■第7話:社交界の女帝がイケメン軍団と宣戦布告! ……えっ、相手にする価値もないんですか?
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
『困った神様シリーズ』第5弾、本日も更新です!
魔法もチートも使わない、圧倒的な「自己肯定感」と「ド正論」による異世界蹂躙劇。
どうぞ、リラックスしてお楽しみくださいませ!
【場所:神界・ネフェルの部屋】
「キタキタキタァァァッ!! とうとう『大ボス』のお出ましよ!」
女神ネフェルは、頭に「好子推し」と書かれたハチマキを巻き、両手にペンライトを握りしめてモニターに釘付けになっていた。
「王都の社交界を牛耳る女帝、公爵令嬢イザベラ! 彼女は常に極上のイケメンたち(別名:イザベラ親衛隊)を侍らせている、傲慢の化身よ!」
「過去に私の神殿へ来た時、『この女神像、地味ね。私の取り巻きの男たちの方がよっぽど華があるわ』と鼻で笑った女! 絶対に許せない!」
ネフェルは、ペンライトを激しく振った。
「さあ好子様! あの取り巻きのイケメン共々、あの女帝のプライドを完膚なきまでに叩き割ってちょうだい!!」
【場所:王都・最高級のオープンカフェ】
その日の午後。好子は、王都で最も格式高いカフェのテラス席で、優雅にダージリンティーを飲んでいた。
周囲の客(と隠れファンクラブの面々)は、遠巻きにその美しさを拝んでいる。
そこへ。
バサァァァッ!!
突然、好子のテーブルへと続く道に、真っ赤な絨毯が転がされた。
「道を開けなさい、愚民ども。イザベラ様のお通りよ」
執事服を着た美青年が先導し、その後ろから4人の「超絶イケメン(騎士、魔法使い、吟遊詩人、貴族)」を引き連れた、派手なドレスの美女が現れた。
社交界の女帝、イザベラである。
「あなたが、最近私の『庭』で好き勝手やっている小娘ね?」
イザベラは、好子を見下ろすように腕を組んだ。
その後ろで、4人のイケメンたちが、それぞれ完璧な角度でポーズを決める。
「イザベラ様の美貌にひれ伏すがいい」(騎士)
「君も美しいが、我らが主の足元にも及ばないよ」(魔法使い)
神界のネフェルが息を呑む。
(出たわ! 数の暴力! イケメン・カルテットによる威圧! 普通の令嬢なら、このプレッシャーだけで泣いて逃げ出すわ!)
イザベラは、扇子で口元を隠し、冷たく笑った。
「私のコレクションであるルカ王子や、ユリウスをたぶらかした罪は重いわよ。今日という今日は、私が直々に……」
「…………」
好子は、ティーカップをそっとソーサーに置いた。
そして、コンパクトを取り出し、自分の前髪の乱れをチェックし始めた。
「……ちょっと。聞いているの?」
イザベラが眉をひそめる。
好子は、コンパクトをパタンと閉じた。
そして、イザベラではなく、カフェの店員に向かって手を挙げた。
「すいません。ここ、なんだか急に『安い香水』と『ホコリ』の匂いがキツくなったんだけど。席、変えてもらえる?」
「なっ……!?」
イザベラの顔が怒りで真っ赤に染まった。
「私を無視する気!? いい度胸ね! この私と、私の後ろに控える美しい騎士たちが見えないの!?」
イザベラが扇子をビシッと突きつける。
好子は、そこで初めて「あ、いたの?」というような、心底どうでもいい目でイザベラたちを見た。
「……見えてるわよ。ギラギラと飾り立てた『歩くシャンデリア』みたいな女と、その後ろに金魚のフンのようにくっついている『大量生産品のマネキン』たちでしょ?」
ピキィィィンッ!!(女帝とイケメン軍団のプライドが同時にヒビ割れる音)
「マ、マネキンだと……!?」
「我々に向かってなんという暴言を……!」
イケメンたちが色めき立つ。
「そうよ。中身が空っぽのマネキン」
好子は、席からゆっくりと立ち上がった。その圧倒的なオーラに、イケメンたちが思わず一歩後ずさる。
好子は、イザベラを真っ直ぐに見据えた。
「あなた、自分のことを『女帝』だと思ってるみたいだけど……本当に価値のある宝石は、一つで十分な光を放つのよ」
好子は、イザベラの後ろにいる男たちを顎でしゃくった。
「そうやって『取り巻き』で自分の周りをデコレーションしないと威厳を保てない時点で、あなたは『私には単体での魅力がありません』って自己紹介してるのと同じよ」
「あ……っ……!」
イザベラが、扇子を取り落とした。
誰もが恐れて言えなかった図星――「彼女自身の魅力ではなく、権力と取り巻きの数でマウントを取っているだけ」という事実を、白日の下に晒されたのだ。
「私(本物)に宣戦布告したいなら、その安っぽいアクセサリー(男たち)を全部捨てて、一人で出直してきなさい。……もっとも」
好子は、テーブルに紅茶の代金(金貨)を置き、冷たく言い放った。
「群れでしか吠えられない負け犬の相手なんて、私の時間の無駄だけど」
好子は、そのまま流れるような足取りで、赤い絨毯を横切って去っていった。
「…………」
残されたイザベラと、4人のイケメンたち。
彼らは、好子の「圧倒的な個の輝き」の前に、自分たちが「ただの舞台装置」と「見栄っ張りの女」でしかなかったことを痛感させられていた。
「イ、イザベラ様……我々は……アクセサリー……」
「くそっ……! 彼女の言う通りだ……! 俺たちは群れなければ輝けない……ッ!」
イケメンたちは、その場に崩れ落ち、己のアイデンティティを見失って号泣し始めた。
そしてイザベラもまた、誰もいなくなった赤い絨毯の上で、ガクガクと膝を震わせながら立ち尽くすことしかできなかった。
【場所:神界・ネフェルの部屋】
「アァァァァァァァッ!!(歓喜の絶叫)」
ネフェルは、モニターの前で土下座して拝んでいた。
「しびれるゥゥッ!! なによ今の! 『群れでしか吠えられない負け犬』!!」
「あの憎きイザベラが、一言も言い返せずに白目剥いてるわ!!」
ネフェルは、ペンライトを放り投げ、感涙にむせんだ。
「ありがとう好子様……! 私の心の傷が、あなたのその高飛車な言葉で浄化されていく……!!」
「もっと! もっと私を(じゃなくてイケメンたちを)罵ってェェェッ!!」
復讐などというちっぽけな目的は、とうの昔に消し飛んでいた。
女神ネフェルは、地球から召喚した自分と同じ顔の少女を、「全宇宙で最も尊い推し」として崇拝するフェーズへと完全に移行したのだった。
(第5弾・第7話・完)
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