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アイテムボックスが最強すぎて廃村を立て直すなんて余裕でした?ウソです超大変です!  作者: 河津乃毒袋
VSプリース王国編

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137/288

第136話〜王国滅亡まで、後6時間〜

 コクシ歴2026年。夏至。


 剣と魔法が飛びかい、人とモンスターと亜人が生きる異世界『バハスティフ』。


 そんな世界のとある国。『プリース王国』は、照りつける太陽で、今日も灼熱の暑さである。その暑さを忘れんばかりに走りまわる使用人と兵士たちの姿。


「報告いたします! またも大量の汚物が上空より出現! 首都・パイナス南西、貴族街から市民街にかけて降りそそいだとの事です!」


「続けて報告いたします! その影響で、なおも市民の間で病が流行中! 医者(ドクター)錬金術師(アルケミスト)神官(プリースト)、それぞれ職業(ジョブ)がまったく足りておりません! このままでは貴族にも影響がおよぶと思われます!」


「陛下! 御指示を!」


「陛下!!」


 必死に訴えかける兵士たちを後目に、玉座に座るプリース王国の国王ハロルド・ラ・プリースは、生気を失ったように力なく、ただ窓を見ていた。

 兵士たちは困惑した。いつもなら「めんどくさい!」だの「貴族優先である!」だの言ってくるはずなのに。なぜ?


 ただ事ではないと感じた一人の兵士が、恐るおそる聞いてみる。


「陛下。いかがなされたので⋯⋯?」


 ハロルド王は兵士たちに目をくれることなく応えた。


「⋯⋯なんだ、あれは?」


 なんだ?とは、なんだ?陛下は何をおっしゃっている?何をそんなに怯えているんだ?

 兵士たちが顔を見合わせる。


「陛下。あれ、とは⋯⋯?」


 完全に兵士たちのことが目に入っていない国王。


「我々は⋯⋯我々はなにを敵にまわしたのだ?」


 主君のただならぬ様子にやっと『外で何かが起きている』と察した兵士たちは、窓へと視線を向ける。


 直後、王の間は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。




 ーー巨大な土塊、いや『山』が今まさにプリース王国の首都パイナスに落ちようとしていたのだ。




「アイテムボックスとはなんだ? ただ物を出し入れする能力では無かったのか? まるで⋯⋯まるでこの世の終わりではないか! これがかつて我が国を興したという伝説の武芸術(アーツ)――」


 直後、大地を揺るがす轟音と共にハロルド王の言葉はかき消された。



 ――――――



「エルフの⋯⋯我が同胞の怒りを思い知るが良い、プリース王国」


 エータのアイテムボックスにより出現した『北のエルフが住んでいた、死んだ山』。


 それが、パイナスの東側へと堕ちていく。


 黄金のギコム畑をなぎ倒し、猫じゃらしのような草原を爆風で吹きとばす『怒り』。


 その悲しい一撃を、西の山から悲哀の目で見つめる金髪の森人(もりびと)の少女、フィエル。


 彼女は両手を祈るように組み、亡き同胞と森に住んでいたすべての生命のために祈る。


「もう二度と、こんな悲劇は繰り返させない」


 そして、腰の鞘から風宝細剣(エルフィンレイピア)をすらりと抜き、天へとかかげた。


「いまここに誓おう。私は⋯⋯私たちは! ハロルド・ラ・プリースを討ち! 亜人種を解放し! この地に平穏をもたらすと!」


 フィエルのその姿を、ブバスティスの仲間たちは誇らしく見つめている。


 そして、エータは彼女の肩に手をおき、お互いに微笑みあった。


「もうすぐ終わるんだな、この悪夢が⋯⋯」


 フィエルはエータを見ながら言う。


「あぁ、終わらせて⋯⋯そして、始めるんだ」


 エータは土煙舞うプリース王国をにらんだ。


「新しい時代を! 亜人種と人間が、手を取りあって生きていける世界を!」


 そして、ブバスティスの面々に振り返り、力の限り叫んだ!



「行こう! 開戦だ!!」



 エータたちはプリース王国・首都パイナスへと進軍をはじめた。


 たくさんの人たちの悲しみ、祈りを背負い。


 そして、その胸に熱い魂を燃やしながら。

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