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 俺たちは元来た道を進み、一旦なんちゃら村へと戻った。


 たまたま通りかかった何人かの村人に、ゴブリンはいなかったと報告すると、喜んでいた。


 もうかなり暗くなっていたので、荷物を整理し――主にユイセが――馬を受け取り帰ることにした。俺たち共に村に残るなんて選択肢は微塵もないような手際だった。


「今回はありがとよ!」


 最初に入ってきた村の門にて、見送りに来ていた村長がお礼を言ってきた。

 横には奥さんらしき人もいる。というか俺にお茶を出してくれた人だ。奥さんだとしたら若くね……?


「いえ、結局あまりお役には立てなかったですし、なんか申し訳ないというか」


「そんなこたぁねえぜ。でけぇ蛇を狩ってくれたじゃねぇか。あんなのが近くにいたなんてたまげたぜ、放置していたらどうなっていたことか……お前さんたちが来てくれて本当に助かった! だからありがとでいいんだ!」


 ユイセが答えると村長がそう返していた。

 まぁあの蛇は確かにビビったな。普通の村人じゃとても対処できなかっただろう。


「それでは私達はこれで」


「おう、またいつでも来てくれよ!」


 その言葉を受けユイセが馬の方に歩き、飛び乗ったので、俺も続くとする。


「そういや坊主」


 としたところで声を掛けられたので、小ジャンプになってしまった。

 俺が振り向くと村長は頭を掻いていた。


「一言謝りたいと思ってな。すまなかったな、お前のことを完全に見くびっていたようだ」


「え?」


「お前さんの力についてだよ。ユイセが引き連れてるところで察するべきだったんだろうが、あんな魔法見たことねぇしたまげた。世界は広いんだって実感したぜ。舐めた発言をしてすまなかった」


 そう言って村長は軽く頭を下げてきた。


 えーなんだよそれ、全然気にしてなかったのに。そもそもこの力も俺が努力して手に入れたわけじゃなくて神様に適当に貰った力だし、俺の本質はどこにでもいる普通のオタク高校生だ。なんか逆に申し訳なくなってくるわ。


「いえ、全然気にしてませんから、本当に。そんなことより村長さんのキャラ結構好きなんで、そのまま自分を貫いていってください」


「ははは! なんだそれは。そんなこたぁ言われたのお前さんが初めてだ。俺もお前さんのこと気にいったぜ。気が向いたらまたいつでも寄ってくれよ!」


 俺は適当に微笑み返すと待たせていたユイセの後ろに飛び乗った。


 俺たちを乗せた馬は、浅い森を抜けると、夕暮れがわずかに灯る平原を悠々と駆けていった。





 体感時間三十分ほどで、街へと辿り着いた。

 日はほとんど暮れてしまっていた。


 なんだろ、なんか精神的に疲れたな。

 最初は女の子の後ろに乗れてラッキーとか思ってたけど、慣れてきたら上下運動がただただ鬱陶しい暇な時間だ。

 乗馬の練習しようかとか思ってたけど、ちょっとダルくなったかも……てか腹減ったわ普通に。


「あなたはこれからどうするつもりなの?」


 街中へと入り、馬を返却しに行く道中でユイセが尋ねてくる。


「俺か? そうだな。ちょっと予定があるから寄って、どっかで飯食ってすぐ寝るかな」


 リーリルに解体を頼んでいたので、それを回収して、後はまぁ深くは考えてないかな。


「予定ってどれくらいで終わるの?」


「さぁ、まぁ一時間も掛からないんじゃね」


「だったらそれが終わったらご飯を一緒に食べない? たっぷりと話があるから」


 ああそういやそんな話だったな。めんどっちぃなぁ。まぁ考えようによっては女の子と食事ってことで悪くないのか? まぁ実質の内容は戦闘会議みたいな感じなんだろうけど……


「はぁ、まぁ逃げられないか……いいけど、その代わり飯代は奢ってくれるんだよな?」


「え? なんで私が奢らないといけないの?」


「誘うほうが奢るのは普通じゃないか? 俺は別に行きたくないんだし」


 適当なことを言ってみる。言うだけタダだ。


「くっ、あなたがいたとこの文化とかはよく分からないけど……まぁいいわ。今日くらいは奢ってあげましょう。その代わり、あなたこと正直に話してよね」


 通っちゃたよ。

 ああ、でもやっぱりそういうことだよなぁ。はぁめんどっちめんどっち。



 一時間後に冒険者ギルドで落ち合う約束をして、俺たちは別れた。



 ユイセは厩舎の方へ向かったのを見て、俺はギルドへと向かう。


 ギルドへ到着。

 裏手の解体場へ行くとナイフを研いでいた様子のリーリルが待っていた。


 魔物の解体はとっくに終わっていたらしい。

 俺が渡しておいた保冷ボックスと、それだけだと二頭分の容量が足りなかったのか、リーリルが借りてきていた保冷ボックスにもお肉が収納されていた。

 保冷ボックスの拡張も今後の課題だな。




 その後リーリルといつもの肉屋に肉を売りにいった。

 保冷ボックスを経由したせいか、鮮度は流石に下がっていた。

 それでも十点中八点だったので、まぁ及第点なのかな。



 解体してない牛乳牛は後一体残っていたので、最後にリーリルにお願いして引き上げることにした。

 明日の朝来て回収して即売ればいいだろう。



 そして最後に、今まで狩ってもらった五匹分の代金――ラスト一匹はまだ捌いて貰ってないが前もって――を払って置いた。

 リーリルから、最後にまとめて金貨一枚貰えればいいという風に言われていたのだ。


 しかしそれでは流石に悪いのでちゃんと金貨五枚分を払っておいた。

 まぁ実際かなり貢献してくれたと思うしな。本人はかなり遠慮してたけど……



 最後の最後に明日は凄いのを捌いて貰うぞといい含め別れた。なにか楽しみで夜も眠れないだろうな。


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