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■第21話:魔族の幹部が寝返った! ……えっ、私が世界を統治してあげるの?

いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。

『困った神様シリーズ』第5弾、本日も更新です!


魔法もチートも使わない、圧倒的な「自己肯定感」と「ド正論」による異世界蹂躙劇。

どうぞ、リラックスしてお楽しみくださいませ!



【場所:神界・ネフェルの部屋】

「キタァァァァァァッ!! ついにこの時が来たわ!!」


女神ネフェルは、モニターの前で特大のクラッカーを両手で鳴らし、紙吹雪の舞う中で歓喜のステップを踏んでいた。


画面に映っているのは、魔界……ではなく、王都にある好子の滞在ホテルである。


「影武者作戦という最低のタブーを犯し、部屋の隅でガタガタ震えて泣いているだけの魔王! そんなトップに、魔王軍の幹部たちがついに愛想を尽かしたのよ!」


ネフェルは、壁一面に広がる「好子様語録」を誇らしげに見渡した。


「無能な男たちを次々と論破し、大公爵レオンハルトという最高の右腕まで手に入れた好子様。……彼女の圧倒的なカリスマの前に、もはや人間界も魔界も関係ないわ!!」



【場所:王都・好子のスイートルーム】

「……レオンハルト。この『税制改革案』、富裕層への課税がまだ甘いわ。私の美しさを維持するための国のインフラ整備に、もっと予算を回しなさい」

「御意のままに、我が太陽。直ちに修正しよう」


好子とレオンハルトが、優雅に(そして容赦なく)国家の再構築プランを練っていた、その時。


ホテルの窓から、どす黒い雲がなだれ込んできた。

しかし、それに殺気はない。むしろ「悲壮感」と「諦め」が漂っていた。


雲が晴れると、そこには魔王軍の最高幹部たち(四天王や軍団長クラスの悪魔たち)が、ズラリと並んで……土下座をしていた。


「……あら。ホテルの床にゴミが散らかってるわね」


好子は、ペンを置き、冷たい視線を向けた。


「レオンハルト。つまみ出して」

『お、お待ちください好子様!!』


幹部の筆頭である巨大な悪魔が、床に額を擦りつけながら叫んだ。


『我らは、貴女様に忠誠を誓いに参りました!!』

「忠誠?」

『はい! 我らがトップ(魔王)は、貴女様のオーラに完全に心を折られ、もはや執務室の机の下から出てこなくなりました!』


悪魔は涙ながらに訴えた。


『あのようなビビリで無能な男の下では、魔族の誇りもへったくれもありません! どうか、圧倒的な美とカリスマを持つ貴女様に、我ら魔王軍を……いえ、魔界そのものを統治していただきたいのです!!』


幹部たちが一斉に頭を下げる。


人間界の王都で、魔界の重鎮たちが人間の女に「国を乗っ取ってくれ」と懇願する異常事態。


「……はぁ」


好子は、深く、深くため息をついた。


「魔界を統治しろって? 冗談じゃないわ」


好子は扇子を開き、幹部たちを氷の目で見下ろした。


「あんな日当たりも悪くて、カビ臭くて、血生臭い田舎の土地。私が行ったら、ドレスの裾が汚れるじゃない。そんな不良物件の押し付け合いに、私を巻き込まないでちょうだい」

『そ、そこをなんとか! 貴女様が来てくだされば、魔界の空気も浄化されます!!』

『この通りです! なんなら、あの情けない元・魔王の首を差し出しても構いません!』

「……フッ。君の魅力は、ついに種族の壁すらも超えたようだな」


隣で控えていたレオンハルトが、小さく笑いを漏らす。


「どうする? 魔界の資源と労働力は、この王国のインフラ整備(君のための国造り)に大いに役立つと思うが」

「……チッ。仕方ないわね」


好子は、扇子をパチンと鳴らして立ち上がった。


「あの『影武者』を送ってきた無礼の落とし前もつけさせなきゃいけないし。レオンハルト、純金の馬車を出しなさい。視察に行ってあげるわ」



【場所:魔界・魔王城・玉座の間】

数時間後。


好子を乗せた純金の馬車(運転手は元・宰相メフィスト)が、魔王城の正面に堂々と乗り付けた。


魔王城の玉座の間。

そこには、幹部たちに見捨てられ、たった一人で玉座の影に震えて隠れている魔王の姿があった。


カツン、カツン……。

静寂の広間に、好子のヒールの音が冷たく響き渡る。


「……あなたが、私に偽物を送りつけて逃げ回っていた、三流組織のトップね」

『ひっ……!!』


魔王は、好子の声を聞いた瞬間、心臓が止まりそうになった。

恐る恐る顔を上げると、そこには、どんな魔族の幻術よりも恐ろしく、そして神々しいまでの「絶対的な美」が立っていた。


魔界一の美貌を持つと言われた魔王でさえ、好子の完璧な黄金比の前では、ただの「少し顔の整ったモブ」にすぎないことを悟った。


「た、助けてくれ……! 命だけは……!」

「命? あなたの命なんて、1ミリも興味ないわ」


好子は、玉座の影で震える魔王を、靴の裏を見るような目で見下ろした。


「でも、そうね……。顔の造作『だけ』は、ギリギリ私の視界に入っても不快にならないレベルだわ」

『……えっ?』

「この魔界は、今日から私の『別荘(資材置き場)』として管理してあげる。そして……」


好子は、扇子で魔王の顎をツンと持ち上げた。


「あなたは、今日から私の『足置き(フットスツール)兼・お茶汲み係』として召し抱えてあげるわ。……光栄に思いなさい。私に直接仕えられるなんて、あなたのその薄っぺらい人生の中で、最高のステータスになるんだから」

『足置き……お茶汲み……!』


魔族の絶対的支配者が、人間の女のパシリに降格した瞬間である。

しかし。


魔王は、好子に顎を持ち上げられ、その氷のように冷たく、圧倒的な自信に満ちた瞳に見つめられた瞬間……。


自分の中の「トップとしての重圧」や「見栄」が、すべて吹き飛んでいくのを感じた。


(な、なんだこの安心感は……! 自分で決断しなくてもいい。ただ、この完璧な御方に傅いていれば、すべてが正しく回っていく……!!)


『……あぁっ!』


魔王は、自ら好子の足元に跪き、その靴の甲に額を擦りつけた。


『も、もったいなきお言葉!! この魔王、いや、ただの「召使いその1」! 今日より貴女様の下僕として、一生美味しい紅茶を淹れ続けさせていただきますゥゥッ!!』


かくして。

王都のトップ層を骨抜きにし、実力派の大公爵を右腕とし、ついには魔界の支配者すらも「お茶汲み」にしてしまった好子。


彼女は文字通り、この世界の「人間界」と「魔界」の両方を、その美貌とド正論(と狂信的なファンクラブ)だけで、完全に手中へ収めてしまったのである。



【場所:神界・ネフェルの部屋】

「…………世界征服、完了ォォォォォォッ!!!」


女神ネフェルは、モニターの前で感極まり、神の涙を滝のように流していた。


壁には、魔王すらも足置きにして玉座に座る好子の姿が、最大の額縁で飾られている。


「剣も魔法も使わず! ただ『私が一番美しい』という絶対的な自己肯定感とド正論だけで、世界を統治しちゃったわ!!」

「もうこの世界に、好子様に逆らえる男なんて一人もいない! これぞ真のハッピーエンド! 究極の乙女ゲーム(全員論破ルート)の完成よ!!」


ネフェルは、ワイングラス(中身はグレープジュース)を高く掲げた。


「好子様、永遠なれ!! あなたこそが、この世界の真の女神よ!!」


女神としての仕事すらも投げ捨て、ネフェルはこれからもずっと「好子様の統治する美しい世界」を、一番の特等席(神界)からニヤニヤと見守り続けるのであった。

(好子さん編・完)


本日もお読みいただき、ありがとうございました!


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それでは、また次回の更新でお会いしましょう。

今後とも宜しくお願いいたします!


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