表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アイテムボックスが最強すぎて廃村を立て直すなんて余裕でした?ウソです超大変です!  作者: 河津乃毒袋
VSプリース王国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

132/288

第131話〜陰陽太極・尽滅魔法〜

 完璧な陣形をたもち、エータたちの居る西の山へと進軍するプリース王国軍。

 その数、約三万。


 次々と現れる兵士たちがいくつもの四角形の陣をつくり、横五列、縦三列に並んで進んでくる。


 その中央には本陣。


 齢45にして魔法大臣を務める才女、マギラが指揮をとっていた。


「ヤツらは少数でプリース城を襲撃し、逃げきったバケモノよ! 気を引き締めなさい! 最悪、西の山を焼き払うわ!」


 マギラは叫ぶ。


(さっきは不覚をとったけど遠距離戦なら負けないわ。だって私は、あの魔道女帝ギムリィの血をひいてるのよ)


 マギラは地位を利用して得た魔道武器『不死鳥(フェニックス)(ロッド)』をギュッと握りしめながら思った。


「ブバスティス⋯⋯。ギムリィ母さんは死んだって聞いたけど⋯⋯イギルはまだ居るかも知れないわね。あの子のアーツは氷結操作(フリージングコントロール)。どちらがより(ことわり)に近付いたのか、勝負しましょう」


 マギラは「全軍、その場で待機!」と、命じた。


 そしてフェニックスロッドを掲げ、天空を割くほどの大声で叫んだ。


「この世界の真理の扉! その一つ! 地獄門から業火を呼びだす!」


 マギラの身体が烈火のごとく真紅に輝きはじめる。


「私はいつか! 母さんを超える!!」


 マギラのマナが魔道武器へと吸収され、大気が振動をはじめた。


「喰らいなさい!! イギル!!!」



 ――大炎界(だいえんかい)焦熱地獄(しょうねつじごく)――



 軍隊の先頭に全長1キロはある巨大な炎の門があらわれ、そこから灼熱の炎が発射された。


 その炎は西の山を焼きつくさんと猛スピードで進む。




 ――一方、その頃エータたちは。




「来たぞ、イーリン」

「おぉー、すごい魔法」

「大丈夫かよ、ちびっ子」

「ライオ殿、心配ありますまい。イーリン殿の実力は拙僧らも周知するところ」


 余裕をもってその炎をながめていた。


「それじゃ、頼んだ」


 エータの言葉にこくりとうなずき、イーリンはギムリィのお墓から借りた杖をくるくるとまわした。


「エータ、頭なでて」


 炎を見たまま言う彼女。


「えっ?」


 突然の申し出に呆気にとられたエータだったが、ちいさくて可愛らしい彼女の頭を、ほほえみながらやさしく撫でる。


「頼りにしてるぞ、イーリン」


 イーリンは「むふー!」と、満足気にしている。


 そしてせまりくる炎へ、ビッと杖を向けた。


「魔法なら、負けない!」


 バチバチと赤と青の光をはなち始めるイーリン。


 それは螺旋をえがくように、彼女の足から頭にかけて上昇していた。


「チカラを貸して! おばあちゃん!」


 その二つのエネルギーは、はるか上空で陰陽太極図のカタチとなり回転をはじめた。


「相反する二つの魔素(マナ)(ことわり)を持ってこれを顕現(けんげん)す」


 赤と青のエネルギーは更に回転を増す。


「動を持って静と成す、零を持って熱と成す」


 大気を吸収するかのごとく、ぶつかり合うエネルギーが強風を巻き起こす。


「開かれしは万理の扉、開かれしは真理の扉」


 太極図からバチバチと電流のような物が走る。

 近くの木々はバサバサと揺れ、小動物たちが恐怖に逃げはじめていた。


我等(われら)、一を(もっ)て、此処(ここ)に全を誓わん!」


「これは⋯⋯!」

「ババア⋯⋯」


 クロウガとライオが驚きの声をあげる。

 そしてエータは、涙を浮かべていた。


「ギムリィ、やっぱりそこに居たんだな⋯⋯」


 イーリンの背中にギムリィの姿が映し出され、彼女の肩をそっと抱いていた。


 空に描かれた太極図が、より回転を増し激しく金色に輝く!!


 イーリンは背中に暖かい光を感じ、それが何なのかを深く理解しながら思いきりマナを解放した!!





 ――陰陽太極(タイチートゥ)尽滅魔法(シャオミエ)――




 極光をはなつレーザービームのような物が三万の兵士たちに向かって放たれた。


 それはマギラのアーツドライブなどまったく意に介さず、時空をゆがませながらすべてを『消滅』させていく。


 勢いを落とすことなく、その破滅の光は敵陣へと向かう。


「ひえぇぇああぁぁ!!」


 マギラは腰がくだけ、地面を黄色い液体で染めた。


「ま、マギラ様! あれは!?」


「誰よ! ギムリィ母さんが死んだなんて報告したバカは!!」


 マギラは歯をガチガチと鳴らし、涙目になりながら襲いくる極光を見る。


「母さんとイギルだわ⋯⋯。ダメ⋯⋯みんな死ぬ⋯⋯私も⋯⋯あは、あはは⋯⋯」


「マギラ様! ご指示を! 防御魔法を!」

「うわっ! うわぁぁぁ!!」

「もうダメだぁぁー!!」


 プリース国の軍団が死を覚悟した瞬間。

 極光は大きく軌道をかえ、北の海にそのエネルギーを爆発させた。



 ――ギュゥワァァン⋯⋯。



 爆発の後。それはブラックホールのように時空そのものを飲み込み。

 半径8キロほどの球体となりながら、海と大地をこの世から消し去った。


 はるか遠くリヴァイアサンの咆哮(ほうこう)が聞こえる。


 それはまるで『海の一部を消滅させたこと』を怒るような、イーリンの魔法に恐れおののいているような。そんな声であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ