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 俺達はなんとかコブラキングを討伐することができた。


「ふぅ、なんとかなったわね……」


「まぁ俺達にかかりゃこんなもんよ! がはは!」


 コブラキングが動かなくなったのを見て、それぞれが思いを口にしていた。


 うん、まぁとりあえず良かったけど……なんというかかんというか。


「急に現れるんだから、ほんとビックリしたんだけど……」


「まぁ無事討伐できて良かったじゃねぇか。今日の晩飯は蛇肉の鍋で決まりだなッ!」


 コブラキングは完全に動きを静止させていた。

 目からも生気が失われている。

 口からドロリと何かの液体が垂れていた。

 これを食うの……?


「そうだな、今日のところはもう……ってゴブリンはどこだ!?」


 俺は肝心な目的を達成できてないことに気づきツッコんだ。

 みなさん満足げな感じですけど、ゴブリンの一匹すら倒してないですよね?


「まぁ近くにいないってのは分かったからいいじゃない」


「どうしてそんなこと分かるんだ?」


「ここ一週間くらいは見てないんですよね?」


「ああ、見てないな」


 村長からの答えを受け、ユイセは確信めいた笑みを浮かべた。


「ま、その時点でもう答えは出てたのよ」


「どういうことだ?」


「ゴブリンは住処を移動したってことよ。そもそもしばらく彼らの姿を全く見かけないというのはおかしな話だったのよ。普通略奪やらなんやらの為に少なからず人前に姿を見せるはずでしょ? まぁ私も別に生態について詳しいわけじゃないけど、もっといい場所があって移動したんだと思う」


 なるほど、そもそもゴブリンは近くからいなくなってたのか……


「ええ、でもそれじゃあ俺の依頼はどうなるんだよ?」


「いいじゃない、一回くらい。そんなことより驚いた、どうやって中の様子が分かったの?」


 そんなことよりって、俺にとってはものすごく大事な問題なんですが……Fランクの依頼をこなしていかなきゃランクは上がらないんだよ……しかしやっぱり聞かれるか。力を思わず使ってしまったのはマズかったか……? 


「それにコブラキングを拘束したように見えたあの魔法……あんな魔法も生まれて初めて見るし、相当高位の魔法なんじゃない? 上級魔法、いや、それ以上だとしても驚かない」


 ユイセが止まらなくなっていた。

 逃してくれなさそうな雰囲気をひしひしと感じる。

 ああ、ミスったなぁ。まぁでも誤魔化すしかないよな。


「まぁ適当に撃っただけだ」


「あんなの適当で撃てるわけないでしょ!」


「そんなことより俺の依頼についてだよ。これじゃクエスト失敗になっちゃうくないか? お金だって手に入らないし」


「あからさまな誤魔化し方して……はぁ、まぁいい。この件はあとでゆっくり聞かせてもらうからね」


 なんとかなったっぽい……?

 まぁ俺に掛かればこんなもんだよな。でもクエストを失敗して憂鬱なのは本当なんだよな。


「因みにクエスト失敗に関して言えば多分大丈夫。魔物がいなかった場合なんかは、事情をきちんと説明すればクエスト自体を反故にしてくれたりするの。それも実績のある冒険者であるほど特にね」


「今回はユイセが言うから大丈夫と?」


「うーん、まぁ別に私じゃなくたって全然大丈夫だとは思うけど。一応私の口からも報告するし、ココット村村長さんの証言もあるから多分大丈夫よ」


「そういうもんなのか」


「あとお金に関してもこれがいるじゃない」


 ユイセは倒れている蛇を親指で指さしていた。蛇?


「一応Cランクの魔物よ。単発の討伐証明だけでもバカにならない金額になると思うし、普通にゴブリン討伐の報酬なんか上回ると思うけど」


 まぁなるほど、確かにこれが売れるのか。

 相場とかはよく分からんがCランクってんだからそれなりにはなるんじゃないか? ……ただし、


「一応倒したのは村長のはずなんだけどな……」


 最後にトドメを刺したのは紛れもない村長のはずだった。


「ふん、バカ野郎。俺がそんな野暮な真似するかよ」


 だが俺の呟きに対し、村長は腕を組み、笑いながら返してくる。


「今回の件は最初から全部お前らに託してたんだ。俺が割って入る余地はねぇ。だから、今回の冒険の成果は紛れもねぇ、全部お前らのもんだ」


 村長はきらりん、と男前な笑みを浮かべ言ってのける。


 おお……なんか、あれだな。いろいろなければカッコよかったかも。


「ありがとうございます。ほら、これはこれで悪くないでしょ? そもそも冒険なんて思うようにならなくて当たり前なんだから。剥ぎ取れる分を剥ぎ取って撤退しましょ」



 ということで、結局思いもよらない形で今回のクエストは終わりとなった。


 ユイセが討伐証明部位らしい牙を、どこからか取り出した小さなナイフで剥ぎ取っている。

 ついでに目の玉も無理やりえぐり取っていた。


「まぁ今回持って帰れるのはこれくらいね。牙は討伐証明のためだけど、目も精力剤の素材になるらしいから結構高く売れるのよ」


「へー、因みに肉とかって売れるかな」


「肉……? そりゃもちろんCランクの魔物の肉だからかなりの高値が付くとは思うけど……」


 ユイセは喋っている途中でなにかに気づいたようにはぇ? と呆れた顔になる。


「まさか肉を剥ぎ取って持ってくつもり? 無理無理、馬一頭でしか来てないし、時間経過でそのまま腐っちゃうだけよ。運ぶにしても運搬に特化したポーターとか適性のある人を雇わないと……」



 しゅん。



 俺は蛇をまるごと一匹亜空間に収納した。

 おお、結構でかかったけど案外行けたな。これで持ち帰ってお金にできる。



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