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21話 大猿とドラゴン

 ホー、ホー

 どこからか鳥の声が聞こえる。

 なぜだろう?

 それに、なんだかやけに地面が硬いし、ジャリジャリしている。

 俺はただ寝ていたはずなのに。

 ……いや、寝ていたんだっけ?

「はっ!?」

 ライトは慌てて目を覚まし上半身を起こした。

 自分が森の中で幽体離脱の実験をしていたことを思い出したのだ。

 ライトが周りを見渡すと空の色はオレンジ色になっており、夕方になっていることがわかった。

 朝に幽体離脱を試したので半日近く意識が飛んでいたようである。

「いつのまにか夕方になっているなんて、これが幽体離脱なのか。」

「いや違う。」

「え?」

 ぽつりと呟いたライトに声が掛けられた。

 ライトが声のした方へ顔を向けると、そこには鳥の姿のネイバーがいた。なんとなくバツの悪そうな顔をしている。

「あー、目を覚ましたみたいだな、よかったよ。」

「ああ。えっと、俺たちは幽体離脱を試してたんだよな?」

 まだ少し寝ぼけているらしく、ライトはネイバーに状況を確認する。

「ああそうだな、そうだったんだけど。」

「けど?」

「残念ながら失敗した。」

「えっ!そうなの!?」

「ああ。」

「そんな。」

 幽体離脱に失敗したことを知らされてライトはうろたえた。

「なんで失敗したんだよ。自信満々だったじゃないか。」

 ライトは立ち上がると、語気を強めてネイバーに詰め寄った。それに対して、ネイバーはまっすぐにライトを見つめて言った。

「すまないが、幽体離脱をするにはお前の魔力が足りなかったらしい。」

「えっ。」

 ネイバーの言葉にライトは言葉を詰まらせる。

「それって、俺の魔力が少なかったから幽体離脱できなかったっていうこと?」

「ああ。そういうことになる。」

「そんなぁ。」

 ライトはがっかりと肩を落とした。せっかく魔法を学び始めようと、決意を固めていたところだったにも関わらず、その初日の第一歩でつまづいてしまったのである。それも自分の魔力の少なさが原因で。ライトは俯いてしまった。

「まぁ、お前は俺を召喚するのに魔力を使ってるしな。それに、少し鍛えれば幽体離脱するくらいの魔力は身につくと思うからよ、そんなに落ち込むなよ。」

 ネイバーはライトを励ましたが、ライトはあまり慰められなかったらしい。

「そんなこと言ってもさぁ。けっこう初心者向けのことだったんだろ?幽体離脱って。」

「まぁそうだけど。」

「うぅ〜。」

 落ち込むライトにネイバーは肩をすくめた。

「おい、こんなんでいちいち落ち込んでるヒマなんてないぞ。他にやってみることもあるんだからよ。」

 そう言うと、ネイバーは鳥の姿を変え始めた。

 ボコボコというような音とともに、骨や筋肉が肥大化し、形を変えていく。

「うわわ、なに!?なに!?」

 異様な音と光景にライトは驚いた。

 ネイバーは見る間にライトの身長を上回る大きさの塊になり、そこから太くて長い塊が4本生えて塊を地面から空に持ち上げていく。

「オ前ニ大猿ヲ見セテヤル。」

 ボコボコと体を変形させながら、ネイバーが体のどこからかそう言った。

「大猿?」

 ライトは猿を見たことがあるが、ライトの猿に対する印象は人間よりも背が低く手足も細い姿であった。注意する点としては爪や歯が危険というところだ。

 それに対して、ネイバーが今体を形成している何かの生物はライトよりも背が高く、手足の太さもライトの数倍ある。

 (こんな猿がいるのか?)

 ライトがそんなことを考えているうちに、ネイバーの手足が筋肉の盛り上がったはっきりとした形をつくる。指先に鋭い爪が生え揃い、大量の毛が生えて手足を覆っていく。

 手足の形が出来上がると、体の胴体も形ができあがっていく。大きな胴体が硬そうな皮膚で固められて、さらにその皮膚が体毛で覆われていく。

 そして、胴体から出てきた太い首から頭が迫り上がっていく。

 胴体と同様に硬い皮膚で覆われているようだ。顔の彫りはかなり深い。

 ネイバーは猿と言ったが、形が猿っぽいだけで猿とは程遠い存在に思える。熊の体を持った猿がいたとしたら、近い存在かもしれないとライトは思った。

 全身が完成したのか、ネイバーは腕と足を地面に立てたまま背筋を軽く反らせて「グアア。」と声を出した。

 ライトはネイバーが人間から、犬や鳥といった自分より小さな動物に変身することには慣れ始めていたが、自分よりも大きなものに変身するのを見たのは初めてだった。

 さらに、ネイバーが人を簡単に殺せそうな見た目の生物になったため、ライトはかなり気圧されていた。

 声の出せないライトにネイバーが話しかけた。

「これが大猿の姿だ。驚いたか?」

「あ、ああ。はっきり言ってこわいよ見た目が。」

 ネイバーの声が呼び水になり、ライトは声を出せるようになった。そして、ライトはおそるおそるネイバーの近くに寄っていった。

「というか、これってほんとに猿なのか?」

「猿には見えないだろう?昔、俺が鳥になって山の近くにいたころ、人間を攫って食べる魔物がいたんだ。この姿の魔物のことだけど、そいつは猿を手下にして近くの街を襲ったりしていてな。だから大猿って呼ばれてたんだよ。」

「へぇ〜、そんな怖い奴がいたんだな。」

「そうなんだよ。ついでに、ちょっとお前の体を押してやるよ。」

「え?」

 ネイバーはそう言うと、ライトの返事を待たずに片腕を上げて、手のひらでライトの胸を押した。

「うわぁ!」

 ネイバーは軽く押しただけだったが、ライトの体は軽く宙を浮いて後ろに飛んだ。ライトは転びはしなかったがものの、後ろに飛んだ反動でよろめくことになった。

「突然押すのはやめろって。」

 ネイバーに抗議するが、ネイバーは気にした様子もない。

「俺が言いたいのはつまりだ。」

「うん?」

「つまりお前は、これだけの力を持っている俺を召喚できている、っていうことだ。それに比べたら、幽体離脱とかどうでもいいような魔法なんて、使えようが使えなかろうがどうでもわけだよ。違うか?」

「う、うん。」

 戸惑いながらライトが返事をする。

 ネイバーはライトの返事を聞くと、4足歩行の状態から後ろ脚だけで体を支えて直立した。4足で地面に立っているときですら大きく感じていた体が、直立することで高さが加わりさらに圧迫感のあるものになる。ライトの体はネイバーの影で完全に覆われてしまう。

「お前や他の奴らが魔法を使ったとして、俺に勝てると思うか?」

 ライトの頭上からかかる問いに、ライトは少し怯えながら応える。

「い、いやいや、全く思えないよ。」

「そういうことだ。」

 そう言うとネイバーは再び4足歩行の体勢になった。

「これだけ力を持った俺が味方についてるわけだぞ。お前、そんな中で幽体離脱ができなかった程度で落ち込んでる場合なのか?」

「……いや、違うと思う。」

(もしかすると、ネイバーは俺を励まそうとしているのだろうか。)

 なんだか荒っぽい方法にも思えたが、実際にネイバーの大きさを目の当たりにすると、幽体離脱や初歩的な魔法が使えないことなどどうでもいいことのように思えてくる。

「たしかにネイバーの言う通りだと思う。けど、やっぱり自分でも魔法が使えるようになりたいよ。」

 落ち込んだ気分は大分消えていたが、それでも自分で魔法を使えるようになりたいというのはライトの本心であった。

 ネイバーはライトの言葉を肯定も否定もしなかった。

「それはそれでいいと思うぜ。お前がいろいろな魔法を使えるようになるには時間がかかるかもしれないけど、出来ないことはないと思うぜ。」

「ああ。ありがとう。」

「おう、とりあえず俺が言いたいのは落ち込んでる場合じゃないってことよ。」

「うん。そのとおりだ。」

 ライトは俯いていた心を上に向けることにした。

(思ったこととは違ったけど、そんなことでくよくよしてる場合じゃない。)

 そして、心を入れ替えたところで、ライトは今日外に出てやろうとしていたことが他にもあったことを思い出した。

「あ!そういえば今日やりたい事があったんだ。」

「なんだ?」

 ネイバーが彫りの深い顔で目を開いて尋ねる。

「今日せっかく外に出たから、キノコとか木の実とか探そうと思ってたんだ。」

「ふぅん。」

「けどもう夕方だし、探してる暇はないなぁ。」

 残念そうにライトが言った。

 それを聞いたネイバーは静かにライトに言った。

「なぁ。」

「何?」

「キノコとかは、お金で買えるものか?」

「え、うん。」

「キノコとかを探そうとしているのは、節約とかそういったことを考えてるっていうことで合ってるか?」

「まぁ、そうだけど。」

 ネイバーの突然の質問に対して、意図が掴めないままライトが答える。

「じゃあ、しばらくキノコ探しとかはしなくていいぜ。」

「え?どういうこと?」

「金で買えるものならわざわざ探さないでいいから、金の心配はするなっていうことよ。」

「いやいや、そんなわけはいかないでしょ。ネイバーだってお金なんて稼げないんだから。」

 ネイバーの言っている意味がわからずライトは混乱した。

「いいか、俺は魔法をゆっくり使えるようになればいいとは思っているが、キノコ探しだとかを悠長にやっている暇があるとは思ってないから。そんなことをやってるならその間にお前のことを鍛えてやったほうがいいだろう?」

「いや、そんなこと言っても……。」

「任せとけよ、俺にはいい考えがある。」

 蓄えがあまりないため、ライトは何かを言いかけようとしたが、ネイバーはその言葉を断ち切った。

 そしてライトはネイバーの自信ありげな様子に反論を言えなくなってしまった。

「わかったよ。信じるよ。」

「そうしておけ。それじゃあこのまま始めるか。」

「あ、ちょっと待って。」

「なんだ?」

 動き出そうとするネイバーをライトが止めた。ライトの言葉に再びネイバーは目を開いて尋ねる。

「夜になると街の門が閉められちゃうんだよ。それまでに帰らないと次の日まで締め出されたままになるんだ。いい門番なら入れてくれるけど、基本的に嫌な奴の方が多いし。」

「じゃあ1日外で過ごせばいいだろ。」

「うん、まぁ。」

「なんだよ。」

「いや、あんまり野宿とかしたことないからさ。野犬とかも怖いし。」

「お前、俺がいて野犬が襲ってくると思うか?」

 そう言われてライトはネイバーを見た。どう見ても大猿の状態のネイバーを相手に野犬や野生の動物が襲ってくるとは思えない。

「たしかに。すごい安全そう。」

「そうだろう。むしろ締め出されるのはチャンスだ、魔物の世界は夜が本番だしな。」

「そう、そうだよね。そうだそうだ。」

「そうだそうだ。」

 ライトは基本的に街の外で夜を明かした事がないため不安を感じていたが、ネイバーに背中を押されてやる気を出すことにした。

「よし、やるよ。そしたらちょっと場所を移動してもいい?」

「いいぜ。何かあるのか?」

「うん、さすがに地面で眠りたくないからさ。ほとんど使う人がいない休憩所があるからそこに行こうかなって。屋根と座るところがあるくらいだけど、まだマシだからさ。」

「ふ〜ん、わかった。じゃあ行くか。」

 ネイバーはライトの言葉に応じると、片腕をライトに差し出した。

「特別に俺の背中に乗せてやるよ。その方が速いし。」

「え、いいのか?」

「ああ、ほら。」

 ネイバーはライトの襟を掴むとグイ、とライトの体を引っ張りあげて自分の背中に下ろした。

「おお!すごいゴツゴツしてる。」

 ネイバーの背中は体毛で覆われていたが、それ以上に皮膚が硬いらしく、ゴツゴツとした感触があった。体は硬かったが、ネイバーに乗ったことでライトの目線は大分高くなり、ライトは新鮮な気分を味わっていた。

「いくぜ、道案内はよろしく。」

「ああ、とりあえずあっちの方に行って。」

 ライトは手を伸ばして休憩所のある方向を指差した。ネイバーは首をぐるりと回して背中にいるライトが差す指の方向を確かめると、手足をゆっくりと動かして移動を始めた。

「うわわ!」

 叫んだのはライトである。

 ネイバーの体は大きく歩幅が長いため、ゆっくりとした動きに見えても実際にはかなりの速度が出ていたのである。

 ネイバーがあまり背中を動かさないようにしているのか、ライトが振り落とされることはなかったものの、ライトは必死にネイバーの体毛を掴むことになったのだった。

「大丈夫か?」

 ネイバーがライトに話しかける。

「大丈夫、なんとか。」

「そうか、まあこれ以上は早くしないからしばらく頑張れ。」

「うん。」

 ライトが必死にしがみつく中で、ネイバーは地面の起伏や木の枝を全く気にせずに進んでいく。

 その様子を見てライトは、こんな大きい魔物がこれほどの速さで向かってきたら、昔の人にとってはそれは恐ろしいことだっただろうなと思っていた。



「ここでいいか?」

「うん。」

 2人が出発してから10分ほどで、2人は休憩所に到着していた。普通に行くなら1時間はかかるであろう道のりであったが、大猿になったネイバーにとっては問題にならない道のりだったらしい。

 休憩所はライトの言っていたとおり、屋根と長椅子があるのみの質素な作りをしていた。

 ネイバーは背中に手を回してライトを掴むと、地面に下ろした。

「おっと。」

 ライトは両足で地面に着地したが、ネイバーの背中に乗っていた負荷のためか、ふらついて地面に尻もちをついてしまった。

「おい、大丈夫か?」

「ああ。少しふらついただけだ。」

「よっ。」と掛け声を出してライトは立ち上がった。

「さて、とりあえずここまできたし、何をしようか?」

「そうだな、せっかくだし、他の魔物の姿も見てみるか?」

「あ、いいな。それなら俺、ドラゴンを見てみたいんだけど。」

 目を輝かせてライトが言う。その様子を見てネイバーは少し呆れたように言った。

「お前ドラゴン好きだな。なんか俺を召喚したときもドラゴンを召喚したいとか言ってなかったか?」

「それはまあ、けど、かっこいいじゃないかドラゴンって。」

「わからないけど、まあなってやるよ。」

「おおー。」

 ネイバーの承諾にライトは興奮した様子で声を上げた。

「あ、ドラゴンになるのはいいけど、体の大きさは今の大猿くらいが限界だぜ。」

「え、そうなの?」

 ライトの思い描くドラゴンは家よりも大きいトカゲのような姿で、火を吐いているようなイメージがある。

「ああ、これ以上はお前の能力がまだ追いついてないと思う。多分、またお前が気絶する事になると思うわ。」

「そ、そっか。けど、一回見てみたいから今の大きさでドラゴンになってよ。」

 何かの線引きがあるのか、ライトには判断できなかったが、また気絶するのは嫌なのでライトはネイバーに、そのままの大きさでドラゴンになってもらうことにした。

「よし、じゃあ見てろよ。」

 そう言うと、ネイバーの体が変身を始めた。

 ボコ、ボコ

 異様な音とともに、ネイバーの首が伸びていく、さらに背中が伸びて広がっていき、尻尾と思われる部分がお尻から伸びていった。

 体を覆っていた体毛はなくなり、どんどん巨大なトカゲのような形になっていく。

 頭も人間や猿に近い形だったものが、グイイと口が引き延ばされたようになり、鋭い牙が生え揃っていった。

「カアア。」

 最後に、大猿になったときと同じように少しだけ背を反らして一声鳴くと、ネイバーの変身は完了した。ネイバーは完全におとぎ話で言われるようなドラゴンそのものの見た目になっていた。

「どうよ。」

 少し濁ったような声でネイバーがライトに話しかけた。

「すごいよ。うわ〜、本当にドラゴンだ、かっこい〜。」

 ライトは初めて実際に見たドラゴンの姿に目を輝かせて、ネイバーの背中をベタベタと触った。

「おい、嬉しいのはわかったけどあんまり触るなって。」

 ネイバーは満更でもなさそうにライトに言った。

「おっと、悪い悪い。」

 謝りながらライトはネイバーから手を離した。

「火は吐けないの?」

「ああ、今は無理だ。魔力を使うしな、お前が成長したら俺も火を吐けるようになるさ。」

「そっかぁ。火を吐くところ見てみたかったけどなぁ。レベルが足りないっていうことかぁ。」

 ライトは残念そうに言ったが、あまり気落ちしてない様子だった。

「けど、俺が成長したらいいってことだもんな。やる気でてきたよ。」

「そうか。いいぞ。」

 やる気のある様子のライトにネイバーも気を良くしている。

「なぁ、どうしたら魔力を上げていけるんだ?」

「そうだな、やっぱり今みたいに、魔物に触れていくことだろうな。他にも筋トレみたいに小さい火を出してそれを徐々に大きくしていくのも効果があるだろう。」

「おお〜、さすが物知りだな〜。」

「そうだろう、そうだろう。」

 ライトが褒めたことで、ネイバーはさらに気を良くする。そして、ネイバーはこんな事を言い始めた。

「よし、そしたらもう少し体を大きくしてみるか。」

「え?」

「見てみたいだろう?」

「いや、けどそしたら俺気絶しちゃうんだろ?」

「そうだけど、どれだけ大きくなれるか見てみたくないか?逆に言えば一回気絶するだけで見れるんだぜ。」

 なんでもないようにライトに気絶しろというネイバーに、若干引き気味にライトが応える。

「えぇ〜。気絶ってそんなに気楽にするもんじゃないだろ。けど、気になるのはたしかだけど。」

「まぁ、どっちでもいいけどよ。やめとくか?」

 実際、ライトは大きいドラゴンを見たい気持ちはあった。

「うーん、まってくれ。そしたら気絶してもいいように長椅子に寝るから。」

 逡巡しながら、ライトは気絶することを受け入れることにした。長椅子に横たわれば気絶しても酷いケガをしないだろうと考えたのだ。

 長椅子に横たわり、ライトはドラゴンになったネイバーを見上げた。

「よし、いいよ。どこまで大きくなれるか試してくれ、あと、俺が気絶したあとはちゃんと守ってくれよ?目が覚めたときに野犬とかに食べられてたら恨むからな。」

「そこは信用しとけよ、捨てるなら午前のときに捨ててただろ?」

「そうかもしれないけど、気絶するのは俺なんだから心配するだろう。」

「一理ある。まぁ、信用するだけしとけ。さて、やるぜ。」

 グイ、とまるで犬が遠吠えをするように、ネイバーは体を反らして羽を広げ、頭を空に向けた。

 そしてそのまま頭をさらに伸ばすようにすると、

 グググ、と首が伸びていき、体もそれに合わせて大きくなっていった。

 ライトはまるで、木が成長していくのを高速で見ているようだと感じた。そして、羽を広げて空に向かって伸びていくドラゴンの体を見て、そのまま空まで飛んで行けそうだと感じていた。

(ネイバーの背中に乗ったら、そのまま空を飛んで行けるのだろうか。)

 そんなことを考えながら、ネイバーの体が10メートルほどになったところで、ライトの意識は途切れた。

「お、これくらいか。」

 ライトの意識が途切れたことがわかったのか、ネイバーは大きくなるのをやめて、元の大きさまで体を戻した。

「うーん、よく考えると、今日ってこいつのこと2回気絶させただけか?もうちょい何かあったかもなぁ。」

 ネイバーはライトを見下ろしてそんなことを言ったが、すぐに「まぁいいか。」と言って深く考えないようにした。そして、

「むしろ、ちょうどいいか?少し仕事ってやつをやらないといけないしな。」

 そう言うと、ネイバーはニヤリとドラゴンの顔を歪ませて、視線を街の方へ向けたのだった。

今日はハロウィンらしいですね!

私に縁はないけどね!

読んでくれてありがとうございます!

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