表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
20/24

■第20話:魔王軍のさらなる大失態! ……えっ、私を「安っぽい偽物」で誤魔化せると思ったの?

いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。

『困った神様シリーズ』第5弾、本日も更新です!


魔法もチートも使わない、圧倒的な「自己肯定感」と「ド正論」による異世界蹂躙劇。

どうぞ、リラックスしてお楽しみくださいませ!



【場所:神界・ネフェルの部屋】

「アハハハハッ! ちょっと、魔界の様子がおかしいわよ!」


女神ネフェルは、モニターの前で特大のパフェを頬張りながら、腹を抱えて笑っていた。


画面に映っているのは、魔王城の緊急会議室。しかし、そこにいる幹部たちの顔は、かつてないほどに青ざめていた。


「エリートスパイに続いて、ナンバー2の宰相メフィストまで帰ってこない(※現在、王都で好子様の馬車を嬉々として洗車中)んだから、そりゃパニックにもなるわよね!」


ネフェルは、ペンライトを指揮棒のように振った。


「さあ、魔王! あなたの組織はもうボロボロよ! 次はどうするの? 遂にあなたが直々に好子様の前に跪きに行くのかしら!?」



【場所:魔界・魔王城・緊急作戦会議室】

『…………嘘だろ』


魔王は、玉座の上で頭を抱え、ガタガタと震えていた。


『メ、メフィストまで……我が軍の頭脳であるメフィストまでが、あの女の「専属御者ドライバー」に転職しただと……!?』

『しかも、国家予算を投じて作らせた純金の馬車まで、ちゃっかり没収されているではありませんか!』


残された幹部たちが、涙声で報告する。


『魔王様! もう後がありません! あの女は「トップが来ない組織には行かない」と宣言しています! ここはやはり、魔王様ご自身が赴くしか……!』

『い、嫌だァァァァッ!!』


魔族の頂点に立つ漆黒の堕天使(魔王)は、会議室の床に突っ伏して駄々をこね始めた。


『絶対に行かん! あんな歩くド正論マシーンみたいな女の前に立ったら、俺の「魔王としての威厳」が論理的に完全解体されてしまう! 怖い! メンタルが耐えられない!!』

『しかし魔王様! このままでは魔王軍の面子が……!』


魔王は、顔を上げ、血走った目で幹部たちを見回した。

そして、「組織のトップとして絶対にしてはいけない、最悪の思いつき」を口にしてしまった。


『……そうだ! あの女は「トップが来い」と言っているのだな? ならば、トップが行けばいいのだ!』


魔王は、部屋の隅で控えていた下級魔族――姿を自由に変えられる『ドッペルゲンガーのゼノ』を指差した。


『ゼノ! 貴様、俺の姿に化けろ! そして「魔王」としてあの女を迎えに行け!』

『……えっ?』


ドッペルゲンガーのゼノが間抜けな声を出す。


『影武者作戦だ! 姿形さえ俺と瓜二つなら、人間の女に魔力の違いなど見抜けるはずがない! 貴様が俺のふりをして、適当に甘い言葉を並べて連れ帰ってこい!』


「魔王が怖気付いて影武者を送る」という、姑息極まりない大失態。


しかし、パニック状態の魔王軍は、この「安い偽物で彼女を騙す」という、好子が最も嫌悪するタブーに気づくことはできなかった。



【場所:王都・好子のスイートルーム】

その日の午後。


好子は、新たなパートナー(共同経営者)となった大公爵レオンハルトが淹れた極上の紅茶を、優雅に楽しんでいた。


「……レオンハルト。この茶葉、抽出温度が1度高いわ。香りが少し飛んでる」

「申し訳ない、我が太陽。すぐに淹れ直そう。……ふむ、だがその前に『招かれざる客』が来たようだな」


レオンハルトが冷徹な視線を扉に向けた、その時。


バァァァンッ!!

スイートルームの扉が派手に開き、漆黒のオーラ(※幻覚魔法)を纏った魔王(の偽物であるゼノ)が、大仰なポーズで立っていた。


『フハハハハ! 待たせたな、美しき人間の娘よ!』


偽魔王ゼノは、内心ガクガクに震えながらも、必死で魔王の尊大な演技をした。


『俺こそが魔界の絶対的支配者、魔王である! 貴様の要求通り、俺自らが迎えに来てやったぞ! さあ、俺の手を取……』

「レオンハルト」


偽魔王のセリフを完全に遮り、好子はティーカップを見つめたまま、氷のような声で言った。


「ホテルのセキュリティはどうなってるの? なんで『三流劇団の大根役者』が、勝手に部屋に入ってきてるのかしら」

『だ、大根役者!?』


偽魔王ゼノの顔が引きつる。


「……ただのゴミだ。すぐに片付けよう」


レオンハルトが、腰のサーベルに手をかけた。


『ま、待て! 俺は本物の魔王だぞ! この漆黒の翼が見え……』

「黙りなさい」


好子が、パチンと扇子を鳴らし、ゆっくりと偽魔王を振り返った。

その瞬間、偽魔王ゼノは、好子の放つ圧倒的な「格の暴力オーラ」に当てられ、息が止まりそうになった。


「私を誤魔化せると思ったの?」


好子は、扇子の先端で、偽魔王の姿を一つ一つ的確に指摘し始めた。


「まず、重心。トップに立つ者の『揺るぎない丹田の重さ』が全くない。ただ背伸びして威張っているだけ」

「次に、視線。私の目を見た瞬間、恐怖で瞳孔が泳いだわね。絶対者の目じゃない」

「極めつけは、その纏っている『気』よ。王の覇気なんて欠片もない、『上司に無理やり押し付けられて、怯えながらやってきた下っ端の悲哀』が全身から滲み出てるわ」


ピキィィィンッ!!(影武者の演技プランが粉砕される音)


『なっ……!?』


ゼノは、自分が完璧に化けていたはずの「魔王の姿」が、好子の前ではただの「薄っぺらい着ぐるみ」でしかなかったことに絶望した。


「私が『トップ(本物)を連れてこい』と言ったのに対して。あなたの上司(本物の魔王)は、自分が出てくる勇気すら持てず、あろうことか『安っぽい偽物』を寄越して私を騙そうとした」


好子は、氷点下300度の視線で、偽魔王を完全に射抜いた。


「……この私が、そんな『100円均一で買ってきたようなメッキ(偽物)』に引っかかるような、節穴の目を持っているとでも思ったのかしら?」


ズガァァァァン!!(魔王軍の最後の策が物理的に崩壊する音)


『ひぃぃぃぃぃッ!!』


ゼノは、もはや魔王の姿を維持することすらできなくなり、ポンッ!と煙を上げて本来の姿(小さなスライムのような下級魔族)に戻ってしまった。


『ご、ごめんなさいィィッ! 俺はただ魔王様に命令されただけで! あなた様を騙せるなんて1ミリも思ってませんでしたァァッ!』


ゼノは、床にへばりついて号泣した。


「……レオンハルト。このスライム、どうする?」

「そうだな。ホテルの窓ガラスの清掃係にでも使えばいい。……しかし、魔王とやらも底が知れたな。君という太陽を前にして、偽物を送るという最大の侮辱を犯すとは」


レオンハルトの言う通りだった。


「美と真実」を何よりも重んじる好子に対して、「偽物で騙す」という行為は、万死に値する最大のタブーだったのだ。


「ええ。本当に、救いようのない三流組織ね」


好子は、呆れたようにため息をついた。


「もう魔王軍には1秒の興味も湧かないわ。さあ、冷めた紅茶を淹れ直してちょうだい。これからは、私とあなたで、この国をもっと面白く(大掃除)する計画を立てるわよ」

「御意のままに」


かくして、魔王軍が放った最後の(そして最も愚かな)刺客は、あっけなく窓拭き係へと降格し。

魔王軍本国は、好子からの「完全な無関心(見切り)」という、最大の絶望を味わうことになったのである。



【場所:神界・ネフェルの部屋】

「アハハハハハハッ!! 最高! 最高すぎるわ!!」


ネフェルは、モニターの前で特大のパフェのグラスを掲げて祝杯を上げていた。


「出たわ! 『100円均一のメッキ(偽物)』!!」

「絶対の審美眼を持つ好子様に、影武者なんて通用するわけないじゃないの!! 魔王のやつ、自分のビビリのせいで、好子様を完全に怒らせた(というより呆れさせた)わね!!」


ネフェルは、壁に新しく書き加えた語録を愛おしそうに撫でた。


『本物を知る私の目を、安っぽい偽物で誤魔化せると思ったの?』

「ああもう、魔王軍はこれで完全終了ね! これからは、大公爵レオンハルトと組んだ好子様が、この国をどうやって自分色に染め上げていくのか……楽しみで仕方ないわ!!」


女神ネフェルは、推しの次なる大舞台(国家改造計画)に胸を躍らせ、今夜も徹夜で応援うちわを作り続けるのだった。

(第5弾・第20話・完)


本日もお読みいただき、ありがとうございました!


もし少しでも「面白い」「好子さんメンタル強すぎ!」と笑っていただけましたら、

ページ下部にある【☆☆☆☆☆】をポチッと押して応援していただけますと、毎日の執筆の大きな励みになります!

(ブックマークへのご登録も、大変嬉しいです!)


それでは、また次回の更新でお会いしましょう。

今後とも宜しくお願いいたします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ