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第五話「かくれんぼ!上手の人が勝つよ!」

今日もまた晴れ渡った明るい日だ。私はいつものように木にもたれかかり本を読み、アッシュは私が勧めた軽い運動をしており、他の仲間たちが彼を取り囲んでいる。

彼がどうしても一度は私に勝ちたいと言うので、私がいつもやっていることを提案したのだ。

私の激励で彼は今ややる気に満ちている。きっと最後までやり遂げられるだろう。




「いや、お願いだからやめて!なぜ、なぜ私を追いかけてきたの?王国に残って、満ち足りた人生を送れたのに。どうして?」

「えへっ、なぜそうしないんだ?立派な騎士なら、愛する姫のために命を捧げるものだ。だからお願いだ、代わりにこの一撃を受けてやらせてくれ」




私は物語の一節を声に出して読み上げる。

そう、これは以前読み始めたあの童話の本だ。

なぜ声に出して読むのか?と問うなら…

ええと…




じっと~




アイリスちゃんのかわいい顔が本を見つめ、続きを待っている。

アイリスちゃんが来てから一週間が経った。

彼女がここにいることで、私の日常は大きく変わった。

私が読めることを知ると、教えてほしいと頼まれ、喜んで承諾した。久しぶりに教える立場になるし、人に教えるのは好きだから。

今、私は本の段落を朗読している。アイリスちゃんは私の声と文字を結びつけながら、一緒に読んでいる。

だから私は本の段落を声に出して読み続け、アイリスちゃんはそれを真剣に聞いている。




「騎士さん…私…」




物語のクライマックスが終わりを迎えようとしている。

騎士はついにオークの要塞に辿り着いた。彼はオークを皆殺しにし、オークの首領に鎖で縛られた姫を救うだけとなった。

血みどろの戦いの末、騎士はついにオークを打ち倒し、両手を切り落とした。しかし姫の元に駆け寄り鎖を解いたその時、弱ったふりをしていたオークは両手を治癒させ、騎士を殺害する。その手は騎士の体を貫通し、心臓を押し潰したのだ。

解放された姫は狂気に陥り、どうにかオークを倒す。残されたのは、死にゆく騎士と姫だけだった。

こうして二人は、騎士が息を引き取る前に、切ない最後の会話を交わす。




「……」

「?ヴァイオレットちゃん、どうして読むのを止めたの?」

「ごめん、この話って本当に悲惨だと思ったから」




だってさ、騎士が姫を救うためだけに世界中を旅して、その挙句に死ぬなんて?!

子供向けの童話だと思ってたのに、クソみたいな悲劇じゃないか!

それに姫が突然、騎士ですら倒せなかったオークを倒す力を得たって?! それってどう考えてもおかしいだろ! そんなに強かったら、要塞から一人で脱出すればいいじゃないか!

まあ、彼女にそれは無理だろうけど、言いたいことはわかるだろ!

親が私にこの本を読んでくれなかったのも、こういう理由なのかも…




「ごめんね、アイリスちゃん、こんなに重い話だとは思わなかった…」

「?大丈夫だから、読み続けて」

「え?本当に?」

「うん、続きが知りたいの」




…こんな話で子供は悪夢を見ないのかな?

でもまあ、アイリスちゃんは本当に平気そうだし、私がちょっと大げさに反応しすぎてるのかも。

それに、話の中途半端なところで終わらせるのもまた不気味だから、せめて始めた話は最後まで読まなきゃ。




「じゃあ、読み続けるね」

「うっ、バイオレットちゃん、いつまで読んでるの?一緒に遊ぼうよ?アッシュはまだ走り回ってるし、からかうのも飽きたよ」




ソフィーが突然私に話しかけてきた。皆はアッシュを置いていった。彼はまだ腕立て伏せをしている。

アッシュはやりすぎじゃないか?まあ、若いから大丈夫だろう。




「ああ、ちょっと待って、この本を読み終えるところだから」

「じゃあね~」




ソフィーたちは諦め、私が読み終える間、何か話し合っていた。




~~~~~~~




今、広場の真ん中で、手を目の前にかざして数えている。




「298、299、300!準備はいい?さあ、行くぞ!」




そう言うと目を開け、今まさに村のどこかに隠れている友達を探す準備ができた。

アッシュがようやく「偉大なる英雄養成プログラム」を終えた後、ソフィーちゃんがかくれんぼをやりたがったので、昼食後にくじを引いたところ私が負けて探し役になった。

まあ、それほど悪い話でもない。子供たちを見つけるのは簡単だ。村の定番の隠れ場所を探せばいい。少なくとも一人は必ずそこに隠れているはずだ。




『さて、どこから探そうか?』




行き先を少し考えたが、決める前に背後で物音がした。

振り返る。誰も見えないが、箱が何個か倒れている。さっきまではなかったものだ。




「よし、ここから始めるか!」




優しくして、その人を逃がしてやってもいい。何せゲームは始まったばかりだ。

でも、それじゃ面白くないだろ?

そう声に出して、相手を慌てさせようと、崩れた場所へ歩み寄った。




「ふむ、出ておいで、どこに隠れてるか~?」




今のところ誰も見えないが、おそらくまだここにいる。さもなくば、逃げ出す姿がはっきり見えたはずだ。

そこで箱の陰を覗き込むと、案の定――




「見つけたぞ!」

「あっ!ちくしょう、何も落ちてなかったら絶対に見つけられなかっただろうな!」

「まあ、確かに見つけるのに時間がかかっただろうね。なかなか良い隠れ場所だったよ」


見つけたのはソフィーで、何かのガラクタの陰にしゃがみ込んでいた。

正直、少しは時間がかかっただろうが、それでも簡単に見つけられたはずだ。物陰に隠れるなんて、かくれんぼの定番だ。




「よし、一人目。さて、次はどこへ行こうか?」




広場からそう遠くない場所でソフィーちゃんを見つけたから、他の連中は多分別の場所に隠れている。




「じゃあ次は酒場に行こう。アッシュはきっと、いつものように樽の中に隠れてるはずだ」

「わかった、行くね~」




村の酒場へ向かって歩き出すと、ソフィーちゃんがすぐ後ろについてきた。




「ソフィーちゃん、他の子たちを助けるのはダメだよ? そうしないと、もうついて来させないからね」

「えー、わかったよ」 」

「おいおい、それってズルだよ」

「あなたに対してじゃないよ、バイオレットちゃん。だって私、いつもすぐに見つかるんだもん。だから相手側を手伝う方がむしろ公平かも」

「そう?まあ、確かに私、みんなの中で一番見つけ上手だからね。じゃあ、ちょっとだけ手伝ってもいいよ。でも、私のそばにいてね。逃げ出して私の居場所をみんなに教えたりしないように」

「行くぞ!」




私の言葉にソフィーちゃんがかわいい声で応えた。

まあ、精神年齢が上な私が本気で相手にするのは確かに酷い話だし。

こうやって自分を試す方が、相手も私も楽しめる。何せ私は挑戦が好きだからね。




「じゃあ、俺が君の意見に賛成したお礼に、次は行く場所を決めてくれ」

「えっ、マジで?!じゃあ、ゴミ捨て場に行こう!絶対誰か隠れてるに決まってる、ふん!」

「位置情報受信、ゴミ捨て場へのナビゲーションを開始!」




ソフィーちゃんらしくて、絶対に誰もいない場所に送り込もうとするんだ。

ここのみんな汚れるのが嫌だし、場所も結構遠いから、私の時間を無駄にさせようとしてるんだ。

まあいいさ、多少時間を浪費しても、きっと勝利を掴めるはずだから。

そうして二人でゴミ捨て場へ向かって歩き始めた。




~~~~~~~




「うんうん、んーんん~」




ゴミ捨て場へ向かう道中、ソフィーちゃんは小さな足取りで私の横をスキップしながら、可愛らしく鼻歌を歌っている。




「あら、ご機嫌そうね」

「そりゃあ!二人きりで過ごすなんて久しぶりだもん!」

「そう言われると…確かにね」




本当に久しぶりだった。

アッシュはいつも俺に挑戦してくるし、アイリスちゃんがいるから二人きりの時間は確かに減ってた。

アイリスちゃんにどんな本を読んであげようかばかり考えてて、今まで気づかなかったんだ。

くそっ、16歳なのにソフィーちゃんに言われるまで気づけなかったなんて。




「…ごめんね、いつもみたいに一緒にいられなくて」

「へぇ? まあ、本気なら明日一緒に遊ぼうよ!アッシュもじいちゃんもアイリスちゃんも無視して、二人きりでね!」

「ちょっと無理な話だけど、うん、今から楽しみだ」

「うん、私も! えへっ!」




今になって自分が最低に思えて、承諾した。一日くらい他の連中が俺を待たせても気にしないだろう。




『俺のバカを挽回する時だ!明日を最高の一日にしよう!』




そう心に誓った矢先、鼻に嫌な臭いが届いた。

ああ、着いたんだな。




「ああ、着いたよ」

「うっ、ここ臭い」

「当たり前だろ、ゴミ捨て場なんだから。臭いのが嫌なら来ちゃダメだよ~」




ゴミ捨て場に到着した。

想像通りの光景だ。大人の捨てたゴミで埋め尽くされた土地。腐った食べ物、修理不能な家具、要するに人々が使わなくなったものばかり。

満杯になると誰かが来て、土地全体を焼き払う。そうすれば一気に処分できるから、またゴミが積み上がり、同じことを繰り返す。

現代社会と比べれば非効率極まりないし、環境にも悪影響だろうが、これが我々にできる最善の方法だ。

火事の心配は無用だ。このゴミ捨て場は村の端っこにある。近くに誰も住んでいないから危険はない。




「うっ…もういいよ。早く帰ろう。どうせ誰もいないんだから、わざわざ見る必要ある?」

「ん? そんな理由で俺を連れてきたんじゃないのか? 今さら約束を反故にするなよ。俺はこの場所をくまなく探す。お前は俺に付いてこい。このエリアを隅々まで調べ終わったら帰るんだ」

「待って、やめて! あの場所では生き延びられない! せめて外で待たせてくれない?」

「え? ダメだ。その間に逃げ出すかもしれないだろ?それは困るだろ?」

「ちっ、さようなら、私の鼻…」




そう言うと、ソフィーちゃんは諦めて、私を止めようとするのをやめた。

私は悪魔のようにニヤリと笑い、心の中でハイタッチした。

頼まれたからやっただけさ~




「でもまあ、ここで5分くらい待機しよう。ソフィーちゃんもう後悔してるし、明日もまだ彼女と会う約束があるし」


そう決めて、私とソフィーちゃんはゴミ捨て場をぶらぶら歩き始めた。


「……」


まあ、ぶらぶらのはずだったんだけど……




なぜゴミの山の下から、ピンク色の何かが突き出て、変異した草の芽のように絶えず動いているのが見えるんだ?




「…えっと、アイリスちゃん?君なの?」

「待って、何?アイリスちゃんがここにいるの?まさか、ここはゴミ捨て場だよ。広場からすごく離れてて、すごく汚い場所だ。ここに隠れるなんて、アッシュみたいなバカしかいないよ!」




まあ確かに(豆知識:アッシュはゴミ箱漁りでもしたみたいに汚れて帰ってきて、親にゴミ捨て場近辺禁止令を食らったんだ)、でも…

ピンクの草の芽は私の声を聞いて動きを止め、ゆっくりとゴミの中に消えていく…

それを見て思わず笑いがこみ上げて、私は決めた…




「?!バイオレットちゃん?!」




私は慌てて駆け出した。戸惑うソフィーちゃんを置き去りにして。

目的地:ピンクの草。




「キャノンボール!!」

「「?!」」




そう叫びながら跳び上がり、瓦礫の向こうで驚いた顔のアイリスちゃんを見つけると、着地してタックル。二人とも転がり落ちる。



「ドスン!!」




塵が舞い上がり、しばらくすると収まる。

私はゴミだらけの地面に横たわり、アイリスちゃんは私の上に寝転がっている。

心配しないで、アイリスちゃんをゴミの中に押し込んだわけじゃないよ。ただ抱きしめて先に地面に倒れただけ。私がゴミまみれになる一方で、アイリスちゃんは無事逃げるようにね。




「見つけたよ~」

「?!バイオレットさん、なんでそんなことするの?!びっくりした!」

「まあ、君がこんな姿になってるの見たら、100倍も価値あるわ!」

「????」

「ははははっ!」




本当に、彼女の驚いた顔、次に怒った顔、そして困惑した顔を見るだけで、それだけで十分だった。

なぜだか分からないけど、彼女の表情って見ててすごく楽しいんだよね、すごく豊かなんだ。




「も、バイオレットさん、笑わないで、面白くないんだから!」

「プフッ、ごめんね、でも今さら止められないわ!ヒヒヒヒ!」



いやあ、ガキみたいに振る舞うのって本当に楽しい!

誰も私を批判しないから、こんなバカなことしてもみんな「あぁ、可愛い」って思うんだ。

でも前世でこんなことしたら、みんな「マジで?16歳なのに大人になれよ」ってピエロみたいな目で見られたんだよね。(まあ、一理あるけど、それは置いといて。)

それに今、ビオレットちゃんがこんなに慌ててるのを見ると、やっぱりやってよかったって思う。

初めて会った時、ヴィオレットちゃんはすごくよそよそしくて、必要な時だけ返事してたんだ。

でも一週間経った今、少しずつ心を開いてくれてて、本当に嬉しい。




「…やっぱりここにいたんですね、アイリスさん」




ソフィーちゃんが追いついてきて、状況を見て…怒ってる?でもなんで?




「まあ、ありがとうソフィーちゃん。ここに来ようって提案してくれなかったら、アイリスちゃんを見つけられなかったよ」

「…うん、いいよ」




元気付けようとしたのに、逆効果だったみたい。むしろ…悲しそう?




「あっ、ソフィーさん、もう見つかったの?」

「ええ、見つかったわ。さあ行きましょう、まだ他の子たちも捕まえなきゃ」

「ああ、そうだね」




ソフィーちゃんがそう言うと、私はすぐに立ち上がり、アイリスちゃんを抱きしめるのをやめた。

まだ他の子たちも探さなきゃいけないから、もっと頑張ろう!がんばろう!




~~~~~~~




「があっ!どうやって見つけたんだ、ここは今までで一番の隠れ場所だったのに!」

「確かに以前はそうだったかもしれないけど、もう絶対に違うよ。だって君、いつもここに隠れてるんだから…」




アッシュを見つけたよ、驚いたことに、バーの横の樽の中に。

確かに、初めてやった時は、実は私が最後に見つけたんだけど、今?そろそろ新しい「透明マント」を探した方がいいんじゃないかな。




「おお、おめでとう、バイオレットちゃん!全員見つけたね!」

「おおっ!じゃあ私が最後ってことね!やっぱり私、見つかるまでめっちゃ時間かかったでしょ!」

「違うよ、可哀想に思って最後に取っただけだよ」

「えっ?!」




サトシをからかい続けたいところだけど、もう日が暮れそう。完全に暗くなるまであと数分しかない。

思ったより時間がかかった。みんな(サトシを除く)が今まで隠れたことのない場所に上手く隠れてたし、広場からゴミ捨て場までの往復も結構時間がかかったんだ。




「じゃあね、また明日!」

「じゃあまた明日、みんな!」

「バイバイ!」

「…ああ、じゃあまた明日な」




こうして別れの挨拶を交わし、皆はそれぞれの家へと走り去っていった。きっと両親が待っていて、夕食も用意されているのだろう。




「じゃあ、アイリスちゃん、また明日ね…アチョー!」




アイリスちゃんに別れを告げようとしたが、鼻が言うことを聞かず、途中でくしゃみが出てしまった。




「バイオレットさん、大丈夫?」

「え?うん、たぶん鼻に埃が入ったんだと思う」




そう言うと、かくれんぼで服に積もった埃を払い始めた。

あの人たち、本当に村で一番手つかずの場所に隠れてたんだ。全身が汚れてしまった。

まあ、誰かの反応を見るためにゴミの山に飛び込んだのも、ある意味私のせいだけど…




「…じゃあ、もしよければ、うちでお風呂に入ってもいいよ」

「えっ!?いやいや、そんなことしなくていいよ、歩いて帰って家で入るから、言ってくれてありがとう!」

「わかったよ」




待って待って!今そんな悲しそうな顔するなよ!

行きたくないわけじゃない、むしろ行かざるを得ないんだ、普段よりずっと遅く帰ったら母さんに殺されるから。

経験から言えるんだ。




「ねえ、アイリスちゃん、悲しまないでよ、ただ…」

「はっ?お前らまだここで何してるんだ、もう遅いぞ、早く帰れ」




老いた不機嫌な声に遮られる。

振り返ると、じいちゃんと…お父さん?




「待って、パパ、なんでここにいるの?今頃家にいるはずじゃないの?」

「それこそ俺が聞きたいところだ。お前の父さんは大事な用事があったんだ。お前はどうなんだ、娘よ?」

「『大事な用事』って、バーで飲んでたってことでしょ」

「おい!そうだけど、それも大事な用事だ!社交はすごく大事なんだぞ」


「ああ、そうだな。でも今になって、母さんがこれどう思うんだろうな…」

「…言わないでくれ」

「自分の洗濯は自分でしろ。そうすれば考えてやる」

「…ふん、次の一手はどうするんだ、小僧?」

「受け入れるしかない。ビオレットちゃんに要求を飲まなければ、絶対に密告されるからな」




お父さんは比喩的に白旗を掲げ、私の勝利を認めた。

まあ当然だ。母の本当の恐ろしさを知っているのは、私たち二人だけだから…




「待て、うっ!お前、何してたんだ娘よ?ゴミ捨て場から直行してきたような臭いがするぞ!」

「チンチンチン、正解!パパに3点!」




そう、今すごく臭いんだ。それが理由もあって、みんな食事が終わるとすぐに帰ってしまった。




「はあ、わかったよ。じいちゃん、僕とバイオレットちゃんは帰るから、アイリスちゃんは家まで送ってあげてくれる?」

「もちろんだよ、まだそんなに年寄りじゃないんだから、ちゃんと歩けるんだからな!」




というわけで、パパと僕は一緒に家まで歩き、じいちゃんはアイリスちゃんを無事に家まで送ってくれる。




「ん?どうしたんだい、アイリスちゃん?隠そうとするなよ、おじいちゃんには丸見えだぜ~」

「あっ?えっと、その…」




アイリスちゃんがじいちゃんに何か呟くと、じいちゃんはうなずいていたが、突然私をまっすぐ見据えた。なぜ?




「…なるほどな。心配するな、おじいちゃんなら簡単に解決できるぞ」




そうアイリスちゃんに言うと、振り返って私とお父さんの方へ歩いてきた。




「ローランドくん、ヴァイオレットちゃんを預かってくれ。明日までアイリスちゃんの家に預けるから」

「えっ!?」




あの爆弾発言の後、アイリスちゃんの顔が真っ赤になり、弱々しくおじいちゃんの背中をポンポン叩いた。

可愛い~

でも待って、おじいちゃん何て言ったっけ?




「何言ってるの、じいちゃん?私はいいけど、メアリー様はどうなの?急にすぎない?」

「心配ないよ、娘は誰かが泊まりに来たらむしろ超喜ぶから。アミースにそう伝えてくれ、そうすれば彼女は反対しないだろう」

「それってパワハラだよ…」




お父さんは祖父を申し訳なさそうに眺めたが、ため息をついて私を見た。




「ヴァイオレットちゃん、それでいいの?」

「え?うん、いいよ。でもママは…」

「心配するな、おじいちゃんと俺がうまくやるから。初めての泊まりを楽しみなよ?」




そう言って父は去り、私は一人で家路についた。この件で母を納得させるという不可能な任務を背負いながら。




「へっ、父さんがいなくなったからには、ついてこい!」





そう言うと、じいさんは突然泊まることになった場所へ、私たちを案内し始めた。


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