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前世に飽きた魔王の孫、世界に首を突っ込む 〜退屈だから全部かき回す〜  作者: 暇凡人T
二章 冒険者始動編

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その82 英雄の武器

 ・・・暇だー!

 もうやることないよー!

 カイルの武器吟味も終わって、完全にオヤジ待ちだよ。

 結局武器はオーダーメイドになりそうだし。

 ここに出てるぐらいの武器だとカイルには弱すぎるらしい。

 金貨一枚の剣でも本気で振ると壊れるとか。

 まあ強度とかの問題あるし仕方ないか。

 ただ…

 オーダーメイドすると、どれだけ安くても金貨十枚くらいかかるらしい。

 正直、たっけぇ。

 こんなすると思ってなかった。

 高くなる道理はわかるけど…

 どうにかならないもんかな。

 ・・・俺が作ってみるか?

 俺のスキル、武器生成。

 これは、SPとMPを使えば使った分だけ強い武器が作り出せる。

 俺のたまに使ってる大剣もこのスキルで作った剣だ。

 だから、SPとMPをありったけ注ぎこめば、カイルでも使える武器が出来るんじゃないか?

 暇つぶしがてら、やってみてもいいでしょ。

 てことで、武器生成!


 「「優樹(ユウキ)!?」」


 翔とカイルが、驚いて声を上げる。

 当然だろう、俺の手元が光り輝いているのだから。

 MPとSPが、すごい勢いで減って行くのを感じる。

 それは手から放出されて、武器を形作り始める。

 それに俺はブレーキをかけることはなく、拍車をかけさせる。

 このスキルの本質は、イメージ。

 望んだ武器を創造する。

 想像しろ。

 俺が作った武器をカイルが使って、戦っている光景を!

 形がはっきりとし始める。

 これが、俺の作る剣だ!

 俺の力は、底を尽きた。

 手元には、剣が生み出されていた。

 少し、小ぶりだろうか。

 両手でも、片手でも扱えるだろうサイズ。

 諸刃で、色々な使い方が想像できる。

 多彩な戦い方をするカイルに、ピッタリだ。

 あえて名付けよう!

 「エイン」!


 聖銀の剣

 武器名:エイン

 作成者:ミリル・マデリミア

 ステータス

 耐久力:9293/9293 攻撃力:3581 防御力:11794 魔力伝導力:8732

 技能

 {断裂属性}{耐久力大強化}{攻撃力強化}{防御力超強化}{魔力伝導力強化}


 こだわりポイント!

 防御と耐久を意識しました。

 攻撃力はカイルはかなり高いからこれでいいかな。

 魔力伝導力はよくわかってないけど、魔法もよく使ってるから高めにね。

 ただなんかステータス低いんだよな…

 鱗魔の剣作った時より低いぞ。

 技能も少ないし。

 どうなってんだ?


 「おーいあんちゃん、終わったぞー…」


 刀の手入れを終わったらしいオヤジが、店の裏から出てくる。

 そして俺の握っている剣を見ると、目の色を変えて俺に近づいてきた。

 

 「あんちゃん、この剣はなんだ?とんでもなくいい剣じゃねぇか!」


 怖っ。

 急に詰めてくるじゃん。


 「今、俺が作った剣だけど…」

 「・・・冗談だろ?」

 

 そう言ったオヤジの顔は、さっきとは違って青ざめていた。


 「武器生成ってスキルのことは…」

 「知ってるさ。もちろんな。だが、こんな良質な武器は作り出せない。それも、材料がないならなおさらだ。自信無くすぜ…」

 

 そうなの?

 魔鱗刀の方が強いけど。


 「普通に作っただけだよ。SPとMP、全部注ぎ込んだけど。」

 「それ自体は珍しくないはずだぜ?あんちゃん、どんな量のそれを持ってんだ?」

 「待って、それより前に。これ、どれくらいすごいの?」


 それだけは聞いておきたい。

 なんでそんな驚いているかがわかんないんだよ。

 

 「わかってないのか…!これは、金貨五十枚クラスの武器だぞ!」


 ・・・はぁ?

 これが?

 金貨五十枚!?

 


 やべぇ取り乱した。

 でも待って、どういうこと?

 本気で作ったけど、そこまで強くないぞ?

 なんでそんなするんだ?

 剣作りまくれば大儲けできるぞ。

 SPとMP空っぽになるとはいえ、一日に一本は作れるからな。


 「なんで、そんなに?」


 俺は絞り出すようにオヤジに伝える。

 

 「比較だよ。俺の店でこの強さのもんオーダーされたら金貨五十枚は取る。材料渡されてなきゃ、妥当だと思うがな。・・・まぁ、こんな武器オーダーされることなんかないと思うが…」


 思ったより単純だった。

 たしかにな。

 材料費とかあるわけだしそれだけかかるのかも。

 てかカイルが使える武器ってこれがギリギリだよな?

 これより弱いと武器が持たないだろ。

 てことはとんでもない金かかるじゃねぇか!

 ふざけんなよ!

 カイルは十本ぐらい武器使うから…金貨五百枚!?

 足りねぇよ!

 俺が作らないとダメじゃんほんとに。

 

 「こんな武器を使うのは、それこそ英雄達ぐらいだろうからなぁ…」


 そう、オヤジがボソッと呟く。

 英雄…?

 なんだそれ。

 

 「英雄、って?」

 「知らねぇのか?英雄ってのは、どっかのステータスが一万を超えてる奴らのことだ。SSランク冒険者だったり、軍の主力だったりする、マジモンの化け物だ。」


 へー…そうなんだ。

 ・・・ん?

 その定義なら、俺たち全員英雄では…?

 俺も、翔も、カイルも。

 まあいいか。

 どう呼ばれようが変わらないよ。

 ただのCランク冒険者に過ぎないんだし。

 でもなんでそいつらクラスじゃないと使えないんだ?

 別にもっと弱いやつが使ってもいいんじゃ。

 

 「なんでそいつらぐらいじゃないと使えないんだ?もっと弱い奴が使ってもいいだろ?」

 「それはキツいな。そもそも、武器のステータスは使う奴のステータスに近いものがいい。それより高くても、低くてもダメだ。高いと持て余す、低いと本気を出せないからな。」

 

 へぇー。

 じゃあ俺の魔鱗刀はちょうどいい感じなのか。

 魔人化した俺と同じくらいのステータスだから。

 ・・・てか、今作った剣でそのレベルなら、魔鱗刀はどうなるんだ?

 

 「オヤジ。じゃあ俺が預けたその刀は?どれくらいの価値があるんだ?打ち直して上がったのか?」

 「ん?ああ、これか。これは…なんなんだろうな。あのときの俺は預かった剣を整えて、形にしただけだからな…ステータスはほぼ変わってねぇよ。」


 オヤジは俺の刀を掲げながら言う。

 マジか。

 変わってなかったんだ。


 「あんちゃんがどこでこれを手に入れたのかは知らねぇが、これに値をつけるなら金貨五百枚はくだらないだろうよ。」

 

 そう言ったオヤジの顔は、どこか誇らしそうだった。

 一から作ったわけではないとはいえ、自分が打った刀がとんでもないもので嬉しいんだろう。

 でも、俺はちょっと…

 ショックだわ。

 金貨百枚稼いでウキウキしてるところに、もっと価値のあるもんが手元にあったなんて…

 もう武器作ってる方が稼げるのかもな…

 やらないけど。

 冒険者の方が楽しいし。

 

 「カイル。」

 「どうした?」

 「これあげる。」

 

 俺はカイルを呼んで、作り出した剣をカイルに渡す。

 当のカイルは、意表を突かれた顔をしていた。


 「・・・いいのか?」

 「元からカイルに使ってもらうために作ったんだ。当然だろ。」

 

 そう言うと、カイルの顔が明るくなった。

 

 「・・・ありがとう。大切に使わせてもらうよ。」

 「おう、また武器渡すからその都度何がいるか言ってな。一日一本作れるから。」

 「ユウキ…おまえ、すごいな。」

 

 褒められた、イェイ。

 カイルの武器だけ作りきったら、しばらく作るのはやめよう。

 ・・・いや、翔の武器とかも作るか。

 翔も作って欲しそうな顔してる…気がするから。

 それだけやったら、本当におしまい。

 ・・・まあ?

 金に困ったら?

 また作るかもね?

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