白黒の空
琴音が窓から見える風景はやけに白黒がかっていた。
琴音は思う。
もしかして……
お姉さんが優しいのはきっと……
私は退院できないのかな
風が吹けば飛んでいくのかな
でも、私はまだ十七歳よ
生きていられるはず
お父さんもお母さんも、お姉さんも最近は優しいの
いつもより……
看護婦さんだってやさしいでしょ
変よ……
最近はね……
もう生きられないのかなってそう思うの
でも、先生に会いたい
また、褒められたい
可愛いって
泣いちゃうじゃない
頑張らないと
先生に怒られるでしょ
なんだか
なんだか眠くなっちゃった……
琴音が持っていたコップが音をたてて床におちた。
「どうしたの? 琴音ちゃん? 琴音ちゃん、ほら、しっかりして。先生、先生……」
琴音の唇の色が消え失せていた。
主治医が慌てて病室に入った。
「おい、しっかりしろ」
「琴音ちゃん、琴音ちゃん!」
「おい、家族を至急呼ぶんだ」
「はい」
先生、先生
ほら、上手に弾けるでしょ
ああ、琴音ちゃん、上手だよ
先生、琴音は頑張ったのよ
本当だね
家族が慌てて病室に入った。
父親は叫んだ。
「琴音、琴音、しっかりしろ」
「先生、先生、琴音は……」
「まずい、意識がない。このままじゃ……」
「なんとかしてください」
先生、先生
お空が青いの
なんだか、雲の上に先生が見える
ほら、私を読んでいるのでしょ
「琴音」
「琴音、しっかりして」
「琴音、琴音」
誰か雲の下から私を呼んでいるのかしら
あ、先生が教室でピアノを弾いているわ
待っていてくださいね
先生
いよいよ、ストーリーはクライマックスに進みます。
時間をください。
琴音を見守ってください。
必ず書き上げますので。




