お参り
理恵子は父親と母親の病のこと思い悩んでいた。
特に父親は長く生きられないと聞いていたので、なおさらだった。
そんな理恵子の姿を見た学校の先生が、神社にお参りに行くことを勧めてくれた。
神社はうっそうとした中にあり、理恵子は心細かったので琴音を一緒に誘った。
琴音ちゃん、一緒に神社にお参りに行ってほしいの
どうしたの?
お父さんとお母さんが病気でしょ。少しでもよくなりますようにと思って。あの神社、怖いのよ。
そうね。いいわよ。
理恵子の家では渡辺が帰ってきていた。
家族の面倒をみていた。
でも、琴音はそこに入らなかった。
戸惑いとミレーゼに対する遠慮があったからだ。
理恵子、川崎先生は元気にしている?
うん、でも、お仕事で忙しそうなの。
じゃあ、私は先生が病気にならないようにってお祈りする。
うん。
琴音と理恵子は近くの神社にお参りに行くことになった。
神社に着くと早速、二人はお祈りをした。
どうか、お父さんとお母さんの病気がよくなりますように。
先生、どうか、お体にお気をつけてください。でも琴音のことも少しだけ思い出してね。
神社の鈴を琴音は鳴らした。
響きが柔らかく残った。
琴音と理恵子は賽銭箱に小銭を入れた。
理恵子、これで、思いは叶うわよ。
うん。
琴音は賽銭箱の奥にお供え物のお餅が置いてあるのに気づいた。
理恵子、ほらお餅がある。琴音はおなかが空いたのよ。
どうするの。
少しだけいただこうかしら。
駄目よ。
いいのいいの。
琴音はお餅を少しだけちぎって食べた。
おいしい
もう、琴音ったら、バチがあたるわよ。それに太っちゃうわよ
そうね。
琴音は舌を出した。
ふふふ
二人は顔を合わせて笑った。
そして、神社を後にした。
帰り道のことだった。
理恵子、赤いお餅は美味しかったね。
え、赤いお餅だった? 白いお餅でしょ?
そんなことはないわよ。赤いお餅だったよ。
気のせいかしら。
うん。
理恵子は不思議そうに琴音の顔を見た。
二人は笑顔で手をつなぎ家へと向かった。




