■第6話:リベンジに燃える「自己陶酔型ナンバー3」。……えっ、そのポーズ、首痛くないの?
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
『困った神様シリーズ』第5弾、本日も更新です!
魔法もチートも使わない、圧倒的な「自己肯定感」と「ド正論」による異世界蹂躙劇。
どうぞ、リラックスしてお楽しみくださいませ!
【場所:神界・ネフェルの部屋】
「くっ……! 情けない! あのクロード、たった一言で土下座するなんて!」
女神ネフェルは、モニターの前でハンカチを噛み締めていた。
部屋の壁には、好子の名言(「5位で話しかけたの?」「毛穴が開いてる」等)が筆文字でビッシリと貼られている。
「でも、次は違うわよ! 王都ホスト界のトップ3がついに動くわ!」
ネフェルが、キラキラしたカードを取り出す。
「『黒薔薇の園』ナンバー3、ジュリアン! 彼はクロードのようなマニュアル人間じゃないわ。息をするように自分に酔い、鏡の中の自分と会話するレベルの本物のナルシストよ!」
「彼なら、好子の冷たい態度すら『俺の魅力への照れ隠しだな?』とポジティブ変換して、グイグイ攻め続けられるはず!」
(……まあ、好子がそれをどう料理するのかが、楽しみで仕方ないんだけどね!)
ネフェルは完全に「強火のファン」の顔でペンライトを構えた。
【場所:王都・夜の高級ラウンジ】
その夜、好子は再びラウンジのVIP席にいた。
周囲には「好子様ファンクラブ(元王子・元文官・元No.5たち)」が遠巻きに跪き、飲み物を運んだり扇いだりしている。
そこへ。
店内の照明が、一人の男に集中した(※自前の演出魔法)。
「……フッ。待たせたね、迷える子羊たち」
現れたのは、髪を完璧にセットし、胸元を限界まではだけた男、ジュリアン。
彼は一歩歩くごとに、バラの花びらを撒き散らしながら(※魔法)、ポーズを決めていた。
「ジュリアン様だわ!」「キャーッ! No.3様よ!」
周囲の女性客が色めき立つ。
ジュリアンは、その歓声を当然のように受け流し、真っ直ぐに好子の元へ向かった。
「やあ。君が噂の『氷の女王』かい?」
ジュリアンは、好子の目の前で立ち止まり、計算し尽くされた「最も美しく見える角度(斜め45度)」で顎を上げ、流し目を送った。
「クロードが世話になったようだね。彼はまだ二流だ。だが、俺は違う」
ジュリアンは、指でバチンと音を鳴らした。
「俺はNo.3だが、実質No.1だ。世界がまだ俺の美しさに追いついていないだけさ」
「さあ、君も俺のこの『完璧な美貌』に酔いしれるといい。君の冷たい心も、俺の熱視線で溶かして……」
「……ねえ」
好子の声が、ジュリアンの口上を遮った。
「ん? なんだい? 俺の美しさに見惚れて声が出ないのかい?」
ジュリアンは、さらにキメ顔の角度を深くした。
好子は、ジュリアンを「珍しい昆虫」でも見るような目で観察した。
「あなた、さっきからずっとその角度で喋ってるけど」
好子は、扇子でジュリアンの首元を指した。
「首、痛くないの?」
ピキィィィン……。(ナルシストの時が止まる音)
「えっ」
ジュリアンの決め顔が、微妙に引きつった。
実は30分前からずっとこの角度を維持しており、首の筋が限界を迎えていたのだ。
「それに、その撒き散らしてるバラの花びら」
好子は床を指差した。
「掃除する人の迷惑、考えたことある?」
「なっ……!」
ジュリアンがよろける。痛いところを突かれた。
しかし、彼はNo.3。伊達にナルシストではない。
「フッ……面白い。君は俺の美しさに嫉妬して、わざと意地悪を言ってるんだね? かわいい奴だ」
ジュリアンは、無理やりポジティブ変換して立て直そうとした。
「嫉妬? 誰が?」
好子は、懐から自分専用の「最高級手鏡」を取り出した。
そして、ジュリアンの顔と、鏡に映った自分の顔を交互に見比べた。
「……ふぅ」
好子は、深いため息をついた。
「あなた、自分のこと『完璧』って言ったわよね?」
好子は鏡をジュリアンに向けた。
「これを見て、もう一度言える?」
ジュリアンは、鏡の中の好子を見た。
そこには、神々しいまでの圧倒的な美貌が映っていた。
そして、その隣に映る自分の顔が――あれほど自信を持っていた自分のキメ顔が、急に「薄っぺらい作り物」のように見えてしまった。
「あ……あれ……?」
「わかった? あなたの自信なんて、本当の『完璧』の前では、安っぽいメッキみたいなものなのよ」
好子は、鏡をパタンと閉じた。
「自分の顔に酔うのは勝手だけど。私(本物)の横に並んで、自分が見劣りすることに気づかないなんて……観察眼まで二流ね」
ズガァァァァン!!(ナルシストの鏡が砕け散る音)
「お、俺が……俺の美貌が……見劣りする……!?」
「二流の観察眼……!?」
ジュリアンは、首を押さえながらガクガクと震え出した。
彼のアイデンティティである「自分への絶対的な自信」が、より高次元の存在によって否定された瞬間だった。
「痛い……首も……心も……痛いよママァ……!!」
ジュリアンは、その場に泣き崩れた。
もはやNo.3の威厳はない。ただの「首を痛めた痛い男」だった。
「……騒がしいわね」
好子は、倒れたジュリアンには目もくれず、グラスを傾けた。
周囲のファンクラブ会員たちが、憐れむような目でジュリアンを見下ろした。
「……フッ。彼もここまでか」(元No.5 クロード談)
「所詮はナンバー3。女王の覇気には耐えられまい」(元筆頭文官 ユリウス談)
【場所:神界・ネフェルの部屋】
「キャァァァァッ!!」
ネフェルは、モニターの前で狂喜乱舞していた。
「見た!? 今の『首、痛くないの?』からの『鏡見比べコンボ』!!」
「あのナルシストが、自分の顔を直視できなくなって泣き崩れたわ!!」
ネフェルは、ペンライトを両手で振り回した。
「最高よ好子様!! あなたこそ真の『ナンバーワン』よォォッ!!」
「もう私、一生ついていくわ!!」
もはやネフェルの中に「女神のプライド」は塵ほども残っていなかった。
彼女は完全に、好子という「最強の推し」を崇める筆頭信者へと昇華していたのだった。
(第5弾・第6話・完)
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