神代凪という少女。
諭さん、前、人間関係のもろさの話をしたこと、覚えてますか?
虚しくなったとか、言っていた話です。
私も感じた事、あるのですよね、人との関係の虚しさ。
あっ、結論から言うと、私、このままでは、今から一年後に突然、死ぬそうです。それまでは普通に活動できる、と言っても、疲れやすくなるとか、風邪ひきやすくなるとか、そういう障害はあるのですけど。
都合の良い病気ですよね。まるで、死ぬまで猶予を与えてくれるみたいな。
もしかしたら私、実は死ぬ寸前で、夢を見ているのかもしれない、なんて思う事もあります。
だって、病気がわかった直後、塞ぎこんだ私に、光をくれた小説を書いた人が、なんで都合よく、目の前にいて、恋人の真似事ができているのですかね。
学校の人たちですか? もちろん、病気であることは知っていますよ。でも、こんな病人らしくない病人がいますかね? 誰も信じてないですよ。この間いらっしゃった桐原さんが良い例です。
私の事を、美人とか、可愛いとか言って、周りに自慢するアクセサリーにでもするつもりで言い寄って来た男子も、私はその見た目からクラスの中心になるだろうと思って近づいてきた女子も、みんな離れて行きましたよ。
それが一年生の夏の初めの話です。
周りの視線の変化が、気持ち悪くて、学校に行かなくなりました。折角合格した高校でしたけど、めんどくさくなりました。どうせ死にますから。
その時の私は、三年生になった夏、本当に私が病気で死んだら、どんな反応をするのかが、楽しみで楽しみで仕方ありませんでした。
でも、諭さん。
諭さんなんですよ。そんな私を変えたの。
残り時間、精一杯生きよう。そう思わせてくれたの。
それから喫茶店の手伝いを始めました。そしてすぐ、諭さんを見つけました。
それまでは、前を向こうと思いながらも、何をしているんだと冷たい目を自分に向けていました。
でも、吹っ切れました、その時。
完結まで見届ければ、満足って思ってたのですけどね、その時。物語の終わりまで走り抜ける諭さんを見守れれば良いかなって思っていたのですけどね。
変な話です。
そんな目でみないでくださいよ。
あはは、確かに、ズルいですよね、卑怯ですよね。諭さんが悪いのですよ、私の気持ちを、私の本気を、いつまでもわかってくれないから。
ねぇ、諭さん、酷なお願いしても良いですか?
あなたの一年、私に少しだけ、分けてもらっても、良いですか?




