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事故物件404号室  作者: ゆずさくら


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盗まれた謎

 ヒナとノリが朔夜の失踪を調べるため部屋に忍び込んでから、一週間が経った。

 タイルカーペットの汚れは、カゲトキに送って解析を進めている。

 朔夜がいた部屋は中学から近かったため、二人は荷物を中学校に置くことにした。

 生徒たちの興味が薄れたのか、ヒナへのいじめは弱くなっていたが、二人と他の生徒の会話はなかった。

 朔夜の件は学校では話せなかったから、学校にいる間はたわいない会話だけだった。

 放課後になると、ヒナとノリは誰もいなくなるまで教室に残ってから、朔夜の部屋を調べる話を始めた。

「やっぱり、あの床を剥がさないと何もわからないんじゃない」

「物音が立ってしまうだろ。業者のようにして入らないと」

「床の下、絶対何かあ……」

 ヒナが急に話すのを止めた。

 ゆっくりノリに指示をするが、ノリはその意味がわからない。

 小さい声でたずねる。

「何?」

「誰がいた。完全に聞いてる感じだった」

 ノリはそれとなく教室を歩いて教室の外に顔を出す。

 いない。綺麗に誰もいない。

 そのまま静かにヒナの元に戻る。

「誰もいなかったケド」

「うそ!?」

 ヒナも立ち上がって教室の外に顔を出す。

 二人で左右を見回すが、気配すら感じられない。

「大丈夫かな」

 ノリは頷く。

 二人は学校のロッカーにいく。

 そして、しまっていたガスマスク等が入っている大きなバッグを抱えて歩き出した。

 廊下には誰もいなくなった。

 同時に、静かに笑う生徒の顔があった。

 笑う顔の前、スマホの画面には、誰もいない廊下の映像が映っていた。



 ヒナとノリは、その日の探索を終えた。

 何も新しい発見がないままだった。

 二人は学校のゲートを通って、ロッカーに戻る。

 それぞれのロッカーに大きなバッグを入れ鍵をかける。

 二人は誰もいないと判断して話をする。

「朔夜の残した素材をもう一度見返した方がいい」

「そうなのかな?」

「朔夜は何かあの部屋の秘密をつかんでる。そう思うんだ」

 二人の話し声が、廊下から消えていく。

 センサーでついていた廊下の明かりが消えて、真っ暗になる。

 端の教室の扉が開く。

 教室の光が廊下を照らす。

 光の中にゆっくりと人影が伸びていった。



 夜、カゲトキと二人はオンラインで話しあった。

 朔夜の動画素材は、全てが見れる状態ではなかった。

 一部はパスワードがかかっていて、ファイルそのものが開けない。

 特殊なエンコードが施されているらしく、カゲトキが再生する方法を探っていた。

「特殊なエンコード、と思われうものは、映ることは映るんだ。だが、全てがモザイクのような画像になっている。多分、正しい映像に直す方法があるはずなんだ、AIにいくつかやり方を投げていて、正しい映像に再構成出来るか試しているところだ」

 カゲトキが心配しているのは二人の体の変化だった。

「本当に体調が悪いとかないのか?」

 過剰に繰り返されるその問いにヒナは言った。

「どんな不安があるんですか?」

「米国の疫病の情報は調べたんだな?」

「調べました。恐ろしい病気がたくさん出てきて」

 ノリはその時のことを思い出すのか、苦い顔をする。

「それで十分だろう? 単なる呪いだとか幽霊だとかよりよっぽど恐ろしい」

 ノリは手前のマイクをオフにした。

「ヒナ。カゲトキさんは、確証が持てないからちゃんと話せないんだ、と思う」

「……ノリはそれでいいの?」

「ここまで信じているのに、疑ってどうする」

 ヒナは頷いた。

 マイクを戻して、ノリがいう。

「米国から持ち込んだ病気の元が部屋にあるかもしれない、それがわかれば十分です」




 このご時世、大抵の建物に入るにはゲートを通過する。

 ゲートと言っても、駅の自動改札のような簡易的なものだ。

 セキュリティのためと言っても飛び越せるのだから、真面目な人が考えれば何のためについているのかと疑問に思うだろう。

 そのマンションにも例にたがわずゲートがついていた。

 大きなバッグを抱えた者が、そっとカードをかざすとゲートが開いた。

 バッグを必死に引っ張りながらゲートを通過する。

 エレベーターの行き先階を、下から順に押していく。

 二階、反応しない。

 三階、反応しない。

 四階、ボタンの明かりがついた。

 エレベーターが動き出す。

 四階で降りると、廊下を行ったりきたりしている。

 ゲートで使ったカードを手にすると、扉についたレバーハンドルの上にかざす。

『ピピピピピ』

 エラー音が廊下に響く。

 カードをかざした者は素早く手を引っ込めて、廊下を逃げるように走った。

 その部屋の住人は留守だったのか、エラー音を気にして外を観にくる者はいなかった。

 しばらく廊下に身を潜めていると、どの部屋に住人がいないのかあたりがついた。

 再び廊下の人気がなくなると、ある部屋にカードをかざし中に入っていった。




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