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最狂最悪の魔王の孫に転生しました。  作者: 暇凡人T
二章 冒険者始動編
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その43 こ、これが、翔!?

 ない!

 なーんもない!

 さすがにおかしくない?

 ずーっと森だよ?

 もっと街とか…人に会いたい!

 ・・・あ、いいこと思いついた。

 

 「翔ー、空飛んで街とかないか見てきてくれない?」

 「え?」

 「上から見たほうが見つけやすいだろ?」

 「たしかにそうだな。じゃあ見てくるよ。ここで待っていてくれ。」


 そう翔は言って大きな翼を開き、空へと飛び立った。


 「翔ー!なんか見えたかー!?」


 俺は、上空にいる翔に向けて声を張り上げる。

 聞こえてるのかな、これ。

 翔が上空を旋回し始め、ある一点を向いて止まる。

 その後、しばらくして翔が降りてくる。

 

 「見つけた。たぶん、街だ。」

 「おお!ほんとか!?なら行こう!」

 「わかった。あっちの方向だ。ちょっと俺は準備するから、後からついていく。」

 「よーし!いくぞ!」


 俺は、意気揚々と歩き出した。



 少し歩くと、空間感知に、大きな壁が浮かび上がった。

 防壁か?

 まあ魔物なんてのがいる世界だしそういうのがないと街なんてできないか。

 

 「翔ー。ついたっぽいぞー。」

 

 そう、後ろを歩く翔に声をかける。

 

 「本当か、方向が合ってたみたいでよかった。」

 

 翔は安堵してるみたい。

 早く街行きたい行きたーい!

 てことで、入り口探そ。

 

 「それじゃ、さっそく入るぞー!」

 

 そう言って歩き始めようとしたが。


 「ちょっと待て。」


 翔に妨害され、止められた。


 「んん!?なんだよ!」

 

 せっかく街に着いたのに!

 なんで止めるのさ!


 「優樹、一回考えてみてくれ、俺の、今の状態を。」

 「えぇ?翔がなんだって…あ。」


 そういえばそうじゃん。

 翔…龍じゃん!

 え?どうすんの?

 街入れなくね?

 待て待て、一回想像してみよう。

 俺と翔、街入る。

 他の人からすると、龍が一匹。

 人、集まる。

 翔、襲われる。

 そのまま、死ぬ。


 「終わった…」

 

 俺は、地面に手をつく。

 俺、何のためにここまで…

 一人で行っても意味ないし…

 

 「ゆ、優樹?そんな深刻に考えなくても…」

 「だって!二人で街に入れないんだぞ!?」

 「だから!それができる方法があるんだって!」

 「・・・え?」

 

 どーゆーこと???


 「・・・まあ、もう見せたほうが早いか。」

 「み、見せる??」

 

 ほんとにどういうことだってばよ。

 

 「スゥー…『人化』。」


 翔が息を吸い込み、一言。

 その言葉を言った瞬間、翔の体が…

 縮み、変化し始めた。


 「え、ええ?」

 

 数秒経った後、翔がいたはずの場所には…


 一糸纏わぬ美少年がいた。



 え?

 なにこれ?

 幻覚かな?

 翔が、美少年に??

 しかも全裸だし。

 

 「か、翔?」

 

 俺がおかしくなったのかもしれないし、一度呼びかけてみる。


 「う、あ、あぁぁ。こうか、ごめんな。声の出し方に苦戦して。」

 「翔、なんだよな…?」

 「ああ、そうだよ?」

 

 幻覚じゃなかったか…

 じゃあ一体なんで人間に???

 

 「なんで、そんな姿に…?」

 「これはな…魔龍に進化した時に、神名の技能に追加されてたんだ。『人化』っていう技能が。」

 「『人化』か…それを使ったんだな。」

 「そうだ。」

 

 しかし、そのまんまだな。

 もっと捻れんのかね?

 それにしても…

 

 「裸、だな。」

 「ん…?ああ、たしかにそうか。転生してからずっと、服なんて着てなかったからな…」

 「なんか着るものは…」


 なにかないか探すが、近くには見当たらない。

 むむ、このままだと新しい問題が。

 さすがに全裸の子供連れて街には入れんだろ。

 仕方ないか…

 

 「これでも着な。」

 「え?これ…優樹の上着じゃ…」

 「いいよ、別に寒くもないし。」

 

 実際そうだし、なんならこの服、死体から剥ぎ取ったやつだし…


 「・・・ありがとう。」

 

 そう言って、翔は服を受け取り、それを着る。

 ・・・うーん。

 ギリギリ下は見えないな、ヨシ!

 ならこのまま街行けるかな?

 よし、もう俺たちを阻むものは何もない!

 

 「翔、これで街行ってもいいよな?」

 「・・・そうだな、これならなんとかなると思う。」

 「じゃ、今度こそ!街へ!」


 レッツゴー!



 ・・・しかし、こう見ると翔、美少年だな…

 黒銀の、背中まである髪が、風に揺れ、羽のようにたなびいている。

 瞳は翡翠のようで、光に当たり瞳の中で渦が巻き、風の魔法を想起させる。

 顔立ちは整っていて、丸みが残る童顔。

 一見すると少女のようにも見える。

 だけど、表情と目が少女や少年のそれじゃない。

 外見以上の知性、そして余裕がある。

 体格は百三十センチぐらいか?

 細身で、肩幅も狭い。

 腰回りも華奢だ。

 ただ、翔が人ではないことが、はっきりわかる点、それが一つある。

 体の色々なところに浮かび上がっている鱗だ。

 光に反射すると、空色に見える鱗。

 それが、腕や足、顔にまで生えているんだ。

 これが翔か。

 違和感がすごい。

 けど、そのうち慣れていくんだろうなぁ…

 成長とかするんだろうか。

 だとしたら将来はどんな姿になるんだろうなぁ。

 今から楽しみかも。

 そんなことを、翔を見ながら考えていると。

 

 「…?森が…」 

 

 森がなくなり、整備された道と…

 街への入り口であろう、大きな門を見つけた。

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