表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アイテムボックスが最強すぎて廃村を立て直すなんて余裕でした?ウソです超大変です!  作者: 河津乃毒袋
VSプリース王国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

133/288

第132話〜逃亡せよ〜

 大爆発とともに消滅する海を見ながら、三万のプリース王国軍とマギラはあいた口がふさがらないでいた。

 人智を超えたチカラ。

 それを目の当たりにしてしまったからだ。


「⋯⋯逃げましょう」


 マギラがぽつりとつぶやく。


 その言葉に側近の騎士が冷や汗をかきながら言う。


「ま、マギラ様。それは敵前逃亡という事でしょうか⋯⋯?」


 マギラは目を丸くしたまま「そうよ」と、こぼした。


「だって⋯⋯だって、あんなの勝てるワケ無いじゃない! 尽滅魔法よアレ! 人類が追い求めた叡智(えいち)の極み! 世界中の魔道士(ウィザード)が目指す到達点なのよ!! それを!!」


 マギラは恐怖に頭を抱えながら言う。


「た、ただの威嚇(いかく)に使われたのよ⋯⋯」


 近くの兵士たちがゴクリと固唾をのんだ。

 マギラがなにを言いたいのか痛いほど理解してしまったからだ。




 ――お前たちなんていつでも殺せる。ブバスティス帝国は我々にそう示したのだと。




「お、王国ごと⋯⋯ただの一人も、遺体も残らず⋯⋯」


 マギラはそうつぶやくと、ガクガクと笑う足を殴りつけながら立ち上がり、


「わ、私は逃げる! ジーニアス魔道国へ! あんたたちはどうするの!?」


 と、鬼気迫る表情で言い放った。


 兵士たちは顔を見合わせ、


「マギラ様についていきます」

「お、俺は国に家族があるから行けねぇ」

「正気ですか、マギラ様!」


 と、混乱しているようだ。


 そんな中、一人の兵士が前へ出る。


「マギラ様⋯⋯敵前逃亡は重罪です。しかも、戦争中のジーニアス魔道国へなどと⋯⋯」


 彼の目の前に紅蓮の炎が巻き起こる。


「あんたバカなの!? 大バカなの!?」


 マギラのアーツドライブだ。

 彼女のギラギラとした目は、精神が完全におかしくなっているのを物語っている。


「プリース王国よりブバスティス帝国のほうが圧倒的に強い、私たちが数百万人いたって(かな)わない! 逃げるチャンスは今しかない! 戻ったらハロルドとロウルに殺される! 進めば尽滅魔法で魂ごと焼かれる! 選択肢はひとつしかないのよ!」


 マギラは兵士に詰め寄った。


「私を裁くなら裁けば良い。あんなバケモノどもの相手をするくらいなら、あんたたち三万の兵士とやり合った方がまだ勝機があるわ!」


 フンッと兵士に鼻息をかけたマギラは、南に向かって歩きはじめた。


「着いてくるなら守ってあげる! 攻撃するなら容赦しない! 今すぐ決めなさい! 私はもう行く!!」


 そう言って腕を振りながらずんずんと進む。


 兵士たちは顔を見合せ、そのほとんどがマギラについて行った。



 ――――――



 その様子をエータたちは遠くからながめている。


「ん? アイツらどこ行ってんだ?」


 首をかしげるエータにライオは言う。


「まさかとは思いますが、逃げてるんじゃねーですか?」


「逃げる? でも、パイナスから離れてるぞ」


 それにクロウガも続く。


(あるじ)。きっと、拙僧らとプリース王国。双方から逃げ出したのかと」


「プリース王国からも?」


「さようです。処罰をまぬがれるために⋯⋯」


「あー⋯⋯」


 エータはプリース王国の繋がりの弱さを痛感していた。


「恐怖政治は、それ以上の恐怖が襲ってきたら終わりってワケか⋯⋯」


「ともに良い国をつくりましょう。主」


 スッキリしたような顔でほほえむクロウガに、エータはやれやれと言った様子で「そうだな」と、ほほえみ返した。


「あれだけの人数が逃亡すると周辺に混乱が起きそうだな。ブバスティス帝国に来ないか誘ってみるか」


 エータの言葉にライオは静かにうなずいている。


「良いと思いますぜ。軍事力は数も大事ですからね」


 そして、逃げる兵士を見ながらフンッと笑い、


「腰抜けどもでも、ブバスティス建国後の防衛くらいには使えますでしょう」


 バカにするようにそう吐き捨てた。


「それじゃ、行くか」


 エータはイーリンをお姫様抱っこし、身体強化(ブースト)高速飛行(ハイスピードフライト)迅速(ラピッド)で空へ駆ける。


 その後をクロウガが翼を広げて追った。


「あー! 大将たちずるいっすよ! くそっ!!」


 その後をライオは走ってついてきた。



 ――――――



 王城の最上階にある自室から、自軍が逃げているのをながめているハロルド。


「な⋯⋯なんだあれは⋯⋯」


 三万の兵士が根こそぎ逃げ出したことには腹が立つ。

 だが、それよりも⋯⋯。


「あんなものが我がパイナスに直撃していたら⋯⋯」


 イーリンの放った魔法の威力に戦慄していた。


「陛下」


 オリオンが冷や汗をかきながら話しかける。


「なんだ! いま我に話しかけるな!!」


「⋯⋯魔法大臣のマギラ様が逃亡したようです」


「うるさい! うるさい!!」


 ハロルドは机の上にある、豪華な装飾のなされたコップを投げつける。


 オリオンは水びたしになりながらも話を続けた。


「至急、対応しなければなりません。ご指示を」


 ハロルドは「ぐぅ⋯⋯」と、声を漏らし、


「あのバカ娘を連れてこい。新しいオモチャを仕入れてやるから手を貸せと⋯⋯」


「⋯⋯承知しました」


 オリオンは踵を返し、ハロルドの自室を後にした。


「ギムリィは死んだのではなかったのか⋯⋯? くそっ! あのスピルドとかいうヤツめ⋯⋯! 適当な報告をしおって!!」


 怒りに任せて机をなぐるハロルド。

 それは衝撃に耐えきれず二つに割れた。


「こうなれば徹底抗戦だ⋯⋯! この街から逃げる民も容赦しない」


 ハロルドは気持ちを落ち着かせ、王族のマントを羽織り、冠を被って部屋を出た。


 赤いカーペットのひかれた道を威風堂々と歩く。


「この国のため、どんな犠牲を払ってでもヤツらを殺す」


(邪魔をするものは許さない。かならず叩き潰す。ブバスティス帝国⋯⋯!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ