■第9話:天才画家がモデルを依頼! ……えっ、私を「劣化」させる気?
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
『困った神様シリーズ』第5弾、本日も更新です!
魔法もチートも使わない、圧倒的な「自己肯定感」と「ド正論」による異世界蹂躙劇。
どうぞ、リラックスしてお楽しみくださいませ!
【場所:神界・ネフェルの部屋】
「さあさあ! 今日の好子様はどこで誰を泣かせるのかしら!」
女神ネフェルは、もはや「復讐の女神」ではなく、完全に「好子様のドキュメンタリー番組の熱狂的視聴者」と化していた。手には特製の「好子様・応援うちわ(蓄光タイプ)」が握られている。
「ああっ! 今日のターゲットは芸術界の頂点、天才画家フランソワね!」
「彼は過去に、私の神殿の壁画を見て『ノンノン! トレビアンじゃない! 美の真髄は僕の筆にこそ宿るのだ!』って上書きしようとした不届き者よ!」
ネフェルはうちわを振りかざした。
「あの『自分のキャンバスの中の女が一番美しい』と信じている二次元コンプレックス男に、三次元の厳しさを教えてやって、好子様!!」
【場所:王都・王立美術館】
その日、好子は王立美術館の特別展示室を歩いていた。
壁には、数千万ゴールドの価値があるとされる名画がズラリと並んでいる。
しかし、好子はそれらをチラリと見ただけで、心底退屈そうにため息をついた。
「……ふぅん。どれもこれも、薄っぺらいわね」
そこへ。
「トレビアァァァァァァンッ!!」
突如、美術館に場違いな大絶叫が響き渡った。
ベレー帽を被り、絵の具にまみれたスモックを着た、癖毛の美青年。
王都が誇る天才画家、フランソワである。
彼は好子を見るなり、まるで雷に打たれたように両手で顔を覆い、膝から崩れ落ちた。
「オォ……! なんてことだ! 美の女神は地上に実在したのか!!」
フランソワは、這うようにして好子の足元にすがりついた。
「美しい……! その黄金比の輪郭、冷たさの中に情熱を秘めた瞳……! まさに僕のインスピレーションを極限まで高める『ミューズ』だ!」
「……ちょっと」
好子は、靴に触れようとするフランソワの手を、扇子でピシャリと叩いた。
「気安く近づかないで。絵の具の匂いが移るわ」
「アハハ! その冷たい視線もまたトレビアン!」
フランソワは立ち上がり、大げさな身振りで両手を広げた。
「僕の名はフランソワ! この世界で最も『美』を理解している天才さ。さあ、僕のアトリエに来たまえ! 僕のこの魔法の筆で、君の美しさをキャンバスの上に描き出し、『永遠の芸術』へと昇華させてあげよう!」
神界のネフェルが画面越しにツッコミを入れる。
(出たわ! 芸術家特有の『俺が君を最高の作品にしてやる』マウント! 好子様、ガツンと言ってやって!)
好子は、フランソワの情熱的な(押し付けがましい)提案を聞いて……
クスリと、冷酷な笑みを漏らした。
「……昇華?」
「そうだとも! 僕の絵になれば、君の美は千年先まで語り継がれる……!」
「馬鹿ね」
好子は、扇子でフランソワの胸を真っ直ぐに指した。
「三次元のこの完璧な私を、どうしてわざわざ『二次元の布切れ』にダウングレード(劣化)させなきゃいけないの?」
ピキィィィンッ!!(画家のインスピレーションが砕ける音)
「デ……劣化……!?」
フランソワの笑顔が凍りついた。
「そうよ。あなたのその安い絵の具なんかで、私の肌の透明感や、この髪の艶、空間を支配するオーラを1ミリでも表現できると本気で思ってるの?」
好子は、展示されているフランソワの代表作(絶世の美女の肖像画)を顎でしゃくった。
「大体、あなたのその絵。……デッサンの基礎、狂ってない?」
「なっ……!?」
「左肩のパースがおかしいし、光の当たり方も不自然。色の陰影で誤魔化してるみたいだけど、要するに『対象を正確に捉える目』が足りてないのよ」
好子は、フランソワの顔を冷たく見下ろした。
「そんな『歪んだ節穴の目』で、私の完璧な美しさを切り取ろうなんて、おこがましいにも程があるわ」
「私を描きたいなら、まずはその目を洗って、石膏デッサンを1万枚描いてから出直してきなさい。……もっとも、私がその程度のキャンバスに収まる日は、永遠に来ないけど」
「あ……ああ……」
フランソワは、自分の手にある「天才の筆」を見つめた。
今まで絶賛され続けてきた自分の絵が、突如として「児戯に等しい落書き」にしか見えなくなってしまったのだ。
「ぼ、僕の目は……節穴……。僕のキャンバスでは……この完璧な美を、受け止めきれない……!!」
ボキッ。
フランソワは、自らの手で「天才の筆」を真っ二つにへし折った。
「ま、参りましたァァァッ!!」
フランソワは、好子の前で土下座(五体投地)した。
「あなたの言う通りです! 僕の芸術など、あなたの前ではただの『劣化コピー』に過ぎなかった!!」
「お願いです! 僕をあなた専属の『荷物持ち兼・デッサンの弟子』にしてください! あなたの完璧な三次元の美を、一生かけてこの目に焼き付けさせてくださいィィッ!!」
トレビアンな天才画家が、ただの「デッサンからやり直す下積み弟子」へと成り下がった瞬間だった。
【場所:神界・ネフェルの部屋】
「…………アハァァァァッ!!」
ネフェルは、モニターの前で謎のステップを踏みながら歓喜の舞を踊っていた。
「昇華じゃなくて『劣化』!! キャンバスに収まる日は来ない!!」
「名言! また名言出たわよ!! すぐに壁に貼らなきゃ!!(※筆ペンで書き殴りながら)」
ネフェルは、自分がイケメンたちに鼻で笑われた過去のトラウマが、すべて好子によって「物理的な土下座」として返済されていくことに、至上の快感を覚えていた。
「あーもう、最高。次は誰? 次はどんな肩書きの男が、好子様の靴を舐めるの!?」
女神の品格を完全に投げ捨てたネフェルは、次なる「生贄」のリストをウキウキと捲り続けるのだった。
(第5弾・第9話・完)
本日もお読みいただき、ありがとうございました!
もし少しでも「面白い」「好子さんメンタル強すぎ!」と笑っていただけましたら、
ページ下部にある【☆☆☆☆☆】をポチッと押して応援していただけますと、毎日の執筆の大きな励みになります!
(ブックマークへのご登録も、大変嬉しいです!)
それでは、また次回の更新でお会いしましょう。
今後とも宜しくお願いいたします!




