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第六話「お泊まり」

アップロードが遅くなってごめんなさい。友達との集まりがあったので、帰宅が遅くなってしまいました。どうかお許しください。そして、楽しんで読んでいただければ幸いです。

日が完全に暮れ、闇が村を包み込んだ。

しかし幸い、じいさんの案内で道に迷うことなく、今やアイリスちゃんの家の前に立っている。

アイリスちゃんは素早く金属の鍵を手に取り、鍵穴に差し込んでドアを開けた。きしむ音が大きく響く。




「あら、アイリスちゃん、お帰りなさい!」

「うん、ただいま」




アイリスの母がアイリスちゃんを家へ迎える声が聞こえる

アイリスちゃんは返事をすると、靴を脱いで家の中へさらに進んでいき、その姿はあっという間に消えた。

一方、私は気まずそうにじいさんを見つめる。ここへ連れてきてくれたじいさんは、そろそろ帰ろうとしている。




「おじいちゃん、本当に大丈夫?アイリスちゃんのママとはあまり話したことないし、急に泊まるなんて。彼女、許してくれるかな?」

「まったく、ビオレットちゃん、心配しすぎだよ。大丈夫さ、娘が断るなんてありえない」

「そう言うなら…」




こうしてじいちゃんは、突然アイリスちゃんの家に泊まるよう私を押し切った。

アイリスちゃんは本当にこれを望んでいるようで、ここまでの道のりずっと、ほとんどずっと明るい笑顔を浮かべていた。私自身も楽しみだ。誰かの家に泊まるなんて、本当に久しぶりだ。

ただ、そこで何をするのかは疑問だ…ゲームもできないし、テスト勉強もできないし、ドラマも一気見できないし…


そんなことを考えていると、アイリスちゃんがまた現れ、猛スピードでこちらに向かって歩いてきた。




「お母さんがいいって、入っていいよ。靴はあそこの隅に置いておいて」

「言ったでしょ~」

「はいはい、娘のことはよくわかってるんだな、天才…」




まあ、許可は出たから、もう心配ないよ。




「じゃあ、おじいちゃん、一緒にお散歩ありがとう。入るね」

「ちっ、そんなこと言わなくていいんだ…えへへ…まあ、俺は行くぞ、二人とも楽しんでおいで~」


おじいちゃんは言葉を終える前に少し咳き込み、振り返ると闇の中へ歩き始めた。


「また明日!」




そう言いながら手を振る。

じいさんは手を上げて応えると、しばらく動かした後、闇の中に完全に消えていった。



「バイオレットさん、早く中に入って、寒さが入り込んでくるよ」

「あっ、ごめんね」




手を振るのを止め、アイリスの元へ向き直って家の中へ入る。



「失礼します」




彼女の家に入り、後ろでドアを閉めると、靴を脱いで脇に置いた。




「?」




え?アイリスちゃん、なんでそんな目で見てるの?何か変なことしたっけ?




「えっ、アイリスちゃん、顔に何かついてる?」

「違うの、さっき何か言ったけど、聞き取れなくて」

「は?待って、どういう意味…あっ、わかった」




ええ、今「失礼します」って日本語で言ったんだよね、ここの言葉じゃなくて。

反射的にね、日本の文化で誰かの家に入る時は必ずそう言うように訓練されてたから、まあそういうこと。

他人の前で日本語を口に出してしまう問題は何度かあって、特に最初に日本語を学ぼうとしてた頃はね。

両親は赤ちゃんの喃語だと思ってたから当時は問題なかったけど、今はこれの説明がなかなか難しいんだよね。




「アイリスちゃん、今のは超超超秘密の暗号言語で、私だけが知ってるの、いい?」

「????」




相手を混乱させるのが一番の策ってのは相変わらずだね。

相手はこれ以上問い詰めず、「ああ、この子ちょっと頭おかしいな」と思ってそのまま引き下がる。




「…わあ、めっちゃカッコいい」

「えー、まあ、超超超極秘暗号言語だから、そりゃカッコいいでしょ!」

「教えてくれる?」

「もちろん〜 待って、何それ?!何て言ったの?!」




待てよ、アイリスちゃんがなぜこんなこと聞いてくるんだ?これは台本(アッシュ検証済み)にない展開だ!




「私も習いたい」

「だめだめ、ほら、超超超極秘の暗号って言うのは理由があるんだからね?仕組みを知っていいのは私だけだから、ダメ!」

「… マジで?」

「うっ!」




待て待て!泣きそうな顔は違法だ!違法なんだ!




「わかった!教えるよ、でもそんな目で見ないで!」




私は折れると、アイリスちゃんの顔は元に戻り、うまくいったと一人でくすくす笑っている。

いつの間に彼女は小さな悪魔になったんだろう?

まあいいや、適当な日本語のフレーズをいくつか教えておけば、それで満足してくれるだろう。


そう決めてアイリスちゃんについていくと、とても居心地が良さそうなリビングに入った。

台所ではアイリスの母が人参を何本も切っていて、どうやら夕食の準備をしているらしい。私たちが入ってくるのを見て、彼女は明るく微笑み始めた。




「いらっしゃい、バイオレットちゃん!あら、どうしたの?アイリスちゃんから汚れてるって聞いてたけど、まさかここまでとはね、はははは」

「お邪魔してすみません。ええ、ゴミ捨て場でちょっと遊びすぎてしまって、それでこうなっちゃって」

「へへへ、なるほど、若さゆえね~」




そう言いながらアイリスの母が私を優しく見つめるので、少し気まずい気分になる。

だって、アイリスの母とはほとんど話したことがなくて、お昼休みに叔父さんの手伝いを始めた頃から、アイリスちゃんと一緒にいる時に少し話す程度だったんだ。

母娘の会話に割り込むのは気が引けて、いつもアッシュやソフィーちゃんたちと話していた。

おじいちゃんが「娘が断るなんてありえない」って言ってたけど、もしかして彼女は子供好きなのかな?

アイリスのママは保育士みたいな雰囲気で、誰にでも同じように優しくするけど、もちろんアイリスちゃんには一番優しい。




「じゃあ、今お風呂に入るのは大丈夫?今まだ夕食を作ってるから、ゆっくり身支度していいよ」

「ああ、ぜひお願いします!」




やっとだ!村中を歩き回って、ずっとベタベタしたままだったんだ。

このベタベタした服から解放されるチャンスとばかりに、私は即座に彼女の提案を受け入れた。




「よし、じゃあ今からお湯を沸かすね。アイリスちゃんも一緒に入ってもいいから、屋根裏に案内して二人分のお風呂を準備してくれる?」

「えっ?!お母さん、私後でお風呂入るから!まだお手伝いしたいの!」




母の提案を聞いたアイリスちゃんは、可愛らしいピンク色に顔を染めた。

まあ、それも当然だ。もう誰かと一緒にお風呂に入るのは抵抗がある年頃だろう。




「アイリスちゃん、今お客様がいるんだから、手伝いはいいのよ。二人で一緒に入れば、お湯も節約できるし」

「でも――」

「アイリスちゃん」




その後、アイリスと母は睨み合いを始め、私は気まずく傍らで、どちらが折れるか見守っていた。

正直どちらでも構わないが、アイリスちゃんが嫌なら無理にさせる必要はない、そう思っていた。




「お母さん、大丈夫だよ。僕自身も汚れてないから、ヴァイオレットさんがお風呂に入ってる間、料理の手伝いできるし。僕の手伝いがあれば夕食も早く終わるよ」




アイリスちゃんは事実を根拠に母親を説得しようとする。だって…本当に汚れてないんだもん?

待って、今さら気づいたんだけど、アイリスちゃんって全然臭くも汚れてもいないよね?

ありえない!二人ともゴミ捨て場にいたのに、アイリスちゃんは文字通りゴミの山に隠れてたのに。

確かに、私の悪ふざけでアイリスちゃんを汚したくなかったから、ほとんど私がダメージを受けたけど、だからって彼女が全く無傷で済むわけないでしょ???




「アイリスの母さん、大丈夫だよ。アイリスちゃんと一緒に料理させてあげて。本当に汚れてないし、私だって一人で風呂に入る方が好きだし」




その突然の告白に一瞬呆気に取られたが、すぐに我に返り、アイリスちゃんの主張を後押しした。




「バイオレットさんは一人で入浴するのがお好きですから、それで結構です」

「…そうね。アイリスちゃん、私が湯を沸かすから、彼女の風呂の準備をしてちょうだい。お湯を二階に運んだら、その続きをあなたがやってくれるわね」

「はい!バイオレットさん、こちらへ」




アイリスの母がついに折れ、アイリスちゃんは私を二階へ案内して風呂を準備すると、階下へ降りて母の助けに向かった。




「…わぁ、でっかい浴槽だな」




この風呂はむしろ木製のプールに似ているが、もちろんウォータースライダーは全て取り外されている。

実家の浴槽は基本的に木製のバケツで、役目は果たすものの、足を伸ばすことすらできず、心からリラックスできない。

だからこの大きな浴槽を見ると、日本人の魂がほっこり温まる。

この巨大な浴槽に見とれているうちに、時間が経つのも忘れていた。アイリスの母親の声で現実に引き戻された。




「バイオレットちゃん、待たせてごめんね。お湯ができたから、お風呂を張っておくわ」

「ああ、ありがとう!大丈夫、そんなに待ってなかったよ。むしろあっという間だった」




アイリスの母は浴槽にお湯を張り、清潔な着替えを置いていき、乾かすための妙にモダンなタオルを隅に置くと、ドアを閉めて出て行った。必要なプライバシーは全て与えられた。




『よし、これは一生に一度のチャンスだ。絶対に後悔させない!』




そう思うと素早く服を脱ぎ、この世界に生まれてから最高のお風呂タイムを満喫し始めた。




~~~~~~~




「できた!わあ、すごく美味しそう!」




階段を下りると、テーブルに並んだ豪華なごちそうが素晴らしい香りを放っていて、思わずよだれが出そうになったが、すぐに拭った。




「うん、さあ座って、食べる時間よ」




アイリスのママが言うので、まだ空いていない椅子を選び、その過程でアイリスちゃんの隣に座った。




「エウス様、この食事をお守りください」

「エウス様、この食事をお守りください」

「いただきます」




「「…」」

「…」




待って、やっちまった!またやっちゃった!




「?何て言ったの、バイオレットちゃん?」

「ああ、またあの秘密の暗号みたいなやつ?」

「ええ、ごめんなさい、今超・極秘・秘密の暗号言語で何か言っちゃった。えへ、エスの御加護をこの食事に」




ちくしょう!完璧な日本の入浴体験をしたばかりなのに、タオルも最高で現代に帰ってきたばかりなのに、また日本語で言っちゃった!




「超・極・え?」

「気にしないで」




そう言って、私は早く状況が元に戻ることを願いながら食べ始めた。




「!!うまい!」




マジかよ、これ本当にここの材料で作ったの?叔父さんの主張を完全に否定するくらい、こっちの方がずっと美味しい!




「えへへへ、ありがとう、気に入ってくれて嬉しいよ。アイリスちゃんが手伝ってくれたから、美味しいに決まってるよ」

「へぇ~アイリスちゃん、本当に美味しいよ」

「私じゃなくて、お母さんに感謝して。私はほとんど何もしてないんだし、私が作るとどうせまずくなるし…」

「初めて作る時はいつもそうよ。今日は何も失敗してないんだから、アイリスちゃん、昔より上達してる証拠よ」




アイリスの母は娘をなだめようとするが、アイリスちゃんは食らいつかず、落ち込んだ様子で料理を見つめている。




「…アイリスちゃん、君の料理を食べてみたい」

「?!バイオレットさん、何をおっしゃるの?私、本当に下手で、まだ自分でちゃんと料理もできないのに…」

「構わない、とにかく食べてみたいんだ」

「でも今食べてるじゃない…」

「じゃあ明日一つ試させてくれない?今から練習で僕に昼ご飯を作ってくれ、本音で感想を伝えるから」




美味しい人参シチューを頬張りながら、アイリスちゃんの言葉を遮ってそう言い放った。




「それは良い考えだね。アイリスちゃん、何事も練習が大事だから」

「でも私…」




ごめんねアイリスちゃん、もう決まったことだから。

私とアイリスの母はアイリスちゃんの懇願を無視し、その間も夕食を楽しんでいた。

アイリスちゃんは諦め、説得を止め、運命を受け入れて私たちと一緒に食べ続けた。




~~~~~~~




「じゃあ、アイリスちゃん、寝る前にお話聞きたい?」




今、アイリスちゃんの部屋で、アイリスちゃんと一緒にベッドに横になっている。アイリスのママは私たちの隣の椅子に座り、絵本を手にしている。

私の寝るスペースが空いていないので、今夜はアイリスちゃんとベッドを共にする予定だ。




「ママ、今日はいいよ。バイオレットさんがいるから」

「あらまあ、本当に? それがないと眠れないんでしょ?」

「ママ!」




母親が平然と娘の恥ずかしい話を暴露し、アイリスちゃんが必死に止めようとしている。

目の前で繰り広げられる母娘のやり取りが実にほのぼのとしていて、二人の様子を見て思わずくすくす笑ってしまう。




「アイリスちゃん、いいんだよ。私もその絵本の内容が気になるから」

「ほらね?お客様が聞きたいって言うんだから、お話してあげるね~」

「…わかったわ」




二人でアイリスちゃんをからかって楽しんでいたが、彼女が承諾したので、私はより快適な姿勢で横になろうとした。アイリスの母は本の絵をはっきり見せながら、物語を語り始めた。




「はるか昔、六つの種族がまだ互いに絶え間なく争っていた頃…」




彼女の語り続ける声はとても心地よく、アイリスちゃんはうとうとし始め、私も普段より少し眠気を感じていた。




「…」

「…」

「花は気づいた。そう、太陽は煩わしかった。いつも追いかけてきて、必要以上に光を浴びせる。でも太陽は、花を助けるため、生き延びさせるためにそうしていたのだと」




アイリスちゃんはすっかり眠りにつき、規則正しい息遣いが耳に響いている。

私の目もゆっくりと閉じかけている。彼女の声は天使のように美しく、どんな子供でもきっと眠くなるはず…誰かが…彼女を…ベビーシッターに…雇うべきだ…絶対に…




「しかし気づいた時には遅すぎた。太陽は永遠に消え去り、もう二度と彼女に愛と慈しみを与えることはなかった。だから花は泣いた。涙で濡れた花びらを、風が暗い空へと運んでいった」




あれ?私だけかな…この話、めっちゃ悲しいよね?

アイリスちゃんに読み聞かせた話も…結構切なかったし。

この世界の童話って…普通こんなに暗いものなの?




「花は何も変わらないと知っていた。涙で大地が哀れみ、飲み込んだ太陽を返してくれるわけがない。それでも泣き続け、やがて全ての花びらが消え、かつての姿の殻だけが残った」




こんなに悲しいのに…それでも眠ってしまう。

まったく…

あのスキルなら…誰かが…ベビーシッターとして…絶対に雇うだろうに…




「絶え間ない泣き声は、大陸に混乱を撒き散らし続けていたアドラステイアの耳にも届いた。その強烈な生々しい感情が、自らの行いの誤りに気づかせた。彼女は大地に太陽を早々に昇らせ、怒りを前倒しで終息させ、六つの種族を救った。悲しみが目覚めをもたらした証として、花にユーカリと名付け、天と地獄を元の位置に分け隔て、アドラステイアを浄化して暴走を止めた。」

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