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 リーリルと別れてから、俺はギルドの中に入り酒場の席の一つに座っていた。

 ダルいことにこれからとある人物と会う約束があり、待ち合わせで待機しているのだ。


 はぁ……どうなることやら。腹も減ってるし最悪の気分だ。もうこうなったら高いところでたらふく飯を食らってやる。タダ飯ってことだからな。


「なぁ」


 早くしろよと待っていると、唐突に声を掛けられた。

 来たか! と思ったが、どうにも声が野太い。


 見てみると、若い男が俺を見下ろしてきていた。

 茶髪のなんかいけ好かない感じのやつだ。いうて俺とおんなじくらいの歳か。



「なんでしょうか」


「ここ座っていいか? 席がねーんだわ」



 時間ということもあり酒場は大盛況だった。

 そんな中四人は座れそうな席を俺一人で独占していたわけだから、まぁ男の言うことにも筋は通っているように思える。


「別にいいですよ、どうせすぐにどくからな」


「そうかわりぃな。ふぃー」


 男は俺の目の前にどっかり座った。

 ジョッキを美味しそうに煽っている。

 マジで誰だよコイツ……


「すぐどくって言ってたが誰かと待ち合わせでもしてるのか?」


「え、どうして分かったんだ?」


 急に話しかけてきたかと思えば、こちらを見透かしたかのような発言だった。


「しきりに扉の方を気にしてたからな。それに酒場の席で手持ち無沙汰にしてるやつなんて、もうそれぐらいしか考えられないだろ」


 なるほど。言われてみればそうかも。

 まぁバレたところでどうにかなることではないけど。


「ふー、因みにだが」


 男が顔を近づけてきた。


「その待ち合わせってのは女じゃねーよな?」


「はぁ?」


「いやいや、違うよな。普通に考えたら仲間とかだよな。わりぃわりぃ、オイラ最近女に飢えててな。早く稼げるようになって風俗街にでも狩り出せるようになれればいいんだが。お前も冒険者だろ? 因みに俺はシャンクズっていうんだ。今はFランク冒険者だが、もう少しでEランクへの昇格条件を満たすんだぜ。実質Eランクみたいなもんだろ。それに俺様こう見えてソロで活動してるからな、一部の間では期待のニューホープってまことしやかに囁かれてるんだぜ? 因みにお前のランクはなんなんだ?」


「……Fランクだけど」


「ははっ! まぁそうだよな、見た感じそうだと思ったぜ。でもまぁ大丈夫、地道にやってけばどんなどんくさい奴でも上達はしていくし、この俺様もEランクに昇格した暁には先輩冒険者として冒険者のなんたるかをたっぷり教えてやるかな! ま、俺のデカすぎる背中をしっかり追いかけてくりゃいい

、まぁ俺の進歩が早すぎてその背中もどんどん遠ざかって小さくなってくかもしれんがなぁ!? そして俺が成長して高ランク冒険者になった時には……あの気高きユイセ様とパーティーを組んじゃったりなんかして……」


「ごめん待たせた?」


 このタイミングでユイセが現れた。

 あんまり聞いてられなかったのでナイスなタイミングだ。


「まぁちょっとだけ」


「そこは全然待ってないとかいうシーンじゃないの……まぁいいや。それで今日の依頼の報告は済ませたの?」


「そういや未だだった……」


「だと思った……まぁ今は人も多いし明日でいいかな。じゃあここじゃなんだしさっさと行きましょ」



 ユイセが出入り口に向かい歩き始めたので、その後に続いた。

 口をあんぐり開けて固まっている奴がいた気もしたが、きっと気のせいだろう。






 夜の街をユイセと少しズレて歩く。

 まぁ夜と言ってもまだまだ浅い時間だから人通りは結構あるな。

 いろんな食べ物が混じった匂いも漂ってる……いい匂い、腹減った。


 因みにユイセの服装は可愛い私服に変わっていて……などということもなく、さっきと一緒の旅人風の服だった。知ってた。


「当然ご飯はまだ食べてないんでしょ?」


「当たり前だろ、なんでタダ飯を前に腹に物をいれなきゃなんないんだ」


「奢られる側の発言だとはとても思えない……」


 ユイセは完全に呆れていた。


「で、これどこに向かってるんだ?」


「え? 適当に歩いてるだけだけど」


「なんだよそれ。まさかこのまま街の外にまで出て平原をさすらうみたいなボケしてこないよな?」


「あなたじゃないんだしそんな事するわけないでしょ! まだどこがいいか決めてないだけよ。希望とかある?」


 そんな事言われても俺まだこの世界でろくに飯食べてないしな……


「ユイセに任せるよ」


 異世界のことは異世界人に聞くのが早いだろう。郷に入っては郷に従えと言うしな。それはちょっと違うのか?


「そう言われるのが一番困るんだけどね……」


「ただし、それにかこつけて安い店でケチろうとはしないでくれよ、飯だけはちょっと楽しみなんだからな」


「別に卑しくなんかないわよ私……希望がないっていうなら適当になるけどいーい?」


 なんだよいい店とか知ってたりしないのかよ。


「行きつけの店とかないの? 普段夕食はどうしてんだ?」


「夕食は基本泊まってる宿で取ってるわ。日替わりセットってのがあってかなりいい感じなの」


「そんなところまで聞いてないわ! 仕方ない、こうなったらもう俺が選んでやるよ」


 こいつと話しているとイライラして仕方がない。

 こっちはかなり腹が減ってるっていうのによ。

 こうなったら俺がいい店を選んでやる!


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