小鳥のさえずり
琴音は病室の窓から外を眺めていた。
窓の外には海が広がっていた。
その海を入院してから毎日眺めていた。
なんだか、思い出すな。
先生とお姉さんが……
やっぱりそうなのかしら……
でも、海がきれい。
白い砂浜が見えるわ。
私はお姉さんになりたい……
でも、お姉さんは最近元気がないのよね。
どうして……?
先生と何かあったのかしら……
琴音の知らないところで……
私の気持ちはなんだったの……?
でも、先生がやっぱり好きよ。
ほら、夕日が見える野原で琴音が可愛いって言ってくれたよね。
それだけでいいの……
でも、でも、本当にそれでいいの?
琴音はそれでいいの?
いやよ。
それにどうして、病院で横になっているの……
ピアノだって弾けないじゃない……
琴音はそれでいいの……?
いやよ……
早く学校に行きたいな。
理恵子、元気にしているかな。
いつまで、入院なのかな……
琴音はよくなるの……
先生、お姉さんも、お父さんも、お母さんもなんだか変だったな。
ううん、気のせいよ。
琴音は大きくなったら何になりたいかな。
学校の先生でピアノを教えられたらな。
子供たちと一緒に弾けたらな。
琴音も子供?
ううん、もう大人よ。
でも、まだ子供なの……?
だからかな……?
お姉さんになれないのは……
何だか涙がでちゃった……
白い灯台がきれいね。
私に光を当ててちょうだい。
そうしたら、先生の元へ飛んでいけるでしょ。
「琴音さん、夕食のお時間よ」
「あ、はい。もういいところで……」
白い灯台の光が、琴音をそっと照らした。
夢のかけらだけが、そこに残った。




