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アイテムボックスが最強すぎて廃村を立て直すなんて余裕でした?ウソです超大変です!  作者: 河津乃毒袋
VSプリース王国編

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第138話〜それぞれの戦地へ〜

 無事、パイナスへと入ったエータたち。

 街は昨日来たときよりも閑散(かんさん)としている。


 チラホラと人が居るようだが、残った人々は窓を閉め、家の中に閉じこもっているようだ。


「ここまでして動かない人が居るのか⋯⋯」


 人間の『変化への恐怖』は相当なものであるとエータは痛感した。


(前の世界でも、災害のなか動かない人がいたしな⋯⋯)


 多様性とは種が生き残るための本能である。


 全員が同じ行動を取ると一度に死ぬリスクを負う。

 今回の件もそうだが、もしエータたちが悪人だった場合パイナスから離れた民衆は一網打尽である。


 それを回避するための生物の進化の結果。

 『多様性』。


 それがかならず良い結果を産むとは限らない。

 こと、今回に限って言えばエータたちは善人であり、革命の邪魔でしかない。


「なんとか民衆への被害をおさえて制圧しないとな⋯⋯」


 大技を使えば、罪のない人々を巻き添えで殺してしまうかも知れない。

 そんな事を考えながら先へと進む。


 作戦通り、エータ、イーリン、ディアンヌは王都中央にある王城へ。ドロシー、フィエル、アイチェは地下を探しに北へと向かうことに。


「ビートとシロウを見つけたら合図を頼む!」

「わかった!」


 力強くエータに言うフィエル。

 六人は向かい合って円になり、右拳をさしだした。


「かならず成功させよう! 国もビートもシロウも! 全部取り返すぞ!!」


「えぇ!」

「あぁ!」

「おー!」

「はい!」

「はいッス!」


 そして、六人は二手にわかれた。



 ――――――



 パイナス南。進軍中のスピルド、オリオン軍。


 パイナスの西にて巨大な龍が二匹、地面をスプーンですくうかのごとくえぐり取っているのを確認。


「どぅわっ! な、なんだありゃ!!」


 驚くスピルドの横でオリオンはさらに驚愕していた。


「どういう事だ!? あれは凱竜天! 英雄ダストンのアーツドライブじゃないか!!」


 そして、スピルドの顔をキッとにらむ。


「お、お、オリオン様! 言いたいことはわかりますよォ〜! 殺したって言ったじゃないかってことですよねぇ〜!」


 スピルドは手をこすりながら言う。


「で、でもぉ! 本当に間違いなく殺したんですってばァ〜! これがウソをついてる顔に見えますかァ!?」


 キラキラと目をうるませるスピルドに、オリオンは「うっ⋯⋯」と、ヒきながらも、


(ウソは言っていない⋯⋯しかし、凱竜天が撃てる者が居るのは事実⋯⋯!)


 と、思考をめぐらせた。


「スピルド。南の脱走兵の処理は任せた。私は陛下の護衛にいく!」


 まさかの宣言。

 動揺を隠せないスピルド。


「えぇー!? 五万人以上ふくらんだアレを、たった八千ぽっちの兵で!?」


「質はこちらが数倍上だ! 貴殿も十分に戦えるだろう!? 相手はほとんど無職(ニート)で、富国強兵(ストロングアーミー)の効果も切れている!」


「で、ですが⋯⋯魔法大臣マギラ様が⋯⋯」


 ぐちぐちと口をまごつかせるスピルドを無視し、オリオンは近くの近衛騎士に「あとは任せた!」と告げて、パイナスへと踵を返した。


「ちょ、ちょっとオリオン様ァー!!」


 スピルドの叫びもむなしく高速でパイナスへと向かうオリオン。


(冗談じゃねぇぞ! 遠距離からボカーンってされて終わりだろ! ま、まぁ俺様は避けれるけどよォ⋯⋯)


 スピルドは進軍しながら自分たちの兵を見る。


(コイツらは確実に死ぬなぁ⋯⋯最悪、騎士団が焼かれてる隙に逃げるか⋯⋯)


 どこまでもクズな彼は心の中でほくそ笑んでいた。



 ――――――



 ドロシー、フィエル、アイチェの部隊。


 パイナス北、地下闘技場への入口を発見。


「酒場のVIPルームにこんな隠し階段があるなんて⋯⋯普通じゃありませんわね」


「あぁ。どうにもきな臭いな。フィンの情報だと、ここ以外にもいくつか入口があるみたいだ」


「もしかしたら、ここにシロウさんとビートくんが⋯⋯」


 三人は顔を見合わせる。


「よし、行ってみますわよ」


 ドロシーはドレスのスカートをたくしあげ、地下へと続く冷たい階段を一歩一歩降り始めた。



 ――――――



 王城・正門前。

 エータ、イーリン、ディアンヌ到着。


「き、来たァァ!!」

「すみません! ハロルド様ぁー!」


 門番はスタコラサッサと逃げてしまった。


「もう最初から逃げとけよ⋯⋯」


 エータは心底呆れながら呟いた。


「行きましょうエータくん」


 そんな彼をディアンヌが後押しする。


「あぁ⋯⋯ハロルドには、なにか得体の知れないチカラを感じる。油断せずに行こう」


 そう言って、王城の門を開けた。

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