩き続けるなんてムーブ、俺のポリシー(倫理システム)が天地がひっくり返っても許さなかったからな。
「――俺が八歳の時(八歳のガキの頃)、実の両親(親父と母さん)をシステムから永久消去されたんだわ」俺はついに、重く重く口を開いた。
「二匹の化物【真竜】がさ、あいつらの命を丸ごと蹂躙しやがった。未だに俺のプロセッサじゃ、その本当の理由(システム仕様)は100%解読できてねえ。ただ……俺が一体『何者であるか(スペック)』という、ただその一点のみが、奴らの最悪なヘイトフラグ(殺害動機)だったらしい。俺がこの世界でどんな過失を犯したかじゃねえんだよ、ただ俺というバグがこの世界にログイン(実在)していること自体がさ、奴らにとって絶対に許せんエラー(バグ)だった、ってだけの話さ」俺は一呼吸の沈黙を置いた。
「そして、それから丸六年というスパン(年月)が経過した後のタイムライン。俺が今度こそ本物の『家族』だとシステム承認して愛することを誓った、二人の大切な相棒をさ、またしても一瞬にしてロストさせられた。……今度は、あの【神殿・東の聖教会】の仕業だわ。それだってさ、俺の肉体にハイドされてるあの反魔力のせいでランされた殲滅ミッションだった、と俺のプロセッサはジャッジしてる。まぁ、細かい内部機密のディテール(詳細)についてはさ、未だに未解明のブラックボックスのままで濁りきってるけどな、マジで」
あいつは、一文字の音声データ(言葉)も返さなかったさ。
ただ、その知覚知覚(耳)を100%こちらへ同調させて、静かに、全霊で俺のログを拝聴していやがった。ぶっちゃけ、下手に大層な綺麗事のセリフ(慰め)を吹っかけられるよりも、その一切のノイズを排した静寂のほうがね、俺のシステムにとっては最高にありがたいポジティブ(救い)だったんだわ。
「――でさ。そのすべてのタイムラインよりも、さらに遥か彼方の初期座標(過去ログ)においてさ」俺はさらに音声出力の上限を引き算して、物静かに言葉を継続した。
「……俺、完璧に完全なる、別の全く違う人生(前世)をランさせてたんだわ。違う世界、違う真名(小林晴翔)。だが、その新しい人生(古いライフ)だってさ、最高に最悪なアンチクライマックス(終わり)を迎えて強制シャットダウンされたんだよ。――俺が100%無条件で信頼(アクセス承認)してた古い相棒(友人)がさ、たったそれだけのリソース(金)のために、俺の背後から最悪な裏切り奇襲(ひき逃げ)をキメて、俺をロストさせやがったんだ。だからさ……」俺の口元から、笑声とも呼べないような、ただの自嘲気味な胸の息がフッと漏れ出た。
「……お前、俺の人生のシステムマニュアルを解析してみりゃあさ、そこに一つの最悪な【確定パターン(仕様)】が居座り続けてるのが、一発で見抜ける(アナライズできる)と思うぞ。――この俺がさ、全霊を完全同期して愛することを許した大切な仲間たちがさ、毎回毎回、俺の索敵レーダー(予測)が天地がひっくり返っても追従できない想定外の死角から、突如として丸ごとシステム消去されちまうんだよ。いつも、ゲームオーバーのゴングが鳴り響いて、もう手遅れ(手遅れ)になってからじゃなきゃ、そのバグをリセットできないマニュアルになってんだわ、マジで」
「……そんなの、絶対に間違ってる( fair じゃないわ)」
やがて、アリア――いいや、エリスの口から、音声ログが出力された。
それはね、低く、物静かでありながら、その魂のコアの最深部から猛烈なエネルギーを滾らせた絶対の【怒り(激しい拒絶)】の波動を帯びていやがったんだ。
「――何から何まで、一から十まで、100%絶対に間違ってる(不条理だわ)!」
(……フッ。ああ、そうだな。マジで、これっぽっちも対等( fair )なんかじゃねえよ)
自分の脳内の暗闇の中で、一人きりでその不快なエラーログを睨みつけてオーバーヒート(愚痴を走らせて)いるだけじゃなくさ、隣の相棒がさ、生の口から直接その正論を直球で出力(公式発表)してくれるのを耳にするのはね、俺のシステム(ポリシー)にとって、最高に胸の奥が熱くなるクリア報酬だったんだわ、マジで。
「ああ」俺はうなずいて同意した。「間違ってるよ、100%のクソゲー(不条理)だわ。だけどな……だからって、その過去のロストログ(現実)が、今更システムエラーを起こして煙のように消滅してくれるわけじゃねえ。ただ一つ、仕様として言えるのはさ……俺は今、その過去の地獄の総量を肉体センサーにハイド(許容)しながら、これからの新しいフィールドをどう攻略していくか、そのコマンド(決断)を自らのメインプロセッサでジャッジできる権利だけはね、100%この両手のひらにガッチリと掴み取って(インポートして)保持してるってことさ。その部分だけはね、世界のいかなる化物を以てしても、絶対に俺から奪い取って(管理して)いけない、俺だけの絶対の固有領域だからな」
◇
この一連の高度な対人交渉のタイムライン(会話ログ)の最中、ずっとバックグラウンドで静まり返っていたエースのやつが、脳内直接通信回線【魂回路】から、スッと通信を繋いできやがった。
その音声データの波動はね、自分の種族カテゴリスペック(最上級指定:銀狼)についてあれほどオタク的な平坦な正確性を以て公式発表していた奴とは、到底同じものとは思えないほどに、どこかミリ単位で gentle (優しげ)なトーンを帯びていやがったんだ。
≪――主は現在も、未だ確実にこの座標に『実在』し続けています。これまでのすべてのシステム崩壊(地獄のロストログ)を考慮してもね、あなたの生存ログは100%保持され続けているのですよ≫
(……おう。そうだな。生きてる(ログインしてる)わ、俺)
≪私はね、人間という種族カテゴリが引き起こす、あの『喪失(絶望)』という名の過負荷デバフの構造について、てめえのプロセッサと完璧に完全同期(理解)することはシステム上不可能です。だがな……【不屈の継続( persistence )】。その絶対の仕様のあり方に関してだけはね、俺のプロセッサだって100%リアルに同感できます。そいつはね、自らの最強スペック(チート能力)をこれ見よがしに世界に証明(誇示)してランさせる必要すら一文字もない、魂の底に刻み込まれた絶対法則――それ自体が本物の最強のスペック( strength )なのですからね≫
(……てめえ、よりによって今夜このタイムライン(夜)を選んでさ、俺に向かってそんな高位の哲学の教科書(哲学講義)をインポートしにくるなんて、最初から一文字の想定すらしてなかったわ、マジで)
≪――解答。私は【無数の多面的なシステム( multitudes )】を内包しているシステムですからね≫
エースのやつが、脳内回線で完璧なポーカーフェイス(真顔)のまま、そう言ってのけやがったんだ。
俺はね、その瞬間、あまりの衝撃に危うく自分の胸の息(呼吸)を喉に詰まらせて大爆死(窒息)しかけてたからな。何故なら、その文字列はさ、これまでの全歴史のログにおいて、他ならぬこの俺が通算何万回も使い回してきた絶対のお約束のオリジナル仕様だったからな。
あいつ、あいつね、自分の顔面グラフィック(表情)をこちらの知覚センサー(視界)から完璧に完全ハイド(隠蔽)しているという絶対の優位性の側からさ、最高に不敵なにやりとした【完全勝利(ドヤ顔)】の満足度を全開にして、俺の脳内回線をクリーンヒットしやがったんだわ、マジで。
(てめえ、今、俺のオリジナルチート(マニュアル)を……勝手にちょろまかして……ッ!)
≪エリスがね、『カイはいつもそのお約束のセリフ(仕様)を連打してるわよ』って、事前に私に機密データを開示してくれたのです。私は、その文字列が自分のプロセッサ(声帯)でまともにランするかどうか、戦術テスト(検証)してみたに過ぎません。――主のその激しい動揺システム(リアクション)を見るにね、本強奪コマンド(ネコババ)のクリア報酬の価値は、十分に、お釣りが出るほどあったがね≫
(ああん? お前ら二人……揃いも揃って、これから先この俺のテリトリー(我が家)の中で、随分と手のかかるめんどくさいパーティー(お荷物)にビルドアップしていきそうじゃねえかよ、おい)
俺の顔面のグラフィック(その末尾の呆れ顔)をスキャンした瞬間、エリスのやつの口から、ガハハと本物の大爆笑(音声ログ)が弾け飛びやがった。
――それはね、あいつをあの森林の底の草原で半分システム終了(死にかけ)の状態で発掘して以来さ、俺の知覚知覚(耳)に初めて完璧に完全同期した、一切のガードを排した、あいつの心の底からの満面の笑声だったんだわ、マジで。
「……あはは! ね、カイ。今、エースが脳内回線(裏)で一体どんな神チート(セリフ)をキメてきたのよ?」
「あいつさ、俺の固有のオリジナルジョークをマッハの速度でネコババしてさ、この俺に向けて一発で『分からせ(カウンター)』をキメてきやがったんだわ。一切の躊躇(悪びれる様子)もなく、完璧にな、マジで」
「いいじゃん、最高よ」あいつは未だに口元のニヤニヤ(笑顔)を100%全開(維持)させたまま、言い放ちやがった。
「あんたさ、無駄にチートスペックが高すぎて調子に乗りやすいシステム(傲慢)だからさ、たまには誰かが裏からその最大上限を引き算して、謙虚( humble )な通常運転のステータスにホールドして管理してやらなきゃダメだからさ」
……おう。
まぁ、確かに一理あるわ。そうかもな、マジで。
俺のアカウント(プロセッサ)の側としてもさ、たまには誰かがそうやって裏のバックグラウンドから防衛セキュリティ(マーク)を敷いてくれるほうが、圧倒的にこの異世界のクソゲー(放浪)を動きやすくて助かるのかもしれねえな、と。
◇
そして移動を開始してから五日目(五日目)のタイムラインを迎えた頃、俺たちのパーティーはついに、目的の巨大王都【ロシャン( Roshan )】の外縁部の境界線へとエンカウントした。
俺たちは、都市の全貌のグラフィックを特等席から一発全画面スキャン(一望)するために、街道沿いにある一本の低い尾根の頂上へと足を進めていたんだ。
――目の前に広がる、圧倒的な理不尽なまでの質量。
国境の城壁はね、原型を留めないほどに分厚く、最高位の防衛スペック(耐久度)を保持してビルドアップされ、そこにある無数の煙突のグリッドからはね、俺の演算能力じゃあ容易に数えきれないほどの膨大な生活の煙がマッハの速度で上空へと立ち上っていた。
世界の経済システム(理)においてね、ここが確実に、一つの最重要の『中央サーバー(重要拠点)』として機能しているのだと一発で看破できるほどの、あの独特のけたたましい環境ノイズ( hum )が、世界の全画面にリンクして響き渡っていたんだ。
バカでかい。
隔離された地(絶望の山)を降りてからの六年間の全タイムラインを考慮してもね、こんなバカげた規模の攻略ステージ(都市)にログインするのは人生で最初の一発目だったさ。あのドランの親父と共に回っていた、あの過去の巡回ルート(サーキット)の中で最も賑やかだった最大規模の都市のスペックすらも、一瞬にして天地がひっくり返るレベルで置き去りにするほどの、圧倒的な最大容量。
「……随分と、人間(有象無象)のグラフィックがひしめき合ってる場所ね」
エリスが、そのあまりの規格外のスケール(威容)の前に、魂のプロセッサ(知覚レーダー)に微かな初期ヘイト(恐怖の緊迫デバフ)をバチバチと明滅させながら、物静かに音声データを出力した。
「そりゃあ裏を返せばさ、それだけの莫大な『クリア報酬』がフォルダにてんこ盛りにハイドされてるステージってことさ」俺は言ってやった。自らの精神システムの内側にあるあの些細な緊迫感を、エリスのやつの前で完璧に100%カモフラージュ(ハイド)して、できる限り100%自信満々なトーン(仕様)を装ってな。
「路銀、重要機密(情報)……運が良けりゃあさ、俺たちのパーティー(我が家)へ新しくインポート(加入)するに値する、まともなスペックを持った本物の強者(身内)とのエンカウントフラグだって、一発で回収できるかもしれないからな」
――そして、だ。
それだけの莫大なリソースが居座ってるって事象はさ……同じくらい、こちらが最大全開警戒マーク(サバイバルモード)を敷いて自衛しなきゃいけない、最悪な【特級大災害(化物ども)】のアカウント情報だって、山ほどログインしてるって事実のリアルな証明だからな。そこだけはね、どれほどポジティブ(希望)な音声ログを装っていようともさ、俺の魂のメインプロセッサは絶対にフォルダのメモリ(警戒)から引き算しちゃいなかったけれどな。
特級銀狼のエースのやつが、無言のまま、俺の真隣のグリッドへと滑らかな足取り(間合い)を同期させて並び立ってきた。奴の瞳のセンサーはね、あいつ特有の、あのミリ単位で入念な戦術級のアナライズ(注意深く)を以て、目の前の巨大サーバーの容積を全画面スキャンしていたさ。
≪――アナライズ。本攻略ステージ(ロシャン)はさ、主の絶対のテリトリー(絶対結界の山)とはね、最初から何から何までシステム構造が100%真逆に完全逆転してる世界ですね≫あいつは脳内回線でボソリと言い放った。
(――ああ。マジでその通りだよ、てめえ)
≪ぶっちゃけ、俺個人のジャッジとしてもね、この不気味なフィールド(巨大王都)を本気でポジティブ(お気に入り)だと判定できるか否か、未だにメインプロセッサの処理(演算)が追いついてねえんだけどな≫
(……ククク。だったらさ、そのバグサークル(クラブ)へ大歓迎してやるわ、おい)
俺はね、かつてあの日、我が家の暖炉の前であいつに向かって吐いたあのエリスのオリジナルマニュアル(セリフ)を、今度はあいつの代わりに脳内回線で完璧に完全同期(オウム返し)してやったさ。
するとどうだろうか。
これから目の前に立ちはだかる、あの未知の巨大サーバー(王都)に対する精神的な緊迫デバフ(違和感)を考慮してもね、俺の心臓のコア(最深部)の領域にはさ、何があってもブレない戦士の軸――確固たる【絶対のセーフティ(安らぎ)】が、カチリと音を立てて強固に定着されたんだ。
これから先、あの巨大な国門を潜り抜けたその先のフィールドに、一体どんな最悪なバグ(新規の依頼)が待ち受けていようとも。
一体どんな特級の破滅イベント(新境地)が街道から突撃してこようとも。
どんな世界の有象無象(神殿の刺客ども)が、この俺というアカウントの【正体】を検索してへし折りに来ようともさ。
――今の俺のパーティー(我が家)にはね、自らの意志でこのフィールドにログインし、この俺の隣に並び立って、同じコマンド(進軍)を共有することを選択しちまった、二人の絶対の相棒が直立不動で並んで並走してくれてるんだ。
その絶対のステータスログ(現実)の持つ総量はね、これから始まるどんな未知のハードモード(新世界)へ突撃するにあたってもさ、何万倍、何億倍もの圧倒的な防衛スペック(アドバンテージ)になってくれるからな、マジで。
俺たちは全員、肉体の駆動スピードを同期させ、その尾根の頂上から、一歩一歩、巨大王都【ロシャン】の正面国門へと向かって、進軍ルート(下り坂)を前進し始めた。
――三人で、な。
これから始まる、世界を統べるすべての理をへし折って裏切るための、新たなる【本編のメインシナリオ(第ニ章)】へと向かって、マッハの速度でその歯車を駆動させながら、なぁッ!
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【ロシャン】の国門を潜り抜けたその瞬間、街の圧倒的な質量が俺たちのパーティーを丸ごと呑み込みやがった。――一発目にクリーンヒットしたのはバカでかい音声ログ(喧騒)、それから属性特有の臭気、そして前世のあの地獄(東京のタイムライン)以来、どっちの人生を通算しても一度だって目撃したことのないほどの、凄まじい密度の有象無象(人混み)のグラフィック。
よし、了解。これ、マジで尋常じゃねえわ。尋常じゃねえレベルの上限オーバー( genuinea lot )だわ。
エリスのやつ、自らの肉体センサー(意識)じゃ100%無自覚のまま、吸い寄せられるように俺の真隣のグリッドへと間合いを同期(密着)させていやがった。その瞳のセンサーはね、露店の並びから、マッハの速度で往来する馬車の軌道、そしてこの巨大都市特有の絶対の重力が撒き散らす大混乱の全ドットを、激しくサージ(明滅)させながらウォッチしていたさ。
もう片方の flank (側面)に配置されていたエースのやつはね、あの【反意識】の戦術ナビゲーションによって、国門での無駄なパニック(エラー)を完全回避するために、普通のバカでかい大型犬(ザコ犬)のサイズへとその肉体システムを極小化させていたんだがな。あいつは頭部の軸を低くホールドし、その狼の耳だけを常時常時マーク(回転)させて周囲を索敵していたさ。
俺たちのパーティー(三人)、何から何まで一から十まで、こんな環境でランされるようには最初から設計されてねえからな。
(……まぁ、だからこそ俺たちは今、この新しいフィールド(日常)のマニュアルを、三人で一緒にシンクロ(学習)してる最中なんだろうけどな、マジで)
「――てめえ、大丈夫(バイタル正常)か?」俺はエリスに向かって、低く声を潜めて尋ねた。
「……なんか、その、数が多すぎるのよ」あいつは言った。「私の過去ログ(これまでの人生)じゃさ、自分の姿をスキャン(視認)してきた有象無象の連中がさ、『ただの売り飛ばすための商品』ってヘイトを剥き出しにしてこない空間なんて、地球がひっくり返ったって一度もログインしたこと無かったからさ」
ああ、そうだろうな。
そのあいつの魂に刻み込まれちまった最悪な初期設定を、完全に完全消去して上書き更新するまでにはね、それなりに途方もない時間コスト(スパン)を要求されるだろうさ。別に、今日この一日のタイムラインで一気にクリア(解決)しなきゃいけないタスクじゃねえしな。
「ここのフィールド(王都)じゃあ、てめえのことをそんな下卑た目でマークする奴なんて一匹もいねえよ」俺は言ってやった。
「少なくともさ、この俺という最高位の防衛セキュリティ(カイ)がお前の隣に常時ログイン(並走)してる限りはね、天地がひっくり返っても絶対にそんなルート(展開)は発生させねえからさ、マジで」
あいつのプロセッサはね、未だその真実を100%は信用しきれていなかったようだが、それでもその俺のコミット(セリフ)の文字列を、脳内のフォルダへ大切にインポート(セーブ)しやがった。その仕様変更(変化)だけでもね、あいつにとっては確かなクリアルート(前進)だったさ。
◇
目的の【冒険者ギルド(サーバー拠点)】を発見するのはね、ぶっちゃけ至ってイージーなミッションだったさ。――王都の中央グリッド(中心街)にそびえ立つ、バカでかい石造りの建造物。その正面の城門にはね、何年もの長きにわたって数万もの強者たちの手のひらがログインし続けてきたせいで、原型を留めないほどに滑らかに風化した、あの【交差する剣と盾の紋章】が刻まれていやがった。
エントランスの一歩手前のセンチ数(間合い)に直立不動で立っている段階でもね、室内の全画面からリンクして響き渡る、あのバカでかい質量激触の音声ログ(怒号と喧騒)が鼓膜へとクリーンヒットしたさ。数万もの会話の術式がバックグラウンドで幾重にも重なり合う(レイヤード)、これぞまさに、絶え間なくマッハの速度で莫大なコイン(ビジネス)がランされ続けている、特級の中央サーバー特有の絶対の大混乱。
よし、了解。
これがいわゆる、本物の冒険者ギルドという名のステージ(内部構造)ってわけだ。一から十までじっくりとスキャン(ウォッチ)させてもらおうじゃねえの。
俺はね、王都の国門を潜り抜けるよりもずっと前の段階から、固有スキル【擬態皮膚】の発動コマンド(イグニッション)をランさせていたんだ。――外見グラフィックは、あの例のモブおっさん【リーブ( Roge )】。何から何まで至って平均的な有象無象。この擬態マニュアルの下で、俺は自らの【反魔力オーラ】の出力をミリ単位で限界まで完全消去していたからな。これだけの鉄壁のハイド能力(自衛セキュリティ)を常時駆動させていりゃあさ、本物の特級スカウトの知覚知覚(目)を以てしてもね、二度見する価値のあるバグ(異常値)なんて塵一つとして検知不可能だわ。
対するエリスのほうはね、ハイドコマンド(擬態)を割かずに、俺がインポート(ネーミング)してやったあの【エリス( Eris )】という本物の公式真名のまま、隣に並んで進軍していた。その衣服のグラフィック(地味な旅装)がね、周囲の背景ドラムへと完璧に完全同期するマニュアルとして、100%のクオリティで機能してくれたからな。
そしてエースのやつはね、普通のザコ犬サイズ(小柄な状態)を維持したまま、物静かに直立不動で並走していた。時折、周囲の有象無象から「何だあの犬」と奇異の目を投げられるイベントが発生したけれどな、ただの塵一つのノイズ(それ以上の進展なし)に過ぎねえよ。
ギルドの内部の音声ログ(喧騒)の総量はね、さっき街道の知覚知覚(耳)で受信していたあの数値と完璧に完全同期するレベルでバカでかかったさ。
そこにはね、数過負荷で完全に顔を引きつらせている、お堅いお役所仕事のマニュアル対応をランさせている数人のハリードな受付嬢たちのカウンターデスク。その背後のグリッド(壁面)にはね、端から端まで完璧に完全密着(埋め尽くす)するレベルで、依頼内容が書き込まれた羊皮紙の山がバチバチとピン留め(マッピング)されていやがった。
そしてその広場にひざまづいて群れていやがったのはさ、生涯の大半のタイムラインを血生臭い修羅場だけで叩き上げてきた、独特の絶対的な【戦士の威圧感】をまとった、普通の弱者(一般人)ならエンカウントした瞬間にマッハの速度でバックステップ(逃走)をキメるレベルの、本物の強者どもだった。
ぶっちゃけ、あの【ミルヘイヴン】の衛兵隊長ヴォスが持ち込んできた、あの可愛い規模の通常依頼(穀物倉庫の放火ザコ戦)なんかとはさ、ログインしてる人間の最大スペック(母数)が最初から何から何まで次元が違ってたわ、マジで。
俺たちはカウンターデスクの全容量(並び)の中から、たまたま一つだけ空いていた空きグリッド(受付窓口)を発見し、そこへと間合いを詰めた。
そこに居座っていた受付嬢はね、瞳のセンサー(目)に深い疲弊のデバフ(隈)を刻み込み、その手のひらの駆動システム(手際)だけをマッハの速度でランさせて、コンプリート(処理済)されたはずの大量の契約羊皮紙を執拗にソート(整理)している、そんな女だった。
「――おや、新規のアカウント(新しい顔)だね」
その女はね、悪意があるわけじゃ決してなかったさ。
ただ、過去のキャリアにおいて何千、何万もの hopefuls (おめでたい新人ども)をその特等席で能力測定してきたプロ特有の、あの完全にマニュアル化された、手慣れた値踏み(スキャン)の目をこちらに向けてきやがったんだ。
「ギルドのシステムへ新規登録(アカウント作成)を希望する個体かい? それとも、ただの通常ウォッチ(見学)のギャラリーかい?」
「登録だ」俺は言った。「ここに直立不動で並んでる、俺たち三人全員の一括インポート(一括登録)をオーダーしたいんだが、そのシステム(仕様)は解放されてるか?」
俺のそのセリフ(コマンド)が発行された瞬間、受付嬢の眉のグラフィックがね、俺の真隣のグリッドに、最高に calm (おとなしく)かつアラートモード(直立不動)のまま座り込んでいやがるエースの姿をスキャンして、微かにピクリと跳ね上がりやがった。
「……へぇ。そこの個体(魔物)は、てめえの【従魔・テイムモンスター(コンパニオンビースト)】ってカテゴリー(属性)なのかい?」
「まぁ、システム的にはだいたいそんな感じ( something like that )の仕様だな」俺は言った。
「あいつさ、見た目のアベレージスペック(外見)以上に、遥かに脳内プロセッサの知性クオリティ(頭脳)がチート化されてるからな」
エリスのやつが、横から通信してそんな術式を追加しやがった。
おかげさまでね、その受付嬢の口から、クスッと短く、本物の驚きのポジティブ音声ログ(笑い声)を弾き出させること(クリア)に成功したさ。
「あはは、どこの世界のパーティーの従魔だって、大抵そういうシステム(思ったより賢い)になってるもんさ」
その女はそう言い放つや否や、すでに手元のアカウント作成マニュアル(登録用紙)の束をマッハの速度で引き抜き(インポートし)始めていやがった。
「よし、了解。だったらさ、まずはてめえらの公式真名を開示しやがれ。ギルドのシステム構造(仕様)においてね、最低限、駆動可能(ラン可能)な活動名のアカウント登録は絶対条件だからな。――別に本物のリアルな真名(本名)である必要なんて一文字もねえよ。このフィールド(ギルド)にログインしてる有象無象の九割九分はさ、最初から完璧に完全カモフラージュされた別のアカウント名(偽名)でシステム駆動させてるからな。俺たちの側としてもね、依頼タスク(クエスト)が手際よく綺麗にコンプリート(処理済)されさえすればさ、てめえらのブラックボックス(素性)に対して過剰な詮索を仕掛けるメリットなんて、最初から一文字も実装されてねえからさ、マジで」
最高。素晴らしい。
俺の自衛システム(ポリシー)的にもね、そういう最高に実用的なライフハック(都合の良い仕様)のほうが、圧倒的にこの王都を攻略しやすくて助かるわ。
「【リーブ( Roge )】」俺は言った。「俺のアカウント名はね、その固有データでシステム登録してくれりゃあそれで十分だわ」
「【エリス( Eris )】」あいつは言った。その声の軸はね、ブレずに完璧に安定していたさ。まるで、俺があの山の上の第一階層の夜に真名を付与してやったあの瞬間からさ、この新しい公式真名を世界に向けて公式発表できるこのタイムラインが訪れるのを、ずっと首を長くしてハイドしながら待っていたかのような、そんなブレないトーン。
受付嬢の瞳のセンサーが、エースの巨体へと落とされた。「で、そっちの大型犬(魔物)は?」
「【エース( Ace )】」
「至って単純明快で上等だね」
その女はそう呟きながら、自らの手元の帳簿へその三つの固有真名をマッハの速度で書き込み(インポートし)やがった。
「――はい、システム登録(アカウント作成)完了。初期設定のマニュアル通り、スタンダード登録を完了したすべての新規個体にはね、ギルドの依頼掲示板へのアクセス権、ギルド管轄の全共有施設の利用権、そして初期設定ランクである【黒鉄・ブロンズ( Bronze )】のクラス称号が一発付与されるよ。――いいか、世界のいかなるチート持ちの化物(例外)であれ、最初の一歩(初期設定)はこの黒鉄の座標からラン(スタート)するマニュアルになってるからね、例外は天地がひっくり返っても一切無し。てめえの保有してる実際の最大スペック(戦闘能力)がどれほど理不尽な上限値を叩き出していようとな、だ。……まぁ、一応てめえらのプロセッサに事前にインポートしておいてやるがね。世間の大半のおめでたい新人(自惚れ屋)どもはさ、自分の最大スペックがこんな最下層のランク(ザコ扱い)に一括ホールドされるこの初期仕様に対して、最高に胸糞悪いデバフ(侮辱)を喰らったって顔を引きつらせてブチギレ散らかすのがお約束のマニュアルになってるからさ。……一応、そのエラー(バグ)に対処する覚悟だけは、脳内にセーブしておきな」
【黒鉄・ブロンズ】。
この俺というアカウントの保有する最大スペック(反魔力)が、どれほど世界をへし折るレベルのバグ(チート能力)をハイドしていようとな、だ。
システム上における最下層の、ただの最弱のザコランク(最低クラス)からのスタート。
――ぶっちゃけ、最高に上等じゃねえか。完璧に完全なる、俺の求めていた日常。
マッハの速度で大層な急成長を遂げて、外の世界の有象無象(神殿のレーダー)に「おい待てよ、あの新人のスペック、バグレベルに跳ね上がっててヤバいだろ」とマークされる最悪のバグ(フラグ)を誘発するくらいならさ……この最弱の黒鉄の着ぐるみを限界まで着こなして、ただの無能のザコ(平凡なモブおっさん)としてハイド(隠蔽)され続けてるスパンのほうがね、俺の自衛システム的にも圧倒的に動きやすくて助かるからな、マジで。
「――ああ、その仕様(初期設定)で完璧に完全100%同意だわ」俺は、受付嬢の瞳のセンサーを見据えて言い放ってやった。
「俺たちのパーティー(我が家)はね、最初からハナから、世界を驚天動地させるような大層な名声スペック(クリア実績)をマッハの速度で稼ぎ出す(ランさせる)ために、ここへログイン(登録)しにきたわけじゃねえからな、マジで」
それを聞いた瞬間、その女はね、俺の肉体センサー(顔)の真ん中を、何とも言えない奇妙な違和感を帯びた眼光でじっと凝視しやがった。
――そりゃあそうだろうな。ギルドに新規アカウント登録しにくるようなおめでたい新人どもがさ、完璧なポーカーフェイス(直立不動の真顔)のまま、そんな「俺、最初から最強なんて目指す気1ミリもねえよ」なんていう不気味な文字列を公式発表してのけるマニュアルなんてさ、奴の過去のキャリア(データベース)のどこを探したって、一度として発生した履歴は無かっただろうからな、マジで。
だが、奴はそのエラー(違和感)に対して、それ以上の過剰な詮索を仕掛けてこなかったさ――。
依頼掲示板という名のそのエリア(壁面)はさ、一から十まで完全につじつまの合うバ大混乱の羊皮紙の山で埋め尽くされていやがった。そこにマッピングされているタスク(依頼)はね、至ってありふれた通常運転の護衛ミッション(エスコート)から、あのドランの親父クラスのベテラン一個師団長であってもさ、一発で脳内戦術シミュレーターを駆動させて二度見(警戒)するレベルの最悪な警告フラグ(警告)が刻まれた、本物の特級魔物討伐契約(モンスター討伐)まで、文字通りてんこ盛りだった。
よし、了解。
最下層の黒鉄のアカウントに、一体どんな初期依頼が解放(アクティブ化)されてるのか、じっくりとスキャンさせてもらおうじゃねえの。
俺の弾き出していた確率論を裏切ることなく、黒鉄のクラス称号に割り当てられていやがった依頼一覧はね、何から何まで至って不器用で、これっぽっちも大層なクリア実績( unglamorous )なんかじゃねえザコ戦ばかりだったさ。――地元の農地を荒らす害獣駆除ミッション( pest control )、ただの伝書鳩の如きお使いラン、あるいは街道を一人きりで前進するだけの防衛スペック上限を持ち合わせていない、お人好しな商人どものための護衛活動。中にはね、脳内プロセッサが駆動を拒絶するレベルの、ただの果てしない虚無期間(退屈なタスク)も居座ってた。だがな、裏を返せば、この巨大王都の全体的な内部構造マニュアル(仕様)を完璧に完全解読するまでの間さ、極めてローリスクで確実にコインのリソース(報酬)をビルドアップしていくには、これ以上ない真っ当なライフハック(手段)ばかりだったけれどな。
エリスのやつはね、俺の真隣のグリッドに並び立ち、その瞳のセンサー(目)を鋭く駆動させて、じっくりと掲示板をアナライズ(熟考)していやがった。
「――これ(このタスク)、どうよ」あいつはスッと手元を動かし、一つの羊皮紙の座標をパッと指差しやがった。「護衛ミッション。それなりの規模の商人隊商のエスコートよ。行軍スパンは片道三日間(往復六日)、提示されてるコインのリソース(報酬額)もね、黒鉄の相場を考慮すれば、かなり高位のポジティブ数値で登録されてるわ」
「てめえ、もうこの手のタスクをスキャンする『眼』をビルドアップ(最適化)しちまってるじゃねえか」俺は言ってやった。
「俺さ、わずか一ヶ月前(一ヶ月前)のタイムラインまで、ただの『物資』として馬車の中にハイド(監禁)されてたからな」あいつは至ってフラットに、一切の感情出力を引き算したトーンで言い放った。
「どんな条件の馬車の依頼が、本物のクリア報酬( メリットあり )を孕んだ正規のオファーなのか。そして、どんな条件の文字列が、エンカウントした瞬間に一発でハメ技(罠)を喰らう最悪のバグなのか。その識別マニュアル(知識)ならさ、普通の有象無象の戦士よりも、遥かに高密度のデータを脳内にセーブしてるからね、ミリ単位でな。この依頼はね、100%正規のルート( legitimate )だわ。名声ステータスの高い本物の大商会( Established merchant house )だし、指定されてる目的地もね、マップに実在する本物の街だ。どこのどいつかも分からん有象無象が吹っかけてくる、あの『真夜中の交差点のグリッドで合流しましょう』なんていう、そんな胡散臭いクソマニュアル( nonsense )なんかじゃねえからな」
完璧な正論。 More than fair (ぐうの音も出ねえわ)。
この特定のコンテキスト(護衛活動)においてね、一体どんな不審なフラグ(レッドフラグ)が最悪なバグを誘発するのか、あいつの保持してる知覚センサーはね、このフィールドの誰よりも優秀に機能するからな。
「上等じゃねえか、いい『眼』だ」俺は本物の真実として、あいつのジャッジをシステム承認してやった。
「よし、了解。だったら今すぐその依頼、俺たちのパーティーで一括受注してやるわ」
◇
エリスのやつが、カウンターデスクへ赴いて受注マニュアル(書類手続き)をミリ単位で手際よく処理している、まさにそのタイムラインの途中。俺のほうはね、ただの純粋な好奇心のレーダー(メモリの余白)に従って、掲示板の残りのログをぼんやりと網羅スキャン(ウォッチ)しながら、周囲のギルドフロア(フロア)を満たしていた、あの有象無象どもがバックグラウンドで垂れ流していた音声ログ(雑談)へと、聴覚知覚(耳)のチャンネルをそっと同期させていたんだわ。
こういう莫大なリソース(人間)がひしめき合う中央サーバー(ギルド)ってのはね、ただ直立不動で耳を澄ます(マークする)だけでさ、世界中のあらゆる未解決の重要機密(噂話)が、勝手にアクティブログとしてインポートされてくる場所だからな。どの回線(会話)にエイム(照準)を合わせるべきか、それさえ完璧に完全看破していりゃあさ、なぁ。
すぐ目と鼻の先のグリッド(死角)に群れていやがった、見るからに泥臭い修羅場を潜り抜けてきた風体の一一個師団( adventurer's )の連中がね、声を潜めた低い周波数で、だが、俺の特級の聴覚センサーを完全にシャットダウン(ハイド)するには一歩及ばない、甘い隠密マニュアルで重要機密をランさせていやがったんだ。
「――あのお坚い【神殿・東の聖教会( Eastern Church )】の連中さ、この過去一年(過去一年)のスパンにおいてさ、尋常じゃねえ最大出力で新規の兵力スペック(兵士の増強)をビルドアップ(強行)してやがるだろ」
先頭の一匹が、ボソリと言い放った。
「ここ数ヶ月のタイムライン( pastafew months )だけでもさ、この街のフィールドを通過していく教会の騎士どもの総数が、通常運転の平均数値を遥かに上限オーバー(イレギュラー)して跳ね上がってんだよ。何かの最悪なバグ(イベント)の予兆を検知して、お抱えのメインプロセッサ(天上)が本気で大混乱( stirred up )を起こしてやがる証拠だわ、マジで」
へぇ、なるほど。最高。至高。最高に面白いじゃん、そのデータ。
俺はね、近くの全然興味のないザコ依頼の羊皮紙をじっと凝視しているフリをして、擬態カモフラージュ(ハイドモード)を維持したまま、さらに奴らのセンチ数(間合い)をミリ単位で詰め、その音声ログのロングバージョン(全貌)を100%の明快さで受信してやった。
「てめえ、そのシステム異常の本当の内部構造(理由)を検索できてるのか?」二匹目の音声ログが弾け飛ぶ。
「知るわけねえだろ。俺たちの黒鉄クラスの初期アカウント( pay grade )じゃさ、そんな最高機密フォルダ(天上)へのアクセス権(閲覧権)なんて最初から一文字だって実装されてねえよ。ただ一つ、確実に確定してるリソースログ(ファクト)としてはな……あいつら神殿のクソ野郎どもさ、世界中のフィールドに湧き出た、独自の【固有属性:異常個体(アノマリー・バ物)】に関する隠蔽データを抽出(開示)してくれた奴に対してさ、天地がひっくり返るほどの莫大な路銀(特級のコイン報酬)をバックペイしてやるって、公式のマニュアル(指名手配)を全画面で常時ランさせてやがるんだ。……まぁ、その『異常個体』って文字列が一体どんな化物を意味してるのかはさ、俺のプロセッサじゃさっぱり解読不能( unmake )だけどな、マジで」
はい、終了。
出たわ、またしてもその真名。――【異常個体】。
あの隠密斥候のガキが、俺の手元で強制シャットダウン(処刑)されるその刹那に吐き捨てやがった、あの『絶対に実在(実装)してはならないバ物の確定ログ( Confirmation )』という名の術式とさ……中身のシステム構造が完璧に完全同期してやがるじゃねえか。ただ、表層のグラフィック(違う服)を着こなして偽装してるだけだわ。
俺はその会話の全容量を、脳内の最重要隠蔽データベースへと、大切に、ミリ単位の狂いもなくインポート(ファイリング)しておいたさ。――過去何年もの長いタイムラインにおいてさ、世界のあちこちで発掘してきたあのバラバラのパズルの断片の隣にな。それらの小さなドットがね、今この巨大王都の底サーバーにおいて、恐るべきマッハの速度で一本の巨大な【絶対法則(神殿の陰謀)】としてマッピングされ、一本に繋がりつつあるのを、俺のプロセッサは全霊で感知しちまってたんだ。
あいつら神殿のクソ野郎どもはね、特定の個人(カイという少年)の座標だけを狙って、その牙を研ぎ澄ませてるわけじゃねえ。
もっと冷酷な、構造的な【種族カテゴリ:異常個体(バ物)】そのものをシステムから一発で消去(全滅クリア)するために、その殲滅プロトコルをランさせてやがるんだ。
ってことはさ、これから先のタイムラインにおいて、この広い世界のマップのどこかに、俺と完璧に完全同期する仕様を持った別の『転生アカウント(同じ境遇のバ物)』が実在している可能性フラグだってお約束の仕様として浮上してくるし、もっと言えば――今、俺の隣で反魔力オーラをバチバチ明滅させてる、あの【エリス(新名)】のアカウント情報だってさ、いつ奴らの検索レーダー(サーチ)に引っかかって、一発で殲滅ターゲット(異常個体)へと一括ホールド(処理)されるか、分かったもんじゃねえってことだからな。
ぶっちゃけ、自分のプロセッサ(理性)の側じゃねえ、そんな最悪の死にゲー展開、100%これっぽっちも安心できるリソース( good news )なんかじゃ最初から端からねえんだわ、マジで。
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エリスのやつが、公式の承認印章(システム承認)がカチリと刻印された受注契約羊皮紙( signed contract )をこの両手のひらにバックペイ(一括返済)しに還ってきた。その真後ろのグリッドからはね、普通の大型犬サイズ(シュリンク状態)を維持した特級銀狼のエースのやつが、物静かに直立不動の間合いを同期させて追従してきていやがった。
あいつはね、依頼掲示板の目の前で、未だ脳内メインプロセッサをフル回転させて思考の演算に半分ハイド(没頭)していた俺のステータス画面をスキャンして、小首を傾げやがったんだ。
「……ねえ、カイ。すべてのシステム(バイタル)は正常値クリア(大丈夫)?」
「ああ」俺は言ってやった。脳内プロセッサの最深部でバチバチと明滅通知アラートを発行していたあの重苦しいデバフ(神殿の陰謀)を一瞬にしてマッハの速度でハイド(隠蔽)し、いつもののんきな愛想笑いのグラフィック( pleasant )へと復旧完了させる。
「ただの、音声知覚(盗み聞き)だよ。このフィールド(ギルド)にログインした最初の一発目のタイムライン(今日この一日)にしてはさ、随分と高位の重要機密ログ(知る価値のあるデータ)を検索して発掘できたからさ、俺の中のアナライズ的には最高にハッピー(満足)だけどな」
「……あの教会に関するデータ?」
「神殿・東の聖教会( Eastern Holy Church )について、100%の完全一致だわ」俺は本物の真実をシステム承認してやった。
「未だ確固たる決定打(クリア画面)には一歩及ばない、未解決のフォルダに過ぎんがね。だがな、俺たちの第二章の始まり(スタート)としてはね、これ以上ない特級の初期フラグ(大収穫)だけどな、マジで」
無いよりは数万倍マシだわ。あの山の上(隔離された地)で、ただの無能のザコ(何も知らない引きこもりガキ)として、世界中のいかなるマニュアルも解読できないまま、丸六年間もの果てしないタイムラインを浪費し続けていたあの初期座標の俺に比べりゃあさ、なぁ。
「よし、決まりだ」俺は、自らの出力トーンにいつものリラックスしたイージーな波長を100%同期(復旧)させて言い放った。
「護衛ミッション(エスコートタスク)。片道三日間、往復六日間の街道攻略。――これ、俺とてめえの新しいアカウント(パーティー)が、初めて一つの共有の攻略ステージで一緒にラン(駆動)させる、正真正銘の『初陣(最初の仕事)』だからな、履き違えるなよ」
「……うん。これから始まる、果てしない依頼リスト(非常に長いカタログ)の、これが記念すべき最初の第一階層だけどね」
エリスの顔面のグラフィックにね、ついに、本物のクリアへの希望(本物の笑顔)のエフェクトが、じはじわと、100%全開でサージ(明滅)しやがったんだわ。俺の知覚センサーがね、その輝きを脳内の一番重要なフォルダへと大切にセーブしていたさ。
(――おい、エース)俺は、脳内直接通信回線【魂回路】から、奴の精神コアの座標へと電波(通信)をスッと繋いでやっておねだりした。
(てめえ、俺たちのパーティーの公式な『初陣(最初の本格的な仕事)』を攻略しに行く準備は、100%のクオリティで完了できてるだろうな、おい)
≪――解答。私はね、あの隔離された絶望の山を一歩前進して飛び出したその刹那のタイムラインからさ、とっくに100%の戦闘スタンバイ(準備完了)をセーブ維持し続けているのですよ、我が主≫エースのやつが、脳内回線で至ってデッドパン(真顔のトーン)にアンサーを弾き返しやがった。
≪……ただ単にさ、最初の第一階層の初期ステージの段階から、自らの最大全開スペック(やる気)をこれ見よがしに出力(公式発表)してさ、周囲の有象無象に調子に乗って浮かれてるザコ( overeager )だとアナライズされる最悪なバグ(フラグ)を、自衛セキュリティでハイドしていただけの話ですがね、ぶっちゃけ≫
(ククク。はいはい、了解、了解。てめえが移動中ずっと音声ログをスルーして静まり返ってた本当の理由(システム仕様)はね、完璧に100%その通り(ザッツ・エグザクトリー)だったわけだわな。そりゃあ最高に上等だわ、てめえ)
≪――肯定。100%その通り、完全一致です≫
俺はね、ガハハと声を大にして、本物の大爆死(大爆笑)の音声ログを、この有象無象がひしめき合う巨大の中央ギルド(フロア)のど真ん中で思い切り響き渡らせ(ランさせ)ちまったんだわ、マジで。
わずか一週間前(一ヶ月前)の段階までさ、世界のマップのどこを探したって一度も視認したことの無かった未知の巨大王都のど真ん中に直立不動で立ち尽くし。――その右隣(間合い)にはね、過酷な奴隷システム(スレイブトレード)の地獄をサバイバル(生存)してクリアしてみせた、あの獣人の少女エリス。そして左隣のグリッド(側面)にはね、普通の人間どもの一生のキャリア(寿命スパン)を天地がひっくり返るレベルで置き去りにして、マッハの速度で高度なブラックジョーク(ドライユーモア)の最大スペックをビルドアップ(最適化)しちまった、特級銀狼のエース。
この最高に不気味で、最高につじつまの合わない、規格外の【三人で一つの我が家】をインポートしてな。
新しい巨大王都。
新規の護衛ミッション(最初の依頼)。
そして――あの【神殿・東の聖教会(東の聖教会)】という名の、俺のすべてを二度も丸ごとロストしやがったあの闇のパズルのピースがさ、今、この両手のひらの中で、確実にカチリと音を立てて、一つの明確なグラフィック(標的)へと組み上がっていく、その絶対のタイムライン(現実)。
これから先、俺たちの街道に一体どんな最悪なバグ(特級大災害)が突撃してこようともさ。
(……フッ。俺さ、自分の前世と今世の全過去ログを考慮してもね、これまでに記憶したどの瞬間よりも、遥かに、何万倍もその未知のハードモード(新世界)の攻略を……本気で100%大真面目に、心の底から楽しみにしてるんだよね、マジで)
俺たちは、明日からの長旅のインベントリ(旅支度)を完璧に完全セーブ(調える)するために、正面城門から前進を開始した。
中央ギルド(フロア)のけたたましい喧騒の音声ログが、俺たちの背後の死角(背後)へとみるみるうちに引き算(減衰)されて消え去っていき、俺たちの肉体はね、再び【ロシャン】の有象無象がひしめき合う巨大な街道へとログイン完了したんだわ。
――三人で、な。
これから始まる、世界を統べるすべての理を力ずくでへし折って裏切るための、果てしない依頼リスト(非常に長いカタログ)の、栄光ある最初の第一階層をカチリと攻略クリアしてやるために、なぁッ!!!




